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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 外伝49 ― ジョン・ロックフェラーの台頭
ジェイコブ・シフの渡米 〜ドルは金本位制に
リンカーンが暗殺され南北戦争が終結した1865年、ロスチャイルドの大番頭で米国方面のマネージャーとなるジェイコブ・シフが渡米します。
ジェイコブ・シフ
ジェイコブ・シフは代々ユダヤ教ラビの家系で、シフの家族とマイヤー・アムシェル・ロスチャイルド家族とは同じ家で同居していた関係です。シフは渡米時18歳でした。その渡米目的を『ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表』p91に次のように記しています。
「①中央銀行の設立によって、アメリカの貨幣制度の支配権を握る。
②相応の代価を支払うことによって「イルミナティ」の手先として働いてくれるような格好の人物を見つけ、彼らを合衆国政府や連邦議会、最高裁判所および政府関係機関の高官に就かせる。
③白人対黒人を中心に、マイノリティ・グループとの対立を国中で引き起こす。
④特にキリスト教をターゲットにして、合衆国の宗教を破壊する運動を引き起こす。」
1863年の「国立銀行法」制定から、ロスチャイルドは再びアメリカの通貨の完全支配と管理、つまりドルの金本位制に向けた工作を本格化させます。ターゲットはグリーンバックスと市場に流通していた大量の銀貨の廃止です。
1866年の「通貨緊縮法」の主目的はグリーンバックスの回収でした。そして…、『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ』p86は次のように明かしています。
「1872年冬、国際銀行家はアーネスト・サイードに大量の資金を持たせアメリカに派遣した。サイードはその資金を賄賂に使い、自ら起草した「1873年の悪法」と呼ばれる「貨幣鋳造法」を成立させた。この法案は、銀貨を流通市場から排除し、金貨を唯一の流通貨幣にするものであり、すでに陥っていた貨幣の流通不足にさらに追い打ちをかけたことにまちがいない。
後にサイードは「1872年の冬にアメリカに渡った。そしてイングランド銀行の利益を代表して銀貨の廃止法を成立させ、金貨を唯一無二の金属貨幣にしたのだ」と得意げに語った。」
後にサイードは「1872年の冬にアメリカに渡った。そしてイングランド銀行の利益を代表して銀貨の廃止法を成立させ、金貨を唯一無二の金属貨幣にしたのだ」と得意げに語った。」
外伝14で見たように大量に採掘される銀による銀貨の流通はコントロールは難しく、「金だけならばその総量は把握できます。市場における金全体の総量とその流れを把握コントロールし金の価格を決定できたならば、その金に基づいて信用創造される紙幣の総量も価値も完全に支配統制出来」るわけです。
こうやってイングランド銀行を手中にしたロスチャイルド家は、英国そして欧州で金本位制を確立し、アメリカの銀貨も廃止させ、ドルの金本位制を確立させていったのです。
Wikimedia Commons [Public Domain]
ロックフェラーの登場 〜競争相手は潰せ
リンカーンが大統領に就任した1861年に南北戦争は開始され、リンカーンが暗殺された1865年に南北戦争は終結しています。南北戦争は大統領リンカーンと共にあったのですが、60万人以上の犠牲者を出した南北戦争自体、そして「国立銀行法」など南北戦争にまつわる様々な出来事は、その後のアメリカの命運を決定づけるような多大な影響をもたらしました。
この頃ある重要人物が台頭してきます。ジョン・ロックフェラーです。その人物像と台頭を『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ』の「石油王 ロックフェラー」から紹介します。
ジョン・ロックフェラー
Wikimedia Commons [Public Domain]
「ジョン・ロックフェラーは、「もっとも冷酷無比な人間」といわれ、アメリカ史上、もっとも話題に上がる人物の一人である。ロックフェラーの石油人生は南北戦争(1861年〜65年)時から始まった。
1870年に彼がスタンダード・オイル社を設立したころまでは、ごく普通の事業主であったが、1870年にクリーブランドのナショナル・シティバンクから資金を借りたころ、突然、競争心に目覚め、超人的な発想力を発揮しだした。
彼は石油の精製業が有望だと考えたが、石油の精製は短期間で収益を得られるものの、いずれは過当競争に陥り、共倒れ状態になるとも予想していた。そこで彼の得た結論は、競争相手を消滅させることであった。そして、実際そのためには手段を選ばなかった。まず、ロックフェラーが支配下においている世間には知られていない会社を使って、競争相手にわずかな現金を積み、買収話をもちかけさせた。
それを拒否された場合は、相手が音を上げるか破産するまで、熾烈な消耗戦で価格競争を仕掛け、相手をたたきつぶそうとする。それでもなお意のままにならない場合は、奥の手、つまり暴力を使い、競争相手の従業員を殴ったり、はたまた工場を燃やしたりした。そのため、目をつけられたら最後、生き残る会社はほとんどなかった。
この横暴、非道なやり方は同業者の怒りを買ったがあるニューヨークの銀行家の興味を引いていた。独占をこよなく愛するその銀行家は、独占を実現しようとするロックフェラーの実行力を高く評価していたのだ。(中略)...アメリカの金融界には、すでにモルガン銀行とクーン・ローブ商会を配していた。しかし産業界にはまだ適当な代理人を見つけていなかった。ロックフェラーの行動はロスチャイルド財閥の目を引いたのだ。」
1870年に彼がスタンダード・オイル社を設立したころまでは、ごく普通の事業主であったが、1870年にクリーブランドのナショナル・シティバンクから資金を借りたころ、突然、競争心に目覚め、超人的な発想力を発揮しだした。
彼は石油の精製業が有望だと考えたが、石油の精製は短期間で収益を得られるものの、いずれは過当競争に陥り、共倒れ状態になるとも予想していた。そこで彼の得た結論は、競争相手を消滅させることであった。そして、実際そのためには手段を選ばなかった。まず、ロックフェラーが支配下においている世間には知られていない会社を使って、競争相手にわずかな現金を積み、買収話をもちかけさせた。
それを拒否された場合は、相手が音を上げるか破産するまで、熾烈な消耗戦で価格競争を仕掛け、相手をたたきつぶそうとする。それでもなお意のままにならない場合は、奥の手、つまり暴力を使い、競争相手の従業員を殴ったり、はたまた工場を燃やしたりした。そのため、目をつけられたら最後、生き残る会社はほとんどなかった。
この横暴、非道なやり方は同業者の怒りを買ったがあるニューヨークの銀行家の興味を引いていた。独占をこよなく愛するその銀行家は、独占を実現しようとするロックフェラーの実行力を高く評価していたのだ。(中略)...アメリカの金融界には、すでにモルガン銀行とクーン・ローブ商会を配していた。しかし産業界にはまだ適当な代理人を見つけていなかった。ロックフェラーの行動はロスチャイルド財閥の目を引いたのだ。」
編集者註:ロックフェラーが経営するスタンダード・オイルの独占を描いた1904年の風刺漫画。冷酷な蛸が市場を襲い、恐怖を振りまいている。
Wikimedia Commons [Public Domain]
シフとロックフェラーの接触 〜バビロンの大淫婦国家へ
『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ』で指摘しているように、ロスチャイルドはアメリカを、そして世界を支配するために、産業界における代理人としてジョン・ロックフェラーに白羽の矢を立てたのです。そしてロックフェラーの石油会社を超メジャー企業とすべく教育係を派遣します。それがクーン・ローブ商会の代表となるジェイコブ・シフです。同書では次のように続けています。
「1875年、ロスチャイルド財閥は合衆国での最重要戦略パートナー、クーン・ローブ商会のジェイコブ・シフをクリーブランドに派遣し、ロックフェラーの拡張計画を指導した。シフはロックフェラーが想像もしなかった前代未聞の支援策を携えてきた。
当時、ロスチャイルド財閥はモルガン銀行とクーン・ローブ商会を通じて合衆国鉄道の95%を傘下に収めていたため、シフはサウス・インプルーブメント社というダミー会社を使い、非常に低価格でスタンダード・オイル社の輸送を請け負った。この割引輸送費のために、対抗して事業を継続できる精油会社はほとんどいなくなり、アメリカの石油業を独占したロックフェラーは、名実ともに「石油王」となった。」
当時、ロスチャイルド財閥はモルガン銀行とクーン・ローブ商会を通じて合衆国鉄道の95%を傘下に収めていたため、シフはサウス・インプルーブメント社というダミー会社を使い、非常に低価格でスタンダード・オイル社の輸送を請け負った。この割引輸送費のために、対抗して事業を継続できる精油会社はほとんどいなくなり、アメリカの石油業を独占したロックフェラーは、名実ともに「石油王」となった。」
産業界の王ロックフェラー
(1901年のPuck誌に掲載された風刺漫画)
(1901年のPuck誌に掲載された風刺漫画)
Wikimedia Commons [Public Domain]
この頃アメリカ独立宣言の1776年から約100年後、フランスのフリーメーソンからアメリカのフリーメーソンに「自由の女神像」を寄贈しようとの話が持ち上がり、自由の女神像は1886年に完成します。
アメリカの象徴となった自由の女神像はハルマゲドン計画の視点からは「バビロンの大淫婦」です。アメリカを「バビロンの大淫婦」国家に変質させる決定的瞬間が1913年の中央銀行FRB設立に他なりません。
渡米したロスチャイルドの大番頭にして大策略家のジェイコブ・シフ、ロスチャイルドの産業界の代理人に選定され「石油王」となっていくジョン・ロックフェラー、二人はまさにその計画実現への重要な役どころとなったのです。
シフとロックフェラーの接触後間もなく、本編の第3話で見たように、ロシアではアレクサンダー2世が暗殺され、ポグロムの嵐が吹き荒れ、それによってニューヨーク中心に大量のロシアからのハザール・ユダヤ人が移住してきます。
アメリカを「バビロンの大淫婦」国家に変質させる準備は整いつつあったのです。
Migrant caravan arriving in New York, 1906.
— janegray (@ms_sharims) 2018年10月31日
All four of my immigrant Jewish grandparents, fleeing Russian oppression, arrived here as migrants on ships like this one around this same time. pic.twitter.com/40GEvTJcTe
編集者註:1906年、ニューヨークに到着した移民団の様子
たしかにロックフェラーとロスチャイルドがライバル関係にあった時期もあったでしょう。第1次、第2次世界大戦を通して、地上世界の統一王の王座が見えてきた時、その座をめぐる覇権争いをしたと見られます。その結果としては、リーマンショック以降ロックフェラーは没落していきました。
覇権争いをしたと見られる両者ですが、しかし両者の関係がスタート時はライバル関係などではありません。
ロックフェラー家を一代で「石油王」として勃興させたのがジョン・ロックフェラーで、1839年生まれの彼はユグノーとして移民してきた家系にあり、決して裕福な生まれではなかったのです。その彼が南北戦争時に石油精製の事業に取り組むようになります。彼はやがて競争相手を徹底的に潰してのし上がっていきます。
このジョン・ロックフェラーに目をつけたのがロスチャイルドだったのです。ロスチャイルドは自らの産業界における代理人としてロックフェラーを支援教育します。
ロックフェラーのスタンダード・オイル社は超メジャー企業となりますが、その支援教育の係を担ったのがジェイコブ・シフだったのです。
このあたりのことを『ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ』が「石油王 ロックフェラー」の題で要領よくわかりやすくまとめていますので、今回はこの部分を主に紹介していきます。