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ぴょんぴょんの「クマと人間」 ~大瀬初三郎さんと「熊仙人」横田博さんの考え方
指名手配になった怪物クマOSO18
いやいや、目撃された北海道「オソツベツ」の地名と、前足幅18cmからつけられたコードネームだ。OSO18に襲われた牛は66頭と推定される。(Wiki)「OSOは、栄養価の高い牧草を食べることで道東で爆発的に増えたエゾジカを食べて肉の味を覚え、(中略)...牛を襲うようになった。そして人間の側がその捕獲にてこずっているうちに、人間のことを学習し、その危険を巧妙に避ける術を身に着けた。それがOSO18という“怪物”の物語である。」(PRESIDENT Online)
ライフルで首に1発、頭に2発…“怪物ヒグマ”OSO18はなぜ逃げなかった? “最期のシーン”に隠された謎を追う | 文春オンライン https://t.co/3RFm0ydp7X pic.twitter.com/bGRvnFYvB5
— 毎朝新聞 電子版 🦅 (@maicho_jp) August 26, 2023
増え続けるクマによる人的被害
だが、人への被害は放っておけねえ。クマによる人的被害は、これまでは最も多くて年に158人が、2023年はすでに190人で過去最多。しかもそのうち5人が亡くなり、山奥だけじゃなく、市街でも被害が起きている。
クマは本来、臆病なので人を避けて暮らしている。だから、移動する時も、茂みなどに隠れながら移動する。それが近年、高齢化、過疎化によって、耕作放棄地など、草ボーボーの場所が増えた。しかも、どの家の柿も実ったままで誰も収穫しない。
独自の取り組みをしている自治体もある。たとえば兵庫県、市街地にクマが出没したため狩猟を解禁し、わなで捕獲したクマを麻酔で眠らせ、マイクロチップを埋め込んで山に放している。それによって、クマの生息数を把握し、管理可能な「800頭」を目安に駆除する頭数を決めている。その結果、兵庫県はこの2年、クマのエサとなるブナの実が「大凶作」になっても、クマによる人的被害は1件も出ていない。(NHK)
また、長野県軽井沢町では、クマの保護管理をNPO法人に委託している。こちらも、わなで捕獲したクマに発信器を取りつけて行動を追跡している。また日中、人とクマのの緩衝地帯にクマが来ないように、特殊訓練を受けた犬「ベアドッグ」を使って見張っている。(NHK)
国も考えている。従来なら、猟銃使用が禁止されている住宅地や市街地でも、クマ被害のおそれがある場合、クマが建物に立てこもっている場合は、警察官の指示がなくても、特例的に猟銃が使えるようになるそうだ。(NHK)
その猟銃を扱う猟友会も困っている。北海道猟友会会員「(支払われる料金が)低すぎます。命を張っているので。低すぎます。絶対出ません。(自分が)その金額で 出てくださいっ(ママ)言われて命張って出ます?っていう話だと思うんですよね」。(YAHOO!ニュース)
それに、駆除すりゃいいってワケじゃねえ。クマが減りすぎても、自然界のバランスが崩れてどんな悪影響がでるか。「広大な森林が屋台骨となっている日本列島。クマが絶滅するときは山が死滅するときであり、その次にはこの国に暮らす人間に大きな困難が襲ってくるかもしれません。」(tenki.jp)
クマとの共存と対策
ロシアには「クマパトロール」がいる。「パトロール隊は主に、クマを居住区から追い払い、クマが出没する可能性があることを住民に知らせ、安全対策を人々に知らせるほか、クマの巣穴を数えたり、クマの状態を調査したり、(クマのエサの)セイウチの個体数の調査をするなどのモニタリングに参加している」。(RUSSIA BEYOND)
「クマを驚かせるには叫び声をあげ、槍を振りかざして見せるだけ」。除雪車のモーター音のような大きな音も、照明弾のようなまぶしい光も、有効だそうだ。(RUSSIA BEYOND)
ちなみに、おれもネコ同士のケンカを止めるために、コードレス掃除機をブンブン鳴らしたり、でっかい懐中電灯を目に当てたりして、解散させたわ。
ちなみに、おれもネコ同士のケンカを止めるために、コードレス掃除機をブンブン鳴らしたり、でっかい懐中電灯を目に当てたりして、解散させたわ。
高齢者だってクマを追っ払うことができる。散歩中にクマと出くわした70歳のロシア女性は、後ろ足で立ち上がって威嚇するクマに対して、地面から拾い上げた石を握って振りながらクマを追っ払った。クマは近寄ることもなく森の中へ戻ったという。(YAHOO!ニュース)
「ヒグマを叱る男」 ~漁師の大瀬初三郎氏
その番組、見たことある! 大瀬さんの「こらー!」って言う、本気で怒ってる声がスゴかった。スタコラ逃げていくヒグマが、かわいく見えたくらい。あの雄叫びは、「こっちに来んな!殺されるぞ!」という、大瀬さんのヒグマに対する愛の叫びだった。
1964年23歳の時、知床のルシャ地区で定置網漁を始めた大瀬氏。その一帯はもともと約60頭のヒグマが住んでいて、昼夜を問わずに出没した。知床は国立公園だが、ヒグマが発見されれば駆除するのが一般的だった。大瀬氏もハンタ-に駆除を頼んだが、「命を奪った」ことに後味の悪さを感じたと言う。
大瀬氏「クマの目をじろっとにらんで、にらめっこ負けしないこと。腹の底から大声を出し、勇気をふるって足を前に一歩、踏み出す。クマは強い者勝ちだから、クマより俺の方が強いという暗示を与えておかなければだめ。そして、絶対に餌を与えないこと。一回与えたらいつでも貰えると思うようになる。つまり、あんまり親しくしないことが肝心なのさ。ルシャで襲われた者はひとりもいない」。(ヒカリノミチ通信)
昨日BSで『ヒグマを叱る男』と言う番組を観た(再放送)世界自然遺産の知床ヒグマ密集地で漁師をしている大瀬初三郎さん84歳…『コラッ!来るな!』の一言で巨大なヒグマを追い払う…此処ではヒグマ襲撃事故は一度も無いと…その為には絶対に人から餌をあげては駄目だと…🐻#ヒグマを叱る男 pic.twitter.com/X2m4bkHsqk
— samongachi (@samongachi) July 29, 2020
「干したホッケを狙ってヒグマが浜の小屋に来れば、大瀬初三郎さんは『クマにも躾が必要』と棒一本でヒグマを追い払う。まるで飼い犬を躾けるような雰囲気で行っているが、相手は野生のヒグマなのだ。」(APPLE&CINNAMON)
それを証明するエピソードがある。2年続きの不漁で餓死するヒグマが相次いだ年、栄養失調で死んだ子クマの体をなめ続けていた母クマが、やがて我が子を置いて立ち去った。大瀬氏「非情な顔を見せつける大自然。これも自然界の掟さ」。そこで、彼がしたことは? 海岸に流れ着いたイルカの死骸をロ-プでつなぎ止めた、すると、飢えたクマたちがむさぼるように食らいつく。「いっぱい、食ったな」と、大瀬氏はうれしそうに見守ったと言う。(ヒカリノミチ通信)
30年近くクマを撮影した「熊仙人」こと横田博氏
【10日夜7時半 #ツキノワグマ 】
— ダーウィンが来た! (@nhk_darwin) June 9, 2018
本州最大の陸上動物ツキノワグマ。
動物カメラマン横田博さんは、その姿を30年近くも撮り続けてきた。
1000時間を超す超貴重な映像から、ツキノワグマの素顔に迫る。
クマのイメージがちょっと変わるかも。
予告&動画→https://t.co/puCi6slNnZ#ダーウィンが来た pic.twitter.com/SBFAvvtcYQ
「『クマに会って怖いと思ったことはないな。眼の前にクマが落ちてきたことはあるけどな』と笑う横田さんはまさに『熊仙人』でした。」「ある時、足尾でカモシカを撮影していた時、ファインダーを覗いていたらいきなりクマが入ってきた。そのときに『自分はクマに選ばれたんじゃないか』という思いが湧いてきてな。そこからずっとクマを取り続けているよ。」(輝き人No.17)
そんな熊仙人は、クマが人間を襲う事件についてこう語る。「なぜクマが人を襲うようになったのかを探るのではなくってさ、今までなぜ人を襲わなかったのか。クマにブレーキをかけていたのは何だったのかを考えた方がいいんでないか?」(Forbes)
「クマがエサを求めて山から下りてきた」「クマの好物のブナの実の豊作・凶作が、クマの出没に関係がある」と言われることに対して、熊仙人は首をかしげる。「クマは新鮮なものだけを食べるわけではないんだよ」「鹿が植樹した木の皮を剥ぐ被害が増えて、年間5,000頭の鹿を県は駆除している。以前はハンターが鹿を仕留めると、持ち帰ってジビエ用に売っていたけれど、最近では数も多いこともあって、撃ったらそのまま放置していることが多い。過去に大雪による鹿の大量死が起きた時、死骸の匂いを追って、クマが移動してきて増えたこともあったよ」。(Forbes)
クマは雑食だから、木の実の豊凶だけが原因とは考えにくい。ちなみに共食いもする、子クマも食べる。横田氏はその証拠映像をNHKスペシャルに提供している。「ジローと名付けたメスのクマがいて、子供と一緒にカラマツの木に登っていたんだよ。そしたら、巨大なオスのクマが現れて、猛然と木に登ってジロー親子を襲おうとする。子供を守ろうとしてジローはオスと取っ組み合いになり、木から落ちると、取っ組み合いをしたまま山の斜面を転げ落ちていった。ジローがオスの足をがぶりと噛んで抵抗したんだけど、オスはジローを振り切り、ものすごいスピードで斜面を駆け上がると、木に登って子供を食べてしまった。離れたところからジローが呆然とした姿で、子供が食べられるところを見ていたね」。(Forbes)
さらに熊仙人は、クマが人間を襲う別の要因もあると言う。「どこの山でも登山者が増えたね。(中略)...山の奥深いところは若いクマでさえ入らない。そこはエサが豊富で、一番強い巨大なクマの縄張りだから。そこに登山者たちが入り込むと、人間を恐れるクマが追い出されるように山奥から出てきたんだと思う。以前は、人間社会とクマ社会がお互いを警戒して、住み分けていた。ともに学習するから、互いの領域には入ろうとしなかった。そこが崩れたんだと思うよ」。(Forbes)
また、人間の歩き方にも原因がある。「人間が現れると、クマは人を恐れて林の中に潜む。人間が歩いて立ち去るのを待つんだけど、山菜取りに来る人間は一定方向にまっすぐ歩かない。山菜を探しているから、行ったかと思ったら、また戻ってきたり、右に左に歩き、それを見たクマは自分に向かってきたと驚くんだよ」。(Forbes)
たとえば、牛舎にデントコーンを食べに来たツキノワグマ。オスが食べる間、母クマと子クマはオスがいなくなるのを待っている。食べ終わった母子クマは、夜明け近くに林を通り抜け、川に辿り着く。しかし、そこには釣り人がいた。驚いた釣り人が声をあげたため、クマも驚いて釣り人の目をめがけて前足を振り下ろした。(Forbes)
熊仙人の言うことはすべて、実体験に基づいている。クマの生態について、「ある時、ドングリの木に登って食事をしている熊を撮影していたら、クマがこっちに気付いて唸り声をあげながらじっと動かなくなってしまった。こっちも動かずに撮影を続けてな。お互い1時間くらいじっと動かないでいたかな。俺が少し場所を変えようかと動いた瞬間に、クマが木から飛び降りて一目散に逃げて行ったよ。動物は相手が動いた瞬間が何かしらの行動のきっかけになるということを学べたな。」(輝き人No.17)
巨大クマと23年間も一緒に暮らしてきた夫婦。猛獣とは思えないほどの甘えん坊で夕食も一緒に食べる熊の姿に驚愕【感動】
最近も秋田県鹿角市で、山林で行方不明になっている人を捜索していた警察官2人が、クマに襲われてけがをしたそうです。(NHK)
そういうニュースのたびに、クマの駆除が叫ばれるのが、つらいです。
クマと言えばくまのプーさん、テディベア、リラックマ、くまモン、はたまた経筋体操のクマタンに至るまで、愛されキャラで「かわいい」の代名詞ですが、自然界のクマはかわいいどころかコワイ存在です。
かと言って、かつてのニホンオオカミのように駆除して絶滅させればいいはずがない。