[RT]パリ襲撃の分析:政治文筆家ゲロード・オコールマンがRTインターナショナルに語る

翻訳チームからの情報(情報提供:竹下氏)です。
 ヨーロッパに平和を築き、闇の思惑の粉砕するには、メディアの様々な煽動に対して、一般市民がどう反応するか、そして"頭脳戦的なテロリズムの時代"にあって、誰が本当のことを言っているのかを見極め、どれくらい正しい認識を共有していけるかが重要なようです。そういう意味で、先日の一人のムスリム男性の行動がいかに価値があったのか、ここでも分かります。
 "続きはここから"以降は難民危機を取り上げ、難民を揺さぶりをかけるための兵器として使用しているのはアメリカとトルコで、"バルカン半島や中央ヨーロッパ、…何よりドイツを不安定化させるために使っている"と指摘しています。またその動機ですが、バルト海から黒海にかけてユーラシア半島を分断し、緩衝地帯を造り出し、ドイツとロシアが手を組むことを阻むことだと指摘しています。
 こういった貴重な分析をしている動画が、すでに96万回も再生されていることに希望を感じます。
(編集長)
 11月17日の記事で紹介されていた動画を翻訳しました。
 オコールマン氏はパリ在住のアイルランド人。RTやベネズエラのラジオ・デル・スール、そしてアメリカの独立系メディアINNワールド・リポートにゲスト出演しているそうです(かつてはアル・ジャジーラにも)。Twitterを見ると、英語に加えてアイルランド語、スペイン語、フランス語も出来るようです。分析の深さもさることながら、今まであまり耳にしなかった人物なので、今回の動画が突如として世界中を駆け巡っていることが大変不思議です。というか、そもそもRTに専門家の立場で登場できる時点で、何者なのでせう…。フランスにおける共産主義再興拠点党のメンバーだそうで、思想としてはマルクス・レーニン主義に傾倒しているみたいです。ホントに一体なにもの…?
(Yutika:翻訳者)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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パリ襲撃の分析:政治文筆家ゲロード・オコールマンがRTインターナショナルに語る
転載元より翻訳)

アナウンサー:では今夜はパリにいる、政治ジャーナリストで作家のゲロード・オコールマン氏のお話を伺いましょう。RTインターナショナルに再びご出演頂きありがとうございます。フランスの首都にいらっしゃって、その場の雰囲気や人々の様子はどうお感じになっていますか?

オコールマン:我々は戦時中なのだと、危機にあるのだと繰り返し聞かされています。なのですが前にも、つまり1月にも同じことが起こっているんですよね。何週間にも渡ってサイレンが鳴り響き、ラジオからはイスラム過激派やらテロリスト集団の脅威がどうのこうのといった話が続いて。ですから、またその繰り返しが始まったということでしょうか。ただし今回はより強調されていると感じています。フランスにいる人々にイスラムへの恐怖を抱かせようとするメディアの宣伝体制はより強化されることになると思っています。

テロに対する戦いの根源は何だったのか、はっきりさせる必要があるでしょう。曰く、テロに対する戦いとは「国外から指揮されたものである」、これはフランソワ・オランド自身が今回のテロ攻撃を指して用いた言葉です。シリアを破壊せんと、あの国の人々を虐殺せんと、今現在続けられている数多の攻撃もまた、国外から指揮されています。NATOによって指揮されたこれらの攻撃は、シリアの一般市民に対してかれこれ4年も継続中なのです。そちらも国外から指揮されたテロ活動の1つだと言うべきです。

ヨーロッパにいる人間は、今起こっている戦争がグローバル化しつつあること、そしてそれがとりわけ一般市民に対して起こされていることを理解すべきなのです。これは新たな帝国主義であり、新たな植民地支配です。その目的は、ヨーロッパや中東、アフリカや世界中の人々を分割し統治すること。この惑星の大概の人には合致しない利権のため、しかしながらごく少数の支配層、本当に一握りの非常に横暴な支配層だけに有利な世界秩序へと人々を服従させることなのです。

テロに対する戦いなぞ存在しません。単に戦争が代理集団…テロリストという代理集団を使って行われているだけなのです。彼らはアメリカやイスラエルの覇権に抵抗しようとする主権国家に対して使われているのです。また、彼らはヨーロッパの労働者階級に言う事を聞かせる手段としても使われています。

大量失業と緊縮財政の折には、西側の諜報機関によって経済支援され、武装され、訓練されたテロリスト達によるテロ攻撃が行われます。ISISなんてものは存在しないのです。ISISはアメリカが創り上げたものです。これはアメリカ軍自身の公式発表で分ることです。米国国防情報局の機密解除された文書において、確認が取れることです。

そしてフランスといえば…フランス政府はシリアへのさらなる軍事介入に対する支持を取り付けるべく大騒ぎしています。つまりはゲームへの参加チケットが欲しいのですよ。ほぼ負けが決まっているゲームのね。ロシア軍はイスラム国の大半を蹴散らしました。今や難民に偽装したイスラム国の兵士が、中央ヨーロッパを混乱に陥れようと欧洲に押し寄せています。

なのにフランス政府が目論んでいるのは…シリアでのゲームに一枚噛んで、自称穏健派反対組織にテコ入れすることなのです。当然のことながら、シリアに穏健派の反対集団なんているわけがありません。いるのはアルカイダであり、ISISの兵士であり、テロリストなのであり、人々の首を斬り、はらわたをえぐり出し、あの地域全体に完全な混沌をもたらし、虐殺を行っている連中です。こんな支援が…こんなことをしてもシリアの人々、そしてそれ以外の人々のためになる訣が無いのです。西側の企業家支配層だけは得をしますけどね。彼らの地政学的利権にとっては。

アナウンサー:ですがフランスは、金曜のテロ行為、そしてシャルリー・エブドーから10箇月という事実を受けて、どう動くとお考えでしょうか?その手を緩めるとは思えないのですが、いかがでしょう?

オコールマン:いいえ。ですが…これはフランスの一般市民がどう反応するかに大いにかかっているのです。もしも人々が…我々は今、メディアの宣伝攻撃にさらされています…絶え間ない警告、恐怖…外出は控えろとか、怖れ慄くべきだとか、大人しくしておくべきだとか、色々と。

フランスでは政府の意に沿わない者に対する煽動が展開されると考えています。
当局は昨今台頭してきた新たなメディアに大変警戒しているのです。さらに言うと、独立系のメディアに大変警戒しているのです。よって起こりうるのは…1月の攻撃の後にも実際に目撃したことなのですが、テロリズムと政府批判の意図的な混同でしょう。

既存の体制に対する人々の至極真っ当な問いかけ、とりわけテロに対する戦いに向けられた疑いを考慮に値しないものと見せかけるため、主流メディアが用いる手段の1つは、テロに対する戦いに異議を唱える者を陰謀論者として嘲笑うことです。現実に何が起こっているのか、率直かつ真っ当な分析を発表しているにも関わらず、陰謀論者とレッテルを貼られた人々やウェブサイトが弾圧されるようになるでしょう。

ということで、こういった頭脳戦的なテロ行為が展開されるようになる筈です。フランスではもう既に危険な徴候が現れています。例えば、大学では教授陣が脅迫にさらされ、学校の教師達も「フランスの帝国主義とテロリズムに関連があるかもしれない」と単に示唆するだけで事実上の退職に追い込まれているのです。最近の事例を1つ挙げますと、とある学校教師がフランスの外交政策とテロの関連の可能性を示唆したために、クビになりかけました。ですので、現実に我々は今、頭脳戦的なテロリズムの時代を生きているのです。


それから勿論ですが…内戦を薄めたような形の突発的なテロ行為も起こる筈です。思うに現状の危機は難民問題から作り出されたもので、難民問題それ自体が強制的に組織された動きであり、簡単に回避可能だったのですから意図的なものであり…このような強制的に組織された難民の移動は事態をさらに悪化させることでしょう。そして内乱の様相を呈することとなるでしょう。

結局のところ、これはグローバル主義と金融資本主義の当然の帰結です。どうなるかは端から分っていたことです。要するに、社会の崩潰をもたらすのです。人々をなんとか押さえつけておくことのできる唯一の道は、分割統治という政策しかありません。

フランスではワッハーブ派化された労働階級とでも形容すべき存在が生まれています。フランス政界エリート連中の同盟国サウジアラビアとカタールによって、ワッハーブ化されていっているのです。彼らはワッハーブ派のモスクをあちこちに建設しています。それによって若者がワッハーブ化されるようになり、より大きな地政学的戦争においていわば捨て駒として使われることになるでしょう。戦争、例えば対ロシアの代理戦争、対イランの代理戦争、中東での戦争などなどです。

そしてそれは大がかりな社会不安を作り上げることでしょう。労働階級の人々を互いに反目させることでしょう。そうなって利益を貪ることのできる唯一の人種は民間軍事会社、軍事産業‐メディア‐諜報機関の複合体だけです。

なのでこの事態をどう解釈しようとも、実際に誰がこの攻撃、この惨状を引き起こしたにせよ、直接的にあるいは間接的にせよ、故意にあるいは非意図的にせよ、責められるべきはフランス政府なのです。中東やアフリカ全土のテロ行為に加担してきたのですから。この点はしっかりと理解されるべきです。もしこの点を理解しなければ、この状況は繰り返され、事態は悪化の一途を辿り、ついには戒厳令下に我々が置かれることになってしまうでしょう。なのでこの点を検証し、しっかりと理解すべきなのです。

アナウンサー移民と難民の問題について、もう少しお願いします。今回のテロでは容疑者の一人がフランス国籍であり、もう一人は最近国内にやって来た移民だと言われています。移民問題に対するフランスの政策がこれによって変わるとお考えですか?

オコールマン: そうですね、実のところこの問題、つまり現在も進行している移民問題とは別に、異質な集団が動いていると疑うに足る十分な証拠があると考えています。リビアから異質な集団が押し寄せています。シリアからバルカン半島にかけて異質な集団が押し寄せています。現状の難民問題はまるで、"強制的に組織化された移民"とでも言うべきではないでしょうか。これはアメリカの学者ケリー・M・グリーンヒルによって使用された表現で、それについて興味深い本も執筆されています。本の中で、移民という存在は、ある国が別の国に揺さぶりをかけるための兵器として使用可能だと彼女は論証しています。今回の件ではアメリカとトルコが、バルカン半島や中央ヨーロッパ、つまりハンガリーそして何よりドイツを不安定化させるために使っていることが明白です。

その動機ですが…戦略地政学的な動機としては実のところ、ハルフォード・マッキンダーの学説「世界島の分断」という地政学の古典にまで遡ることができます。つまり、バルト海から黒海にかけてユーラシア半島を分断する、という発想です。緩衝地帯【訳註:オコールマン氏はここで、正確にはポーランドのユゼフ・ピウスツキがかつて提唱した中央・東ヨーロッパ同盟 (Międzymorze)の英訳「Intermarium」を使用していますが、イメージ的にはマッキンダーの言う緩衝地帯のことかと思われます】を造り出し、ドイツとロシアが手を組むことを阻むというものです。これこそがグローバル主義の犠牲者ともいうべき人々がドイツへと詰め掛けている理由なのです。犠牲者でありながらも、彼らは今やグローバル主義の手先と化し、兵器として使われています。そしてこれは、現代アメリカ帝国主義の主要戦略の1つなのです。グローバル主義の帰結を、さらなるグローバル主義を推し進めるために利用するという。

一方ヨーロッパにおいては、移民の動きを規制しようといった政策が皆無なのです。実は鍵となるのは移民の規制ではありません。重要なのは、ヨーロッパの地政学的不安的化をいかにして沮止するべきか、なのです。

幾つかの国はその試みに取り組んでいます。ハンガリーは沮止しようとしています。ブルガリアもある程度は試みています。つまり、誰が本物の難民で誰が違うのかを見極めようとしている、ということです。例えばハンガリーでは、女性や子供の保護を優先しています。これは理にかなった対応だと言えるでしょう。

ですが当然のことながら、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトルはEUによって悪魔扱いされています。彼がハンガリーの国の法律、そしてEUの法律を適用すると言い張ったがために、です。

そしてフランス政府といえば、アメリカ様の御命令に唯々諾々と従っているのです。ドイツ同様、この国はアメリカ帝国主義に完全に乗っ取られています。フランスには外交政策なんてものは存在しません。アメリカの言いなりなのです。

アナウンサー: 分かりました。ゲロード・オコールマンさん、貴重なご意見を伺いました。土曜の夜にパリからの中継、ありがとうございます。

翻訳:Yutika

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