ネット上の扇動に乗って、安易に弁護士達へ大量懲戒請求 〜 逆に損害賠償請求や刑事告訴の対象となり慌てる人々とは

 労働問題をチェックするために見ていた佐々木亮弁護士のツイッターで、4月半ばあたりから不思議な動きがありました。「懲戒請求」? 誰による? 一体何が起こっているのか? 他の弁護士のツイッターと合わせて見るうちに、ようやく事件が見えてきました。
 朝鮮学校への補助金縮小を招いた2016年の国の通知に対し、各地の弁護士会が批判声明を出しました。それに対して意見を異にする正体不明の人物が、ネット上で弁護士達への懲戒請求を煽り、そのための書式も公開していた様です。それに賛同した1000人以上の人が全国の複数の弁護士への懲戒請求を起こしたという流れです。
 弁護士への懲戒請求は誰でも可能で、調査の結果、弁護士に非行があれば当然処分されます。
しかしこの度の大量懲戒請求は「気に入らない主張や活動をする弁護士への営業妨害や嫌がらせ」の可能性が高く、佐々木弁護士初め、槍玉に上がった弁護士は、直ちに請求者達への賠償請求訴訟を起こすことになりました。
 そこで慌てたのが請求者達でした。手続上、請求者の氏名住所等、必要な情報は弁護士に知らされますが、ネット上の非難と同様の感覚でいた者にとっては寝耳に水だったらしく、提訴を受け、該当裁判所まで出頭し、そして恐らく敗訴するため多額の賠償請求を求められることに気づいて、急きょ和解案に応じるケースが相次ぎました。おかしなことに、当の扇動した本人は懲戒請求をしていないらしい。
和解に応じた場合でも、弁護士1人に対し5万円程度の慰謝料は請求される様ですが(仮に10人の弁護士に懲戒請求を乱発していたら最低でも50万円!)、この金額は安すぎるらしく「先生方、優しい」との声も上がっていました。
 ネット上、匿名で何を言っても許される世界だと思っていた人々が、思いがけず白日の元に晒されることになった事件、なんだか神の計らいの様な気がしてなりません。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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弁護士 大量「懲戒請求」返り討ち 賠償請求や刑事告訴も
引用元)
 朝鮮学校への補助金交付は利敵行為--などとするネット上での扇動を背景に大量の懲戒請求を送られた弁護士たちの間で、懲戒請求者に対し、損害賠償請求や刑事告訴など法的措置をとる動きが広がっている(中略)ネット空間の無責任な言説にあおられた軽率な行動が、実社会で法的制裁を受けようとしている
(中略)
佐々木亮、北周士の両弁護士(東京弁護士会)も法的措置を予定する。(中略)北弁護士も「(佐々木弁護士への懲戒請求は)根拠がなく、損害賠償が認められるべきだ」と投稿し、多数の請求を受けた。
(中略)
 ある掲示板には懲戒請求者とみられる人物が「(ネット情報で)俺の連絡先が通知されないと信じて請求した。裏切られた」「裁判とめるにはどうしたらよいのか」などと不安を書き込んでいる。

(中略)懲戒請求では請求者の実名や住所が当該弁護士に伝えられる。佐々木弁護士は「匿名で請求できると勘違いしている人もいるようだ。素直に謝ってきた人もいた。軽い気持ちでやったという印象を受けた」と話す。
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「存在しない事実で懲戒請求された」神原弁護士が請求者を提訴
引用元)
不当な懲戒請求によって名誉を傷つけられたうえ、その反証のために労力を費やさざるをえず、精神的苦痛を受けたとして、神奈川県弁護士会に所属する神原元弁護士が5月9日、懲戒請求をおこなった相手に対して、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした

弁護士の懲戒請求をめぐっては、あるブログが発端になって、神原弁護士以外にも、大量におこなわれていることが問題になっている。このブログは、朝鮮学校への補助金交付などを求める各弁護士会の声明に反発したもので、懲戒請求のテンプレートを配布していた。
(以下略)


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配信元)








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