アーカイブ: *生き方

里山社屋主義(19) 建前です[後編]

建前です[後編]
建前もいよいよ後半です。

小屋組(屋根の部分)を組み始めました:

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軽々と高所の作業をこなしている大工さん達。私はハシゴに上って、足を震わせながら撮影するのがやっと。(*o*;)

これは別の大工さんから聞いた話ですが、『昔は落ちたら自分が怒られて、ケガしても治療費も自分もちだった。だから真剣だったよ。今の大工は足場を組んでても落ちることがある…ずいぶん集中力が落ちていると思う。』とのこと。

三角屋根の形が見えてきました:

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一番上に突き出た木が「棟木」、これが組まれた時を棟上げといいます。今回、棟木は3列に分かれているので、最後の3列目が収まった時を棟上げということにしました。

作業も進み、残ったのは真ん中の1列。いよいよ棟上げです:

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竹下氏始めスタッフに「もうすぐ棟上げ!」と電話して、集まってもらいました。スタッフ全員が見守る中、棟木が上がりました:

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これで建物の骨組み完成です:

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この状態の建物に入り、どんな間取りになるかスタッフ全員に説明しました。骨組みだけでも、各部屋の広さがわかって実感が湧くものですね。

建前は1日で無事終わりました。この後は屋根の工事です。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(18) 建前です[前編]

いつもご愛読をありがとうございます。先日、パータのスタッフ日誌(全国各地上映会のご紹介)にて、瓦までの建築費用を紹介しましたのでこちらもぜひご覧ください。
(スタッフ・白井薫)
建前です[前編]
さて、土台敷きの次の日、いよいよ建前です。

建前というと、上棟式を思い浮かべる方が多いと思います。私たちも、大工さんの晴れ舞台だからと思って行うことを考えていたのですが、「今の時世ではしないほうがいいよ」とのこと。

それでも建前の朝には、工事の安全を願っての「仕事はじめ」は行います。大工さんの指示で、御神酒とイリコと塩を用意しました:

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大工さん達が御神酒とイリコをいただき、仕事開始! 最初の木組みを作り:

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クレーンとともに上げていきます:

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この繰り返しで、家の四方の骨組みができます。大分建物の形になってきました:

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続いて建物の内側を組みます。ロフトの床と屋根の重さの両方を担う「胴差し」が入りました:
(本来の建築用語の胴差とは少し違い、二階梁と荷持を兼ねた部材です)

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これ、6m以上もある太い松です。普通の建築でこんな材料を使ったら高いんだろうなあ…と想像します。大工さん自身が思いのままに地元の山から材料を選んで使えるというのは、里山の恵みそのものだと思います。

私は安全なときを見計らって入り、実際に建った構造材の位置を確認。それをもとに間取りを再検討しました:

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昼を過ぎたあたりで、ここまで組み上がりました:

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これからいよいよ小屋組(屋根の部分)、棟上げに向けての作業です。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(17) 基礎パッキンがパッキ〜ン?[後編]

基礎パッキンがパッキ〜ン?[後編]
前回、長期の建物の寿命を考えて御影石の基礎パッキンを検討したことを話しました。

大工さんに「これを使いたいんですが」とご相談して、その時はOK。しかし、刻みが進んだ後日…「無しにしてくれ」ということでした。なぜでしょう? 2つ理由がありました。


【理由その1:コマ置きは難しい!】

実は、基礎パッキンの使い方には、「全周施工」と「コマ置き(本来の名称は不明)」の2つがあります。

画像の引用元:基礎パッキン製造元であるJOTO社のホームページの画面より
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筆者注)全周施工


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筆者注)コマ置き


こちらの2つの写真を見ていただくと、「全周施工」は基礎の上にびっしりパッキンが置かれています。対して「コマ置き」は、所々にしか置かれていません。

基礎パッキンは元々「コマ置き」しかなかったのですが、次の問題を解決するため「全周施工」が出てきた…らしいのです。

  • 所々しか置かないと、そこに荷重が集中する。(その影響がどれほどのものかですが、中越地震で基礎パッキンを使用した住宅の基礎が破壊したという情報があります。ただ正しい情報なのか単なる噂かは分かりません。)
  • 実際の現場で、作業者が正しい場所に気をつけて置くということが難しい。もし場所を間違えると大変なことになる。(全周施工なら何も考えずに全部敷き詰めればよい)

ともかく、一般の基礎パッキンは、どちらのタイプも用意されています。しかし御影石基礎パッキンは価格が高く、しかも1個1個が重いので、現実的に「コマ置き」でないと施工ができません。

しかし、コマ置きは実際現場では難しいのです。土台を基礎の上に敷く作業をしている時に、事前にパッキンをきちんと置いていても必ずズレてしまいます。作業を進めながら、この位置を直すことにも同時に神経を使うというのはかなり難しいです。このことは実際に土台敷きの現場に立ち会って、十分すぎるほど実感しました。


【理由その2:パッキ〜ンってなったらどうしよう】

御影石は天然物だから長持ちは確実だと思っていたのは、あくまでひとつの視点。逆に大工さんは、石だから割れたらどうしようと不安だったそうです。

建前では、柱を上からゴンゴン叩き込みます。その真下にまさに御影石のパッキンがあるのです。もし衝撃で割れたりしたら大変です。作業を一時中断、アンカーボルトで固定してしまった土台をわざわざ外して、予備のパッキンを入れる…ということになります。

ただ、販売元の工務店は10年これを使って建てているそうで、実際はそんな事はほぼ起こらないのでしょう。でも大工さんが不安だというのに、やってくださいとは言えません。

というわけで折衷案として大工さんが取った方法がこちら:

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屋根の防水に使う改質アスファルトルーフィング(ゴムアス)を、土台の下に敷くことにしました。

これで基礎からの湿気が土台に上がってくるのを遮断できます。また、今回の基礎は、普通に比べて風通しがよくなるよう工夫しているので、床下に湿気がこもる点も心配無用でした。

基礎パッキン1つをめぐって、こちらも大工さんもそれぞれパッキ〜ンが心配だった…というオチでした。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(16) 基礎パッキンがパッキ〜ン?[前編]

基礎パッキンがパッキ〜ン?[前編]
土台敷きに関連して、基礎パッキンの話です。

「基礎パッキン」とは一体何かといいますと…次の写真をご覧ください。

画像の引用元:基礎パッキン製造元であるJOTO社のホームページより

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基礎(下)と土台(上)との間に黒い部材が入っていますね。これがあると何が良いのか? 逆に、基礎と土台がピッタリくっつくと何が悪いのでしょう。

  • 基礎のコンクリートは水を吸うので、土台を湿らせてしまう。
  • 通常の基礎は床下の周りをほとんど囲ってしまうので、床下の空気がよどみ湿気がこもりやすくなる。

という問題があります。すると木が腐朽しやすくなるわけです。

そのため、このような部材を間に入れて通気を良くするという発想です。現代の住宅では広く普及していますが、昔は根子(ねこ)といって堅い木や切石を入れて同じことをしていたそうです。

今はプラスチック技術のお陰で、根子に代わり基礎パッキンという便利なものが使われるようになりました。コストも安く、14坪の建物全体に敷いても1〜2万円程度しかかかりません。



しかし待てよ、このような製品は一体何年保つのか? メーカーは半永久的、実績としては40年あり劣化の事例は無しといいます。また、プラスチックだと思われていますが、正確にはメーカーによれば炭酸カルシウムと樹脂の複合物。「半分以上は炭酸カルシウムでこれを特殊な技術で固形化したもの。いわば人造石の範疇に入る。(参考文献:Joto キソパッキン 複合素材の将来(寿命)予測についてをもとに筆者要約)」とのことです。

後はメーカーの主張を信じるかどうかという判断になりますが、見方によればせいぜい樹脂で固めた人工物。万が一にも50年を過ぎたあたりでパッキ〜ンとなっては…という不安がよぎります。

そこで今回私たちが採用を"検討"したのは、天然素材である「御影石」の基礎パッキンです。

画像の引用元:御影石基礎パッキンの販売元石川木材のホームページより
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御影石は700年もの間風化しないそうです。参考記事 これなら確実だろうと判断しました。ちなみに竹下氏のログハウスは、タダで手に入れた御影石の端材を自分で切って入れたそうです。

販売元からサンプルも取り寄せて現物を確認し、採用しよう!ということになりました。しかし、大工さんに話を持っていったところ…次回へ続きます。

(スタッフ・白井薫)

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里山社屋主義(15) 土台敷き

土台敷き
材料も出来上がり、ついに建て前(用意していた木を組み上げる行事)の前日。現場に大量の木が運び込まれました:

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今日は、柱を立てるための「土台」と「大引」を基礎の上に置きます。…しかし、その作業の前に、あ、雨が!

「行いが悪い〜んじゃないかい?」と言われました。心当たりはあるもので、地鎮祭の後1ヶ月以上、土地の神様に一つも挨拶に行ってなかったことを思い出しました。(汗)

大工さん達はこういう状況にも実に慣れたもの。木とブルーシートを組み合わせ、あっという間に巨大なテントを作ります:

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次々に基礎の上に木が敷かれていきます。しかし実際は木と木が都合よく合わないものです。サッと腰袋からノミを取り出して、その場で合うように加工します:

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「◯分(ぶ)厚みが足りんな」と、小さな木っ端をノミ一つで目的の厚さに割り、はめ込んで合わせてしまう。それも早業で、実に見ていて見事です。

今はプレカットの普及で、機械が狂いなく家1軒分の木を加工してしまいます。人間の仕事ならではの間違いと、「木が合うだろうか」という緊張感、それを素早く直すノミさばきの光景は、相当減っているのかも知れません。参考リンク

無事1日で土台敷きが終わりました。並んでいるのは仮置きした束石です:

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翌日の建前を待つ夕方…緊張感と楽しみとが入り混じる時間でした。

(スタッフ・白井薫)

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