山本太郎氏の被災地支援に対する様々な提言 ~「圧縮することができるゴミ収集車の手配が必要」「社協の車両が災害で壊れてしまったなら国で補償を」「自衛隊のキッチンカーを希望する避難所に配置する」

竹下雅敏氏からの情報です。
 山本太郎氏の被災地支援の提言はとても具体的で、感心します。被災地で大問題なのは大量のゴミで、“回収の時点で圧縮することができるゴミ収集車の手配が必要だ”と言っています。また、災害が起こると社会福祉協議会がボランティアセンターを立ち上げるわけですが、その社協の車が濁流にのまれてしまってどうにもならない。ところが、こうした車両に対する国からの補償は無いそうです。こうした指摘は、驚きであるとともに盲点です。
 災害でその仕事量が膨大になり、加えて日常業務もあるということで、“圧倒的に人が足りない”のが現状のようです。同じ人が長期間応援に入れるような体制作りが必要だと言っています。
 また、自衛隊が所有するキッチンカーが大変な優れもので、現在稼働していない760台近くのキッチンカーを、希望する避難所に配置することを提案しています。
 こういう様々な提言を見ていると、山本太郎氏が、総理でなくてもせめて防災担当の大臣であったなら、どれほど現状が違っていたかと思います。
 後半は、今回の災害でも問題になった日本の脆弱なインフラについての議論です。公共事業は、10年間の間に21兆円も減っているそうです。これでは地方にお金が回りません。デフレ時には公共事業を増やし、公務員も増やす必要があります。というか、個人の可処分所得を増やす必要があるわけです。日銀が量的緩和を行っても、株価操作を行うだけでは意味がありません。海外に何十兆円もばらまくのなら、同じことを日本国内に行えば、いっぺんに不況を脱することができます。
 “バカなの? ”と思うのが普通だと思いますが、ごく一部の人間は、わざとやっていると思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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2018.07.17 内閣委員会「ケチるな、金出せ、ニューディール!」
引用元)
(前略)
○山本太郎君
自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、お聞きいたします。これだけの大災害が起こっておきながら、被災者が困り果てているときにカジノ法案などやっている場合かと申し上げまして、私にとって重要なメーンテーマに入りたいと思います。
(中略)
災害地域で必ず最初に出てくる問題、それがごみ問題です。(中略)… 資料の①、今回、私が訪れた被災地の集積所です。

資料①


かなり大きなサイズのものが持ち込まれているということが確認していただけると思います。(中略)… ここで大臣にお願いしたいのが、パッカー車なんですよ。パッカー車、いわゆるごみ収集車、これを是非全国的に手配していただけませんかと。これ、パッカー車により被災家財や瓦れきなどが回収の時点で圧縮することができるんですよね。かなりコンパクトになる。集積所の容量に余裕ができる。(中略)… 大臣に、是非、全国のパッカー車で余力があるもの、これ西日本の被災地域に集中できるようなお取り計らいをお願いしたいのですが、お願いできませんか。
 
○国務大臣(石井啓一君)
私、15日の日曜日に岡山の真備町(まびちょう)、倉敷市真備町を視察した際に、あそこはやっぱり一面(中略)… 排水した後も大変なごみの量でございます。(中略)… ごみ収集車につきましては環境省の所管かと存じますが、お申し越しの趣旨につきましては環境省にお伝えをしたいと思っております。
 
○山本太郎君
ありがとうございます。(中略)…  次に、災害が起こり、その後、ボランティアセンター立ち上がりますよね。ここを一手に取り仕切るのが社会福祉協議会、いわゆる社協ですよね。私が訪れたのは愛媛県西予市(せいよし)野村地区、突然のダムの放流により住民が亡くなり、町が水没してしまったと。ここの社協では、福祉車両を含む17、8台の車が濁流(だくりゅう)により浸水してしまった、流されてしまったものもあると。この車両に対して国からの補償されないんですって。確認したんです、政府にもね。そのような制度がありませんとお答えをいただいております。地域住民の社会福祉事業を支える社協、その足となる車両が災害で壊れてしまったなら国で補償できるような体制つくっていただきたいんですけれども、これも関係閣僚であったりとか総理にも直接お願いをしていただけませんか。大臣、お願いします。
 
○国務大臣(石井啓一君)
制度上可能かどうか詳しく承知しておりませんが、社協につきましては厚生労働省が担当かと存じますので、厚生労働省の方にお伝えをさせていただきたいと思います。
 
○山本太郎君
ありがとうございます。(中略)… この社会福祉協議会、社協、ふだんは、住民の福祉の向上、誰もが安心して暮らすことのできる地域福祉の実現を目指し、地域に密着して多種多様な活動をしています(中略)… しかし、一転、災害が起きた際、特に今回のような大規模災害発生時には、日頃の業務に加えて、災害ボランティアセンターや福祉避難所を開設、運営、支援活動を希望する個人や団体の受入れ調整、マッチング活動、災害時要援護者の避難支援や安否確認、福祉施設入所者の安全確保や仮設住宅生活者支援等、それらに伴い、地域の社会福祉関係者、行政機関、住民、NPO等被災地支援関係者との情報、課題の共有、相互支援、被害状況や地域の支援ニーズに応じた活動などなどを行わなければなりません。(中略)… これらの災害対応と並行してふだんの通常業務も行うには、圧倒的に人が足りないんですね。(中略)… お話を伺っていたら、災害発生から一週間、通常業務止まったままだと。当然です。手が回らないから通常業務回せない。(中略)… もちろん、周辺自治体からの社協から応援も入ります。ただ、3日ほどのローテーションで入れ替わってしまうので、人が入れ替わるたびに一からの引継ぎになってしまう、そこに労力を割くということもしなきゃならないと。(中略)… 被災地の各社協に対して、タスクフォース的にでも同じ人間を一か月スパンで数人入れるように、調整を関係閣僚とお願いしたいんですけれども、所管外ばかりのお話をして申し訳ございません、是非お力をお貸しいただきたいんです。
 
○国務大臣(石井啓一君)
私もこの三連休、それぞれ広島、岡山、愛媛、避難所も視察を、訪問してまいりましたけれども(中略)… 社協のみならず自治体の業務自体が、通常時に比べると、災害が起きますともう数倍に膨れ上がるということで(中略)… 支援は引き続きしっかりと行っていきたいと思っておりますが、社協の職員につきましては、これは自治体の職員の支援でカバーできる部分も相当あるかとは思いますけれども、厚生労働省にはやはり同様にお伝えをいたしたいと思っております。
 
○山本太郎君
ありがとうございます。(中略)… 自衛隊が所有するいわゆる「キッチンカー」の話なんですね。(中略)…  自走式、自分で走れるタイプと、車で引っ張るタイプ、牽引式(けんいんしき)の二種類あるんですけれども、牽引タイプは陸上自衛隊で約780台、空自で約30台、合計810台持っている。自走式の炊事車は10台ということですから、だから自衛隊全体で合計820台ぐらいのキッチンカーを所有しているという話になるんですけど、そのうち60台ほどは被災地に入って、今隊員の胃袋を満たすために稼働してくれているんだろうと思います。

このキッチンカー、むちゃくちゃ優れ物なんですね。牽引式の場合、約45分のうちに250人分、自走式の場合は約60分で150人分の炊事を行えるというすばらしい能力持っているんですよ。これ、現在は稼働していないと思われる残り760台近く、このキッチンカー、希望する避難所に配置することを御検討いただけませんかと。(中略)…
 
○国務大臣(石井啓一君)
部隊の運用の在り方は私は詳しく承知しておりませんので、今委員がおっしゃったことが果たして可能かどうかは承知をしておりません。ただ、お申し越しの点についてはお伝えをいたしたいと思います。
 

○山本太郎君
ありがとうございます。ここより少し深刻な話になります。(中略)… 今回、犠牲者を出した野村ダムの放流。これ、7月7日早朝5時頃、消防団の事務所に招集が掛かったと。水没可能性地域、それが示された地図を配られた。6時半に放流が始まる、それまでに地域住民を避難させるよう伝達を受けたと。消防団で各戸を回って避難を呼びかけたけれども、6時半と言っていたのが、6時20分頃にはもうどう見ても放流量が増え過ぎていると。(中略)… 大量に放流すれば今回のような事態になること、事前にハザードマップができている時点で分かっていたんだから、浸水が予測される地域には全額補償するつもりでダムの大量放流を行う覚悟を国が持ってくれなければ納得いかない、そうでなければ下流の者は死ねと言われているようだと、失望した表情でお話しくださいました。

放流被害を被った方々のみならず、今回の被災者の方への最大限の経済的支援、お願いしたいんです。3百万、5百万、それでどうなるんですかって。(中略)… もっと大胆に手厚く補償してくださいよ。財源についてどうするんだって話ですけど、だって量的金融緩和をやっているんでしょうって(中略)… 閣僚全員で、今しかないだろうって金出すときって、インフラ整備その他のものをけちった末の被害多く出ているじゃないかって、しっかり総理をみんなで説得していただきたいんですよ。
 (中略)
日本の脆弱なインフラの姿が今回も災害によってあらわになったということだと思うんですけれども、災害のときに必要な食料などの物資を運ぶ重要なライフラインである高速道路、道路が十分に整備されていないことが混乱の原因になってしまった。(中略)… 内閣府、2016年、国民経済計算、2011年基準、2008年SNAに基づいた場合、公的固定資本形成について、96年の金額と10年後の2006年の金額、その差額教えてください。短めにお願いします。
 
○政府参考人(長谷川秀司君)
お答え申し上げます。1996年の名目公的固定資本形成は48・2兆円、2006年の名目公的固定資本形成は27・0兆円となっております。また、1996年と2006年を比較いたしますと、名目公的固定資本形成は21・2兆円減少しているところでございます。
 
○山本太郎君
資料の⑪、ただいまのお答えが図になっています。

資料⑪


「公的固定資本形成」とは、政府が行う社会資本整備、公共事業による建設や土木の事業費になりますと。

つまり、公共事業費が10年の間に21兆円も減っている。阪神大震災翌年、96年から公的固定資本形成の費用が激減を始める。実に半減近くまで公共投資の費用を削減していた。これ以降の10年はほぼ横ばい、推移しています。
(中略)  
こう言うと、民主党が無駄といって削ったからだと、民主党に全ての責任をかぶせる小さな小さな政治家も散見されるんですけれども、民主党が政権にいた期間はたった3年ほどなんですよ。

影響は大きくない上に、公共事業費を削ったという意味では民主も自民も同じ。 ほとんどの期間を政権与党で過ごしてきた自民党による公共投資の削減が今日の災害に大きく響いているというのが大きな原因だと考えながら対策していただきたいと思うんです。

資料の⑫、97年から2016年の政府支出の伸び率グラフ、IMFのデータベースから。

資料⑫


ほとんど伸びていない。世界の主要国の中で堂々のどけち国家ナンバーワン。(中略)… この20年間の日本の名目政府支出の伸び率、世界最下位。(中略)… 本当に国土強靱化というんだったら、意味のあるインフラ設備管理にお金を投じる、それを絶対国が主体としてやっていくべきだと思うんですね。
(以下略)

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