ままぴよ日記 65 「赤ちゃんがやって来た!ばあばの出番です。」

1ヶ月お休みを頂きました。

12月の初めに4番目の子どもを産んだお嫁ちゃん。上の子の学校があるので産後に実家に帰って体を休める事ができませんでした。それどころか、ママが入院していたことで不安になっているジェラシーの塊の3人の子ども達が容赦なくママへ愛を乞います。

でも、命がけで赤ちゃんを産んで、自分の体の回復と同時に昼夜問わずの赤ちゃんのお世話で手一杯のお嫁ちゃんにとって子ども達の要求は荷が重すぎます。体のホルモンも赤ちゃんのお世話仕様に特化しています。

ところが、子ども達の立場に立てば、甘えたい気持ちも当たり前なのです。本来は息子が産休を取って夫婦で支え合ってもらいたいのですが、残念ながら日本はその土壌ができていません。

私は、今まで子育て支援をしてきて、産直後から始まる体の疲れと余裕のなさが、その後の家族のありようにどれだけ影響を与えるかを見てきたので、今回のお嫁ちゃんのお産はまさに私の出番だと思いました。

必要なのはママや赤ちゃんの支援はもちろん、上の子どもや新米パパを含めた家族丸ごとの支援です。特に複数の子どもがいる場合は大変です。でも、そこに1人も取りこぼさない適切な支援があったら、新たな絆が生まれ、お互いを支え合う家族として更なる成長が始まるのではないかと思っています。

これは行政などの支援以前の問題です。パパや祖父母や身近な者が良き理解者になり支援が出来たら、ママの幸せが溢れだし、結果的に家族関係が変わり、社会にも伝播していくのです。

私は4人産んだお嫁ちゃんの幸せそうな顔が見たくて本気で取り組むことにしました。

ただ、お互いの信頼関係がなくて支援を押し付けるのは、また別の大きな問題を生むことも見てきました。一夜にしてその関係は築けません。幸いお嫁ちゃんは私を頼りにしてくれました。それも嬉しい事でした。
(かんなまま)
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赤ちゃんが生まれて1ヶ月が経ちました


新学期が始まる朝、窓を開けたら、真っ白な雪景色!

3人の孫たちは楽しい冬休みが終わってがっかりです。でも、年末に家族も増えたし、令和3年の新しい年が明けたので何だかいつもの朝と違う気がします。そして、これからずーっと「家に帰ったらママと赤ちゃんがいる!」のです。そう思ったら、ずんずん雪の中を歩いて行く元気が出てきました。


早いもので赤ちゃんが生まれて1ヶ月が経ちました。

「今から入院する」という連絡が来て、私は息子のマンションに向かいました。入院中に3人の孫のお世話をするためです。途中でお嫁ちゃんが入院している病院の前を通りました。息子の車が停まっています。きっと、今、分娩中。「頑張れ!」私は出産の無事を祈りながら通り過ぎました。

幼稚園に通っている小さいお兄ちゃんが1時50分に帰ってきます。その前にマンションに着いていなければいけません。どんなお顔で帰ってくるかなあ? 全てを受け入れてあげるために、夕ご飯の用意は家で済ませてきました。事前に子ども達が好きな食べ物を聞いています。ママがいない寂しさが少しでも和らぐように作ってあげようと思っています。

孫達には、ママは赤ちゃんを産むためにしばらく入院する事を伝えています。みんな神妙な顔をして「わかった。ママ、頑張ってね!」と言ったものの、いよいよママが入院すると聞いた時に、いつも気丈な小学1年生のお姉ちゃんが大泣きをしたらしいのです。お姉ちゃんは担任の先生が怖くて学校に行きたくありません。だからママがいないと頑張れないのです。

それを見た5歳の小さいお兄ちゃんまで泣き出して、4年生のお兄ちゃんまで涙ぐんでいたとの事。ばあばではママの代わりになれないけれど、気持ちはわかってあげられるから胸のハートを満タンにして臨みます。

お鍋と、おかずがいっぱい詰まったタッパーを抱えて部屋に入りました。飾りかけのクリスマスツリーがありました。さあ、これも子ども達と一緒に飾ろう!と思いながら部屋を整理していたら、幼稚園バスが来ました。



ガールフレンドと一緒に降りてきた小さいお兄ちゃん。「おかえり!今日はばあばですよ」と手を出すとぎゅっと握り返してきました。いつも、そのガールフレンドとおうちで遊んでいることを知っていたので「ねえ、どうする?お友達と一緒に遊びたい?」と聞くと「うん!」「いいの?」と嬉しそうに答えます。普通の生活リズムを大事にしてあげた方が落ち着くような気がして、お嫁ちゃんのママ友もお誘いして遊ぶ事にしました。冒険遊びの時にお嫁ちゃんと一緒に遊びに来てくれるママなので私もよく知っています。

3時半になりました。お姉ちゃんが学校から帰ってきました。お嫁ちゃんが書置きしてくれているスケジュール表ぴったりの時刻です。私はお姉ちゃんが泣いたことを知っていたので「おかえり。学校に頑張って行けたね。今、ママも病院で頑張っているよ。あとでママの事をお話ししようね」と言いました。

お姉ちゃん同志も同じ学年なので大賑わいになりました。「私が子ども達を預かっている間に食事の用意をしてきていいよ」と、そのママに言いました。同じマンションだから気軽にできる事です。我が子が小さかった時に、こんな風に助け合っていたなあと懐かしくなりました。

4時。お兄ちゃんが学校のランドセルを置きに帰ってきました。今から野球です。お友達のお母さんが送り迎えをしてくれるので大助かりです。あわてておにぎりを作って持たせました。お友達の分も!


6時半になってお友達のパパが迎えに来ました。お友達は「もっと遊びたい!」と、泣きながら帰っていきました。お兄ちゃんも野球道具を抱えて帰ってきました。外はもう真っ暗です。

息子から「無事に生まれた。女の子」という連絡が来ました。みんなでホッとしました。

「さ、お風呂に入りましょう」「その後にご飯よ。今日は皆が好きなコロッケ!食べ放題!!」と言いました。3人でお風呂に入りましたが、お水を掛け合ったりして大騒ぎです。今日は気分が高ぶっているようです。

その気持ちを汲んで「そうだ!ママにメッセージを送ろう!」というと慌ててお風呂から上がってきました。「ママ、赤ちゃん、おめでとう!」という動画を撮って送りました。食卓のセッティングを手伝ってもらって、みんなで「いただきます」をしました。小さいお兄ちゃんはコロッケを5個も食べてご機嫌です。よかった!!


息子はお嫁ちゃんの出産に立ち会って、そのまま勤務です。今日は夜の11時頃になるとか。コロナ禍なので本来は出産に立ち会うこともできないのですが、息子は小児科医として立ち会わせてもらいました。母子の健康を見届けて勤務先に戻ったようです。その後、退院するまで面会禁止です。子ども達にも会えません。第4子なので、お嫁ちゃんにとっては母子水入らずの貴重な時間かもしれません。きっとその方が安静を保てるだろうと思いました。


人の営みとして当たり前のことをきちんと伝える


さて、食事が終わって、今からが本番です。「大好きなママに何が起こっているのか知りたい?」と聞いたら「うん、知りたい!」と、孫たちの体が前のめりになりました。「寝る準備をしてお布団の中でお話ししようか」と言って孫たちの寝室に行きました。でも、「今日は、ばあばと一緒に寝る」というのです。4畳半の狭い部屋にみんなのお布団を持ってきて、ぎゅうぎゅう敷き詰めました。

用意してきた本があります。「ムンメル ~なぜ子どもを産むのか~」(フランシス・ヴェスティン著 ホルスト・ティーロスコルピー写真 アーニ出版 1988年)です。

かつて、我が子に読んで聞かせた本です。古い本ですが、男性と女性が出会って愛し合い、妊娠して赤ちゃんを待つ気持ち、赤ちゃんが生まれるシーン、3人で新しい家族を作る希望まで感じられるドキュメンタリータッチの写真本です。

ページをめくりながらママに置き換えてお話をしました。小さな子どもにもわかる言葉で、うそを言わず、大切な事として話します。特に出産シーンは衝撃でした。「えっ?!、お尻の穴から産むの?」「違うよ。女の人にはお尻の穴とオシッコの穴ともう一つ大事な穴があるのよ。その穴は赤ちゃんが生まれるために通るトンネルのような道でもあるのよ。今日、ママはそこから赤ちゃんを産んだのよ。みんなもその道を通って生まれてきたのよ」と言いました。


「覚えてない」「こんなに大きな赤ちゃんが穴から出てくるの?ママ大丈夫?痛かった?」「どのくらい痛いの?転んだ時ぐらい?」と質問攻めです。「とーーーっても痛かったと思うよ。ママは皆のために頑張ったのよ」「でも、産むために目に見えない大怪我をしたから、しばらくは寝てなきゃダメなのよ」「今頃はホッとして、赤ちゃんを抱いて寝ているよ」と、お話ししました。

そして、「赤ちゃんもママと同じくらい頑張ったのよ。どんな気持ちだったと思う?」と聞くと、「痛かった?」「泣いた?」と真剣に聞く孫達。「痛かったと思うよ。そしてびっくりしたよね。初めて目が開いて何が見えたかな?息をしたかな?泣いたよね~」と話は尽きません。でも、赤ちゃんも頑張ったことを伝えたいと思いました。そして、皆もこうして生まれてきた事と、皆が生まれて来てくれてママやパパ、じいじやばあばがどれだけ嬉しかったかも話しました。

このように、人の営みとして当たり前のことを、きちんと伝えたり、お話をするのはとても大事なことだと思います。特に自分の家族に起こることは自分にとっても大問題です。どんな小さな子どもであっても小さな疑問を尊重してあげたい。そして、自分がここに居る事を祝福、肯定してあげたいと思っています。

早くから名前が決まっていたので、皆でママと赤ちゃんの名前を読んで「頑張ったねー!」と労いました。「この気持ちはきっと届いたと思うよ」「さ、電気を消して寝ようか?」と部屋を暗くしました。

でも、・・・ごそごそ、音がします。誰かが小さな声を出しました。とうとう笑い声が聞こえてきました。誰も寝ていないのがわかるとお布団の中で暴れ始めました。どうも寝るモードになれないようです。さっきの話と現実の出来事に興奮しているのでしょう。寝る前に話したのがまずかったかな?と思いましたが、仕方ありません。明日は休みなので、そのまま寝たふりをしていたら、ますますエスカレートしてきました。

自分のエネルギーを抑えきれなくなって、布団の上で大暴れ始めました。これはいけません。「いいかげんにしなさい!!」と叫びたくなる気持ちを抑えて、どうしたらいいのか頭の中で考えました。

そう言えば、もうすぐクリスマス。孫達もサンタさんにお手紙を書いたらしいのです。子どもが言うことを聞かない時に「ほら、サンタさんが見ているよ!悪い子にはプレゼントを持ってきてくれないよ!」とママ達が脅すことがあるのですが、それはいけません。ばあばは奥の手を用意しています。


「クリスマス・イブのおはなし」(長尾玲子作 福音館書店)「クリスマスの三つのおくりもの」(林明子作 福音館書店)という本は3部作で、それぞれお話が繋がっている楽しい絵本です。これを読むことにしました。

誰も聞いていないけど、ただ、静かに読み始めました。私が絵本に浸ればいいのです。…すると、ばあばの静かな気配に気が付いた孫が耳を澄まし始めました。そして、他の子を制します。・・・しめしめ聞き始めました。ゆっくり静かに読み続けます。エネルギーがおさまるのを感じます。そして続きの2冊目になる時に「寒いからお布団の中で聞いてね」と言ったら素直にお布団にもぐりました。3冊目になる頃には寝息が聞こえてきました。


何て、かわいいのでしょう。子どもなりに大事件に遭遇したのです。もって行き場のないエネルギーが沸き上がってきたのでしょう。怒らなくてよかったと思いました。

息子が夜遅く帰ってきました。お産は順調だったけれど、後産の時に出血して大変だったことを聞きました。「お産の無事を祈っていい?」と許可をもらって祈っていたので何だか安心していたのですが、お産は何があるかわかりません。コロナ禍でのお産。息子が帰った後での出血で心細かったと思います。まずは落ち着いたことを聞いてホッとしました。

さあ、これから始まる留守番の日々。そして、子ども3人と赤ちゃんをお世話する産後の生活が待っています。私も経験があるのですが4人の子どもがいる生活は大変です。それぞれの子どもが自己中心で容赦なくママの愛を求めます。

ママにとっても産後の大事な時です。息子とお嫁ちゃんの両親とチームを組んで家事全般を引き受けて、なるべくママが子ども達に専念できるようにしてあげたいと思っています。私は全力を挙げてお嫁ちゃんの心と体を支援しようと気を引き締めました。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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