————————————————————————
ぴょんぴょんの「青鳥運動のゆくえ」 ~台湾独立を叫ぶ新総統と、過半数にあぐらをかく中国寄りの野党
中国をピリつかせる頼総統の就任演説
【解説】 中国の軍事演習から分かること 台湾の新総統が本当に嫌い - BBCニュース https://t.co/wJuFSTNtrC
— やまつ (@yamatsu) May 25, 2024
発言を読めばわかる。たとえば、頼氏「中華民国憲法によれば、中華民国の主権は国民全体に属し、中華民国の国籍を有する者は中華民国の国民です。このことからもわかるように、中華民国と中華人民共和国はお互いに隷属しないのです」。(YAHOO!ニュース)
だろ? 「中華民国の国籍を有する者は中華民国の国民」と言うと、まるで台湾は「国」として認められているように聞こえる。また、頼氏「中国はまだ台湾を侵略するための武力行使を放棄していないため、中国の提案を全面的に受け入れ、主権を放棄したとしても、中国による台湾併合の試みはなくならないことを理解すべきでしょう」。(YAHOO!ニュース)
香港でやって失敗した、「一国二制度」のことだな。香港の先例によって台湾は、「一国二制度」が信用できないことを悟った。さらに、頼氏「世界の民主主義国と肩を並べて共通の平和共同体を形成し、抑止力による平和と戦争回避を実現しなければなりません」。(YAHOO!ニュース)
中国の言ってることも一理あるからな。中国の台湾担当報道官は、頼氏の就任演説について「徹頭徹尾、台湾独立派の自白だ」と述べ、「(台湾は)中国の発展を牽制したい外部勢力のお先棒を担ぎ先兵となっているが、台湾問題は純粋に中国の内政で外国の干渉を許さない。」(YAHOO!ニュース)
前途多難な民進党
#台湾🇹🇼改革法案を巡り 国会内で何度か暴力衝突が発生💥
— 望山月 (@wangxiang2021) May 24, 2024
17日,与党·民進党が議事妨害を繰り返し,女性議員が後ろから #立法院 院長(議長)を抱き付かせたり、応接室に軟禁したりした
21日と24日にも激しい衝突#頼清徳 総統は、野党に抗議するため,国会を包囲中の支持者たちに感謝の言葉をかけた#政治 pic.twitter.com/CL2XD0OSHq
民衆党ってどんな政党?
2014年3月に台湾でおきた、学生らによる立法院占拠事件。台湾市場を条件付きで中国に開放する「中台サービス貿易協定」の審議を、国民党の馬英九政権が、民進党の反対を押し切って強行採決した。これに抗議した100人以上の学生が、立法院を24日間占拠して審議のやり直しを求めたのがひまわり運動。これにより、国民党は統一選挙で大敗、内閣総辞職に繋がり、政権交代に至った。(Wiki)
野党が提出した改正法案
このヒトは台湾じゃ、お騒がせの有名人だ。たとえば2019年、習近平が「一国二制度」による台湾統一を掲げて、台湾がピリピリしていた頃、韓氏は高雄市長という公の身でありながら、香港の中国政府の出先機関を訪問したことで物議を醸した。それが元で、2020年の総統選挙に出馬するも、蔡英文氏に敗れた。その後、高雄市長をリコールされ、住民投票の結果、失職。とまあ、こんなヒトが、1月の選挙で国民党比例代表1位で当選したんだなあ。(NHK)
おそらく、中国と太〜いパイプをお持ちなんだろ。それより、大きな問題が、国会開始早々に野党が提出した改正法案で、それを野党は議論をすることなく、挙手の多数決だけで、いきなり強行採決に踏み切ろうとしたのよ。
大ざっぱに説明すると、①総統は定期的に立法院に出向いて答弁しなければならない、②立法院が同意しなければ政府の人事を決めてはいけない、③刑法に「議会侮辱罪」を新設して、立法院での証言を拒否したり、求められた資料を提出しないと、懲役や罰金刑を科される。(台北歳時記)
議会に呼ばれた証言者が「質問に答えない」「質問に反論する」「質問を聞き返す」と、証言者が罪に問われる。これは「香港の国安法と同じく非常に恣意的に運用が可能であり、気に入らない人物を何かしらの理由で国会に呼びつけ、難癖をつけて罰金、最悪なら一年のと(ママ)懲役にかけることができます。」(台北歳時記)
見え隠れする中国の影
民進党議員たちが怒って、力ずくで採決を止めようとしたのも、当然だな。さらに、野党は提案をする。①台湾東部に新幹線を通す、②花蓮と台東を結ぶ高速道路を作る、③台湾西部の「国道6号」を延長し、中央山脈を横断して花蓮と結ぶ。この3つをまとめて「花東交通三案」と言う。(台北歳時記)
しかも、道路が横断する予定の中央山脈には先住民族が住んでいる。ただ、問題はそれだけじゃない。専門家の見立てでは、①から③の予算は合計で「2兆元」(約10兆円)を超える。野党の考えでは、資金の足りない部分は「中国投資ファンド」から借りるそうだ。(台北歳時記)
しかも、この法案を推しているのが、花蓮選出の国民党議員、傅崐萁(ふう・くんち)氏。彼はかつての花蓮県知事であり、妻は現在の花蓮市長。この 一族は長いこと花蓮県を統治してきた「花蓮の王」として知られている。(Wiki)(台北歳時記)
そして、ブログには、気になることが書かれている。かつて習近平の飲み友だちでオーストラリアに亡命した、中国人作家・袁紅冰(えんこうひょう)が、こう書いていること。「中国は、中国国内の対台湾関係局に対して、以下のような指示を出した。中国は台湾を直接的な武力を使うことなく、台湾を混乱させて統一する作戦を開始する。その舞台は、台湾の立法院であり、その舞台の主人公は、韓国瑜と傅崐萁である」。この記事が出たのは、今年の2月はじめだと言う。
立法院の周囲を取り囲むようになった「青鳥運動」
審議が進むたびに、市民や団体が立法院の周囲を取り囲むようになった。そして、改正案の3度目の審議(第三読会)が終わって、ついに可決してしまった5月28日には、7万人とも10万人とも言われる、大勢の人びとが立法院のまわりに集まった。この抗議活動は、いつしか「青鳥運動」と呼ばれるようになり、各地の主要都市にも波及していった。
台湾国会抗議デモ(5/24)は台北だけで10万人超えました。
— 黒詩★紅月♥日本 (@kuroutaakatsuki) May 24, 2024
青鳥行動、青鳥運動と呼ばれてるようです。 pic.twitter.com/V2RTnx0nCa
今の所、青鳥運動の現場に来るのは大学生、高校生だけでなく、小中学生もたくさんおり、ベビーカーを押しての赤ちゃん連れ、犬の散歩をしながらの人、というように平和な運動だ。デモに参加したくても交通費・宿泊費がない若者にカンパする「じいちゃんばあちゃん募金」もあって、高雄から来た23歳の若者も、「じいちゃんばあちゃん募金」のおかげで来られたと言う。(note)
また、台湾には「おばさん連盟」という政党があって、そこの党員も台湾各地から子連れで集まってきた。会社を休んで来た人、仕事が終わって新幹線で駆け付けてきた人など、多様な人たちが集まっている。(note)
そういうことも覚悟の上だ。立法院前では「立法院に突入するのはやめよう」というプラカードを持った若者もいる。「10年前のひまわり学生運動のように、中には突入したい人もいると思うけど、(中略)...今突入すると、逆に国民党・民衆党が法案を進めやすくしてしまう可能性もある。香港のデモも、衝突が衝突を生み、対立が激化し、良い結果にはならなかった。突入や衝突は良い手ではないと学んだ」「もし挑発的な行為をされたら、衝突は避け、できるだけその場から離れよう」。(note)
ああ、香港では現在、民主派と呼ばれる活動家、ジャーナリスト、研究者など、自由や民主化を声に出して訴えていた人たちは次々と逮捕され、職場を追われて、今や中国共産党の意向に反しない意見ばかりになっている。(じんぶん堂)
このように、同じ政党が3期続けて政権を担うことは、台湾の総統直接選挙が始まった1996年以来のことだそうです。それだけ、民衆は現在のアメリカ寄りの台湾独立路線を支持しているのですが、同日に行われた立法委員(国会議員)の選挙では、与党・民進党は議会過半数をとれず、野党の連立が過半数を占めてしまいました。
そして、思った通り、頼総統の新政権は波乱の幕開けとなりました。