里山Ubuntu通信:10日目  「ウィンドウズ7を使い続けて問題ないでしょうか?」〜読者の方からのご質問

————————————————————————
「ウィンドウズ7を使い続けて問題ないでしょうか?」
〜 読者の方からのご質問
里山Ubuntu通信の記事には各回、読者の方からの質問を受け付けるためのフォームが用意されています。今回、7日目の記事について、読者の方より2件ご質問をいただきましたので、ご回答したいと思います。

質問1「ウィンドウズ7を使い続けて問題ないでしょうか?」

Windows 7はマイクロソフトの製品なので、同社の見解を確認してみることにしましょう。「Windows 7 メインストリーム サポート終了のお知らせ - Microsoft」という記事がありました。このページでは、Windows製品のサポートの期間、ライフサイクルについて、以下の4つの区切りを示しています。括弧書きの中は、私が追加したものです。

  1. ライフサイクル開始日(Windows 7では、2009/10/22)
  2. メインストリームサポート終了日(同 2015/1/13)
  3. 延長サポート終了日(同 2020/1/14)
  4. サービスパックサポート終了日(同 2013/4/9)

最低5年間続く「メインストリームサポート」が終了すると、サポートの内容が、「延長サポート」に格下げされます。延長サポートで受けられなくなるのは、具体的には「仕様変更、新機能のリクエスト」、「無償サポート」、「修正プログラム、新規リクエスト」の3つとあります。読者の皆様は、マイクロソフトにWindowsの仕様の変更や機能追加についての要望を送ったこと、あるいはWindowsに関する問い合わせ等のサポートを依頼したことがあるでしょうか?もしなければ(私はありません)、とりあえず延長サポート終了日である2020年1月14日までは使っていてもあまり困ることはないと思います。

延長サポートが終了すると「セキュリティ更新プログラムの提供が行われなく」なるとあります。セキュリティ更新プログラムは、「セキュリティ上の問題を解決、軽減するための修正」ですから、「将来セキュリティ上の問題が発見されてもマイクロソフトは、それを修正しない」ということを宣言しているわけで、言外に「そうした製品を使って発生した不具合には責任を持たない」と言っています。これは私の意見ですが、対象が何であれ、提供している主体が「責任を持たない」と言っているものは、利用しないほうが良いと思います。したがって、私は延長サポートの終了以降、Windows 7を使うことはお勧めしません。

ここに重要なポイントがあります。それは、「一般論としては、サポート対象の新しいOSを使うほうが望ましいけれども、新しいOSを使えば問題がないとは限らない」、ということです。なぜかというと、誰も未来にどんなセキュリティ上の問題が発生するか、今わからないからです。その意味でこの話は、保険の加入と似ています。「この保険に加入するのが正しい」という正解はないので、起こり得るリスクを頭の中でシミュレーションしながら、「自分が」どうしたいかを考えるしかありません。

質問者の方に対する私のアドバイス(答え、ではなく)は、「延長サポートの期間内はWindows 7を使い続けて、その間にWindows以外の選択肢をご検討されてはいかがでしょう」となります。そして、本連載では具体的な選択肢としてUbuntuについて、皆様のお役に立つような情報の提供を続けていきたいと思っています。

質問2「マックも(Windows 10と)同じようになっているのか?」

アップル社は、マイクロソフトのようにOSのバージョンごとのサポート期限を明示していないようですが、古くなったOSについてある時点でセキュリティ上の修正が打ち切られます。古くなったバージョンに対応するということは、そのための体制と技術者を維持することになり、コストがかかります。営利を目的とする企業では対応に限界があるのは当然ですが、コミュニティにより維持されるオープンソースでも古くなったものはだんだんと忘れられ、利用が推奨されなくなります。つまり、この点において、マイクロソフトもアップルもOSS(Ubuntuのようなオープンソース・ソフトウェアのこと)も基本的に同じです。

マックを使っているとWindows 10のようにさまざまな情報が、ユーザに知らされずにアップル社に送られるかどうか、については、同社の開発関係者にしかわかりません。「確認しようがない」という点において、マイクロソフトと同じですが、アップル社では個人情報の扱いについて、「Appleはあなたのプライバシーを尊重し、強力な暗号化とすべてのデータの扱い方を規定する厳格なポリシーによって、あなたのプライバシーを保護しています」として、同社のスタンスを明確に説明しています。


私は、個人的にアップル社のユーザで、ノートPC、タブレットも利用していますが、今回のWindows 10のような強制的なアップデートを促されたことはもちろんありませんし、疑問を抱かせるような設定画面を見たことはありません。今年の2月、Apple社がFBIから、「操作のためにiPhone(のOS)にFBI用のバックドア(情報を取得するための抜け道)を作成せよ」という要望を拒否したという出来事がありました。


この記事で紹介されている「顧客の方々へのメッセージ」は、たとえ政府の命令といえどもユーザのプライバシーを破るような要請は間違っているというものです。私は一人のMacユーザとしてその考えに共感し、同社がこれからもそのスタンスを維持して欲しい、そう願っています。

質問者の方に対する私の個人的な意見(答え、ではなく)は、「アップル社はユーザのプライバシーを保護するということを明確に表明しています。そのスタンスが変わらない限り、Windows 10のようなことは起こらないと期待しています」となります。

(Haru)

著者:Haru(ペンペン先生)

1962年、北海道生まれ。うお座。
1985年、北海道大学工学部卒業、IT系企業に入社。
2003年、業務テーマとしてLinuxに取り組む。
2015年、関東地区交流会参加をきっかけに上映会スタッフに参加。
横浜市在住

*ペンペン先生への感想や質問はこちらのフォームからお願いします。


Comments are closed.