————————————————————————
ぴょんぴょんの「『世界史の原理』より」 ~世界有数の重武装中立国家だった、徳川日本
2人の著者について
(6/17 9時) Amazon 世界史一般の本ランキング 1位 茂木 誠著,宇山 卓栄著『日本人が知らない! 世界史の原理』https://t.co/CYEgwlxqdy
— 書籍ランキング速報 (@a_ranking_news) June 19, 2024
紹介文によると、「ユダヤとパレスチナ、ロシアとウクライナ、反日の起源、中国共産党、ケルトとアイヌ、アメリカという病・・・現代の『闇』を、通史で解説!ベストセラー著者による決定版【なぜ日本文明は独自性を保てたのか?】教科書に書けない国際情勢の深層に迫る」。(ビジネス社)
茂木先生によると、「宇山卓栄先生はアーティスト(画家)を本業としつつ、大学受験予備校で世界史を教え、また世界の数十カ国を自分の足で歩き、自分の目で見てきた体験をお持ちの方です(367p)。」実は、茂木先生も宇山先生も、世界史が専攻じゃないんだ。
そのとおり。宇山「本書は古代から現代までの通史を、対談形式で解き明かしていきます。通史の形なので、時代の流れを追いながら、初心者の方にも、世界史を一気通貫、俯瞰することができます(3p)」「『世界史をもっと勉強しておけばよかった』 世界史は何歳からでも勉強できます。定年退職した人も、現役の人も(4p)。」
ぼくだって、世界史苦手だったけど、おもしろかった。それに、現在を知るためには、過去を知る必要があるからね。宇山「我々には、歴史という巨視的な文脈が必要であり、その文脈の中で、『現在』の真相もまた浮かび上がってきます。歴史は繰り返す。現在起こっていることは過去に起こったことの再現なのです(3p)。」
アメリカを軸にすると、世界で起きていることがまるわかりだもんね。宇山「現在、世界を見渡すと中東紛争、ウクライナ紛争、台湾危機、アメリカやヨーロッパの移民問題、迫りくる全体主義の脅威など、危機が連鎖的かつ同時多発的に起こっています。その危機の根源とはなにか。いったい、世界はどのような原理で動いているのか。本書では、その真相に迫ります(3p)。」
そして、世界史を学ぶとどうなるか? 茂木「危機の時代においてわれわれの祖先がいかに対応し、死に物狂い独立を守ってきたか。諸外国との比較の中でそれを知れば、この国を守っていこうという気持ちになり、あなたの明日からの生き方も変わってくるでしょう(366〜367p)。」
本の中で「へえ!」って思ったところ
じゃあ、目次を見ながら、ぼくのおもしろいと思った項目を上げてみるね。「第1章 古代」は「1.ユダヤ人の正体、中東危機の淵源」、「第2章 中世」は「7.ロシアというやっかいな隣人ーウクライナ戦争の淵源」と「10.『先住民』の世界史」、「第3章 近世」は「15.徳川日本は世界有数の重武装中立国家だった」、「第4章 近代」は「17.イギリスの世界支配、覇権の構造」、「第5章 現代」は全部おもしろかったね。
おそロシア。。。。 pic.twitter.com/nCLxkXbrel
— 進撃のWorld (@roketdan4) October 20, 2024
日本関連の情報
じゃあ、本州にもアイヌ語の地名が残っているのはどうしてか? と言われるけど、本州にアイヌが住んでいた証拠はないって。ここらへんの誤解は、茂木「江戸時代に北海道を蝦夷地(エゾチ)、アイヌを蝦夷(エゾ)と呼んていたことから、古代の蝦夷(エミシ)との混同が生じ」たからだって(163p)。
そのほか、戦国時代の日本の話も意外だった。あの頃の日本人は、戦いに勝つために、火力を欲していた。ポルトガル人が鉄砲を伝来してまもなく、日本の刀鍛冶は、鉄砲を解体し、パーツをコピーして、国産化が始まった(226p)。
そう、種子島で大量に複製された火縄銃に目をつけたのが、織田信長。信長は鉄砲隊を編成して、1575年の長篠の戦いで、家康との連合軍で武田軍を迎え撃ったとき、最前線に鉄砲隊を配備して、武田軍をボコボコにした(227p)。
ただし、茂木「黒色火薬の原料はインドからの輸入に頼っていたため、これをもたらすポルトガル商人を誘致するため、大村氏、有馬氏、大友氏など九州の諸大名は進んでカトリックに改宗し、土地を教会に寄進しました(キリシタン大名)(228p)。」
イエズス会の日本準管区長の手紙によると、「もしも(中略)...日本66カ国すべてが改宗するに至れば、(スペインの)フェリペ国王は日本人という好戦的で怜悧な兵隊を得て、いっそう容易にシナを征服することができるであろう(229p)。」
そう、イエズス会が、日本人をカトリックに改宗させたがったのは、日本の軍事力で明を征服させるためだった。茂木「明国征服計画はイエズス会が立案して信長に吹き込み、のちに秀吉が(朝鮮出兵という)独自のプランとして実行したと考えられるのです(229p)。」
家康は、関ケ原の半年前に、漂着オランダ船から救助された、イギリス人ウィリアム・アダムズと、オランダ人ヤン・ヨーステンを外交顧問として取り立て、彼らに江戸の屋敷を与えた。「東京駅東口の『八重洲』という地名は、ヤン・ヨーステンの屋敷跡を意味するのです(230p)。」
以降、オランダは徳川幕府を支え、徳川は長崎での対日貿易の独占権をオランダに与えた(232p)。また、徳川幕府は、オランダによって、世界の最新情報をキャッチしていたから、ペリーが来ることなんか、とっくに知ってたそうだよ。
そう、そこが、この本の言いたいところじゃないかな? 日本は島国だし、神風が吹くと言っても、まったく安全じゃない。茂木「徳川期の日本は、世界有数の重武装中立国家でした。圧倒的軍事力が平和(ラテン語で“パクス”)をもたらす。これが世界史の教訓です。(中略)...200年続いた「江戸時代の平和(パクス・トクガワーナ)」も、その圧倒的な軍事力が支えていたのです。このことは、将来の日本の安全保障を考える上で、教訓になると思います(234p)。」
おやつ貰うために二足歩行に進化したレッサーパンダ、いつ見ても可愛い pic.twitter.com/szHfxxNXpd
— もふもふ動画 (@tyomateee2) November 19, 2023
ただ、自分で世界史を勉強したいと思っても、どこから手を付けたらいいのか戸惑います。本を選ぶにしても、「教科書みたいな本はムリ」と言う方には、茂木誠・宇山卓栄著「日本人が知らない!世界史の原理 異色の予備校講師が、タブーなしに語り合う」がお勧めです。
教科書みたいに堅苦しくなく、対話形式で読みやすく、突っ込みどころもあって、おもしろいので、私みたいな遅読家でも、難なく読み終えました。