トランプ大統領はイランに軍事介入し、エゼキエル戦争を自らの手で起こしかねない状況にある ~トランプ大統領によるイラン攻撃は違憲

竹下雅敏氏からの情報です。
 トランプ大統領は、6月22日午前11時すぎ(日本時間)にホワイトハウスで、「米軍はイランのフォルドゥ、ナタンツ、イスファハンの三つの主要な核施設に対し、大規模な精密攻撃を行った。…我々の目的は、イランの核濃縮能力の破壊と、世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威を阻止することだ。私は世界に対し、これらの攻撃が軍事的に大成功したと報告できる。」と演説しました。
 トランプ大統領は6月19日に、イランに軍事介入するかどうかについて「2週間以内に行動を取るかどうか決断する」と言っていたわけですが、これまでの言動からトランプが2週間待つと思っていた人はいませんでした。
 イランは攻撃を予想していたようで、「フォルドゥを含む3つの核施設はすでに避難済み」だったということです。
 2023年10月14日の記事で、“トランプが大統領時代に行っていた中東政策は、ハルマゲドンの舞台を整えるためのもので、中東の平和とは真逆のものです。”とコメントし、2024年11月5日の記事では、“トランプが大統領になるとエゼキエル戦争を自らの手で起こしかねない”とコメントしたのですが、現状はまさにこの通りに推移しています。
 こうした状況でも、トランプ支持者の脳内では「イスラエルへのアピールを成功させつつ、イラン側に致命的な被害がでないようにしつつ交渉のテーブルにつかせる目的かな?」という5次元チェス説が見受けられます。
 しかし、第3次世界大戦になるリスクを冒してまでイスラエルにアピールしなければならない理由はなんでしょうか? また、プーチン大統領は、“イランは…あの有名な合意における全ての義務を果たしていました。全てです。イランに対しては何の異議も申し立てることはできません。その後、アメリカ合衆国が一方的にこの合意から離脱することを決定し、ヨーロッパはイランに対して義務の履行を求め続けました。失礼ですが、これは全く馬鹿げています。この合意から離脱したのはイランではありません。アメリカが離脱したのです。トランプ前大統領が合意離脱を決定しました。”と発言しています。
 交渉のテーブルについていたイランを騙し射ちにしたのはトランプであり、イスラエルの奇襲攻撃を成功させました。今回は、米軍によるイランの核施設への攻撃です。その攻撃の目的が、一部のトランプ支持者の言うように、イラン側に交渉のテーブルにつかせることだとすれば、トランプ支持者の頭の中では、“交渉が思うように進まなければ、相手の核施設を空爆しても構わない”と考えているということで良いでしょうか?
 もう一つ、今回のトランプの行動は、“大統領が一方的に他国に対して戦争を仕掛けたり、宣戦布告することは、憲法第1条第8項第11項に直接違反”します。共和党のトーマス・マシ下院議員は、トランプ大統領のイラン攻撃は違憲だと主張し、民主党のショーン・カステン下院議員は、トランプ大統領のイランでの行動は弾劾に値する犯罪だと述べています。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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“アメリカ イランの核施設3か所を攻撃 完全に破壊した”トランプ大統領が発表 FOXニュース「バンカーバスター6発使用」|TBS NEWS DIG
配信元)
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米国がイラン核施設を攻撃/イラン原子力庁:「核産業発展の道は停止されない」
転載元)
(前略)
イラン原子力庁は同国内の核施設がアメリカの攻撃を受けた後、「敵の邪悪な陰謀にもかかわらず、数千人の革命的で意欲的な科学者や専門家の努力により、我々は核の殉教者たちの血によって生み出されたこの国家産業の発展を阻止することは決して許さない」と表明しています。
 
イラン原子力庁は米国によるイランの核施設への攻撃を受けて、以下の声明を発表しました;
 
「ここ数日にわたるシオニストの敵による残忍な攻撃に続き22日日曜早朝、我が国のテヘラン南部ゴム州フォルドゥ、中部ナタンズ及びイスファハーンにある我が国の核施設が、イスラム教国たるイランにとっての敵による攻撃を受けた。これは国際法、特にNPT核兵器不拡散条約に違反する蛮行である。
 
この行為は国際法に反するものであり、誠に遺憾ながらIAEA国際原子力機関の無関心、さらには同調によって実行された。
 
敵たるアメリカはサイバー空間を通じて、保障措置協定とNPT条約に基づきIAEAの継続的な監視下にある上記の施設への攻撃したとする声明を発表している。
 
国際社会に対しては、弱肉強食の原理に基づく無法行為を非難し、正当な権利享受に関してイランに同調することが期待される。
 
イラン原子力庁は、敵の邪悪な陰謀にもかかわらず、意欲と革命精神にあふれる数千人もの科学者と専門家の努力により、核の殉教者の血の成果である我が国の産業の発展の道が止められることを許さないことを、偉大なるイラン国民に対し保証する次第である。
 
当庁は高貴なるイラン国民の権利を守るべく、法的措置を含む必要な措置を課題に掲げている


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配信元)

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芝居がかった演技だ。

トランプの大口は彼を窮地に追い込んだ。

イランは彼のゲームに乗らなかった。

そこで彼は面目を保つためにイランを爆撃せざるを得なかった。

彼はイスラエルが以前に攻撃した2つの空っぽの施設を爆撃した。 

そして、破壊不可能な施設(フィルドス)に6発の爆弾を命中させ、実際は逆であるにもかかわらず破壊したと主張した。

それだけだ。

「封じ込められた」攻撃だ。

取るに足らないものだ。

そしてこれが、支持者たちが世界で最も偉大な指導者と呼ぶ男である。

彼は国の恥だ。

速報: 🚨 イラン国営テレビは、この地域の米軍兵士全員とアメリカ国民全員が現在、正当な標的とみなされていると伝えています。

※英文全文はツイッターをクリックしてご覧ください
注目すべきは、トランプ氏が今まさに試みているかもしれない「針の穴を通す」ようなシナリオだ。イランの核施設を爆撃しながらも、地下施設に実質的な損害を与えないことで、彼は以下のことを同時に実現できる。1) 最大限の爆撃を要求する血に飢えたシオニストをなだめる。2) イスラエルに対し「我々は既に我々の役割を果たした」と述べ、米国をこれ以上の行動から引き離す。3) 戦争にこれ以上深く巻き込まれなければ、いずれトランプ氏を許すであろう、反戦MAGA(先進国における自由と平等)のトランプ支持者の間で、トランプ氏の評判を回復させる。

しかし、このシナリオが成功するかどうかは、イランが地域における米軍施設(基地や艦船など)への報復を控えることにかかっている。イランが政治的にそれを実行できるかどうかは誰にも分からない。さらに、イスラエルが米軍基地に対して偽旗攻撃を仕掛け、イランのせいにして、何が何でも米国を紛争に引きずり込む可能性もある。

トランプ氏がまさにこれを実現しようとしているのかどうかは分かりませんが、イラン国内の報道によると、地下核施設に実際に大きな損害は発生していないようです(もちろん地上施設は破壊されますが、容易に再建できます)。つまり、トランプ氏は実際には重要な爆撃を行っていないということです。言い換えれば、この解釈では、すべては芝居がかったものだったということです。スコット・リッター氏​​はYouTubeの「Ritter's Rant」というエピソードで、この点を詳しく取り上げています。

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