ぴょんぴょんの「タリバンとは何ぞや?」 〜私たちは、いかにマスコミにだまされ続けてきたか

 先日、ユリシスさんの記事で紹介された「故中村哲医師が語られていたタリバンの本当の実態の内容」には、現地に暮らした中村哲氏ならではの、貴重な発言がたくさん遺されていて、タリバンの事実を知ることができます。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「タリバンとは何ぞや?」 〜私たちは、いかにマスコミにだまされ続けてきたか

アフガニスタンとはこういう国


アフガニスタンから米軍が撤退して、タリバンの支配が戻ったな。

ニュースで聞いたけど、それ、いいニュース? 悪いニュース?

マスコミは、悪いニュースにしたがっているが。

わかんないよねえ。
ところで、アフガニスタンて、どの辺にあるんだっけ?

出典:外務省

色のついた部分が、アフガニスタンだ。

パキスタン、イラン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン。
ずいぶんたくさんの国に囲まれている。

だからアフガニスタンは、これまで、多くの戦争の舞台になった。
最近の紛争は、911マッチポンプが発端の「第三次アフガニスタン紛争」。

テロをなくすための戦争、が名目だったけど、テロはちっとも無くならないし。
それなら、ほんとの目的は、何だったんだろう?
そして、なんでアフガニスタンは、ビンラディンをかくまったの?
引き渡してたら、空爆されなかったのに。

ビンラディン
Author:Hamid Mir[CC BY-SA]

アメリカは知ってたのさ。
アフガニスタンが、ビンラディンを差し出さないことを。


へえ、なんで?

アフガニスタンとは、そういう国だから。
中村哲氏は言う。
「あちらの慣習法で大切なのが、客人歓待。ビンラディンもいったん客人と認めたからには、米国だろうと敵に客人を渡すのは恥、と考えるんです。」日経ビジネス

へえ、仁義だね。
テロリストであろうと、お客さまである以上、死んでも渡さない。


アフガニスタンを狙っていたアメリカ


時事ブログで紹介された「アフガニスタン: もう一つの秘話」を読めば、アメリカとアフガニスタンの関係がよーくわかる。

うわ! 長くて、とっつきにくいなあ。

だろうと思って、ノータリンでも理解できるように、ザックリと説明してやろう。

うんうん、よろしく♪

まずは、アフガニスタンの歴史だ。
アフガニスタンでは古くから、75%以上の土地を、人口の3%の大地主が所有していた。

すごい、富の集中だね。

だが、1960年代、左派「人民民主党 (PDP)」が誕生して、大きく変わった。
腐敗した独裁政権が追い出され(1978年)、「人民民主党 (PDP)」の新政府が立ち上がった。
「人民民主党」は、アフガニスタンに何をしたのか。
労働組合を合法化し、最低賃金を設定し、累進所得税、読み書き能力向上キャンペーンや、医療、住宅、公衆衛生の充実を図り、部族を問わず、子供や女子への公教育を行った。
どれも、それまでの政権が行おうとしなかったことばかりだ。

アフガニスタン人民民主党旗
Author:Falerístico[CC BY-SA]


アフガニスタンにとって、理想的な政府だった。

その通り。
詩人で小説家のヌール・ムハンマド・タラキが率いる新政府は、「本当の人民政府で、国民は、大きな希望を持って未来を期待していた」し、農民のあらゆる借金も廃止し、大規模な土地改革計画を行った。

ヌール・ムハンマド・タラキ
Wikimedia_Commons[Public Domain]

すばらしい!

また、タラキ政府は、それまで世界の70パーセント以上を生産していたアヘンの原料、ケシ栽培の根絶に動いた。

それも、グー!
アフガニスタン、いい国になってたんだ。
でも、カバールさんたちのお気に召さないかも?

その通り。
地主も、イスラム原理主義者も、アヘン密売人も、タラキ政府に大反対。
結局、CIA雇われのイスラム戦士「ムジャヒディン」を暴れさせ、クーデターを起こし、同じくCIA雇われの政治家が国家権力を奪った。
改革は中止され、タラキは処刑、タラキ支持者も殺害、投獄、追放された(1979年)。
だが、タラキ政府はソ連にSOSを送っており、ソ連がアフガニスタンに侵攻して、CIAは追い出された。


ムジャーヒディーンの兵士達
Author:Erwin Franzen[CC BY-SA]

CIAとソ連のせめぎあいだね。
でも、先にアフガニスタンにちょっかい出したのはCIA。

その通り!
ソ連がアフガニスタンに入る何カ月も前に、アメリカのカーター大統領は、過激派に莫大なカネを提供していた。これは、ブレジンスキーも公認している。

カーター大統領
Wikipedia[Public Domain]

ほえ〜 カーターさんは善玉だと思ってたのに。

だが、ソ連の崩壊に伴って、アフガニスタンからソ連が出ていった後(1989年)、ならず者集団「ムジャヒディン」が、略奪、無差別殺人、強姦で暴れまわった。

CIAが育てた「ムジャヒディン」。

彼らは、40のイスラム教国から集められ、CIAによって訓練された、およそ10万人の過激派集団で、その中に、サウジアラビア生まれの大富豪、オサマ・ビン・ラディンがいた。

なるほど、それで、ビンラディンはアフガニスタンにいたんだ。

「ムジャヒディン」はケシ栽培を再開させ、CIAのパートナー、パキスタンISIはアフガニスタンに、何百ものヘロイン工場を作った。そして、パキスタン-アフガニスタン国境は、世界最大のヘロイン生産地となった。

CIAめ!

そんな混迷のアフガニスタンに、タリバンが登場する。

ますます、ヤバい!

う〜ん、聞いて驚くな、実はタリバンは正義の味方だった!

ウッソ〜!!

タリバンの始まりは、最高指導者ムハンマド・オマルが開いたイスラム神学校の生徒。
つまり「タリバン」とは、アラビア語で「学生たち」という意味だ。

ムハンマド・オマル
Wikimedia_Commons[Public Domain]

始まりは、学生たちだったんだ。

彼らは、暴力集団「ムジャヒディン」に誘拐された2人の少女を救い出すために立ち上がり、無事に少女を救出し、地元の住民たちから「正義の味方」として歓迎された。(ホンシェルジェ
タリバン指導者のムハンマド・ウマルは言った、
「アフガンに安全と平和をもたらす真のイスラーム国家を建設するために立ち上がった」。
YAHOO!ニュース

ほんとだ、正義の味方だ。

中村哲氏も言う、タリバンは、略奪、強姦、無差別殺人の大半を終わらせたと。
タリバンは訳が分からない狂信的集団のように言われますが、我々がアフガン国内に入ってみると全然違う。恐怖政治も言論統制もしていない。田舎を基盤とする政権で、いろいろな布告も今まであった慣習を明文化したという感じ。少なくとも農民・貧民層にはほとんど違和感はないようです」(日経ビジネス
さらに、中村哲氏は言う。
タリバンが政権を取ってから、アフガニスタンに平和が戻り、ホッとした。
タリバンは賄賂を取らないし、クリーンだし、タリバンが来てから犯罪がなくなった。
アフガニスタンで権力を握った連中で、タリバンが一番血なまぐさくなかった。
表向きは怖いけども、ほとんどは非常に穏やかで、超紳士的なグループだと。
中村哲が14年にわたり雑誌「SITE」に語った6万字

意外すぎて頭グラグラするけど、実際に現地に暮らした中村哲氏が言うなら、そっちが本当だね。
じゃ、よく聞く「北部同盟」って何?

「北部同盟」は、反タリバンで結集した「ムジャヒディン」のこと。
東洋経済
つまり、「北部同盟」≒「ムジャヒディン」=CIAお抱えのならず者集団。

なるほど。

中村哲氏は言う。
北部同盟はカブールでタリバン以前に乱暴狼藉を働いたのに、今は正式の政権のように扱われている。彼らが自由や民主主義と言うのは、普通のアフガン市民から見るとちゃんちゃらおかしい。カブールの市民は今、米軍の空爆で20人、30人が死んでも驚きません。以前、北部同盟が居座っている間に、内ゲバで市民が1万5000人も死にましたから。」(日経ビジネス

「北部同盟」って、ヒドかったんだ。

タリバン政権は、2000年には、アヘンの材料ケシ栽培も根絶した。
が、911で、タリバンが追い出されてから、アフガニスタンのケシ栽培は劇的に増えた。

Wikimedia_Commons[Public Domain]

あ〜あ。
それも、CIAの狙いだったんだろうねえ。

ケシ以外にもCIAは、中央アジアの石油やガス資源も狙っていた。
なんとそのためにCIAは、911の10年も前に、中央アジアの軍事駐留を検討していたんだと。(マスコミに載らない海外記事

なあんだ、
アフガニスタンの軍事侵攻は、911による突発的なものじゃなくて、アメリカがずっとしたかったことだったんだ。
でも、そんな野望のために、アメリカもアフガニスタンも多くの人を亡くした。

アメリカは、アフガニスタンを狙っていた。
アフガニスタンは戦略的に重要な位置にあり、ここからイラン、中央アジア、ウイグル自治区などへテロリストを送り込む拠点なのです。また資源の宝庫であり、“アフガニスタンとパキスタンをまたぐ山岳地帯は世界最大のケシ栽培地になっている”ことから、米軍の撤退は、CIAの工作資金が消滅することも意味しています。」(時事ブログ

じゃあ、今回アメリカ軍が撤退して、CIAは麻薬の収入が減ってしまったのか。

そんな汚いカネのために起こされた戦争は、あまりに大きな損失だった。
「アフガニスタン紛争は、アメリカが建国して以来もっとも長い戦いとなり、2018年10月までで約14万6000人の命が失われたといわれています。」
ホンシェルジェ
アメリカがアフガン駐留に使った経費は、1兆ドル以上(2019年まで)、
アメリカ兵の犠牲者は2300人を上回った。
YAHOO!ニュース
日本は、7000億円以上をアフガン支援に費やしている。(Buzzfeed News


そのおカネ、そっくり、中村哲氏のペシャワール会に渡したい!
これからのアフガニスタンはどうなるんだろう。

タリバン政府は「民主主義は導入しない」と言っている。
アフガンには「民主主義の土台がない」から、自分たちに合った、イスラム法に基づく統治を敷くと言ってるから。(日本経済新聞

外野がいろいろうるさいだろうけど、その考えを尊重したいね。
「民主主義」を掲げる国ほど、ちっとも本物の「民主主義」じゃないしね。
自分たちが幸せに暮らせるのが一番だもの。

これまで、さんざん苦労してきたアフガニスタン。
これからは農業牧畜のアフガニスタンらしく、穏やかに暮らして欲しい。



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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