アーカイブ: ニジェール情勢

ウクライナ戦争でのロシアの勝利の余波は、アフリカ植民地支配の瓦解へと向かっている

竹下雅敏氏からの情報です。
 アフリカ西部のニジェール大統領警護隊によるクーデターが発生したのは7月26日でした。
 2021年4月3日から2023年7月26日までニジェール首相を務めたウフームドゥ・マハマドゥ氏は、“国際社会が協調してニジェールに民主主義を取り戻し、テロの脅しに屈しないよう要求”したとのことです。
 “わずかの褒賞と引き換えに資源利権を宗主国に渡す政治家”にとって、民意とかけ離れた政策で民衆から搾取することを「民主主義」と呼びます。
 世界銀行は8月2日に「民間部門との提携以外の全ての融資の実施を当面停止する」との声明を出しました。アーロン大塚氏は「外貨を使用できなくして、気に入らない政権を潰そうとする行動に出た」とツイートしています。
 世界銀行(WB)は「低・中所得国の政府に対して資本プロジェクトを進めるために融資や助成金を提供する国際金融機関」であり、国際通貨基金(IMF)は「経常収支が悪化した加盟国への融資、為替相場と各国の為替政策の監視などを行っている」ということになっていますが、実際は、“新植民地体制を維持する機関”です。
 ウィキペディアの「新植民地主義」には、“貸付金や経済援助を受けるためには、小国は国際通貨基金(IMF)なり世界銀行(WB)を利するのみで自国経済に有害なプログラムを実行せねばならず、「構造調整プラン」が国内の貧困をむしろ増幅してしまうとの批判が根強い。…実際第三世界の政府が賄賂の見返りに、外国企業へ特権や独占権を認めるケースが多々見られる。その上、最貧国に対する貸付金の多くはほとんどの場合、外国企業へ返済することになるため…WBやIMF、WTO、更にG8や世界経済フォーラムといった組織は新帝国主義を体現する存在として非難を浴びている”と書かれています。
 最後のTomoko Shimoyama氏のツイートに、“ニジェールの新政権を支持する北アフリカ諸国が拡大中。NATO/ECOWASによる鎮圧を支持する諸国はごく少数”とあり、地図でオレンジ色になっている国が西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の加盟国の中で、NATO/ECOWASによる鎮圧を支持するごく少数の国のようです。
 ウクライナ戦争でのロシアの勝利の余波は、アフリカ植民地支配の瓦解へと向かっているようです。RTの記事によると、“ナイジェリア政権は8月3日、フランスとの軍事条約をすべて破棄し、アメリカ、フランス、トーゴ、ナイジェリアの大使を解任した”ということですが、“パリとワシントンは、ニジェールから軍隊を撤収させるつもりはなく、失脚したモハメド・バズーム大統領を正当な指導者として承認する”と述べていることから、状況を注視しておく必要があります。
(竹下雅敏)
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アフリカ西部のニジェールでのクーデターは今も続く植民地支配からの解放につながる重要なもの ~リビア、アルジェリア、マリ、ブルキナファソ、ギニアはニジェールの新政権支持を表明 / ブルキナファソのイブラヒム・トラオレ大統領の強烈なスピーチ

竹下雅敏氏からの情報です。
 アフリカ西部のニジェールで7月26日、大統領警護隊によるクーデターが発生しました。国連のアントニオ・グテーレス事務総長やEUをはじめ、サヘル地域のテロ掃討でニジェールに派兵するフランスや米国など、国際社会はクーデターを強く非難。EUと米国は、ニジェールへの財政支援や安全保障分野の協力を停止することを通告しました。
 ANNニュースは、「8月1日、ニジェールの首都ニアメーに滞在していた在留邦人2名とその外国籍の家族1名が、フランスの協力を得て、フランスが手配した航空機によりニジェールからパリに退避しました」との松野官房長官の会見の様子を伝えています。
 こうした西側諸国の伝え方から分かるように、クーデターは今も続く植民地支配からの解放につながる重要なものです。
 J Sato氏の最後のツイートにアフリカ西部の地図があります。アルジェリアとナイジェリアに挟まれた国がニジェールで、アルジェリアの右はリビアです。ツイートによると、リビア、アルジェリア、マリ、ブルキナファソ、ギニアはニジェールの新政権支持を表明したとのことです。
 ブルキナファソと言えば、アフリカのチェ・ゲバラとも呼ばれた偉大なトーマス・サンカラを思い出します。
 ブルキナファソのイブラヒム・トラオレ大統領が、ロシア・アフリカ首脳会議で行った強烈なスピーチをご覧ください。
 イブラヒム・トラオレ大統領はロシアをアフリカの家族と呼び、“ブルキナファソに関する限り、今日、8年以上にわたって、私たちは最も野蛮で、最も暴力的な新植民地主義、帝国主義に直面している。奴隷制度は私たちに課され続けている。…ブルキナファソの人々は、自分たちの発展を再スタートさせるために、戦うこと、テロと闘うことを決意した。この闘いの中で、20の民族からなる勇敢な人々は、テロリズムに立ち向かうために武器を取ることを誓った”と言っています。
(竹下雅敏)
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ニジェールでクーデター 在留邦人2名と外国籍家族1名が退避(2023年8月2日)
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