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ユダヤ問題のポイント(近・現代編) ― 外伝14 ― イングランド銀行の役割
イングランド銀行の本当の所有者は? ~「黒い貴族」の英国攻撃の総仕上げ
1694年、ウィリアム3世とメアリ2世の勅許を受けてスタートしたイングランド銀行、その代表者名はウィリアム・パターソンでしたが、彼はお飾りで、実質の銀行の所有者は秘密にされてきました。
前回の最後に見たように、設立時にウィリアム3世とメアリ2世、マールバラ公爵、シュローズベリー卿など英国中枢の人間が、イングランド銀行の大株主になっていたことは明らかにされています。しかしこれらの株主は、イングランド銀行から「借りた側」であって、「貸し付けた側」が誰か?が不明だったのです。
『ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表』は、「イングランド銀行を動かしていたユダヤ人たちの名前は決して公にはされなかった」と記す通りで、他の著書でも、イングランド銀行設立時の所有者の名前は見当たらないのです。
ところが一方、ウィキペディアでイングランド銀行を見ると「・・・多くのユグノーが毎年の選挙で理事となった。1697年の同行第4次利払いリストによると、ウーブロン家をはじめとする移住の早かったユグノーは同行の15%を支配した。後発組にはテオドール・ヤンセンやトーマス・パピヨンなどがおり、彼らが先行組から同行の株式を譲りうけ、しかも英国債の約1割を所有した。」とあります。
ユグノーがイングランド銀行設立時の所有支配者だとしているのです。
What animals can you find at the Bank of England? (no jokes please) @bankofengland http://t.co/dWVkwPsLAA pic.twitter.com/rnAzcbCrvj
— Londonist (@Londonist) 2015年3月23日
それではユグノーとは何を指すのか? ユグノーはフランス語で、英国では「ピューリタン、清教徒」と呼称されたカルヴァン派のことです。
どうやらこれで明瞭になったようです。カルヴァン派と切っても切れぬ関係にあったのがオレンジ家でした。従って『ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表』で「オランダの王子がユダヤ金融の中心地アムステルダムから大勢のユダヤ人を引き連れてやって来た」「1694年から、同行を通じてユダヤ人がイギリス王室をコントロールするようになったことは明白である」と記された「ユダヤ人」とは、カルヴァン派の自称ユダヤ人金融勢力だったわけです。
もちろん彼らは清教徒革命にて、オリバー・クロムウェルを買収したマナセベン・イズラエル、名誉革命ではマールバラ公爵等を買収したメディナ家とマシャド家といったアムステルダムの銀行家に連なる仲間です。カルヴァン派はイギリスに波状攻撃を仕掛けた「黒い貴族」の工作員であり先兵なのです。
Wikimedia Commons [Public Domain]
pixabay [CC0]
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1600年、特権会社としてスタートしたイギリス東インド会社、この東インド会社の絡みで起こされた英蘭戦争、そして清教徒革命と名誉革命、これらは全てが一連の計画に基づいた「黒い貴族」による英国攻撃であり、その総仕上げがイングランド銀行設立だったわけです。
これで「黒い貴族」が実質的に所有支配するイングランド銀行の支配コントロールの下に英国政府が組み込まれたのです。
通貨発行権を握った「黒い貴族」 ~英国を戦争で世界覇権国家へ
中央銀行イングランド銀行は具体的にはどのように「業務」を開始したのか? 『闇の世界史』で次の記述があります。
「英国の王位に就いたオランダ将軍(ウィリアム3世)は、英国大蔵省を説得して125万ポンドの金を、自らを英国に送り込んだユダヤ人銀行家から借金させた。・・・正体を秘密に保たれたままの金貸し業者のあいだで行われたとされる。国際金貸し業者は自らが条件を設定できるなら、英国大蔵省に125万ポンドまで融通してもよいとした。この提案は承認された。以下に彼らが設定した条件の一部を記しておく―
1,貸付を行った人物群の名は伏せられること。そして彼らに英国銀行設立の特許状が与えられること。
2,英国銀行理事に金本位制を確立する法的権限が与えられること。それによって―
3,金庫室に保管されている金(ゴールド)1ポンド等価で10ポンド相当まで貸付可能とすること。
4,国家負債の清算および国民からの直接税によって、元金と利息としてしかるべき金額の支払いの確保が認められること。」
示されている4つの条件の中で最も注目すべきは、「2,英国銀行理事に金本位制を確立する法的権限が与えられる」との下りです。
この意味は「イングランド銀行の理事が、英国の通貨の供給に対する方法(金本位制)とその権限を法的に正式に獲得する」と読めるでしょう。
つまり、その正体の秘密を保ったイングランド銀行の支配者である「黒い貴族」たちが、英国の通貨発行権(信用創造権)を握ったのです。
イングランド銀行の業務は3,に示される「金本位預金準備率10%で紙幣を信用創造して貸し付ける」ということで、これはゴールドスミスの業務と同じです。違うのは4,で示される「貸し付ける相手が国家でその元本と利息を国民の税金から得るのが確約される」点です。
「中央銀行」の認可を得たイングランド銀行の最初の業務は、英国政府に対する年利8%での120万か125万ポンドの貸付でした。しかし、その国家相手の貸付額は急増するのです。
1692年から現在までのイギリスの国家債務(対GDP比)
Author:Chris55 [CC BY-SA]
当時の英国は対フランス戦争や植民地争奪戦、新大陸アメリカを巡る戦争など絶え間ない戦争の連続でした。その巨額の戦費がイングランド銀行によって調達されたのです。
英国は戦費調達の甲斐があってのことでしょう、アメリカ独立戦争以外は勝利を収め、世界覇権国家となったのです。イングランド銀行の存在が英国の戦争での勝利をもたらしたとも言えますが、逆に言えばイングランド銀行が英国を戦争に向かわせたのです。
問題はその巨額な戦費です。そのつけは、全て英国民および英国植民地の民衆に負わされたのです。国家負債はインドで「餓死者の白骨で国土が覆われた」とのインド総督のイギリス本国に送った報告結果へと繋がったのです。
中央銀行制度の完成 ~イングランド銀行を奪取したロスチャイルド家
イングランド銀行設立条件にあったように、イングランド銀行の実質所有者「黒い貴族」の意志で、英国の通貨供給は金本位制が採択され、その発行権は握られました。
ただし「世界史の窓」の記述によると、イングランド銀行の銀行券が法定紙幣と認められたのが1833年で、金本位を確立できたのが、1844年に発券銀行としての独占権が与えられてからとなっています。この記述通りならば、19世紀前半までは、中央銀行イングランド銀行による英国支配は完全ではなかったことになりそうです。
それでは逆に、イングランド銀行による英国支配が完成した19世紀前半に何があったのか? イングランド銀行を中心に築かれた金融センター「国家内国家」であるロンドンのシティ、1810年にそのシティを支配する大ボスに幸運にも?昇格していたのがロスチャイルド家2代目当主となるネイサン・マイヤー・ロスチャイルドでした。そのネイサンは、1815年についにイングランド銀行を掌握し、その支配者へと君臨したのでした。
セリフは『ユダヤ・ロスチャイルド世界冷酷支配年表』より
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1815年は、ナポレオンとウェリントン将軍率いる英国合同軍によるワーテルローの戦いがありました。詳細は省きますが、この戦争を利用して、ネイサンは英国中央銀行イングランド銀行をその手中に収めたのです。つまり19世紀前半に国家を支配する中央銀行制度を完成させたのは、ロスチャイルド家だったのです。
所謂”ネイサンの逆売り”(ワーテルローの戦いでネイサン・ロスチャイルドが英国債売り→他の投資家が英国敗戦と思い込み売りまくり→ネイサン、紙クズ同然の英国債を買いまくり→実は勝ってました→英国勝利情報と共に英国債暴騰→ロスチャの英国銀行支配始まり)みたいなこと今後も起きるのだろうかw
— bard@nem COFFEE/モナコーヒー (@design_bard) 2018年4月8日
なぜロスチャイルド家が金本位制を確立させたのか? 実は19世紀の欧州全体では、通貨の裏打ちとなる金属には金だけでなく銀も選ばれていました。金銀複本位制です。
しかしこれだと通貨全体の統制を取るのが非常に困難なのです。銀の発掘量は多く、それが市場に大量に供給されます。その銀に基づいてお金が生みだされると、そのお金は大量の供給量となり、供給量全体を把握し統制するのが難しいわけです。
対して金だけならばその総量は把握できます。市場における金全体の総量とその流れを把握コントロールし、金の価格を決定できたならば、その金に基づいて信用創造される紙幣の総量も価値も完全に支配統制出来ます。
こうやってお金の供給量を自在にできるならば、当然ながらインフレ、デフレも自在に創出できます。お金で世界をコントロールできるのです。
事実、シティの一角でロスチャイルド家の面々を中心に、日々金価格が決定され続けてきたのです。大英帝国の表看板のもとに「黒い貴族」が本来所有する「東インド会社」が世界を植民地支配し、英国が世界の覇権国家となる過程の中で、英国を支配する中央銀行イングランド銀行が設立されました。そのイングランド銀行を奪取して支配者となったのがロスチャイルド家なのです。
ロスチャイルド家によって、銀行の貸し付けによる借金で世界が奴隷化していく体制が構築されていったのでした。
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この法則の下にあるのは一国の政府であっても同様で、お金の供給が止まれば政府機能もストップします。つまりお金の源流を押さえ供給をコントロールできる存在があれば、その存在は一国の政府をもそのコントロール下に置けるわけです。
「我に一国の通貨発行権と管理権を与えよ。そうすれば誰が法律を作ろうとも関係ない。」との言葉通りです。
国家に貸し付けることで通貨を発行し、国家をコントロール下に置く、これが中央銀行制度です。国家の通貨発行権・管理権は、政府ではなく中央銀行が有しているのです。国民民衆は政府の統治下にあります。
ところが、その政府が中央銀行の統治下にあるのです。これは中央銀行が世界を支配する仕組みとなります。この中央銀行イングランド銀行を奪取して、中央銀行制度を完成させたのがロスチャイルド家だったのです。