おもしろくない日本の選挙

1週間くらい前、ぼくんちにも世論調査の電話がかかってきたよ。

ヘエ、今ごろ世論調査か? 何を聞かれたんだ?

「まもなく、衆議院解散で選挙になると思われますが・・」って。

そんなこと、まだニュースでもやってねえぞ。

でしょ?
巷はコロナで、てんやわんやなのに、コロナのこと一つも触れなくて。

なんじゃ、そら?
ヘンな電話に引っかかったんじゃねえのか?

とにかく、聞かれたのは支持政党と、現在の地元議員AとBのどっちに投票するかって。

ちゅうことは、やっぱ、近々に選挙があるのか?

選挙で、何か変わればいいね。

おれは、
選挙と聞いても、夢もチボウも感じねえ。

でも、やっぱり、社会を変えるのは選挙しかないよ。

選挙がおもしろくねえのは、今に始まったことじゃねえが、
いったいどーして、いつまで経っても、選挙はおもしろくねえんだ??

う〜〜〜〜〜〜ん?
世界一高い日本の供託金
見飽きたツラしか出てこねえのは、なんでだ??

う〜〜〜〜〜〜ん、山本太郎が、言ってた
〈供託金〉かなあ?
山本太郎氏
立候補するときに払わされる、手付金みたいなアレか?
国会議員に立候補するとしたら、選挙区で300万円、比例区は600万円。

うわ! ブタの貯金箱をぶっ壊しても、とても足りねえぞ。
なんと、日本の〈供託金〉は、世界一高いんだよ。
しかも投票数が、総数の一定%を超えないと〈供託金〉は没収されちゃう。

んじゃ、こないだの都知事選、山本太郎はどうだったんだ?

都知事選の〈供託金〉は300万、総得票数の10%を超えれば戻ってくる。
実際の総得票数は613万票、つまり、10%の61万票を取ればセーフ。

で、山本太郎は?

得票数10.72%、ギリギリセーフだった。

ホーッ!!

ちなみに、得票数10%未満の〈供託金〉5700万円は、ぜんぶ東京都にボッシュート!(
YAHOO!ニュース)

ああああ、都民が汗水たらして稼いだカネが・・・。

なんか、おかしくない?
おカネが余ってる人ばかり、立候補したワケじゃないと思うよ。
東京のことを考えて、なけなしの貯金を崩した人だっていたはす。

それに、チラシとか選挙カーとかの選挙資金も入れたら、300万じゃすまねえぞ。
山本太郎も、議員時代に国会で発言している。
「入場料だけで選挙区で300万、全国比例という形だともうとてつもない、桁が変わるという。・・全く何もないところから参入するというときには物すごく大きな障壁になっています。」(
山本太郎)

つまりここでも、方程式どおり、
カネのあるヤツが有利だってこと。
そもそも〈供託金〉は、どっから降ってわいたんだ?

〈公職選挙法〉だね。
宇都宮健児氏によると、
現在の〈公職選挙法〉のルーツは、1925年に制定された普通選挙法だそうだよ。それ以前は、一定の税金を払っている人しか投票できなかったのが、25歳以上の男子なら、納税ゼロでも投票できるようになったんだ。
(
YouTube)

そら、おめでとさん。

そして
ここから、高額な〈供託金〉制度も始まった。
実はこの1925年というのは、
治安維持法が制定された年でもあるんだ。

ということは、半政府勢力を立候補させないために〈供託金〉つくった?

たぶんね。
選挙権と被選挙権、つまり選ぶ権利と立候補する自由はコインの裏表で、同じくらい大事なのに、
選ぶ人には財産の壁がないのに、立候補する人には財産の壁があるのはヘンだよ。(
YouTube)
日本国憲法44条
「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。
但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。」

財産または収入によって、議員と選挙人の資格を差別してはならない。
となると、
〈供託金〉が払えなくて立候補できないのは、明らかに憲法に反するな。

「1947年に日本国憲法が施行された時に、戦前の公職選挙法も民主化されるべきだった」と、宇都宮氏も言ってるよ。
(
YouTube)

じゃあ、なんであの時、変えなかったんだ?

もしかして、変えたくなかった?
このまま高い〈供託金〉のハードルがあった方が、都合が良いヤツらがいる?

だけど、〈供託金〉が生まれた1925年から100年近く経った
今でも「シングルマザー、派遣労働者、非正規労働者、零細事業者たちを代表するような人は立候補すらままならない。」(
Business Journal)

低所得層の人たちが、貧困を失くそうと声を上げたくても、国会議員になれない?
あれ? この国は民主主義じゃなかったんか?
宇都宮氏「少数者の人権を守ることが、民主主義の重要なポイントなのに、〈供託金〉は民主主義をはばむ大きな原因になっている。」
(
YouTube)

今の日本は、貧困や格差のせいで立候補できないヤツらが何百万人もいる。
なのになんで、今だに日本は〈供託金〉を取るのか、説明しちくれい。

説明しちやろう。
それは、「売名候補者、泡沫候補者の立候補を抑制し、選挙を公正に行うため」だと。

は?
これまで一度も〈供託金〉をゼロにしたことねえクセに、どうして〈供託金〉がなくなったら、売名・泡沫候補があふれ返るって言い切れるんだ?
カネ持ってるヤツでも、売名・泡沫候補はいるだろ?
一方、真剣に国のことを考えてるのに、〈供託金〉を払えないヤツもいる。

だよねえ! 一度、試して見ればいいんだよ、〈供託金〉ゼロの世界を。
宇都宮氏「民主主義国家なんだから、〈供託金〉で候補者をふるうんじゃなくて、有権者に選択させるべきだ。」
(
YouTube)

だよなあ。
宇都宮氏は、2014年の衆院選で、300万円が払えないために立候補できなかった人から依頼され、現在「選挙供託金・違憲訴訟」の弁護団長を務めている。
これまでの裁判で
一審の東京地裁、二審の東京高裁は請求棄却、現在、最高裁に上告中。

へえ、〈供託金〉訴訟を起こすとは、見上げたヤツがいるもんだ。
うまく行くといいが、司法が腐ってなけりゃの話だな。

そうだね、今の最高裁は司法の独立を捨て去って、与党の砦になり下がってるし。

ところで、外国には〈供託金〉は、あるんか?
OECD加盟国35カ国のうち、23カ国は〈供託金〉ゼロ、残り12カ国は〈供託金〉を取るけど大半が10万円以下。
G7のうち、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダの5カ国は〈供託金〉ゼロ。イギリスは〈供託金〉を取るけど、7〜8万円だって。(
YouTube)

ぬぁんだとお!?!?
いくら日本人が海外のこと知らないからって、300万、600万もボッタクりやがって!!
バカにしてんじゃねえ!!

怒るのもムリはないね。
2001年アイルランドで、〈供託金〉が払えず、立候補できなかった男性が国を訴えたんだけど、下院選の〈供託金〉約5万円、EU議員選の〈供託金〉約17万円、どちらも憲法違反という判決だったよ。(
Business Journal)

5万円、17万円で、違憲だと? いったいどうなってんだ、日本は??
300万円でも、600万円でも、文句一つ言わず、おとなしく払ってきた日本人。

それを訴えても、最高裁で、違憲判決にならないかもしれない日本。

むむむ・・だな。

むむむ・・だね。
宇都宮氏は言う。「アイルランドの憲法は、日本国憲法14条(法の下の平等)と同じように一般的な平等権規定になっています。さらに日本国憲法44条の但し書きには、国政選挙の立候補資格について、より明確に『財産・収入によって差別してはならない』と定められているのです。したがって、
日本ではより厳密に立候補に対する平等が認められるべきです。」(
Business Journal)

今の政治を見りゃあ、わかるじゃねえか。
高い〈供託金〉を出せたヤツらだけが、国会議員になってる。
その結果、格差が広がり、低所得層はますます生活が苦しくなっている。
「主に与党議員たちは、巨大企業や大資産家に有利な政策を決め、庶民の生活を苦しくする政治を進めている。その元凶が高額供託金だと言って過言ではない。」(
Business Journal)
日本にはびこる世襲議員

しかし、ポンと〈供託金〉を出せるヤツら、どっから、そんなカネが湧いてくるんだ?

あるとこには、あるってこと、世襲議員とかね。

なるほど、世襲議員なら・・・。
平成の総理大臣は半数以上、世襲って知ってた?
そう、
日本以外の先進国は、世襲議員は5~10%未満なのに、日本では自民党で約30%、全体平均は10%台。(
通勤コンパス)
「第2次安倍改造内閣において、発足時、18人の閣僚のうち9人は、政治家の親族がいたり、地盤を受け継いでいたりする世襲議員でした。」(
PRESIDENT Online)

そんなに、はびこってるのか?!

ルパン3世の上を行く、4世かあ?!

ところで、
「三バン」って知ってる?

なにそれ?
選挙に有利な条件のことだよ。
ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)の三つのバン。
ジバンは、有力なバックがついていること。
カンバンは、知名度。
カバンは、豊富な資金源。

そんな甘いお話じゃないの。
世襲議員は、この3バンが初めからそろってるってこと。

つまり、配牌、即、リーチ!ってわけだな。

マージャンに例えないの!
世襲議員をかつぎ上げるのがジバン、つまり「後援会」。
日頃から
「後援会」は議員のおかげで甘い汁を吸ってきたんで、議員が亡くなったら、よそに蜜を吸われないように、都合のいい後釜を見つけなきゃならない。
(
国会議員― わかる政治への提言)

そっか! だから、先代の妻や子供がかつぎ出されるんだ。
だけど
世襲議員て、いいご身分だよな。
〈供託金〉の心配もないし、選挙資金も相続税なしに相続できるし、選挙民もついてるし、楽勝だよなあ。

そうかなあ?
元々、政治に興味があれば渡りに船だけど、「後援会」の操り人形にならなきゃいけないし、当選するやいなや、先代がやった通り、道路やハコものを作ったり、地元の便宜を図るのを期待されるんだよ。議員になっても楽しくないよ。(
教えて塾長!)

「世襲議員」になって良かったと思ってるヤツ、いるのかな?
一度、アンケートでも取って聞いてみたいもんだ。

確かに、まともな神経なら、そう感じるわな。
だが、カネもあるし、選挙も安泰、その分のエネルギーを政治に向ければ?

「金帰火来(きんきからい)」だから、それもできないね。

何だそりゃ?

国会開会中の国会議員が、金曜の夜に地元に帰って、議会が始まる火曜の朝に東京に戻ること。

何のために、そんな疲れることやるんだ?

ええっ?!
国会議員は、田んぼの草取りまで、手伝わされるのか?

ちがうよ、この田んぼは「票田」、つまり選挙区のこと。
「『票田』に食い込んできた他陣営を、はびこる雑草にたとえ、雑草をむしるように影響力を排除しようとするのが『田の草とり』というわけだ。」(
国会議員― わかる政治への提言)

なあんだ、てっきり、農家のキゲンを取るために草取りを手伝うんかと思った。
金曜に地元に帰った国会議員は、「次の選挙もよろしく」って挨拶回りしてるんだな。

それじゃ、国民のために、勉強するどころじゃねえな。

とにかく選挙が最優先なんだよ。
そんな世襲議員はいらねえわ、どうにかして阻止できねえのか?

それがすんなりとは、止められないんだよ。
立候補や職業選択の自由を侵害するのは、憲法違反になるからね。
(
教えて塾長!)

憲法を盾にした、詭弁にしか聞こえねえが、
よ〜〜〜〜し!! じゃあ、こういうのはどうだ?
国会議員の子どもが選挙に出るなら、「親の選挙区以外から出ろ」ってのは?
(
立憲民主党)

それ、賛成!! 他の候補者と平等に戦えばいいよね。
世襲議員が消えて、〈供託金〉もなくなれば、みんなが同じスタートラインに立てる。
いろんなヤツが立候補できるようになって、選挙がおもしろくなるぞ。

山本太郎が何人も出られるよ。

それも、おもしろそう!
国によっては、候補者に順位をつける投票もあるらしい。

それも、ええなあ。

「小選挙区制」とか、「一票の格差」とか問題はいろいろあるけど、改善しながら試していけばいい。しかし、
その前に解決しなければならない、重要問題がある!

わかっておる!!
何よりもまず、不正選挙をどうにかしねえと!

それだよ!! それが先決だよ!!
立候補の条件を変えても、世襲がいなくなっても、不正選挙をされたら元の木阿弥だ。
日本国憲法43条1項
「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」
誰もが平等に立候補ができて、不正のない選挙で「全国民の代表」を選べたらいいね。

そうすれば、日本はほっといても、いい方向に変わるだろう。
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
日本では、選挙に対する関心は薄く、投票に行くなとでも言うように、テレビでもほとんど触れられません。
政治を動かす大事な選挙が、このまま立ち枯れになってしまっていいのか?
何が、国民から選挙を遠ざけているのか、考えてみました。