ぴょんぴょんの「瀕死のキューバ」 ~キューバよ、新たな世界経済の手本になれ

 2024/10/24時事ブログで紹介された、BAPPA SHOTA氏の動画は、まさに「百聞は一見にしかず」でした。SHOTA氏は、キューバの動画もアップされていたので、さっそく見てみました。全部で4編あります。
 キューバと言えば、アメリカと国交が回復してから、観光客が押し寄せて、豊かになっているとばかり思っていましたが、こちらも「百聞は一見にしかず」で、ビックリ!
 いったい何が、どうやって、こんな貧困のどん底に落とされてしまったのか?
 案の定、犯人はあの国でした。(キューバの「テロ支援国家」指定は、2024年5月15日に解除されました。)
(ぴょんぴょん)
————————————————————————
ぴょんぴょんの「瀕死のキューバ」 ~キューバよ、新たな世界経済の手本になれ

貧しくても誇り高く生きる国だったキューバ


ねえ、キューバが今どうなってるか、知ってる?

南国の空の下、ピカピカの60年代のアメ車が走ってる。

そんな、のんきな話じゃなくて! BAPPA SHOTA氏の動画を見てよ。ひっくり返るから。

キューバと言えば、スペイン、アメリカに踏みつけられても、革命で立ち上がり、貧しくても誇り高く生きる国だろ? 2016/11/27 時事ブログにも書いてあった。「“キューバでは人々が誇り高く、屈することなく、威厳を持って貧しい生活を送っている”と書かれています。金で魂を売って、自国民を売り飛ばす売国奴なら、いくらでもいます。しかし、キューバは自由こそ最も大切なものだと考え、最後まで自主自立の精神を貫き通しました。それ故の貧しさなのです。

でもね、今は大変みたいだよ。この動画を見て。


物価超高騰キューバに1万円持って行ったら10倍の金になって大金持ちに


モヒートがうまそうだあ。



もお〜、真剣に見てよ。とりあえず、SHOTAさんの解説を参考にしながら、キューバの歴史を勉強してみよう。

はいはい。

キューバの面積は本州の半分で、人口は東京より少ない約1121万人。住んでいるのは、ヨーロッパ系25%、混血50%、アフリカ系25%。多民族国家だけど、民族間の対立もあまりないみたい。

Author:Stasyan117[CC BY-SA]

そういうおおらかで、温かいところが、キューバ人の良さだな。

キューバを侵略したスペインは、先住民族インディオを絶滅させてしまったので、砂糖やタバコの労働のために、西アフリカから黒人奴隷を連れて来た。

あの時代のスペイン人、やりたい放題だな。

でも、そんなスペインも、19世紀に入って衰えてくると、キューバは独立を目指して戦った。すると今度は、アメリカがしゃしゃり出て援護射撃をした結果、1902年、キューバはめでたく独立した。が、アメリカに出番を与えたのが運のつきだった。

ヤクザに助けてもらったら、ダメダメ。

予想通り、キューバ独立後のバティスタ政権はアメリカに乗っ取られて、国民は低賃金で重労働をさせられ、貧困に苦しんだ。そこで立ち上がったのが、フィデル・カステロとチェ・ゲバラ。彼らが、アメリカからキューバを取り戻してくれたんだ。

ゲバラ(左)とカストロ(右)
Wikipedia[Public Domain]

それが、キューバ革命だな。

1959年、カストロが首相になると、アメリカは経済制裁、国交断絶でキューバに意地悪をした。そこでカストロはソ連と手を組んで、キューバは社会主義国になった。そして、アメリカからの攻撃に備えて、ソ連の核ミサイルを配備した。

それが、1962年のキューバ危機

キューバ近海でにらみ合うアメリカの軍用機P-2とソ連の軍用貨物船
Wikimedia_Commons[Public Domain]

核戦争の一歩手前だったんだね。なんとか、アメリカとソ連の交渉によって、アメリカはキューバを攻撃しない、キューバも核ミサイルを撤去することで、一見落着。

と思ったら、それから今に至るまで、ずうっと経済制裁を続けているアメリカ。

それでも、キューバ政府は国民の平等を掲げてがんばった。国民も貧困によく耐えた。

どんなに貧しくても、他国に占領される不自由よりはマシだからな。

2019年のインタビューで、70才のキューバ人はこう言っている。「キューバは医療費、大学までの教育費、食料の配給といった生活に必要な出費がほぼすべて無料だ。(中略)...贅沢な暮らしを望まなければ誰もが人間らしい暮らしを手に入れることができる。」東洋経済ONLINE

キューバ政府は、国民の方を向いて政治をやっていたんだな。

そんなキューバに、2015年、ビッグプレゼントがあった。オバマ大統領が、キューバとの国交を回復し、「テロ支援国家」指定を解除したんだ。このおかげで、アメリカをはじめ、世界中から観光客が訪れるようになり、やっとキューバに明るい時代が訪れた。「キューバの人たちの多くが、この当時のことを『黄金時代』と呼んでいます。」(NHK

オバマも、いいことしたんだな。

「キューバ観光の魅力は、透き通るような青い海、世界文化遺産にも登録されている旧市街の街並み、町中を走るクラシックカー、そして、人懐っこい国民たち。また、他の中南米諸国と比べて、治安のよいことも旅行者が増加している一因として挙げてもよいだろう。」(東洋経済ONLINE)あ〜あ、これが長続きできたら、良かったんだけど。



国民の89%が貧困層


今も、こうじゃねえのか?

それがね、SHOTA氏の第2弾を見てよ。2014年4月時点のキューバの現状がよくわかるから。現在のキューバは、1%が富裕層、10%が中流階級、89%の人が貧困。

キューバにも1%の富裕層がいる?「国民みな貧困。でも、平等だからいいじゃん」の路線じゃなかったんか?

老いた兄妹の住む家は、一見りっぱに見えるけど、スペイン植民地時代の奴隷収容所だった。電球がないから真っ暗。雨漏りがひどくて、天井がボロボロ落ちてくる。水も汲んでこなければならないし、トイレも排泄物が流れなくて溢れてくるから、臭いし、蚊が繁殖してデング熱で亡くなる人もいる。

こんな、ひどい所に住んでいるとは! マサイ族の家の方が、はるかに衛生的だったぞ。トイレは外でやり放題、雨水も豊富で、シャワーも洗濯もできたし。

家もヒドいけど、食料や生活用品も手に入らない。

キューバって配給制だよな。タダで必需品が手に入るはず。

タダじゃないよ、市場より安く買えるだけ。しかも現状は、約束されたモノが届かなくて、配給のみで暮らしている人々は餓えているそうだ。インタビューに応じてくれたキューバ市民はみな1日1食、よくて2食って言ってた。

日本人が食い過ぎなんだよ。マサイ族だって、一日、焼きとうもろこし1本だけだぞ。


はいはい、マサイ族はすごいです。

だが、社会主義だから、医療費や教育費は無料だろ?

たしかにキューバは、ベネズエラとのバーター貿易で、石油の代わりに医療スタッフを派遣するくらいの医療先進国だった。でもね、今は優秀な医療スタッフも、給料が高い国へ移住してしまって、薬もなくて、医者にかかれなくて亡くなる人も多いそうだよ。

なんで、そうなった〜?!

それを、これから見ていくんだよ。とりあえず、第3弾を見てみよう。

う〜ん、21歳の美人女子大生が、生活のために売春しているのか。

キューバでは、道端で観光客に声をかけて道案内したり、売春行為をする人々を、女性はヒネテラ、男性はヒネテロと呼んで、キューバ文化の一つになっているらしい。現在キューバでは、約89000人のヒネテラがいると言われている。

こんな彼女に付きそう彼氏も、また哀れだ。しかし最後に、SHOTA氏が二人に寄付を渡した後、彼氏が古い時計を持ってきたのには驚いた。キューバでは、もらったらお返しするのがルールだと。SHOTA氏「キューバの現状はひどいけど、人は腐ってないな、と思います。ほんま、温かい魂を持った人たちばっかり。」これが、キューバ人。もしかして、キューバの財産は「人」かもしれない。


そして最後の第4弾、どうだった?

人口の1%の住む高級住宅街には、ピカピカのベンツ。貧民街と同じ国とは思えない。

それと、これまで15回の亡命を試みて失敗した男性のインタビューは? キューバの若者は、アメリカを目指して次々と島を脱出していて、その数、2022年1年間で30万人あまり。たった1年で約3%の人口が消えたことになる。NHK


キューバに課せられた制裁


出て行けない老人だけが取り残されている。こんなんじゃ、キューバの未来が危ういな。しかし、一度は「黄金時代」を迎えたキューバが、なんでこんなことになってんだ?!

トランプのしたことも大きいね。キューバに対して、150項目あまりの制裁を課したからね。主なものは1.アメリカから首都ハバナ以外の都市へのフライト禁止 2.クルーズ船のキューバ寄港禁止 3.アメリカからキューバへの送金の制限 4.アメリカ国民のキューバ観光の制限。(東洋経済ONLINE

首都ハバナの港
Author:calflier001[CC BY-SA]

なんで、観光制限までしたんだ?

キューバの観光業は「ガビオタ」と呼ばれる、軍人グループ組織に支えられている。(東洋経済ONLINE)彼らは、軍関連工場などを民事利用して、独立採算でホテルなどを経営している。問題は秘密主義。情報公開がないこと。中で何をやっているのかわからない。(日本の科学者

だから、トランプは警戒したのか。観光が命のキューバにとって、大打撃になると知って?

それだけじゃない。キューバを再び「テロ支援国家」に指定したんだ。理由は、アメリカで犯罪を犯してキューバへ逃亡した者を、キューバ政府がアメリカに送還しなかったから。 

これでますます、観光客が来なくなる。

2021年1月13日付のキューバ政府紙「グランマ」は、こう書いている。「アメリカの支配に背く国に対して武器として国家テロリズムを犯すのはアメリカ政府だ」「どこの出身地のテロリストにであれキューバの領土を利用されたことはないし、彼らを組織化したり資金支援をしたこともない。また、アメリカを含める世界のいかなる国に対するテロ活動をするための領土となったともない」。(東洋経済ONLINE

まったくの濡れ衣だな。

トランプからバイデンになって、アメリカからキューバの家族への仕送り、キューバへの渡航規制が緩和され、アメリカビザの発行、キューバへの航空便も復活して、少しは緩和されたけど、1962年以来から続く「禁輸措置」はそのままだからね。(BBC

そっちを、優先して止めろよ。

知ってる? ついこないだ、10月30日の国連総会で、「アメリカの制裁措置の廃止を求める決議」があったんだ。今回で、32回目だそうだよ。

32回目?!

187カ国の賛成多数で採択されたんだけど、反対票を投じたのはアメリカとイスラエルだけ。棄権1票はモルドバ共和国だった。(E-wave Tokyo

なるほど、アメリカとイスラエルがキューバ制裁の親玉だな。モルドバはアメリカに遠慮して棄権した。

日本は賛成票を入れたから、ちょっと安心したけどね。でも、アルゼンチンも賛成票を入れたんだよ。

当たり前だろ。同じ中南米として、キューバをいじめるアメリカに反対するのは当然だ。

でしょ? でもね、1年前、アルゼンチンの大統領になったハビエル・ミレイ、覚えてる?

ハビエル・ミレイ
Wikipedia[Public Domain]

覚えているとも! ここで話したヤツだろ? あたまクシャクシャで、クローン犬を何匹も飼ってる、へんなヤツ。ちゃんと、大統領やれてるんかい?

そのハビエル・ミレイ、国連総会の翌日に、賛成票を投じた外相を解任したんだよ。(YAHOO!ニュース


今のアルゼンチン、そこまで、アメリカ様々になったのか!


キューバ経済が悪化したその他の原因


たしかに、キューバ経済が悪化した原因は、アメリカの制裁が大きな割合を占めている。これ以外にも、新型コロナの打撃も大きかった。

あちゃー! 観光に依存するキューバにとって、コロナはエラいこっちゃ。

そこからさらに、ロシアによるウクライナ侵攻。

ロシアからの経済支援も滞ってしまったんだな。

そればかりか、2020年12月、キューバ政府が二重通貨制度を廃止したことで、インフレが悪化。これについては、詳しいことはこの記事を読んでね。

なになに? 二重通貨制度は、輸入には有利で、輸出には不利だったから止めた?

おまけに、年々威力も頻度も増すハリケーン。去年も、ハリケーン「イアン」によって、キューバ全体が停電した。そして今年も、10月18日〜21日の4日間、ハリケーン「オスカー」によって大規模な停電になった。

「ゾンビの黙示録ではなく、もっと致命的なもの、つまり共産主義の黙示録だ。 これが5日間電気がなかったハバナの様子だ。」

キューバの発電所は半世紀ほど前のもので、政府は重要なメンテナンスや改善作業を先延ばしにしてきたため、電力網は老朽化し信頼性の低いインフラに依存している。」(LA NACION

まるで、ゴーストタウンだ。

ちなみに、このXのコメントからもわかるように、多くの人が、キューバの貧困や停電を、共産主義のせいだと考えているけど、キューバは共産主義じゃなくて、「キューバ社会主義」だからね。ソ連とは違うんだよ。

キューバの貧困と停電の原因は、アメリカの経済制裁でーす。


キューバの真の財産


だけど、停電になっても、略奪とかの話を聞かないんだよね。

キューバに行ったヤツも言ってるな。中南米なのに治安がいいのでビックリって。

何度も言うけど、人々の健全さ、それがキューバの財産だよ。でもね、NHKの取材で、2023年にキューバを訪れた人はこう言う。「私は2009年にも、バックパッカーとしてキューバを訪れたことがあります。南米各地を旅して、キューバにたどり着いた時、建物や使っているものは古いけれど大切に管理され、キューバ人のプライドを感じた記憶があります。ところが今回、14年ぶりに訪れてみると、古い建物がさらに古くなっているだけでなく、手入れが行き届かなくなっている場所が増えているように感じました。名物のキューバサンドもハムとチーズが手に入らないとのことで、街なかでは買うことができませんでした。地方の宿では停電が頻繁に起きたほか、ガソリンを求めて給油所をいくつも巡らなければならず、深刻な物不足を実感しました。しかし、それ以上に変化を感じたのは、キューバの人々でした。(中略)...今回、人々の顔からは、当時のような笑顔は消えていました。」(NHK

キューバサンド
Author:Zeng8r[CC BY-SA]

はあ〜、経済の暗さが、人々の笑顔も消してしまったのか。

「アメリカの経済制裁がなければ、というよりもアメリカと言う国家が無ければ、キューバがどれほど豊かな国になっていたのかは、残念ながら今となってはわかりません。キューバは自然農法の先進国で、自然農法を目指す人たちにとって、キューバは尊敬すべき国です。」(2016/11/26時事ブログ

アメリカよ、早よ、キューバの経済制裁を止めれ!



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

Comments are closed.