[第51回] 地球の鼓動・野草便り 植物ホルモン


植物ホルモン

今年の大雪で折れたビワの枝やナンテンの枝、ツバキ、サザンカなどが沢山あって、お茶にいただいています。
ビワの薬効は高く、ビワの葉温灸や葉や種の焼酎漬け
をされている方も多いのではないかと思います。シャンティ・フーラでもビワの葉茶の紹介をされていました。我が家では雪で折れた枝をそのまま干しておいて、葉っぱを3枚ずつくらい裏の毛を軽く洗い流して他の野草と一緒に野草茶にしています。

ビワの葉や種にはがん治療薬の青酸配糖体アミグダリン(ビタミンB17)、ぶどう糖、クエン酸、タンニン糖質、サポニンなどの成分があり、弱アルカリ性血液にして自然治癒力を促進するそうです。

江戸時代から枇杷葉湯(びわようとう)として、ビワの葉に肉桂(にっけい)、霍香(かっこう)、莪述(がじゅつ)、呉茱萸(ごしゅゆ)、木香(もっこう)、甘草(かんぞう)の7種の薬草を煎じて、夏の暑気払いに飲まれていたそうです。

また、古来3000年の歴史を持つ仏教医学でも枇杷の葉療法として、緑の濃い厚手のビワ葉の光沢面を火であぶり、10回ほどこすり合わせて、1枚ずつ両手に持ち、熱いうちに皮膚を直接なで、ヘソの下や腹を6~7分丹念にマッサージするそうです。有効成分が肌から直接入り、甚大な効果があるとか。

殺菌作用や血液浄化作用があり、腰痛、肩こり、冷え性、皮膚炎、高血圧、糖尿病、リウマチに。また、風邪にはきざんだ葉や花に蜂蜜を入れて15分くらい蒸して食べ、喉が痛いときにはビワ茶に塩を入れてうがい薬に、アトピーには煎じ液を入浴剤に、また半量まで煮詰めてアルコールと混ぜて皮膚炎、火傷、水虫、捻挫などの外用薬にもなるようです。


ところで、折れた枝ですが、梅の木が余り実をつけなくなっていたのに、折れた枝にだけたくさん実をつけていたことがあります。果物の枝は捻じ曲げると実りがいいと聞きました。伐られる前の木には花や実が沢山ついています。子孫を残すために力を振り絞っているかのようです。私達も予感がするということがありますが、木にはいつまでの命とか、わかるのではないかと思います。


また、果樹の剪定方法は徒長枝を伐るのが一般的でしたが、みかんの剪定で従来のものが全滅した年に、何も手を加えていなかった木だけ沢山実をつけていたのを見て、徒長枝を伐ると植物ホルモンが働かなくなってしまうことに気づかれた方がいるそうです
(参考:H26・2・7道法正 徳氏による剪定講習会を開催。みかんの剪定技術とは!?

植物ホルモンがしっかり働く剪定方法で木の生命力を高めると、果樹でも農薬も肥料もいらなくなるのだそうです。 そして、今度は野菜の垂直仕立てで植物ホルモンを活性化させ、無農薬、無肥料で多収できると紹介されています。とにかくまっすぐ上に誘引します。いちごのランナーは従来は取り除いていたが、取り除かずに上に引っ張って伸ばすと、根が充分張って、いちごが沢山つくそうです。

えんどう豆もキュウリネットに真っ直ぐに縛り付け、側枝もまとめて真っ直ぐに縛っていくと、病害にも強く、沢山実るそうです。ソラマメもトマトなども同じように真っ直ぐに支柱にぎゅーっと縛りながら垂直にしていくと、草にも負けないで実つきがいいのだとか。
(参照:野菜だより2017冬号P36~41(道法流垂直仕立て栽培)(株)学研プラス/発行)

エンドウの新芽


農文協発行の現代農業などの農業誌が面白いのですが、2017年12月号にも雪折れしない剪定方法の紹介がありました。バネ枝をつくるために徒長枝をきらずにうまく使い、競合枝をすべて残すなど、常識の逆の剪定をするようです。

また、P320~321には、薬草ボルネオ島(その3)大ケガを治したり悪霊を避ける「油薬」という記事が載っていました。著者の白石正之さん(72歳)は20年にわたって425種の植物を調べてこられたそうで、伝統的なシャーマンの知識や技術を残そうと調査研究をされています。その昔、ボルネオ島には何千種類という油薬があったそうですが、キリスト教の宣教師や回教徒の宗教家によって、徹底的に壊され、現在は200種類ほどしか残っていないようだとか。また、ボルネオ島の奥地にも病院が建ち、人々は安価な化学薬品の薬を買うようになり、このままでは薬草利用の技術や知識が失われそうだと、その記録を残すため今後もボルネオ島に通い続けると語られています。

中でも10年以上も見つけられずにいた「星の油」という大怪我に効く一番有名な油薬の原料の植物を発見したそうです。葉を潰して市販のココヤシ油に浸け、試したところあまり効果がなく、シャーマンに尋ねると、古法に従ってココヤシ油を手作りするよう助言をもらい、実行すると大変速やかに効果があり、ご自分の変形性膝関節炎の痛みが消えたそうです。その伝統的なココヤシ油とは、ココヤシの実が熟して、金曜日に落下したもので、へたの中央から発芽したもののみを使うのだそうです。

日本でも薬効の高い薬草があり、例えば、大豆やゴマを発芽させてから油を抽出し、ケガや解毒に効くゴボウの種を浸ければ、良い油薬が作れるとご紹介くださっています。
(参考:現代農業2017年11月号 (農文協/発行) 薬草ボルネオ島(その2)

yasou
自然賛歌

コブシのつぼみ

タンポポの花一番咲きと水仙の芽



オオイヌノフグリ・・・雌しべ2本がフグリに似た種に



ハコベの花・・・数日前まで雪の下だった
 



水鳥の羽根・・・このビオトープによく来ているらしい



ウマノアシガタ?・・・三つ葉に似ている、キンポウゲ科で有毒



モミジバフウの実




モミの木の種



モミジバフウの木の枝がすごいことになってる・・・この木だけ病気?
周りのモミジバフウは普通



大杉の根元





■ 参考文献

イー薬草・ドット・コム
「大地の薬箱 食べる薬草事典」 村上光太郎/著 農文協
「カラダ改善研究所 自然のチカラいただきます」中村臣市郎/監修 西日本新聞社



ライター

ニャンニャン母さんプロフィール

ニャンニャン母さん

プロフィール:1955年魚座生まれ、広島の県北 中山間地域在住、
体癖はおそらく2ー3種

20代の頃「複合汚染」有吉佐和子/著 を読んで、食の環境悪化を考えた時、野草を食べることを思いつき、食料としての野草研究を始める。
全くの素人ながら、健康住宅の設計事務所に入社し、健康住宅を学ぶ。
残された人生と限られた時間について気付かされ、仕事を辞め、自給自足を目指す。
平成22年頃、古民家を借り、Iターン。野草教室を開催。
「古民家カフェ・むす日」「山のくらしえん・わはは」「クリエイティブ・アロマ」等にて野草教室。

現在、野草好きになった87歳の母と、無関心な33歳の長男と猫3匹と暮らしています。

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