注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
国内が最早カオス
本日クレムリンに出回っている【ロシア連邦】安全保障会議(SC)の何やら不穏な新報告書によると、歴史上初めて欧米の最も強大な国2つがその国境の内側における内政上の大混乱のせいで、国家非常事態宣言の準備を進めているそうです。
――ドナルド・トランプ大統領はアメリカに押し寄せてくる違法移民の侵略を阻止するために非常事態宣言の準備を、テリーザ・メイ首相はイギリスが欧州連合を離脱する準備を進める中で非常事態宣言をして戒厳令を敷く準備をしているのです。
――両国【の反応】は共にフランス政府が黄色いベスト抗議運動の中心的リーダーであるジェローム・ロドリゲスの命を狙うという衝撃的な【事態】を受けてすぐのことだったのですが、この暗殺の試みを生き延びた【ロドリゲス氏は】「一生障碍を負うことになった」と現在報じられています。
↓【閲覧注意】狙撃され、流血しているロドリゲス氏の画像があります。
United States & Britain Prepare For National Emergency Declarations In Wake Of Shocking French Death-Attack On Top Protest Leader https://t.co/rkzLDcQVR7 National-populist Yellow Vest protest leader Jerome Rodrigues (above) lies near death after being shot by French police sniper pic.twitter.com/hhvhKO5PAH
— Clemonce DuVall (@cleoworks1) 2019年1月28日
ポピュリストとグローバリストの闘争
当該報告書曰く、国家主義的ポピュリスト勢力が左派・社会主義者の独裁から自分たちの国を取り戻そうと闘争を繰り広げているため、欧米は2016年以来、常に混乱と騒動の渦中に曝されているのだそうです。
――まずはイギリスの国家主義的ポピュリストの人々が左派社会主義の欧州連合による専制的支配から自国を解放すべくブレクシットの決定票を勝ち取ると、次にはアメリカの国家主義的ポピュリスト勢力が【その波に】加わって彼らの新たな指導者トランプ大統領を権力の座へ見事に就けてみせました。
――そしてポーランドの国家主義的ポピュリストたちがすぐさまその後に続いて自国を取り戻し、ハンガリーの国家主義的ポピュリストたちも自国の支配を取り戻し、チェコ共和国の国家主義的ポピュリストたちも自国の支配を取り戻し、オーストリアの国家主義的ポピュリストたちも自国の支配を取り戻し、イタリアの支配まで国家主義的ポピュリストたちは取り戻しました。
――さらに【この動きは】ほんの数週間前には【ヨーロッパから】Uターンして大西洋を再び渡り、国家主義的ポピュリスト勢力がブラジルの支配を獲得しました。
【※英国ガーディアン紙の記事から:
この4つの潮流【※distrust(政治不信の煽動)・destruction(文化が破壊され生活が脅かされる恐怖)・deprivation(職や収入を奪われることへの不安)・dealignment(政党離れでの混乱)の4D】をつぶさに見てみれば、国家主義的ポピュリズムというものが決して一時的な【流行り廃り】ではないことがはっきりと分かる。そして我々がこの先何年も激動の時代を過ごすことになるだろうということも。
●【この記事を書いた】マシュー・グッドウィンは、『国家主義ポピュリズム:リベラル民主主義に対する叛乱』の共著者である。」
グローバリスト側の訴え
当該報告書が続けるには、フランスの著名な哲学者ベルナール=アンリ・レヴィに率いられ、グローバリストと足並みを揃えた左派社会主義のインテリ指導層が――その中には小説家のイアン・マキューアンや【サー・】サルマーン・ルシュディー、歴史学家のサー・サイモン・シャーマ、そしてノーベル【文学】賞受賞者のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチとヘルタ・ミュラーとオルハン・パムクとエルフリーデ・イェリネクが含まれていますが――「ヨーロッパのための闘争――さもなくば壊し屋どもによって破壊されてしまうであろう」という題の声明文でもって国家主義的ポピュリスト勢力を委縮させるような攻撃を開始し、「【ヨーロッパ】大陸は1930年代以来、最大の問題に直面しているのだ、国家主義者による猛攻撃に抵抗するよう我々はヨーロッパの愛国者に強く求める次第である」と警告し、【以下の如く】述べました:
ありとあらゆる方面から、批判と中傷と大義の放棄が【寄せられている】。
「『ヨーロッパを作り上げよう』だなんてもう御免だ!」というのが掛け声だ。そうではなくて我々の“国の魂”と再び繋がろうではないか! 我々の“失われたアイデンティティー”を再発見しようではないか! と。
これが大陸を席捲するポピュリスト勢力に共有されるアジェンダだ。“魂”だの“アイデンティティー”だのといった曖昧模糊としたものは、たいがいは民衆煽動家連中の頭の中にしか存在していないというのに、気にも留めやしない。
恨みつらみに酔いしれ、スポットライトを浴びる機会を得ることに無我夢中の偽預言者ども【。彼ら】によって、ヨーロッパは攻撃されている。
前世紀に二度も自ら命を絶とうとしていたヨーロッパを救ってくれた、偉大な二箇国から見捨てられてしまった;1つは海峡の向こうの国[イギリス]で、もう1つは大西洋の向こうの国[アメリカ]だ。
クレムリンの住人による日増しに厚かましくなる介入に対し、この大陸は脆弱である。ヨーロッパという理念が我々の目の前で瓦解していく。
ヨーロッパ議会選挙が5月に行われるという中で、これは有害な風潮だ。
何かが変わらない限り;高まり、膨れ上がり、執拗なこの潮流を押し戻す何かが現れない限り;新たな抵抗の精神が擡頭しない限り、選挙での諸々の公約は我々が知る限り最も悲劇的なものとなるだろう。
【そして選挙は】壊し屋連中へ勝利をもたらすだろう。
エラスムスやダンテ、ゲーテ、コメニウスの遺せしものを依然として信じている者に【もたらされるの】は、不名誉な敗北のみ。
理性や文化を侮蔑する政治が凱歌を上げる。外国人嫌悪と反ユダヤ主義が急増する。
最悪【の事態】が訪れてしまうのだ。
Yes, because Poland didn’t give into socialism ideology. It took more then 10 years of fighting with oppression. It was not fun! Socialism and communism doesn’t work. Socialism is a ideology, it doesn’t reflect what’s real... It only reflects what’s imagined. KAG 2020🇺🇸 pic.twitter.com/X18S4bMKJ1
— ⭐️🇺🇸Renata🇺🇸⭐️ (@RL9631) 2019年1月24日
マーガレット・サッチャー:「社会主義の問題点は、他の者たちの金(かね)をいつかは使い果たしてしまうということ」
左派社会主義思想の背景
左派社会主義のエリート知的指導者たちによって欧米世界に押し付けられたこの声明文は、あたかも自国を取り戻そうとする国家主義的ポピュリスト勢力に加担しているかの如く、滑稽かつヒステリックに「クレムリンの住人による日増しに厚かましくなる介入」とやらを警告している、と当該報告書は詳述しています。
――名前こそ挙げてはいないものの、【「クレムリンの住人」とは】プーチン大統領のことなのでしょうが、米国の大手プロパガンダ・メディアときたら、またもや“陰謀論錯乱症”とやらの発作に見舞われ、アメリカの左派社会主義の権化たるバーニー・サンダース米国上院議員までもがロシアの工作員だと高らかに宣言したのですから、【さぞかしプーチン大統領】もびっくり仰天していることでしょう。
――【ロシア介入説に】対しては、「もしプーチンがホワイトハウスにお抱えの人間を送り込める【ほど好き勝手出来る】というなら、なんで【国内の】うちの街にはゴミを【まともに】収集してくれる市長を置けもしやしないのさ?」と質問をしたロシア市民の反応が最も如実に物語っています。
さらに卑劣なのは、この左派社会主義の声明文が「厚顔無恥」にも、国家主義的ポピュリスト勢力が権力を握ったら「外国人嫌悪と反ユダヤ主義が急増する」と警告している点です。
――ヨーロッパでこれが起こっている唯一の国家といえば彼ら左派社会主義者連中が諸手を挙げて支持するネオナチ支配のウクライナという国なのですから、【この文言が】嘘なのは分かっている筈です。
――【これでは】人々がそんな国々を支持するようなエリート指導層にうんざりして、「ヨーロッパという理念が我々の目の前で瓦解していく」のも無理ありません。
このエリート左派社会主義指導者連中が曝している本性については、「エラスムスやダンテ、ゲーテ、コメニウスの遺せしもの」を褒めそやしていることから窺い知れる、と当該報告書は言っています。
――エラスムスとは16世紀のカトリック司祭で、キリスト教の思想信条が事実上欠落した時代へと何世紀も追いやった「中庸」なる哲学的指針を擁護した【人物です】。
――ダンテは14世紀のイタリア詩人および作家で、恐怖に基づいた宗教的プロパガンダが如何にして大衆を支配可能かを示した【人物でした】。
――ゲーテは18世紀から19世紀のドイツ人作家で、個人主義と自然礼讃をそれ以外の全て【※つまりキリスト教】より優先するロマン主義を焚きつけた【人物でした】。
――コメニウスは16世紀から17世紀のチェコの哲学者で、現在では「近代教育学の父」として知られていますが、数え切れないほど大勢の子ともを宗教学校【つまり教会】から引き剥がし、国家の支配下に置きました。
――ということで、彼ら左派社会主義エリートというのは普遍的なキリスト教の観念の存在など一つも信じていやしないのですから、国家主義的【※おそらく打ち間違いで「左派」】社会主義者というものは「“魂”だの“アイデンティティー”だのといった曖昧模糊としたもの」しか持ち合わせていない、と主張したのにも頷けるというものです。
Socialism is a philosophy of failure...#FeelTheBern#UniteBlue#Election2016#tcot pic.twitter.com/6bPDYW7frS
— Linda Suhler, PhD (@LindaSuhler) 2015年9月14日
ウィンストン・チャーチル:「社会主義とは成功しなかった者の哲学で、無知を信条とし、妬みを福音とし、惨めさを等しく分かち合うのがその生来の美徳なのだ。」
ポピュリスト側の訴え
左派社会主義による神仏不在の独裁に対して戦う世界の国家主義的ポピュリスト勢力の側に立つのが、トランプ大統領だと当該報告書はまとめています。
――彼自身も2017年に、キリスト教と欧米の倫理観の両方を擁護する声明文を発しました。
――ヨーロッパの何千万もの人々に向けて語られた心を揺さぶる文言は、アメリカ合衆国では殆ど報道されなかったものの、揺るぎなき真実と資質を問う質問を明白に示しています。
私たちは法の支配を大切にし、言論の自由と表現の自由を守護します。
私たちは女性を社会の要(かなめ)とし、私たちの成功を支えてくれる存在とし、政府や役人ではなく信仰と家族を人生の中心に据えます。
そして全てを【忌憚なく】話し合います。全てに【屈することなく】立ち向かいます。己をより良く知るために、全てを知ろうと希求します。【これが私たち人民の築き上げた文明です。】
ですが大西洋の両岸で、人々はまたもや危機に直面しています。私たちが確実にコントロールできる範囲内の【危機ではありますが】。
この危機は一部の者の目には映っていませんが、【ナチスと戦った】ポーランドの皆さんはよくご存じでしょう:人々の活力と富を枯渇させていく社会主義政権の官僚組織が着実に忍び寄っています。
欧米が偉大な存在になったのは、【お役所の】事務手続きや規制によってではなく、人々が夢を追い求め、そのさだめを成し遂げることを許されていたからです。
つまりこの時代に私たちが根本的に問われているのは、欧米に果たして生き残ろうとする意志があるのか、如何なる犠牲を払ってでも自分たちの価値観を守り抜く自信があるのか、ということです。
私たちは国境を守ろうと【思うくらいに】、きちんと市民を尊重していますか?
私たちの文明を蝕み、破壊しようとする者たちを前にして、それを保持してみせようという強い願望と勇気がありますか?
We are Socialists, we are enemies of capitalist economic system....
— Ron Getty (@MorteAiTiranni) 2015年1月22日
Who could've said that? Obama? Hitler? Both? 😘 😘 pic.twitter.com/nV8rPqbRLP
1927年5月1日、アドルフ・ヒトラー:「我々は社会主義者である。我々は資本主義経済システムの敵である。不公正な給料【を与え】、人間を責任感や言動ではなく、富や所有物で見苦しくも評価しようとする、経済的弱者への搾取。我々全員はいかなる状況になろうとも、このシステムを破壊せんと決意を固めているのだ。」
翻訳:Yutika
註:原文中、赤字で強調された部分は濃い青字に色を変更しております(※水色部分は引用部分です)。よって翻訳文で赤字になっているのは、シャンティ・フーラ独自の「10分でわかる」要約サービスです。
【 】内は訳者の追記部分です。また訳文は日本語での読み易さを優先して、見出しを加えており、原文とは異なる形で文や段落を分割することもあります。
ちなみに「訣」という漢字は「わけ」とも読みます。詳しくはこちらのコメント欄後半の解説をご参照ください。
リベラル社会主義に対する嫌悪感が、どうして欧米保守派層(※本文の「国家主義的ポピュリスト」、つまり自国をグローバリズムよりも優先する民衆主義者)に根強くあるのか、その一端を窺わせる記事がありましたので訳します。ようは欧米文明の根幹となったキリスト教を揺るがす一大事なのですよ。
信心深い人にとってこれは、全人格の、そしてこの世界そのものの全否定です。それこそ“自らの信仰が試されている”危機的状況なので、こりゃー極秘宇宙計画の全容が明らかになった日にはその精神状態たるや……それこそこちらとしては祈るしかないという。そういう事態には左派リベラルの方が上手く対処できると思うので、もうね、ホントに一長一短です。
価値観の話を持ち出すと、どこまで行っても並行線。妥協があり得ないので、どちらか一方が滅ぶまで闘争を繰り広げるしかありません。多分、それが日本から見ると「なんであそこまで?」と首を傾げたくなる欧米の切迫した状況なんだと思います。
そして、こういうアイデンティティーの哲学的な根源を混沌としたまま放って置くから、いつまで経っても日本人には危機感がない(笑)。これまた一長一短ですねぇ。