普天間飛行場「5年以内の運用停止」は18日が期限だった 〜 政府はウソや詭弁を重ね、沖縄県に責任転嫁し、約束を反故にしている

 普天間飛行場の「5年以内の運用停止」は、政府と仲井真知事時代の沖縄県との約束でした。
運用停止とは「飛行機が飛ばない状態のこと」、その期限が2月18日でした。しかしこれまで沖縄県が希望する協議すら叶えられないまま5年目を迎え、今も普天間の危険除去には至っていません。
 重要な点は、これが当初、辺野古の新基地建設とは関係ない約束だったことです。2013年12月、辺野古埋め立て承認の最大の条件として、この「5年以内の運用停止」を政府に求めた仲井真知事も「辺野古移設と普天間運用停止は切り離すべき」と答弁しています。
 それが安倍政権によって、どのようにねじ曲げられていったか。琉球新報の社説によると、安倍首相も菅官房長官も当初は「(5年以内の普天間運用停止を)政府を挙げて全力で取り組む」「日本全体で沖縄の負担軽減をする」と明言、まともな政権ならば停止決定に向けてガンガン取り組む宣言です。
 ところが翁長知事誕生をきっかけに、中谷防衛相は「(運用停止には)沖縄の協力が前提」「飛行機が飛ばない状態は幻想」と言い始め、安倍首相も「翁長知事が協力しない」といつのまにか辺野古が代替案であるかのように沖縄に責任を負わせました。それは詐欺というものですが、さすがサギゾー安倍政権は、普天間運用停止には一歩も前進しない反面、辺野古基地推進には異常な強行を続けています。
 政府は何を根拠か、辺野古新基地の工程は3年8ヶ月としていますが、沖縄県側は最短でも10年を見込んでいました。現時点ではさらに長期化は避けられず完成不可能との見通しもあります。安倍政権は「できない」辺野古ができるまで普天間をいつまでもそのままにしておくつもりなのでしょう。
 社説では「構造的差別そのものだ。沖縄は植民地ではない。」と怒りを込めて訴えています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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危険除去も形骸化 普天間停止きょう期限
引用元)
政府と沖縄県が約束した米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」は、実現されないまま18日に期限を迎える

当初、名護市辺野古の新基地建設と関係なく協議されるはずだったが、政府は県の協力が得られないことを理由に、責任を転嫁する形で運用停止の実現を困難だと主張してきた


 一方、辺野古沖では軟弱地盤の対応などで工事の長期化は必至となっている。政府が辺野古移設に固執するほど、その大義名分とする「普天間の危険性除去」は遠のき、形骸化していくことになる。
(中略)
 運用停止の定義はもともと、普天間飛行場の「飛行機が飛ばない」状態を指した。だが政府は15年4月にこれを「幻想を与えるようなこと」(当時の中谷元防衛相)として撤回し、定義を“変節”させた。17年2月には安倍晋三首相が衆院予算委員会で「残念ながら翁長知事に協力していただけていない」と述べ、この発言が政府見解となってからは政府の取り組み姿勢もしぼんだ
(以下略)



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<社説>普天間停止きょう期限 約束ほご、国に重大責任
引用元)
(前略)

そもそも、5年以内の運用停止は、2013年12月に仲井真弘多知事(当時)が辺野古の埋め立てを承認する最大の条件だった

 仲井真氏が実現を求め、安倍晋三首相が承認の見返りとして「知事との約束は県民との約束だ」「政府を挙げて全力で取り組む」と明言した。仲井真氏も「首相が言ったことそのものが担保だ」と政府の保証を強調していた。

 その後、政府は起点を負担軽減推進会議が開かれた14年2月18日とした。14年の知事選前には、閣議で「実現に向け全力で取り組む」と決定し、菅義偉官房長官は「日本全体で沖縄の負担を軽減させてもらう」と豪語した

 しかし、その知事選で翁長雄志知事(当時)が誕生すると、中谷元防衛相(当時)は「地元の協力を得られることが前提だ」と述べ、「全国の協力」から「沖縄の協力」に変節した
 安倍首相も17年2月に「残念ながら翁長雄志知事に協力していただけていない。難しい状況だ」と県側に責任を転嫁した。自らの不作為を棚に上げて沖縄側に責任をなすりつけるのは厚顔も甚だしい。
(中略)
本来は別問題だったのに、5年以内運用停止を人質に、民意に反した新基地建設を迫る姿勢は、構造的差別そのものだ。沖縄は植民地ではない
(以下略)

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