「スペースX」は、ウクライナ軍がロシアとの戦争で無人機(ドローン)操縦に同社の衛星通信サービス「スターリンク」を利用するのを防ぐ措置を取った / ロシアはNATO衛星接続を無効にした

竹下雅敏氏からの情報です。
 記事は下から順にご覧ください。米宇宙開発企業「スペースX」の社長兼最高執行責任者(COO)を務めるグウィン・ショットウェル氏は2月8日に、“ウクライナ軍がロシアとの戦争で無人機(ドローン)操縦に同社の衛星通信サービス「スターリンク」を利用するのを防ぐ措置を取った”ことを明らかにしました。
 スターリンクを無人機と一緒に使うことはウクライナ政府と結んでいる契約の範囲を超えていると指摘し、「ウクライナは想定外に、またいかなる合意にも基づかない方法でこれを利用した」と述べています。
 スペースXの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏は、2月13日に「第三次世界大戦につながる可能性のある紛争のエスカレーションは許可しません。」とツイートしています。
 しかし、アントニー・ブリンケン米国務長官は2月18日に、“米国政府がウクライナでのスターリンク衛星インターネットの使用についてイーロン・マスクと話し合ったと述べた”ということなので、今後の成り行きを見ておく必要があります。
 2月14日の記事で、「ウクライナ軍がドローンを使ってロシア兵に化学兵器を積極的に投下している」という事実をお伝えしました。先のイーロン・マスク氏のツイートは、ウクライナ軍による化学兵器の使用を念頭に置いた発言かも知れません。
 しかし、冒頭の記事が事実なら、“ロシアはNATO衛星接続を無効にした”ようです。これまでウクライナが曲がりなりにもロシアの前進を阻んできたのは、スターリンク衛星インターネット端末によって、NATO の衛星データや分析情報にアクセス出来たからです。
 これまでロシア軍は、ウクライナの標的に一斉射撃を行い、報復射撃を避けるために「撃って逃げる」しかなかったわけですが、これからはまずスターリンクの端末をすべて破壊することが可能になり、ウクライナはロシアの前進を阻むことができなくなります。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ロシアは戦場でNATOの衛星通信を無効化した
引用元)
(前略)
この数ヶ月、ウクライナ側がロシア軍を封じ込めることができた唯一の理由は、モバイルインターネットを通じてNATOの衛星データや分析情報にアクセスし、大砲やロケットシステムがロシアの装備や部隊を正確に狙えるようになったからである。
(中略)
このデータは、イーロン・マスクが1000kmの前線に沿って設置した2万台の衛星インターネット端末「スターリンク」から送られてきたものです。
(中略)
セストロレツク軍事工場で働くロシアの優秀な若い技術者や科学者の努力によって(中略)… 新しいボルシェビック型トラック搭載システムは、180度のセクターと半径10kmのアクティブスターリンク端末を、5mの精度で見つけることができるのだ。これはパッシブシステムで、信号を発しないため、信号で探知されることはない。トラックは小さな動く標的で、システムは静止しているときは2分、ある地点から別の地点へ移動するときは15分で、一度に最大64台のスターリンク端末を標的として仕事をします。その情報は自動的に大砲やミサイルの砲台に送信される。
 
ボルシェビックは、慎重にカモフラージュされた大砲基地だけでなく、インターネット中毒の外国人傭兵やウクライナの歩兵部隊の密集地も突き止めることができた(彼らは、NATOからどこに行き、どの方向に攻撃を向けるかを指示されなければ戦うことができない)。そして、これらの陣地は、多連装ロケットシステムやクラスノポールのような誘導ミサイルシステムを使って壊滅させられた。
(以下略)


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第三次世界大戦は起こさせない マスク氏、「スターリンク」の使用一部制限にコメント
転載元)
画像はシャンティ・フーラがツイートに差し替え
© AP Photo / Benjamin Fanjoy

米実業家のイーロン・マスク氏はツイッターで、自身が率いるスペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」を紛争のエスカレーションに使用することを許可しないと表明した。マスク氏は、元宇宙飛行士のスコット・ケリー氏がウクライナにおける「スターリンク」の完全な機能回復を求めた投稿にコメントした。

これに先立ち、スペースXのグウィン・ショットウェル社長は、ウクライナでドローンの操縦をはじめとした軍事目的で同社の「スターリンク」を使用することを制限したと発表していた。
 
マスク氏は「スターリンク」について、民間利用を目的としていると強調した。同氏はまた、スペースXはウクライナで「衛星の接続を断つ権利を行使しなかった」と付け加えた。

「スターリンクはウクライナの通信ネットワークにおける基幹回線網だ。特に他のほぼすべてのインターネット接続が破壊された前線において。しかし我われは、第三次世界大戦につながるおそれがある紛争をエスカレートさせない」

ウクライナ国防省は1月、攻撃用ドローン(無人機)を操作する中隊を創設すると発表した。新たな部隊には、「スターリンク」衛星通信、ドローン、弾薬が提供される予定だった。

スペースX社は、ロシアによるウクライナでの特別軍事作戦開始以来、スターリンクの衛星端末2万台超をウクライナ政府に提供している。 ロシア外務省は以前、低軌道上にある民間衛星は、ロシア軍の位置、移動経路、行動を明らかにする他、無人航空機を制御し、標的に対して宇宙から爆弾を誘導するといった、純粋に特定の戦闘任務に使用されていると指摘した。
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「スターリンクは兵器ではない」スペースX社がスターリンクの利用を一部制限
転載元)
米宇宙開発企業「スペースX」が、ウクライナ軍が攻撃目的の軍用ドローンの操縦に同社の衛星通信サービス「スターリンク」を利用することを制限する措置をとったことが分かった。ロイターが、同社のグウィン・ショットウェル社長の言葉を引用して報じている。

ショットウェル氏によると、スターリンクを兵器化をする意図はかったが、ウクライナ軍は「いかなる合意にも基づかない方法で、意図せず」そのような目的で使用したという。
 
同社は、スターリンクがウクライナ軍の通信用として使われることはあっても、攻撃用として使われることはないとみていた。また、ショットウェル氏は、具体的な制限措置に関する説明は控えた。
(中略)
2022年10月、スペースXのイーロン・マスクCEOは、和平案をめぐりウクライナ当局と対立した。その後、ウクライナでスターリンクを展開するために8000万ドル(約105億円)を費やしたと明らかにした。また、同社はスターリンクへの資金提供を米国防総省に要請したが、その後すぐにその要請を取り下げている。

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