ぴょんぴょんの「白い廃墟」 〜大学病院がつぶれそう

新型コロナがはやる以前から、東京の病院経営はアブなかったらしい。
コロナでさらに収入が減った今、病院は崖っぷちに立たされている。
医療事故やボーナスゼロでお騒がせの母校も、どうなることやら。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「白い廃墟」 〜大学病院がつぶれそう


医療事故で大変な東京女子医大病院


ねえねえ、くろちゃんは病気になったら、どうやって病院を選ぶの?

おれは、病気にならねえの!
なっても、自分の体を信じて任せるから、病院に縁はねえの!

じゃあ、知ってる人が病気になったら、どうするの?

う〜ん、地域で信頼できる病院を紹介するかなあ。

大学病院って、どうなんだろう?

やめとけ、やめとけ、新米医師の実験台にされて、論文データに協力するだけだ。

大学病院と言えば、夏にボーナスが出なくて騒がれた、東京女子医大病院。
今度は、医療事故で大変みたいだよ。



2014年の医療事故に、今ごろ、医師6名に書類送検か。

亡くなったのはたしか、2歳の男の子だった。
顎の下にできた「リンパ管腫」を、切り取る手術を受けた後に。


悪性だったんか?

いや、良性だよ。

良性なら、転移も浸潤もないから、切り取って終わるはず。

執刀した耳鼻科医も「簡単な手術で、すぐ治ります」って言ったらしい。
SankeiBiz

なのに、なんで亡くなっちゃったんだ?

「簡単な」と言っても、全身麻酔だったからね。

2歳で全身麻酔か? そりゃ、リスクが大きいわ。

でもね、明らかに医療側のミスだったんだよ。
無事に手術が終わって、人工呼吸器をつけたままICUに入った、
までは良かったんだけど、鎮静剤「プロポフォール」を点滴に入れてから・・。


Wikimedia_Commons[Public Domain]
プロポフォールのアンプル


鎮静剤「プロポフォール」?

暴れて、チューブや針を抜かれたらアブナイから、眠らせるためだよ。

それで、何があったんだ?

2日めに心電図に異常が表れたのに、投与が続けられた。
3日め、担当医も心電図の異常に気づいたのに、異常はないと判断。
同日、別の医師が尿の色がおかしいと指摘したが、放置。
4日め、詳しい心電図で、ようやく異変に気づき、投与が中止された。
が、男の子の容体は急変して、亡くなってしまった。
弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

親は、どんなにショックだったろう・・。
でも、納得いかないな、原因はその「プロポフォール」か?

「プロポフォール」は効きめが早いし、患者さんの目覚めもいい。
だからICUで、術後の患者さんによく使われる薬だよ。
だけど、この子の場合、投与量が多すぎたんだよ。
3日間で、成人の許容量の約2・7倍入ってたって。
弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

なんだって?

さらに「プロポフォール」は、海外で死亡例が出たことから、添付書には「小児(集中治療における人工呼吸中の鎮静)」には「禁忌」と書かれている。


人工呼吸中の小児に「禁忌」? 「禁忌」破って使ったんか?

注意書きに書かれてても、法的なしばりはなくて、医師の裁量で使えるんだけど、「子どもには『禁忌』の『プロポフォール』を使用します」って、親に話すべきだった。(弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

親は知らされてなかったんだな。
病院に子どもを託したら、こんなリスクがあるなんて、想像もできなかっただろう。

さらに、まだあるよ。
医師法によると、異状死体の場合は警察へ通報しなくちゃいけないのに、診断書には、「自然死・病死」と記載されていたこと。
弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ


つまり、司法解剖はされなかったのか、そりゃ、遺族が怒って当然だな。

結局、2015年女子医大病院は、〈特定機能病院〉の承認を取り消されて。

〈特定機能病院〉?

国が「この病院では、高度な医療を提供しています」と認める「お墨付き」、いわゆるブランド。それがあると、保険点数も高く取れるんだ。

要するに、そいつが取り消されると、収入が減るんだな。

そう、でも女子医大病院、〈特定機能病院〉の取り消しは今回で2度目。

ええ?! 前にも、やらかしたのか?

2001年、12歳の女の子が心臓手術後に亡くなる事故があって、2002年から5年間、〈特定機能病院〉を取り消されたことがあるんだ。
「女子医大は、特定機能病院の承認取り消しの根本原因を直視しなければなりません。第1回の取り消しの際には悪質なカルテ改竄が露呈しました。隠蔽体質は、現在でも根強く残っています」。(現代ビジネス

カルテ改ざん、そして、罪のなすり合い。

残念ながら、執刀医だった耳鼻科教授のコメントがこれ。
「(プロポフォールが)禁忌だということは我々耳鼻科全員理解していなかった」「責任は私にはない」「ICUの専門医が鎮静薬を決定」。
価格.com「情報プレゼンター とくダネ!」放送内容

耳鼻科は「切った、貼った」で役目が終わって、あとは麻酔科の責任だと言いたいんだな。

だけどふつうは、手術した人に最後まで責任があるよね。

なんか、これが大学教授かって、ガックリくるな。

教授のポストは、人間性とか二の次だからね。
その事故以来、女子医大病院は、患者さんが激減して3年連続の赤字になり、医師への給与も満足に払えなくなってしまった。PRESIDENT Online


イメージダウンで、患者に見捨てられたか。
やっぱ、国のお墨付き、〈特定機能病院〉取り消しはイタかったな。

そのことは、2017年、理事長が教職員へ送った文書を見ればよくわかる。
「平成28年度の収支差額は22億円の赤字で3年連続の赤字となりました」
「3年連続の赤字により、現在の本学には現預金の余裕は全くありません」
「これ以上、医療収入が減少しますと、法人存続にかかわる危機的な事態になります」
PRESIDENT Online

これって、もしかして、3年前の話か?
女子医大病院は、コロナで経営がヤバくなったんじゃなかったのか?

コロナで、化けの皮がはがされたんだね。
ところで、今は昔・・ぴょんぴょんが通った時代の女子医大は、有名人や有名政治家が入院したり、名物教授がいたりして、景気が良かったらしいよ。

有名人で、患者を呼び込む体質だったんだな。

日本初の心臓移植をした和田寿郎氏も、その頃は有名人で、女子医大の心臓外科の教授に招かれてたんだよ。ぴょんぴょんは、和田教授の講義を受けたことがあるらしい。

へえ、ぴょんぴょんのヤツ、いつもサボってたくせに、有名人の講義には出るんだな。

講義の内容は覚えてないけど、「お寿司の話だけ、覚えてる」って言ってたよ。


寿司の話だけ、覚えてるだと?

和田先生の話では、お寿司は食べ方が大事だと。
おしょう油をシャリにつけちゃ、ダメ。お寿司をひっくり返して、ネタにつける。
ひっくり返したまんま、舌に乗せる。それが、本当の食べ方だって。

女子医大行って、覚えてるのはその話だけかよ? 授業料もったいねえな。

ハッハ! だから、洗脳を免れたって、本人、いばって言ってたよ。

ハハハ! アホか!


東京の医療そのものが危機的で、崩壊するのは時間の問題


女子医大の話に戻すよ、〈特定機能病院〉の取り消しで、収入はガタ落ち。
運営が苦しくなって、リストラ、赤字施設の統廃合、そして給与カット。

「医師も賞与カットは当たり前で、バイトをしないととても生活できない。」(現代ビジネス
「スキルのある看護師がどんどん辞めています。有能な看護師が複数名いないとチーム医療は不可能です」(現代ビジネス

Author:江戸村のとくぞう[CC BY-SA]
東京女子医大の総合外来センター

そこにコロナが降って来て、夏のボーナスも出ない話になったんだな。
しかし、カネがねえ上に、訴訟まで抱えて、ご苦労さんだなあ。

だけど今、大変なのは、女子医大病院だけじゃないんだよ。
東京の医療そのものが危機的で、崩壊するのは時間の問題だって。PRESIDENT Online

なんだと? 東京の医療が? 崩壊?

じゃ、ここで問題で〜す!
病院やクリニックを開業するには、都会と田舎、どちらがいいでしょう?

そおら、都会がいいに決まってんじゃねえか。
人口が多い方が、患者もたくさん来るってことだし。

ブッブー!!

え?! ちがったか?

病院は、ちょっと特殊でね、工場経営に似てるんだ。
みんな、工場は地方に作るよね、海外だと中国とかベトナムとか。

人件費も、土地代も、固定資産税も安いからな。

つまり、田舎や海外のほうが利益を出しやすい。
病院の場合は、同じ治療を銀座で受けても田舎でうけても、医療費は同じ。
なのに、土地代や人件費は、都会の方が高い。
だから、都会で病院やるのは不利なんだよ。

そっか! だから、田舎の病院やクリニックは、でかくてりっぱなんだ。

全国的に病院が火の車になったのは、今始まったことじゃない、コロナ以前からの話。
振り返れば2002年、構造改革で診療報酬が引き下げられたのが大打撃だった。

小泉・ケケ中の時代だな。

Author:Roberto Barroso/ABr[CC BY]
小泉純一郎

そして、さらに追い打ちをかけたのが、消費税。
知ってた? 消費税が始まった1989年以来、医療費はずっと非課税だって。

たしかに病院は、消費税を取ってねえな。

診療報酬は、消費税と関係なく、決められた金額しか入ってこない。
でも、病院クリニックが薬や医療機材を買う時は、消費税を支払っている。
たとえば、2億円仕入れたら、消費税10%で2000万円を支払っている。
「実際、全国の病院クリニックが負担している消費税は、1兆4000億円を超える。」(サンデー毎日

それだけのカネを、病院が全部飲み込んじゃってるのか? なんでだ?

「医療に消費の概念はなじまない」という概念でね。

カッコイイこと言って、自爆してるじゃねえか?

2017年にすでに、上昌弘氏はこう言ってる。
消費税増税を引き金に、首都圏の有名病院が次々に経営難に陥った。
消費税が10%に増税されれば、首都圏の総合病院はさらに苦しくなる。(現代ビジネス

あのー、もうとっくに10%なんすけど、病院、生きてますかあ?

ヒーヒー ゼイゼイ・・・・・・チ〜ン♪

ポクポクポクポク、なんまいだー、なんまいだー・・・。


去年の医療機関の倒産は、ここ10年で最多だった。
「そこに、追い打ちをかけるようにコロナというパンチが飛んできたのです。」
文藝春秋

そおだったのかあ!!

この上さらに政府は、診療報酬を下げて、医療費削減に舵を切ろうとしている。
その影響をモロにかぶるのが、大学病院、特に、私立の大学病院。

その代表選手、東京女子医大病院!

大学病院は今のままだと、「白い巨塔」じゃなくて「白い廃墟」になる
と言ったのは、前・岐阜大学学長の黒木登志夫氏。(日医NEWS

Wikipedia[Public Domain]

ざぶとん1枚!

ふつうの総合病院なら、採算の合わない診療科をなくせばいいでしょ?
けど、大学病院はそうは行かない。
医者を育てる教育機関が、診療科目を減らすわけにはいかない。

なるほど、大学病院に逃げ道はねえんだな。

アメリカみたいに大学病院が破産して、なくならなければいいんだけど。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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