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子どもの育ちに生活習慣が影響を与えている
少子化が止まりません。我が町は小中学校の統廃合が始まったばかりなのに、10年後はもっと減ることがわかって見直しをしています。
校長先生と話していたら「35人学級で少なくとも10人以上の生徒が何らかの発達障害児だと感じます。ある学校は普通学級より特別支援学級の方が多くなりました。特別支援学級は生徒8人に1人の先生が付きます。だから先生の数が足りなくなるのです」と言われました。
親が忙しくて、子供会もなくなりました。夏休みのラジオ体操も無くなって地域の見守りも機能していません。熱中症情報が出て外で遊べない子ども達は家でゲーム三昧。夜更かしをして昼頃起きる生活になってしまいました。
子どもの育ちに生活習慣が影響を与えているのは肌で感じます。子ども達の睡眠、覚醒、体温・血圧調整、ホルモン分泌、細胞の成長再生など生命維持機能をコントロールする生活リズムが狂い、成長にも影響を及ぼすのです。
このままでは子ども達が危ないと強く思います。
子ども家庭庁ができましたが、こどもまんなかと言いながら今の子育て支援は、親が働くために子どもを預ける支援策ばかりです。本当に子どものため?と疑問がわきます。
女性の社会進出がいけないと言っているのではありません。社会が子どもの育ちや愛着形成を軽んじた政策をしていると思うのです。
親は大切なはずの子どもに関わる時間を削って働いています。家に帰ったら家事育児が押し寄せてきて、いちいち子どもの要求に構っていられません。子どもの機嫌を直すのにスマホやゲーム機を与えるのが一番手っ取り早い。ついつい今の問題から逃げてしまいます。
ベッドでメディア機器を使用している1~3歳の子どもの就寝時間は21時以降が84.9%。そのうち日中イライラ癇癪をおこす子が44.7%もいます。(幼児のメディア機器使用と睡眠、生活習慣、問題行動との関連に関する横断的研究 増田彰則・山下協子・松本宏明2023)相思相愛なのにどうしてこうなってしまうのでしょう。
親も社会の波にのまれて、そのおかしさに気が付いていません。子どもを持った時の不安は?という内閣府の調査でも経済的不安がダントツの71.7%。仕事と生活、育児の両立47.1%。不安定な雇用・就業関係43.7%、保育所などの保育サービス37.4%となっています。「子どもに向き合って育てていく不安」という子育てに関する項目はないのでしょうか?
確かにお金は必要です。でも家庭で子どもを育てていたらそこまでお金を使いません。不安をあおられているようにも感じます。子どもまんなか社会を目指すなら、どんな環境に生まれた子どもでも生活と学業の保障はされるべきです。
最近「子育てで自分の時間が無くなった」「マミートラック」という働くママの声ばかり注目されています。もっと、安心して子どもに向き合い、育てられるような子ども主体の働き方改革や社会作りについて議論したり、主張してもいいのではないでしょうか?
私の「感じる」とママの「感じる」が違う
でも、現場の肌感覚でママ達にも異変が起きているのを感じます。
私の「感じる」と、ママの「感じる」が違うようなのです。ベビーマッサージを教えているのですが、「優しく触って」と言っても赤ちゃんを見ないでぎこちなく触るのです。
始める前に「赤ちゃんに聞きながらしようね。泣いたら抱っこしてあげてね」と伝えても、赤ちゃんが泣きだしても止めないし、臨機応変に赤ちゃんをあやす方法がわからないようです。
もしかして私とママでは言葉は同じでも共通体験をしていないのかもしれません。どう伝えたら伝わるのか?根本的にやり方を変えて、まずはママに自分の腕を触ってもらいながら気持ちいい感覚をつかんでもらうことから始めようと思います。
五感は目に見えません。でも、自分を作るうえでとても大事な主体的感覚です。赤ちゃんはそれだけで育っていると言っても過言ではないくらいにフル稼働して自分の感覚体験を通して脳のネットワークを繋げています。
特に乳幼児期は心地よく関わってもらうことで愛着形成ができ、人生の土台を作っていきます。お母さんの声、匂い、触った感覚、母乳の味、匂い、自分に話しかけられた言葉、歌、生活の音、温度変化、光、風、水、土・・・。その何気ない日常の体験が自分を作っていくのです。
それは外部からの働きかけによって左右されます。そのためにはいつも赤ちゃんに向かって話しかけたり、要求に応じたり、心地よい刺激をくれる専属の特別な人が必要なのです。
この初期の体験がその後の人生に大きく影響すると知ったら、今のように早くから子どもを預けて、時間に追われるような子育てはできないはずなのですが・・・。
でも、今の親世代も経済優先の競争社会で育てられた人たち。自分の感覚より、これが正しいと教えられてきた世代です。いきなり「赤ちゃんを感じましょう」「赤ちゃんに聞いてごらん」「子育てについて話そう」と言われても戸惑うのは当たり前です。
もう一つ気がかりなのは素手で赤ちゃんを抱けないママが増えた事です。新生児から使える抱っこ紐が発売されて子育て風景が変わりました。家の中でも抱っこ紐に入れられている赤ちゃんが増えました。
そのことを長年研究している子育て文化研究所が赤ちゃんの抱っこやお世話についてとても分かりやすい動画を出されています。
https://www.team-akago.net/category/douga/10%ef%bc%8e%e3%81%a0%e3%81%a3%e3%81%93%e3%82%84%e3%81%8a%e3%82%93%e3%81%b6/
又、同じチームAKAGOの吉田助産師の動画もお勧めです。
https://www.instagram.com/akachan.douga/
この動画では繰り返し、赤ちゃんを尊重する事、お互いの心地よさを探す方法を伝えています。私達支援者も、赤ちゃんの抱っこの仕方や関わり方を学びなおして伝えていく必要があるようです。
娘がいない5日間
話は変わりますが、娘の大学院の合宿があるということで久しぶりに手伝いに行きました。
娘がいない5日間、家事全般を任されました。お姉ちゃんは高校の寮に入っているので週末しか帰ってきません。お兄ちゃんは念願の中学に合格して、学校が楽しいようです。毎朝お弁当を持って7時過ぎに家を出ます。クラブがあって帰りは7時過ぎ。
4年生の弟は2キロを歩いて登校です。ランドセルの重い事!給食袋、給食セット、タブレット、水着、水筒も持っていきます。炎天下、野球の練習もあるので脱水症にならないように気を配ります。泥だらけのユニフォームを洗濯するのも大変。
5歳の弟は年長になって幼稚園が面白くなってきたようです。園までの送り迎えが必要です。森に出かけるのでお弁当と水筒、着替えを持っていきます。前の晩に用意しておきます。
子ども達のスケジュールが毎日違うので、それを確かめるのも大変です。宿題や時間割も自分でできるようになってきましたが、お風呂に入って寝るまで1人1人に関わります。
ところが、5歳の子が手足口病になって高熱を出しました。「手や足が半分痛くて半分かゆい」「食べたいけど飲み込めない」と苦しそうです。だから食べたい時に食べられるものを作ってあげました。
そんな時にお母さんがいないのでお父さんに甘えます。一緒に寝ると言ってお父さんのベッドのまんなかに寝ます。お父さんは自分が眠れなくなるのでベッドの下に布団を敷いて寝ますが、夜中に又くっついてきます。
お父さんも病気で体が不自由なところを頑張ってくれました。5歳の子が「僕はね、一番悲しいのはお父さんが死んでいなくなることだよ。それが一番だよ」とハグしてくれます。
朝は1人ずつを送り出して、昼は掃除洗濯、食事の用意、夕方はそれぞれの時間に帰ってきた子の相手をしてみんなで食事。寝る前は子ども達とおしゃべりをして絵本を読んだりボードゲームをします。
9時には寝るので生活リズムはできているようです。私も一緒に寝ますが、朝は5時過ぎに起きて準備です。
ケンカも無くなり、インターネットのゲームやテレビを見なくなっていた子ども達。娘が頑張ったのがよくわかりました。
とにかく、家庭の中に居るだけで忙しい。すべてが同時進行で全員に気を配っている状態です。
娘は1人きりで泊まったのは20年ぶりと言っていました。クラスメイトは「集中講義で頭がパンパン」と言っていたようですが、娘は「自分のためだけに集中して学べる喜びでパラダイスだった!」と帰ってきました。
子どもを育てるのは大変です。私も久しぶりに子どもを育てていたころを思い出しました。どうやって切り抜けてきたのか記憶にありません。きっと、子どもと一緒に「今」に集中して生きていただけなのだと思います。
日常の中で、今を生き続けていたら子ども自身が育って、気が付いたら1人ずつ自立していました。
ちょうど七夕様の日でしたので、それぞれの願いを短冊に書きました。娘とパートナーは申し合わせたように「穏やかな日が続きますように」と書きました。そう、この日常が奇跡なのです。
幸せなことに私の想いは一貫しています。子育てをしている親を励ましたい。子どもが育つ環境をより良いものにしたい。それが子どもの幸せにつながると思うからです。
もちろん私自身が完璧な子育てをしたわけでもないし、目の前のママ達に寄り添っているだけです。もしかしたら私が子どもの可愛さに無我夢中になっているだけかもしれません。