竹下雅敏氏からの情報です。
注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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世界秩序の変化映し出す一帯一路 米国の覇権支配終焉と新興国の台頭
転載元)
長周新聞 17/11/28
ドル支配揺らぐなか各国が思惑
中国の習近平国家主席が2013年に提唱した巨大経済圏構想である「一帯一路」が進展している。(中略)...
「一帯一路」構想の「一帯」とは「陸の経済圏」、「一路」は「海の経済圏」を意味する、中国とヨーロッパを結ぶ巨大な広域経済圏構想である。
中国大陸とヨーロッパが位置するユーラシア大陸は陸続きであり、陸路で中央アジアを経てヨーロッパに続く「一帯」、すなわち「シルクロード経済ベルト」とも呼ばれる。(中略)...
「一路」は中国から南シナ海、インド洋、アラビア海を経て地中海に至る海上ルートのことで、「海上のシルクロード」または「真珠の首飾り」と呼ばれている。ミャンマー、スリランカ、パキスタン、さらにはギリシャの重要港湾の機能を向上させ、中国の船舶が自由に使用できる体制づくりがおこなわれている。
(中略)...今年5月、各国首脳も参加する国際会議が初めて開催された。(中略)...
この会議の基調講演で習主席は、対象地域への累積投資が500億㌦(約5兆5000億円)にのぼると強調した。さらに「シルクロード基金」に1000億元(約1兆6000億円)の追加出資、国営金融機関による3800億元(約6兆800億円)の融資、対象国に今後3年間で600億元(約9600億円)の援助をおこなうといった方針を発表した。
(中略)
「一帯一路」構想の発表と前後して進んできたのが、同構想を資金面で支える政府系投資ファンド「シルクロード基金」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立である。「シルクロード基金」は政府の外貨準備、政策金融機関などが資金を拠出する。
AIIBは今年6月、米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の「トリプルA」の格付けを得た。このことは低金利で債権を発行して資金を調達できることを意味する。主要七カ国でAIIBに参加していないのは日本とアメリカだけである。日本政府はこれまで「中国主導では信用力に問題があり、高い格付けが得られずに資金調達は困難」として牽制してきたが、思惑は完全に外れた。
(中略)
AIIBは、中国を最大の出資国としてロシア、インド、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、インドネシアなど57カ国で2015年暮れに発足した。その後1年半で「加盟承認国は80カ国・地域まで増大」し、100カ国に迫りつつある。日米主導で戦後のアジアのインフラ整備を牽引してきたアジア開発銀行(ADB)の加盟国67カ国・地域を大きく上回っている。さらにAIIBはヨーロッパ、アフリカ、南米などアジア以外にも参加を積極的に働きかけている。
ちなみに、第2次世界大戦後の国際金融の世界では、信用力の高いアメリカ、日本が加盟しなければ、高い格付けを得るのは難しいとみられてきた。ところが今回日米が参加していないAIIBが最上位の格付けを取得し、「一流の国際開発金融機関」のお墨付きを得たことは日本とアメリカに大きな衝撃を与えた。(中略)...
「一帯一路」構想とかかわって、中国企業の銀行や保険、資産運用会社の海外買収も活発化している。(中略)...中国の海外買収の狙いは巨額の資金と技術で、金融の体力強化に迫られていることによる。中国企業による海外の金融機関の合併・買収(M&A)は、今年の初めから5月までで90億㌦近くとなっており、昨年一年間の120億㌦に迫っている。
(中略)
中国では2002年の共産党大会で、対外投資を積極的に推進する戦略が採用され、投資額は年々拡大している。
(中略)
中国の対外投資の筆頭は「一帯一路」構想がらみのインフラ整備である。中国からユーラシア大陸に至るまでいくつもの国の鉄道を利用し、アジアとヨーロッパを結ぶ「ユーラシア横断鉄道」とか、「鉄のシルクロード」「シルクロード鉄道」と呼ばれる事業が進んでいる。
(中略)
中国はすでに、ドイツのハンブルグ、イタリアのミラノ、スペインのマドリードなどヨーロッパの各都市に向かう貨物列車を運行させている。この鉄道の沿線のカザフスタンやポーランド、ベラルーシなどでは商社や流通会社、製造会社などの企業が関心を寄せている。鉄道輸送のメリットは航空便よりもコストが安く、船便より輸送が速いことで、輸送コストは航空便の3分の1、日数は船便の4分の1という。
(中略)
習政府は鉄道への投資を優先するとし、2020年までに5030億㌦を投じて貨物輸送網を整備する計画である。(中略)...
港湾整備では、スリランカを重視している。インド洋の要衝であり、海のシルクロードの交通拠点としての役割とともに、香港からポートスーダンを結ぶ軍事的な海洋進出の拠点ともなる。また、ギリシャ最大の港であるピレウス港を買収した。中国はギリシャを「ヨーロッパへの入り口」として重視しており、同港を世界規模の海運の要衝にする計画を持っている。
(中略)
中国は世界人口の6割を占める65カ国でインフラ整備を進め、貿易を拡大するとしている。中国の事情として、国内で投資しきれない金余り状態となっており、鉄鋼やセメントなどの基幹部門の多くで生産能力の過剰に直面し、新市場の開拓が急務となっている。中国は国内経済が巨大化し、GDPはすでに日本の2倍強であり、成長率の低下を想定しても2030年までにアメリカに並ぶとされている。
(中略)
世界経済は2008年のリーマンショックによる大規模な金融崩壊と世界経済の大停滞に移行したころを境に、「アメリカ一強」の時代が終焉を迎えた。(中略)...その後、かわりに台頭してきたのが新興国である。(中略)...
第2次大戦後の世界経済はアメリカが指揮権を握ってきたが、今やその衰退と中国をはじめとする新興国の台頭という大規模な構造的な変化が起こっている。(中略)...
アメリカの意向を忖度してAIIBに参加していない日本だが、今月史上最大規模の日本の経済界の一行が20日から26日までの日程で訪中した。ここには「一帯一路に乗り遅れまい」という経済界の思惑がある。新日鉄住金会長・宗岡正二、経団連会長・榊原定征はじめ主要企業のトップら総勢250人の訪中団である。中国メディアは「日本の経済界は中日関係の発展に対し積極的な態度を一貫して示しており、安倍政権による歴史や安全問題で両国の貿易関係が巻き込まれることを望んでいない」と報じている。
いまやアメリカを中心とした世界秩序が終わりを告げようとしている。このなかで、対米従属一辺倒では世界の潮流から乗り遅れ、ますます孤立する道を進むことになる。経済的利害だけ見てもアジア近隣諸国と友好関係を切り結ぶことに活路があるにもかかわらず、いつもアメリカに阻まれて独自外交を展開できないのが日本政府なり経済界だった。潮目が明らかに変化している世界情勢とかかわって、これとどう向き合うのかが問われている。
中国の習近平国家主席が2013年に提唱した巨大経済圏構想である「一帯一路」が進展している。(中略)...
「一帯一路」構想の「一帯」とは「陸の経済圏」、「一路」は「海の経済圏」を意味する、中国とヨーロッパを結ぶ巨大な広域経済圏構想である。
中国大陸とヨーロッパが位置するユーラシア大陸は陸続きであり、陸路で中央アジアを経てヨーロッパに続く「一帯」、すなわち「シルクロード経済ベルト」とも呼ばれる。(中略)...
「一路」は中国から南シナ海、インド洋、アラビア海を経て地中海に至る海上ルートのことで、「海上のシルクロード」または「真珠の首飾り」と呼ばれている。ミャンマー、スリランカ、パキスタン、さらにはギリシャの重要港湾の機能を向上させ、中国の船舶が自由に使用できる体制づくりがおこなわれている。
(中略)...今年5月、各国首脳も参加する国際会議が初めて開催された。(中略)...
この会議の基調講演で習主席は、対象地域への累積投資が500億㌦(約5兆5000億円)にのぼると強調した。さらに「シルクロード基金」に1000億元(約1兆6000億円)の追加出資、国営金融機関による3800億元(約6兆800億円)の融資、対象国に今後3年間で600億元(約9600億円)の援助をおこなうといった方針を発表した。
(中略)
「一帯一路」構想の発表と前後して進んできたのが、同構想を資金面で支える政府系投資ファンド「シルクロード基金」や「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立である。「シルクロード基金」は政府の外貨準備、政策金融機関などが資金を拠出する。
AIIBは今年6月、米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の「トリプルA」の格付けを得た。このことは低金利で債権を発行して資金を調達できることを意味する。主要七カ国でAIIBに参加していないのは日本とアメリカだけである。日本政府はこれまで「中国主導では信用力に問題があり、高い格付けが得られずに資金調達は困難」として牽制してきたが、思惑は完全に外れた。
(中略)
AIIBは、中国を最大の出資国としてロシア、インド、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、インドネシアなど57カ国で2015年暮れに発足した。その後1年半で「加盟承認国は80カ国・地域まで増大」し、100カ国に迫りつつある。日米主導で戦後のアジアのインフラ整備を牽引してきたアジア開発銀行(ADB)の加盟国67カ国・地域を大きく上回っている。さらにAIIBはヨーロッパ、アフリカ、南米などアジア以外にも参加を積極的に働きかけている。
ちなみに、第2次世界大戦後の国際金融の世界では、信用力の高いアメリカ、日本が加盟しなければ、高い格付けを得るのは難しいとみられてきた。ところが今回日米が参加していないAIIBが最上位の格付けを取得し、「一流の国際開発金融機関」のお墨付きを得たことは日本とアメリカに大きな衝撃を与えた。(中略)...
「一帯一路」構想とかかわって、中国企業の銀行や保険、資産運用会社の海外買収も活発化している。(中略)...中国の海外買収の狙いは巨額の資金と技術で、金融の体力強化に迫られていることによる。中国企業による海外の金融機関の合併・買収(M&A)は、今年の初めから5月までで90億㌦近くとなっており、昨年一年間の120億㌦に迫っている。
(中略)
中国では2002年の共産党大会で、対外投資を積極的に推進する戦略が採用され、投資額は年々拡大している。
(中略)
中国の対外投資の筆頭は「一帯一路」構想がらみのインフラ整備である。中国からユーラシア大陸に至るまでいくつもの国の鉄道を利用し、アジアとヨーロッパを結ぶ「ユーラシア横断鉄道」とか、「鉄のシルクロード」「シルクロード鉄道」と呼ばれる事業が進んでいる。
(中略)
中国はすでに、ドイツのハンブルグ、イタリアのミラノ、スペインのマドリードなどヨーロッパの各都市に向かう貨物列車を運行させている。この鉄道の沿線のカザフスタンやポーランド、ベラルーシなどでは商社や流通会社、製造会社などの企業が関心を寄せている。鉄道輸送のメリットは航空便よりもコストが安く、船便より輸送が速いことで、輸送コストは航空便の3分の1、日数は船便の4分の1という。
(中略)
習政府は鉄道への投資を優先するとし、2020年までに5030億㌦を投じて貨物輸送網を整備する計画である。(中略)...
港湾整備では、スリランカを重視している。インド洋の要衝であり、海のシルクロードの交通拠点としての役割とともに、香港からポートスーダンを結ぶ軍事的な海洋進出の拠点ともなる。また、ギリシャ最大の港であるピレウス港を買収した。中国はギリシャを「ヨーロッパへの入り口」として重視しており、同港を世界規模の海運の要衝にする計画を持っている。
(中略)
中国は世界人口の6割を占める65カ国でインフラ整備を進め、貿易を拡大するとしている。中国の事情として、国内で投資しきれない金余り状態となっており、鉄鋼やセメントなどの基幹部門の多くで生産能力の過剰に直面し、新市場の開拓が急務となっている。中国は国内経済が巨大化し、GDPはすでに日本の2倍強であり、成長率の低下を想定しても2030年までにアメリカに並ぶとされている。
(中略)
世界経済は2008年のリーマンショックによる大規模な金融崩壊と世界経済の大停滞に移行したころを境に、「アメリカ一強」の時代が終焉を迎えた。(中略)...その後、かわりに台頭してきたのが新興国である。(中略)...
第2次大戦後の世界経済はアメリカが指揮権を握ってきたが、今やその衰退と中国をはじめとする新興国の台頭という大規模な構造的な変化が起こっている。(中略)...
アメリカの意向を忖度してAIIBに参加していない日本だが、今月史上最大規模の日本の経済界の一行が20日から26日までの日程で訪中した。ここには「一帯一路に乗り遅れまい」という経済界の思惑がある。新日鉄住金会長・宗岡正二、経団連会長・榊原定征はじめ主要企業のトップら総勢250人の訪中団である。中国メディアは「日本の経済界は中日関係の発展に対し積極的な態度を一貫して示しており、安倍政権による歴史や安全問題で両国の貿易関係が巻き込まれることを望んでいない」と報じている。
いまやアメリカを中心とした世界秩序が終わりを告げようとしている。このなかで、対米従属一辺倒では世界の潮流から乗り遅れ、ますます孤立する道を進むことになる。経済的利害だけ見てもアジア近隣諸国と友好関係を切り結ぶことに活路があるにもかかわらず、いつもアメリカに阻まれて独自外交を展開できないのが日本政府なり経済界だった。潮目が明らかに変化している世界情勢とかかわって、これとどう向き合うのかが問われている。
あべぴょんの思惑とすれば、世界中に金をバラ撒いて味方につけ、TPPで中国包囲網を作り、アメリカと一緒に南シナ海を導火線として、生意気な中国をやっつけてやるという感覚だったのだと思います。ところが、まさかのトランプ政権の出現で、全てがひっくり返ってしまいました。
中国包囲網どころか、世界で孤立しているのは日本の方です。トランプ外交を見ていると、背後に親中のキッシンジャー博士が居るのが明らかで、アメリカは中国と戦争をする気など全くありません。トランプ大統領が中国に接近したのを見て、慌てて中国との関係を改善しようと焦り始めています。
記事の文末で、“潮目が明らかに変化している世界情勢”に日本政府がこれからどう向き合うのかが問われていますが、はっきり言って、無能なあべぴょんでは無理です。現在の危機的状況から脱するには、出来るだけ早く首相を変えるよりありません。
中国、韓国に太いパイプを持つ小沢一郎氏が日本の首相として最も望ましいとは思いますが、これまでにジャパン・ハンドラーズによって植え付けられた氏のダーティーなイメージが、これを難しくしています。次善の策として、福田元総理にもう一度復活してもらうのはどうでしょうか。
それとも、このままあべぴょんと玉砕覚悟で、安倍叫喚地獄に突入しますか? 日本人の目覚めのためには、この方が早いと言う人がいるかも知れませんが、おそらく最悪の選択になると思います。