注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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転載元より抜粋)
YouTube 15/3/31
今回のテーマは「『利権の時代』はなぜ終わるのか?」
みなさんこんにちは。原田武夫です。
今回はホワイトボードセミナー第21回目といたしまして、「『利権の時代』はなぜ終わるのか?」と題してお話しをしていきたいと思います。利権という言葉はですね、何とも言えず暗いイメージがあるんですけれども、しかしですね、ほぼ日常的に使っている日本語でもあるわけです。
このことについて一度じっくりと考えてみるということが、実は、これから世界、そしてわが国の未来を考えるにあたって、極めて重要であるということを本日はお示しいたしたいという風に思います。
究極の意味における「戦後日本の政治」とは一体何だったのか
そもそもですね、究極の意味における「戦後日本の政治」とは一体何だったのかということであります。日本の政治はですね、GHQという名の下における米軍が入ってきまして、アメリカンデモクラシーという新しいタイプの民主主義を植え付けられました。
これは新しいタイプの民主主義というのは、戦前もわが国においてはですね、大正デモクラシー以降の伝統の中に民主主義はあったんですけれども、どこが違うのかという風に言うとですね、とにかく全員が参加してやるんだと。もう全然排除される人はもう一切なくして、もうとにかく全員でやっていく。
しかもそれをですね、ここからここまでの範囲内で意見を選択してねという風に右と左をですね、きっちりとアメリカ自身が決めた上で、じゃあゲームして下さいということで、各政党もですね、アメリカがきちっと作って行くという形によって行なわれるようになったゲームなわけであります。
このアメリカンデモクラシーはですね、そういう意味においては、何で始まったのかということについて考えていく必要があるわけなんですけれども、これは戦前の日本が、なぜファシズムに走ったのか、軍国主義に走ったのか、それは要するにデモクラシーがなかったからだと。
ということは、われわれ自分たちの国以上に、ほんとの意味でデモクラシーをやってくれる国にですね、日本がなってくれればそんな危険性はなくなるんじゃないかという風に、当時のGHQの左派の人たちは考えたわけですね。
ところが、日本において始まった戦後の民主主義というのは何だったのかと言うと、これに書いてございますけれども、「利権」の政治だったわけであります。何で利権なのか。別にいいじゃないか、みんなで投票してですね、それで総理大臣も選ばれて何が問題なのかと皆さん思われると思います。
「利権」と「アウトロー」の関係 「業界」→価格差の仕組み
しかしですね、実際にはこういうことが行なわれています。「利権」、すなわち「利権」はどうやってできるのか。これは立法行為によってできるんですね。つまりですね、この法律ができることによって、「業界」というのができあがるわけですよ。
この業界ができあがることによって、何が生じるかと言うと、業界は法律に従って、法律を執行しているのが行政庁でありますので、官公庁が言っていること、指導にしっかりと従う中においてはこの業界というのは守られるということになっているわけですね。
この業界は、じゃあ一体どうやって守られるのかと言うと、別に官公庁がこういう風にして物理的に守っているという場合もありますけれども、それ以上に、補助金等々の金銭的インセンティヴで守ってきたわけですよ。
じゃあこの金銭的なインセンティブがあるとどうなるかと言うと、市場経済というのは非常に歪んじゃうんですよね。市場経済というのはですね、本来であれば高い物、安い物になるわけですよ。
しかし、ここは官公庁が入ってきて利権化してしまう。要するに立法行為によってですね、守られてしまうと業界は安い物ではなくて、高い物でもいいやと。なぜならば、国が補填してくれるから、ということになるわけですね。
そうなるとどうなるかと言うと、安い物でなんとかならないのというような話しが必ず出てきます。それをやってくれるのが、いわゆる、法律の外側にいる人たち「アウトロー」と言われる人たちなんですよね。
ですからこの「アウトロー」と立法府、国会議員、そしてですね、業界、利権というのは、これはみんな1つなんです。で、何でこんなのが始まったのかと言うと、いやだってアメリカが、GHQが全部政治は立法行為で国会で決めよう、国民主権だろうと、まあものすごいわけですね。
ですから、要するにですね、本当の意味での政治というのはこういう形だという風に日本は特に考えて、それをきっちり執行してきたわけですよ。その結果どうなったかと言うと、もう日本中が利権だらけになっちゃているんですね。もう行政庁は喜んで作ります。どんどん、どんどん立法行為をしてですね、どんどん業界を作っていきます。
インターネットであるとか、漁業であるとか、電波であるとか、原子力であるとか、全部そうなります。その結果どうなるかと言うと、この価格差ですね。結局そのアウトローはですね、何をやるかと言うと、安く取引きするわけですよ。この人たちはどうやって利権にありつくかと言うと、最終的には業界、すなわち守られているこの業界の人たちが、高い値段で公的な扶助を得る形で処理をするわけですね。最終的には取引きはそこになるわけです。
その手前でですね、アウトローの人たちがいる。じゃあこの間、重層的な構造ができて、少しずつ少しずつお金がしみ出してくる。じゃあ誰がそのお金を、価格差を払うかと言うと税金なわけですよ。ですから、税金なわけです。われわれの税金がですね、それによって使われている。
だったら利権にありついてない人たち、一般国民はみんな怒るじゃないかと。これがですね、多かれ少なかれすべての私たち日本人全国民がこの利権の中に暮らしていたので、まあいいかということになるわけですね。
ですから、今まで右肩上がりで少子高齢化もなくて、人口がどんどん増えてくるんだという中においてはこの利権構造の中において、みなさんはまあこれでいいんじゃないかということで、どんどんどんどん政治、それから経済を回してきたわけであります。
我が国外務省の本当の仕事 対米追従+自由貿易の最大活用
これに対してですね、この利権を作らない省庁が1つだけあるんですね。これは私自身が外務省を自主退職しまして、ほんとに思ったのは、めちゃめちゃ苛められるわけですよ。いろんな所に行って、「外務省だからね」と。どうしてかと言うとですね、他の省庁はみんな利権を作っているので、要するに利権にお世話になっているので、みなさん苛めないんですよ。
でも外務省はですね、利権を作らない。国内において。何やっているのかって、全く無意味じゃないのかって。全然そんなことないですね。またこれでですね、いや、国益がとか安全保障だとかそんなことじゃないんですよ。要するに何かと言うと、わが国の外務省の本当の仕事というのは、対米追従ですね。「おついしょう」ですよ。要するに。
まあ、とにかくアメリカさんすごいですねという風に言っとけばいいと。それによってコバンザメのようにアメリカにくっついてくることによって自由貿易の最大活用がかかると。つまりですね、それによってトヨタや日産、それからパナソニック、ナショナルですけれども、バンバンバンバン売ると。自由貿易ということですね。
いやお前、そんなに富を得ているんだったら、ちゃんと国際的な安全保障に貢献しようと。いや、すいません、九条があるんで、すみません、アメリカがいるんでとそういう話しになっちゃうわけですね。もう素晴らしい仕組みですよね。だから国外からドンドンドンドン富は取ってきて、しかも国内においては右肩上がりでどんどん人口は増えていくのでマーケットはどんどん拡大していく、拡充していく。その中において利権がボンボコボンボコできて、これは富がこの国に滞留するに決まっているだろうという、まあそういう国だったわけですよ。
“これから起きること”のインパクト
ところがですね、重要なのは、このままこんなことが続くわけありませんよということなんです。私ですね、公式ブログにも書きましたけれども、これからこの5年間において起きる事というのはですね、根本的においては利権の時代は終わるんですよ。
なぜか。理由は2つあります。1つは少子高齢化になっちゃったんですね。税金が、もうどうひいき目に見ても中長期的にはもう保たないんですよ。
だから対外的な話を考える前に、公的債務残高がもう天文学的に広がってしまって、これ以上、利権を作ってもですね、この価格差によってみんなが分配を受けると、これはほとんど非合法なお金になるのでそのうちの少なからぬ部分を立法してくれた先生、国会議員にばらまくと。
だから自民党の領袖とか、何であんな良い所に住んでいるんだと。要するに、この金なわけですよ。でもこんなものはもう保たない。つまりわが国においては、公的債務残高の話があるので、どんどん利権が壊されている。このことをやったのが、要するに小泉改革であり、それ以降の、いわゆる、構造改革なわけですよ。
ところがですね、それだけだったら、いやまあ、別にいいんじゃないか、だって少子高齢化であってもどんどん外側からお金を外務省が経産省等々と一緒に持ってくればいいじゃないかと。今一生懸命やろうとしているんだけれど、そうじゃないんですよ。
つまりですね、日本の外側に一歩でも出たところが大変な騒ぎになっているわけですね。ですからもう、グローバルマクロを考えるとですね、もう日本、それから東アジア以外に基本的にお金が無い状況になっているわけですよ。ということは自由貿易でそんな取ってこようなんて…。
だからアメリカはTPPをいつまでたっても妥結しようとしないと。だからこんな事をやられたら困ると。そこでサインを送っているわけですね。だから要するに外務省の役割はある意味終った。国内官庁の役割も終った。だから全く新しい政治が今、始まりつつあるんですよ。
グローバル利権とは
じゃあそれは何かと言うと、私、B20に出ていますけれども、B20て何かと言うとですね、あれはもう壮大なグローバル利権、新しいグローバル利権を作る作業なんですね。私が見ていて本当に思ったのは、もうとにかくみんな押し込んでいるんですよ。B20でですね、リコメンデーション(推奨)でこういう風にやりなさいと、やったらいいよと。
やったらいいよというのは要するに「やれ」ということなんですけれども、これがですね、G20、政府間会合でB20自身はこれはグローバルビジネスコミュニティの集まりなんですけれども、それがですね、今度G20で固まっちゃうと今度、G8とかに落とされて結局宿題になりますからね。
結局何かと言うと、この利権をですね、グローバル利権という形で国境を越えて作っているゲームなんですよ。これは凄い話しだなあということなんですけれども、ここにほとんど日本人の姿がないということなんですね。
このまま行くと大変だよと。だからほんとにですね、グローバル人材はですね、どこに必要かと言うと、こんな国内での利権どうのこうのじゃなくて、国際的な視野も入れた上で、どうやってこのグローバル利権というのを作っていくのか。
今申し上げましたけれども、電波利権、それから原発利権ですね。他にもいろんな、インターネット利権とかもういろんな利権がありますね。農産品の利権とか。前のは全部リセットになっていっているわけですよ。どうしてかって、もうこれ以上税金で払えないからです。
なので、ということは、じゃあそれで利権の人はおしまいかと言ったらそんなことはないですね。しかし問題はですね、このグローバルコミュニティというのは決して民主主義では選ばれないんですよ。だからデモクラシーって一体どうなっちゃうの。だから私は、デモクラシーの危機にこれからなっていくんだろうなと。
だってそりゃそうでしょ。みなさんのために利権を作ってくれない政治家のために、みなさん日曜日を割いて投票行動に行きますか。行かないんですよ。ここで政治も経済も全部変わると。ですから、この公的債務の残高の問題というのは、単に負債が積み上がっているね、まあ何とかなるよ、ではないんですね。
皆様方のこの利権どっぷりの日本国民の政治、戦後日本の政治が究極において、総決算を迎えるということなんです。ですから、これから先、一体何が起きてくるのか。これはもう想像を絶する新しい世界、新しいルール、新しいアクター、プレーヤーによるゲームが、今もうすでにここで始まっているということですね。
一体それは何なのか。そしてそれは一体これから私たち日本人をどこに誘おうとしているのか。単に株が高いとか円が安いとか、ある意味そんなのはどうでもいい話しなんですね。もちろんその中でですね、米ドルが中心である国際基軸体制が大きく歪むとか、まあいろんな話しになるんですけれども、まあとにかくそれはどういう風に向かっていくのか。
この辺に出ていると思いますけれども、私ども無料会員制度というのを設けております。私ども、様々な分析をご提供しておりますけれども、これの少なからぬ部分が、何と無料で見えてしまうということでございますので、この無料会員制度、ここから申し込みいただけますので、是非、簡単な入力だけですみますので、1人でも多くの皆様方、一歩踏み出していただければと思っております。ということで、今回はホワイトボードセミナー第21回目をお送りしました。それではまた。
文字起こし:はちコ
“この5年間において…根本的に…利権の時代は終わる”という確信めいた情報は原田氏の人脈からのもののようです。この情報を熟成させ自ら考察したものが今回の動画であり、こちらの記事のようです。ご本人も「会心の出来」と表現されています。また“「財務省支配」「外務省の対米隷従」「グローバル化」「利権政治」「国会議員の腐敗」「アベノミクス」「平成バブル」「B20」などなど・・・全部を理解する大きな大きなスキームを描き出しました”とあります。
“利権どっぷりの…戦後日本の政治が究極において、総決算を迎える”というのは、まさに第3次世界大戦が回避された現在、これから起ころうとしていることではないでしょうか。ただ中央銀行を中心とする金融機関について、今回、指摘がなかったのが少し残念に思いました。また、世界支配層が改心することもなく、単なるエリートによるプランBがこれから始まろうとしているのではなく、プラウトに向かって進んでいると信じています。