バカでかい仏壇の引き取り

オッス! いい天気だな。

くろちゃんは、お散歩? 気持ち良さそう。

それがさあ、せっかく気持ちよく歩いてたのに、大声で怒鳴りながら歩いて来るヤツがいて。

なに? 散歩しながらケンカ?

それが、
携帯片手のおっさんが、歩きながら1人で怒鳴ってるんだ。

携帯に怒鳴ってたの? 迷惑な話だねえ。

「だあから〜!! 言ったじゃねえか? おめえが引き取るって?」
「ムリだ、ダメだ!ダメだ!」とかなんとか、大声で叫んでて。

よっぽど、必死だね、何を引き取るんだろ?

「A男!! 最初っから、おめえが引き取るって、言うたじゃねえか!」
「引き取らねえ、仏壇なんか、ゼッタイに引き取らねえ!」
「いいな! おめえが、引き取るんだぞ! わかったな!」

なあんだ、
仏壇を引き取る引き取らないで、もめてたんだね。

バカでかい田舎の仏壇なんか、引き取りたくねえよなあ、
場所取るし。

それだけじゃないよ
、おカネもかかるよ、供養とかなんかで。

ここいらは、空き家がいっぱいあるのに、なんで売りに出さねえのかと思ったら、仏壇が残ってるらしいぜ。

そっかあ、仏壇を始末しない限り、家は売れないよね。

いや、
仏壇を置いたまま、家を貸してるヤツはいる。
おれの知り合いで、田舎暮らしにあこがれて、家賃、月1万の家を借りたけど、仏壇がコワくて、夜、トイレにも行けなかったって。

よそんちの仏壇と2人きりは、遠慮したいね。
それに、田舎の家って、先祖代々の写真がズラ〜っと飾られてたりして。

毎晩、キモ試しだ。
そうじゃなくても、古い家は、なんかいそうで気味が悪いのに。

ところで、
仏壇て、処分するにはどうしたらいいの?

めんどくせえんだぞ。
まずは
坊さん呼んで、閉眼供養してもらって、処分するなら寺、仏壇屋に頼む。
または自分で、ごみ処理場に持っていく。そのまま引っ越すなら、開眼供養も必要だ。(
みんなの遺品整理)
供養も、処分も、おカネがかかるし、めんどくさいねえ。
放置する気持ちもわかるなあ。

だが、
木造一軒家を放っておくのも問題だ。

なんで?

家ってのは、人の気で生きてるからな。
人が住まなくなると、どんどんボロボロになっていく。

それはよく聞くけど、ほんとにそうなんだ。

シロアリが巣食ったり、小動物ならまだいいが、オバケが住み着いたり。
波動が下がると、誰かがゴミを捨てに来たり、放火されたり、犯罪に使われたり。

うわあ、コワい!

大災害で、屋根が飛んだりブロックが倒れて、万が一、人がケガすりゃ、損害賠償もかかるぞ。

早く、家を壊した方がいいよ!

いやいや、
家を壊すのもカネがいるんだ、100万円くらい?

そんなに?

だけじゃねえ、
更地にすると「住宅用地の特例」が効かなくなるから、固定資産税が、家があったときの6倍になる。

6倍?? うかつに壊せないねえ。

しかし、
家が崩れたまま放置しとくと、空家法で「特定空家」に認定されちまう。
そうなると、「住宅用地の特例」が受けられなくなって
、税金が6倍だ。

家って、大変だね。
ほっぽらかしてもおカネ取られるし、壊してもおカネかかるし、更地にしてもおカネがかかる。

空き家を管理してくれる、空き家管理サービスを頼んでも、カネがかかる。

どっちにしても、家はおカネがかかるってことか。
だから、みんな、空き家を持て余してるんだね。

そういう時は、
自治体による不動産仲介「空き家バンク」がいいかもしれない。
市によっては、リフォームや解体費用の助成金も出してくれるし。

でも、その前に仏壇は処分しとかないとね。
なぜ都会と田舎の格差が広がってしまったのか
全国的に空き家は増えていると聞くが、田舎は深刻だ。1人暮らしの老人が多いからな。
家主が老人ホームや子供ん家に行っちまえば、即、空き家になっちまう。

そうやって、
ますます過疎化が進んでいく。

人口が減ると、今まで走っていたバスも来なくなる、食料を買う店も無くなり、銀行や病院も遠くまで行かないといけない。
それまでも不便だったのが
、もっと不便になっちまう。

そこで生まれ育った若者が、都会に出て行ったきり、帰ってこないのが問題だよ。

仕事がないから、しゃあないな。

じゃあ、なんで、田舎の仕事はなくなってしまったの?
なんで、都会と田舎の格差が、広がってしまったの?
なんで、田舎はこんなに疲弊してしまったの?

なんでかなあ、
バブル崩壊や、少子化も関係あると思うけど・・
おれは
、「平成の市町村合併」も拍車をかけたと思うな。

あったね、10年位前に。

1999年4月 〜 2010年3月に行われた
〈市町村合併〉で、全国の市町村数は、3232から1727に減った。当時の小泉首相は、1000まで減らしたかった。
「一、〇〇〇を目標に合併を進めていきたい。この目標に向けて協力をお願いする」。(
日本共産党)
小泉首相

小泉さんが、合併を後押ししたんだね。

小泉政権の当時、
政府が内閣をあげて〈市町村合併〉を推進したのはなぜか?
「少子化が進むと、小さな市町村は合併しないと生き残れない」と、危機感をあおってまで、合併を急がせたのはなぜか?
(
Japan In-Depth)
市長村を合併したら「地方交付税は10年間減らさない」「ハコモノ作りの借り入れは国が7割出してやる」というエサまでぶらさげて、全国の市町村を合併に追い込んだのは、なぜか?

う〜ん、なんでなんだろう?

2002年の日本共産党は、こう答えている。
大型開発を効率よく進める体制をつくるためと、住民サービスを切り下げるためだと。
(
日本共産党)

う〜ん・・・なんか最近、そういう話を聞いたような?
国は、財政改革のために、非効率な市町村を切り捨てたい。
しかし、切り捨てられた市町村の長は、反対するだろう。
だから、全体の一部にして黙らせる、それが大合併の目的だという。
(
東京新聞)

なんか、
〈大阪市〉廃止の動きと似てない?

似てる!!ってゆうか、
同じ!!
カネがあって発言権の大きい〈大阪市〉を〈大阪府〉の一部にして、黙らせたい。
そのために、〈大阪市〉を廃止するやり方とそっくり。

〈大阪市〉を廃止したら、〈大阪市〉の声は〈大阪府〉に届かないから、「府」は「市」の知らないところで、勝手にことを進めることができる。

統治する方から見れば、その方が楽だな。

それで、
実際に〈市町村合併〉は、どういう結果になってるの?

合併した町村(人口4000人未満)と、合併しなかった町村を
比較したら、なんと、
「
合併した方が、合併しなかったところより、人口が減り、高齢化も進んだ。」
(
Japan In-Depth)

やっぱ、合併なんかしない方が良かったんだよ。

しかも、合併させるための特例、「ハコモノ作るとき、借金は、7割を国が出しますよ」ってエサに釣られて、ホイホイとハコモノを作ったため、残されたのは借金ばかり。
その典型が兵庫県の旧篠山市(現在、丹波篠山市)、政府に踊らされてハコモノを建てまくった結果、借金の総額は1136億円となった。さらに小泉内閣の三位一体改革で、地方交付税が大幅にカットされ、篠山市は破たん寸前に追い込まれ、危うく「第2の夕張」になるところだった。(
Japan In-Depth)
丹波篠山市役所

後の市長が、立て直してくれて、良かった。

また、
合併によって、自治体間の格差が広がった。
大きな自治体はより大きくなり、小さな自治体はますます小さくなった。
まさに、グローバリズムそのものだね。
戦争をさせないためには、地方分権に向かわせないといけない

〈市町村合併〉は、投票率にまで影響していた。
「
市町村合併した自治体では、議会議員選挙が平均2.55ポイント、市町村長選挙が平均3.31ポイント、投票率を下げたと分析している(『自治総研』2009年6月号)。」(
imidas)

中央が遠くなるからね。
自分の一票で、何かを変えられるワケないって諦めちゃうのかな?
つまり、〈市町村合併〉によって、市民は無力化されてしまった。
「ウラ読みをすれば、このような意図を持った人たちによって合併が推進されたのではないか。合併はどこからどうみても失敗であったが、このことで得をする人たちにとってだけ『成功』だったのだ。」(
imidas)

ひええ〜! 誰にとっての「成功」だったワケ?

戦争したいヤツらだよ。

い、いきなり、戦争って?!

だって、それしかねえじゃんよ。
ヤツら、中央集権にして、何がしたいって、戦争じゃんよ。

う〜ん、くろちゃん、話が飛び過ぎじゃない?

じゃあ、
その前にワンクッション、財界に儲けさせるため。
経団連も、「市町村は1000くらいに再編する」って、小泉と同じこと言ってたんだぜ。それだけじゃなく、「道州制を含め、具体的な検討に早急に着手し、・・方向性を取りまとめるべき」とか言っている。(
日本共産党)

経団連も? 橋下徹氏の念願だった道州制?

どっちも、同じ穴のムジナってワケよ。
〈大阪市〉を〈大阪府〉にまとめ上げて、お次は「関西連合」にするって言ってたじゃん。
そのために、この先「令和の大合併」もやろうとしてるんだぜ。

まだ、合併をやるつもり??
「平成の市町村合併」で、失敗したというのに?

だから、連中にとって「失敗」じゃなくて「成功」だったってことよ。
戦争するためには、どうしても中央に権力を集中したい。
めでたく、〈市町村合併〉ができた。
お次は手始めに、〈大阪市〉を潰して〈大阪府〉にまとめ上げる。
それがうまく行ったら、全国の大都市でも同じことをする。
そして、お次は、もっと大きく道や州にまとめていく。
そうやって、ますます
末梢を切り捨てて、中央集権に持っていく。

すると、戦争もしやすくなるワケか。

じゃあ、その逆の方向は何だ?

地方分権。

ピンポ〜ン!
戦争をさせないためには、地方分権に向かわせないといけない。
選挙で候補者を選ぶ時も、中央集権か地方分権かで、選ばねえとな。

まちがっても、道州制を掲げるヤツは選ばない。

また、少子化だ、コロナで失業者が、倒産が、などとわめきながら、特例ニンジンぶらさげて「令和の大合併」をやるかもしれないが、その手に乗るなよ。
「手法は、『平成の大合併』と似ている。
小規模な市町村の将来不安をあおろうとしている。政府は懲りていない」。(
Japan In-Depth)

そして、ぼくたちはもう、そっちの方向は何なのか、知ってるからね。
日本を、戦争しやすい国にするため、だって。

最後に、北陸3県で唯一の村、
富山県舟橋村の話をしよう。
ここは、面積3.47平方キロメートル
、日本一小さな自治体だ。
他の市町村が合併していく中、舟橋村は合併しなかった。
昭和の初めから終戦後まで、舟橋村の
村長を務めていた稲田健治氏は、合併に反対するとき、「舟橋村は日本のモナコになる」と宣言した。そして、こんな例え話をした。
「池の真ん中に石を投げる。中心から波紋が広がるが、端っこになった舟橋村に恩恵が及ぶには時間がかかる。」
2006年に舟橋村は、「日本一小さい」という大きな「冠」を与えられた。
現市長・金森氏は言う。
「全国に約千七百の市町村がある中での一番ですから、誇りに思います。」
(
東京新聞)

賢い人に導かれる、幸せな村、いつか、行ってみたい!
舟橋村役場
舞台裏での、滅多になかろうという体験談に聞き耳を。(まのじ)
ぺり:ぺりどっと、ぴょん:ぴょんぴょん先生
ぺり :仏壇引き取りのお話は、面白いですね。
ぴょん:あのエピソードは、実話です。
ネタがないな〜 散歩でも行くか〜って、ポツポツ歩いてたら、
たまたま、おっさんが、怒鳴りながら歩いて来てくれたんですよ。
おかげで、今回の記事が生まれました。
ぺり :アハハハ。おっさんの怒りに感謝やー(笑)
そうそう、僕が以前に住んでいた古民家にも仏壇がありましたよ。
押し入れの中だったので、ふすまを空けなければ見えはしませんでしたが。。。
しかも、下見をした当初は位牌もあったのよwww
家の契約のときに「仏壇も位牌もあるが、いいか?」と聞かれて、
さすがに位牌は断りました。ひぇ~でした。。。
ぴょん:うわあ! よくぞ、お位牌、お断りされました!
位牌なんて、いらないよね。
欲しい人は、かまぼこの板にでも、故人の名前を書いて持っていればいい。
後の人のいい迷惑だよね。
仏教って、ホントにムダなことが多いなあと思います。
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
実は、10年前に行われた〈市町村合併〉の延長だったこと、
さらに道州制に発展させて、日本を中央集権国家に向かわせたい動きがあること。
空き家の仏壇の話を書いていたら、いつの間にか、そんな話になってました。