注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
映像で暴行を受けているデニズさん(セキュリティーのため名字は非公開)は、少数民族クルド人への迫害が続くトルコから2007年に来日した、難民認定申請者。
デニズさんは、2011年に日本人女性と結婚したものの、法務省・入管は在留資格を与えず、2016年に東日本入国管理センター(茨城県牛久市)にデニズさんは収容され、収容期間は3年以上にも及んでいる。長引く収容や妻と一緒にいられない苦悩、入管職員による虐待などから、収容中に幾度も自殺未遂。現在、デニズさんは入管職員に暴行を受けたとして、国を相手に損害賠償の訴訟を行っている。今回の映像は、証拠として開示を求め、入管側が東京地裁に提出されたものだ。
映像には5、6人の入管職員達らに、ヘッドロックのようなかたちで締め上げられたり、喉元を指で突き上げられたり、腕を捻り上げられるなどされたデニズさんが「痛い」「腕壊れる」「殺さないで」と絶叫しているところが、約20分にわたり映っている(上記動画は筆者が数分程度に編集したもの)。
(以下略)
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これは3年前に当時の法務省入国管理局長から全国の入管あてに出された通知です。「安全・安心な社会の実現のための取組について」と題され、東京オリンピック・パラリンピックまでに不法滞在者や、本国送還を拒んでいる人を日本の社会に不安を与える外国人だとして、大幅に削減するよう求めています。治安対策のために強制送還を積極的に進め、仮放免も容易に認めない方針がうかがえます。
法務省は、オリンピック・パラリンピックは長期収容者の増加とは関係がないとしていますが、この数年、収容される人の数が増える一方で仮放免される人が大幅に減っていることは事実です。帰るに帰れない様々な事情を抱えた人たちの収容が長期化していますが、こうした人たちは皆社会の脅威なのでしょうか。
弁護団や市民団体は、収容の長期化は「人権侵害だ」と指摘しています。本来は送還までの一時的な措置であるはずの収容が事実上無期限となり、中には5年以上も拘束されている人がいること、家族と引き離され刑務所のような場所に閉じ込められていること、さらに一人の人間の処遇を裁判所ではなく入管の職員が決めてしまうことなど、問題が多いと言います。
(以下略)
今夜の #NEWS23 、とても丁寧な取材・構成で好感持ちました。ただ、放送された映像は、実際の映像の一部にすぎません。「制圧」は20分あまり続きました。こちらで、元の映像を数分に編集したものを公開しましたが、かなりのインパクトです。 #難民 #入管
— 志葉玲 (@reishiva) 2019年12月23日
https://t.co/UCNlSJgYSV
入管の集団リンチはデニズさんが初めてではありません。何年も前から、入管収容施設ができた頃から、今に至るまで日常的に行われてきたし、今日も行われているかもしれない。法務省、入管庁に声をあげてください。「いい加減にしろ!!」と。 pic.twitter.com/7B4p6QoYrr
— 織田 朝日 (@freeasahi) 2019年12月20日
NEWS23。入管での長期収容増加の理由。児玉晃一弁護士は「オリンピック……をだしにオーバーステイの人を減らそうとしている」と指摘。2016年に入管当局が出した内部通達には、東京五輪までに、「送還を忌避する外国人など、我が国社会に不安を与える外国人を大幅に縮減することは喫緊の課題」とある。 pic.twitter.com/OgKwF3Nxn1
— YAF (@yagainstfascism) 2019年12月23日
NEWS23。こうした入管の強硬姿勢について児玉晃一氏は、「長期収容して家族をばらばらにし、そういう状況を作って、本人たちを苦しめて『自分の足で帰る』と言わせるために収容を乱用」と批判。デニズ氏の場合もですが、仮放免後すぐの理由不明の再収容とか、苦しめるためだけの嫌がらせでしょうねー pic.twitter.com/BJ1r1B9mhj
— YAF (@yagainstfascism) 2019年12月23日
NEWS23 が報道していなければ、事実がないも同じ。しかしそれは今始まった事でもない。何の問題に関してもそういうこと。どこかが報道しても他の報道機関が結託して事実がないことにさえされかねない。我々の知らない問題が多いということ。それが報道の自由度世界67位(2019)の日本ということ。 https://t.co/0XuVGEMYWo
— エリック C (@x__ok) 2019年12月24日
この映像にぞっとします。誤って殺してしまう危険性があるのではないか。
— gaogao (@haha_takashi) 2019年12月25日
日本の入管では、もう何人も死者が出ています。https://t.co/LMaMwA7Lfk
— エリック C (@x__ok) 2019年12月25日
昨日の午前中、牛久の入管施設で、SOSの手紙をいただいた被収容者含め、4人と面会。全員が3〜4年も収容されており、仮放免も認められず、却下の理由も告げられない。収容時80キロあったのが3年半で40キロ台に落ちたと。人権侵害をオリンピックホスト国が平然と行っていては、世界に恥を晒すことになる pic.twitter.com/AqUgMgcpbZ
— 山本太郎 住まいは権利! (@yamamototaro0) 2019年7月2日
正視できない動画はほんの3分39秒でした。しかし現実は20分にも渡り延々と暴行が続けられ、しかもこれはこの一回限りではなく、施設内で日常的に行われていることのようです。自分の家族がこのような理不尽な拷問を受けていると想像しただけで怒りに震えますが、職員はおそらく正当な行為だと思えばこそ、こうした映像を残しているのでしょう。
日本から退去を命じられた外国人が入管施設に収容される期間はどんどん長期化し、病気の手当てをしないなど深刻な人権侵害も明らかになっています。自殺を含め亡くなる方が後を絶ちません。
一方、法務省は、東京五輪開催までに不法滞在者や本国送還を拒む人を減らすよう求めています。根拠のない「治安対策」として強制送還を進め、仮放免も認めない方針です。わざと入管での冷酷な嫌がらせをすることで、本人が自ら帰国するよう仕向けていると専門家は解説しています。しかし、日本で難民申請をしている外国人の中には帰国すれば命の危険がある人や、今や日本の家族もできて離れられない事情の人も有ります。そうした罪なき人の望みを無視して平然と人をモノのように扱い苦しめるのが現代日本なのかと愕然とします。
山本太郎さんが参議院議員だった時には、こうした入管施設問題を積極的に国会で取り上げ、また牛久や品川の収容所に視察も行っていました。そのことで施設の待遇が劇的に変わった事実もあります。国会議員の働きかけはことほど左様に強力なのでした。しかし日本の有権者の票には繋がらないため、動いてくれる政治家は少ないようです。
今回、報道番組が取り上げたことは画期的な一歩となったかもしれません。国民に対しても同じことをやる国です。