[Sputnik 他]力の均衡が決定的に変化した / 「悪玉」対策に本腰を入れ始めるロシア 〜ロシアは先手を打って、南シナ海での紛争を未然に抑え込むつもり〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 やはり、9月28日のプーチン大統領の国連演説の前後で“世界情勢の大転換が起きた”ことを、世界は認識しているようです。
 “続きはこちらから”以降の記事では、ロシアは海賊対策にも今後力を入れるとのことで、これを見ると、ロシアは先手を打って、南シナ海での紛争を未然に抑え込むつもりのようです。
 マケイン上院議員は南シナ海でも紛争の種を仕込むために働きかけて来ましたが、中東だけではなく、アジアでもマケイヌになりそうです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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星条旗部隊
転載元)
米国のジョン・マケイン上院議員は、米国はロシアが中東で影響力を高め、残っている米国への信頼を失墜させることを許してはならないと述べた。

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力の均衡が決定的に変化した
Paul Craig Roberts
2015年10月10日

9月28日、ロシアのプーチン大統領が国連演説で、ロシアはもはや耐えることができないと述べて世界情勢の大転換が起きたことを世界は認識し始めている ワシントンの卑劣で愚劣で破綻した政策が解き放った混乱は、中東、そして今やヨーロッパを席巻している。二日後、ロシアはシリアの軍事情勢を支配して「イスラム国」勢力の破壊を開始した。

おそらくオバマ顧問の中にも、傲慢さに溺れておらず、この大転換を理解できるごく少数の人々はいる。スプートニック・ニュースは、オバマの安全保障担当幹部顧問の何人かが、アメリカ軍勢力をシリアから撤退させ、アサド打倒計画をあきらめるよう助言したと報道した。彼らは、ワシントン傀儡のヨーロッパ諸国を圧倒している難民の波を止めるため、ロシアと協力するようオバマに助言した。望んではいなかった人々の殺到で、アメリカの外交政策を可能にしておくことによる大きな犠牲に、ヨーロッパ人は気がつきつつある。顧問たちは、ネオコンの愚かな政策がワシントンのヨーロッパの帝国を脅かしているとオバマに言ったのだ。

マイク・ホィットニーや、スティーヴン・レンドマンなど、何人かの評論家たちが、「イスラム国」に対するロシアの行動について、ワシントンができることは何もないと正しく結論している。ロシアを追い出すための、ネオコンによるシリア上空の国連飛行禁止空域計画は夢物語だ。そのような決議が国連で行われるはずがない。実際、ロシアが既に事実上の飛行禁止空域を設定してしまったのだ。

プーチンは、言葉で脅したり、中傷したり一切することなく、力の均衡を決定的に変え、世界はそれを理解している。

ワシントンの対応は、罵倒、大言壮語や、更なるウソしかなく、しかもその一部を、更にいかがわしいワシントン傀儡がおうむ返しする。唯一の効果は、ワシントンの無能さの実証だ。

もしオバマに、多少の思慮分別があれば、政権からワシントンの力を浪費したネオコンの能なし連中を追放し、ヨーロッパやロシアと協力して、ヨーロッパを難民で困らせている、中東におけるテロの支援ではなく、破壊に注力するはずだ。

もしオバマが過ちを認めることができなければ、アメリカ合州国は、世界中で信頼性と威信を失い続けるだろう。

記事原文のurl: http://www.paulcraigroberts.org/2015/10/10/decisive-shift-power-balance-occurred-paul-craig-roberts/


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「悪玉」対策に本腰を入れ始めるロシア
転載元)
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アンドレイ イワノフ
欧米諸国がシリアのテロ対策で見せたロシアの決然たる行動から受けたショックからいまだ回復できていないなか、ロシア軍は既に新たな戦線を開いている。

今度の相手はアジア太平洋地域の海上交易路における大敵、海賊だ。

中国で開かれた第6回象山セキュリティフォーラムでロシア国防省のアナトーリイ・アントーノフ次官は、海賊対策を共同して行う必要性を訴えた。

「ロシア海軍は海賊対策と航行の安全保障について膨大な経験を有している。ロシアは2008年以降、インド洋の海賊取り締まり作戦に参加している。この間ロシアは各国の商船700隻あまりを保護した。ロシアは外国船との協力に関する経験を豊富に有している。そうした経験をアジア太平洋諸国と分ちあう用意がロシアにはある」と次官は述べた。

加えてロシアは東アフリカのソマリア周辺海域での海賊取り締まりについても豊富な経験をもつ。ロシアはたびたび船舶やヘリコプターによって各国商船拿捕の企てを阻止した。

国防次官は語る。ロシアは海洋航行の安全保障、海賊取り締まり、遭難船救助、海上救助活動についてアジア太平洋地域諸国との協力を活発化させる考えだ。既にロシアは地域諸国の多くとそうした趣旨の条約を結んでおり、近々マレーシア、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、ミャンマー、韓国、タイ、フィリピンとも協定を結ぶところだ。

アジア太平洋地域諸国は海賊対策に関する2国間および多国間の協力を発展させている。それも当然のこと。正義の海賊などというものは伝説や冒険小説の中にしか存在せず、現実には彼ら(海賊)のほとんどが、無慈悲で、残酷だった。少なくとも政府や商人たち、そして市井の人々は、そう見なしていた。健康や財産を脅かされるとなれば当然のことだ。ましてや、今の時代に海賊を理想化する人など誰もいない。

その点、悪玉と「穏健野党」とに分類される、テロリストとは異なるわけだ。ちなみに言えば、どういう理屈でそのような分類がなされるのかは明らかだ。米国とその同盟国の市民を殺害するテロリストは悪玉、米国の敵だけを殺害するテロリストは善玉。善玉テロリストは資金や武器で支援し、訓練し、「自由の闘士」または「穏健野党」と呼ぶことになっている。

幸い海賊についてはそれら呼称は用いられていない。もっとも、将来のことはわからない。アジア太平洋地域では米国と中国の対立が深まっている。中国は海軍力を増大させている。この点米国は忠実な同盟国・日本を頼みにしている。地域において日本の海軍力にまさるパワーは米国しかない。

米国はしかもそれに飽き足らず、南シナ海で中国と紛争をかかえるベトナムやフィリピンをも味方につけようとしている。しかしながら、実際のところ、おそらくは誰も、島嶼や海域の所有権を守るために海軍力を行使する用意までは持っていない。深刻極まりない戦争が起こりかねないからだ。その点、海賊を利用するというのは、悪くない考えかもしれない。

一部の海賊を航海の自由の闘士と呼び、穏健野党と規定することは。しかしそうした「独立の闘士」や「穏健野党」の背後に経済的・地政学的野心をもった大国の影があることは、今やだれもが知るところだ。ジョリー・ロジャー(海賊旗)を掲げた「穏健野党」を支援でもすれば、たいへんな紛争が持ち上がりかねない。

そうさせないためには、幅広い国際協力のもとで海賊を、たとえ「航海の自由の闘士」と呼ばれようともあくまでも海賊にほかならぬものとして、取り締まることが必要だ。テロリストも同じこと。たとえ「穏健野党」と呼ばれようとも、飽くまでテロリストとして取り締まることだ。

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