ぴょんぴょんの「スーダンで今?」 ~ロシア、中国から中東を取り戻したいアメリカ

ある日いきなり飛び込んできた、スーダン内戦のニュース。
なんでスーダン? なんで今?
もしかして、ウクライナの戦況を隠すため?
まさか、これも代理戦争?
実は2年前、スーダンは紅海にロシアの海軍軍港を設置し、
その見返りに防空と武器供与を受けることで合意していた。
それが、4月にスーダンの軍事政権が文民政権に移行した後、実行されることが決定したのが2月9日。
ところが、その2ヶ月後のクーデター。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「スーダンで今?」 ~ロシア、中国から中東を取り戻したいアメリカ

軍事政権が、 4月1日に文民政府にバトンタッチするはずだった



あ〜あ、ウクライナだけじゃなくて、スーダンでもドンパチ始まっちゃったよ。

戦争やりたくてたまらないヤツらが、いるからな。

あれは、単なる政府内の内輪もめだって聞いたけど?

たしかに表向きは、大統領のアル・バーハン陸軍司令官が率いるスーダン国軍と、副大統領のダグロ司令官、通称「ヘメッティ」が率いる準軍事組織「迅速支援部隊:Rapid Support Force」略してRSFの戦争に見える。

つまり、スーダン政府の大統領と副大統領の戦い。
やっぱ、内輪もめじゃん。

そういう単純な話じゃねえのよ。

まさか、またアメリカが絡んでるとか言わないよね。

言う!

言い切ったよ!

戦闘が始まった4月15日の2週間前、スーダンは大きな変革を遂げるはずだった。
2021年10月のクーデターから続いた軍事政権が、 4月1日に文民政府にバトンタッチするはずだったんだ。


4月1日、とっくに過ぎてるけど?

うまく行かなかったんだよ。
文民政府に移行するには、政治から軍隊を切り離さなければならない。
つまり、現行の軍隊を改革しなければならない。

それで、それぞれが軍隊を率いる大統領と副大統領がもめて、戦争になった。


ロシアに対抗するアメリカの構図


だから、そういう単純な話じゃねえのよ。
いいか?
ここでもウクライナみたく、ロシアに対抗するアメリカの構図が見えるのよ。
「2ヶ月前の2月9日、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がアフリカのスーダンを訪問した。 そのとき議論されたトピックのひとつが、紅海にロシアの海軍基地を設置することだった。その話し合いから2ヶ月後の今、アメリカはスーダンで軍事クーデターを煽り立てている。」
(HAL Turner Radio Show)


わかりやすい!!
スーダンの大統領がロシアと手を組んだから、副大統領の率いるRSFを暴れさせたのか。
それだけアメリカは、中東でロシアが優位に立つことがイヤだったんだね。

だって、
「アメリカはこの惑星の勝ち犬であり、アメリカを動かしている人々は、他の誰かが私たちを失脚させることを『許す』つもりはないのだ。」
(HAL Turner Radio Show)

もう、アメリカはいいかげん、そうゆう妄想は捨ててよね。
だけど、これなら話が通るし、言われてみれば「なあんだ」って感じ。

だろ?


分割統治されたスーダンの歴史


聞いていい?
大統領と副大統領がそれぞれの軍隊を持っているって、おかしくない?
なんで、一つの国に二つの軍隊があるの?

たしかに、おかしい。
が、それを説明するには、スーダンの歴史を逆上らねばならない。

よろしく〜。

1989年、クーデターによって、オマル・アル=バシールが大統領になった。

オマル・アル=バシール大統領
Wikimedia_Commons[Public Domain]

アル=バシール?
検索したら、「独裁者」って出てくるけど?
「世界最悪の独裁者ランキング」で、2005年 - 2007年度にかけて3年連続の第一位に選ばれてるよ。(Wiki)

たしかに彼は、全ての政党や労働組合などを禁止し、報道を抑圧し、議会を解散させたと書いてある。
だが、世界中で「独裁者」と呼ばれているのは、どういう連中だった?

あ、アメリカが嫌う人たち。

そのとおり。
アル=バシールは、イラクのサダム・フセインやリビアのカダフィとも仲良かったと言う。

と言うことは、国民から見たらいい大統領だった?

わからん。
言論封鎖も反対派いじめもやったらしいが、2019年末にクーデターで倒されるまで、30年も大統領を続けてたんだから、どうだろう?

へえ、30年も?

ところで、「独裁者」アル=バシールは、当時まだスーダンの一部だった南スーダンの独立と、スーダンの西にあるダルフール地方の反乱に頭を悩ませていた。

西側にあるダルフール地方(黄緑色)
Author:Idaltu[CC BY-SA]

なんで、スーダンはそんなに平和じゃないの?

南スーダンの話を覚えてるか?
スーダンは、19世紀末にイギリスに統治されてからおかしくなったのよ。

思い出した! 分割統治だね。

スーダンは北はアラブ系、南はアフリカ系で、北と南で民族がちがう。
そこでイギリスは、北はイスラム教、南はキリスト教、北は高等教育をさせ、南は高等教育をさせないというように、わざと格差を作った。
そしてその結果が、世界最悪の人道危機と呼ばれる「ダルフール紛争」だ。


思い出した!
たくさんの人が餓死したり、死んだんだ。

南ダルフール州ニヤーラー付近のキャンプ
Wikimedia_Commons[Public Domain]

そう、ダルフール地方は砂漠地帯で水が少ない土地だ。
元々住んでいたアフリカ系農耕民と、後から来たアラブ系遊牧民との間で、水を巡る争いが絶えなかった。
なのに、アラブ系が牛耳っていたスーダン政府は、アフリカ系住人を差別して経済的に追い詰めた。


そしてついに、アフリカ系住人たちが蜂起したんだよね。


スーダン政府公認の「悪魔の兵士」


それに対してスーダン政府は、アラブ系住人の恨みを利用して、アフリカ系住人の殲滅を図ろうとした。
そこで結成されたのが「ジャンジャウィード」。

ジャンジャウィード!


ヤツらは、スーダン政府公認の「悪魔の兵士」と呼ばれるならず者集団だった。
軍が空爆した村に押し寄せ、逃げまどう村人たちを捕まえ、ジハードの名の下に拷問、レイプ、惨殺のやりたい放題。
命からがら逃げた村人たちも、果てしなく干魃が続く土地をさまよい、死に絶えていった。
45万人が殺害か餓死、200万人が難民となったと言う。

ラクダに乗るジャンジャウィードの兵士
Wikimedia_Commons[Public Domain]

文字通り「悪魔の兵士」。

そして、現在スーダンの副大統領を務めるヘメッティは、なんとジャンジャウィードの司令官だった。

モハメド・ハムダン・ダガロ将軍(ヘメッティ)
Author:Russian Government[CC BY]

ひょええ〜〜!!

「要するに、ダルフールの反乱を打ち破ったのは彼(ヘメッティ)なのです。彼は、地元の地形をよく知り、地理をよく知り、ダルフールの農村に恨みを持つ効率的な戦闘部隊を集めることができたのですから。」(The Guardian

拷問、レイプ、惨殺のジャンジャウィードを率いていたヘメッティが、今やスーダンの副大統領!

後に、ジャンジャウィードはRSFになり、ヘメッティが司令官となった。

RSFに変わって、まともになってればいいんだけど。

名まえが変わっても、中身はヤクザのまんま。
2015年のヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によると、RSFは村を強制的に追い出し、井戸を破壊し、家畜を略奪するなど、恐ろしい虐待を行った。
民間人に対する最もひどい虐待の中には、拷問、超法規的殺人、集団強姦があった。(The Guardian

変わってない。


裏切り者のヘメッティ


「独裁者」アル=バシールのふところ刀だったジャンジャウィード、名を変えてRSF。
だが、アル=バシールにかわいがられていたヘメッティは、2019年末のクーデターで、現大統領アル・バーハンと組んで、アル=バシールを倒したのよ。

アブドゥルファッターハ・アブドッラフマーン・ブルハーン(アル・バーハン)
Author:Kremlin.ru[CC BY]

裏切り者だ!

そして、アル=バシールが倒れた後、現大統領アル・バーハンがトップに立ち、ヘメッティは副官に昇格した。
この政権が2年間続いた後、再びクーデターが起こり、再度、アル・バーハンが国家元首、ヘメッティが副首となって現在に至っている。BBC

ヘメッティはずうっと、有利な方に付いていた。
今度も、アメリカが有利だと思って、ロシアを優遇する大統領に反発したのかな?

かもしれない。
だが、ヘメッティは昨年までは、ロシア寄りに見えた。
ヤツはモスクワを訪問して「今回の訪問を通じて、スーダンとロシアの関係をより広い視野に進め、さまざまな分野での協力関係を強化したい」と述べたり(REUTERS)、スーダンの金鉱採掘と治安維持で、ロシアの傭兵組織ワグナーとビジネスもしていた。(The Washington Post)

なのに、寝返った?

そういうヤツだよ。
クーデターの2日前にアメリカと会ってたとしても驚かねえ。


おおおお!!
アメリカはISとか、コソボのならず者集団KLAとかが好きだね〜。

類は友を呼ぶ、だな。
アメリカを世界の頂点から引き摺りおろそうとする者は誰でも潰され、殺される。
アメリカは、平和的手段や賄賂で欲しいものを手に入れることができないと、 経済制裁、貿易戦争、不正選挙、あるいはスーダンのように、ウクライナのように政府を転覆させるからな。
(HAL Turner Radio Show)

もういいかげん、そうゆう妄想、諦めてほしいんだけど。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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