大阪 ばあちゃんたちの「朝ごはんやさん」〜「おなかすかせた子に本気で対応するなら、毎日やるのが当然。」

 2016年5月時点で全国300か所程度だった「こども食堂」は今や、2200か所以上と急速に増えました。ほとんどが行政の補助なし、手弁当の持ち出し運営だそうですが、貧弱な福祉を民間でカバーする取り組みとして頼もしい限りです。多くの方々が、やむにやまれぬ気持ちで始め、いつしか子供達の貧困対策だけでなく、地域の交流の場としても機能しているそうです。

 さて自らも「こども食堂」を開催している大阪の「ばあちゃん」は、しかし月一や週一の「こども食堂」はデモンストレーションに過ぎない、「おなかをすかせた子に本気で対応するなら、毎日やるのが当然」と感じていました。そしてなんとか週3回、行政を巻き込んで、学校の家庭科教室で「朝ごはんやさん」を始めました。60歳代から80歳代までのばあちゃん10人が輪番で朝ごはんを作ります。PTA役員の子供などいろんな子が行くように工夫され、家庭環境の厳しい子が気楽に利用できるよう配慮されているのもすばらしい。大変な行動力ですが、ばあちゃん只者ではなく、やはりそれなりの骨太な背景がありました。保護司や民生委員など今も現役で、地域のために50年以上活動してきた方が、学校からも市からも信頼を得て、ご自身の強い希望で開始されたのでした。
 ユニセフからも心配されるほどの日本の貧困化は、もちろん政治が取り組む課題であることが大前提ですが、行政の補助が拡充した場合であっても、現場を力強く変えていくのは「放って置けない!」と熱い想いを持った方々なのだなあと思いました。
ばあちゃんは表西さん、71歳。憧れます。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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学校で朝ごはん 食べてそのまま教室へ ばあちゃんたちの奮闘記・大阪
引用元)
湯浅誠
社会活動家・法政大学教授

(前略)

「朝ごはんやさん」

でも、このばあちゃんたちは「給食のおばさん」ではない。
地域のばあちゃんたち
彼女たちは月・水・金の週3回、西淡路小学校の家庭科室で、子どもたちのために朝ごはんを作っている。
名づけて「朝ごはんやさん」


(中略)

今、61歳から82歳までのばあちゃん10人が、輪番で「朝ごはんやさん」を支える

学校は、全校生徒に案内を配る。

誰が申し込んでもかまわない。
ただ、やはり必然的に家庭環境の比較的厳しい子が来ることになりがちだ

そうなると、「学校で朝ごはん食べてる子は、親は…」となりかねない。
そこで校長と表西さんは、PTA役員に頼み、役員の子どもたちにも来てもらうなどして「いろんな子が行ってる」感を出した
(中略)

医者の子もいれば、朝早くから仕事に出る家庭の子もいる。
「孤食」の子も多い。

(中略)

家の人が大変だったときに、朝メシを食わせてくれたばあちゃんたちと学校」のことを、子どもたちはいつか思い出す。

それは、大人になったその子たちの言動に、深いところで影響を及ぼす。
それが、世の中の「気分」を変えていく


こども食堂は、そのようにして世の中の底流を変えていく試みだと思う。

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