ぴょんぴょんの「新聞記者」

「新聞記者」絶賛公開中。
人気イケメン俳優、松坂桃李(まつざかとおり)主演というのに、テレビの番宣はなく、公式サイトにはサーバー攻撃。そういう異常事態にかかわらず、「公開11日目時点の7月8日には17万人以上を動員し興行収入2億円に達した。」(東洋経済
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「新聞記者」


「新聞記者」のパンフ


はあ〜・・・終わったねぇ。

出るか?
なんか・・一息いれたい気分。

この近くに、おいしいコーヒーの店があるから、そこ行こ!
・・・あ、パンフレットどうする?

おれは、そういうの、買わねえ。

でも、これ見てよ。


じゃ、買っとくか。

あれ? あっさり、人の意見、聞くんだね。

しっかし、映画館で日本映画見たの、初めてかも。

ぼくも「新聞記者」、くろちゃんに誘われなかったら見る予定なかったよ。

つき合ってくれて、ありがとよ。

地方都市の、場末の映画館。



しかも地下だし。

そんな場所で、月曜日の午後だと言うのに、けっこう人が入ってたね。

「上映時間2時間? 長えなあ〜」って思ってたら、アッという間だったし。

テンポが良かったね、そして息を呑むようなスリリングな展開。

息呑むより、息、止めてたわ。

くろちゃん、ここだよ。

お、いいカフェじゃねえか。

コーヒーの香りに癒やされるぅ〜♪

はああ〜 やっと開放された感じ。

そう言えば、みんな、エンドロールが流れても、立つ気配なかったね。

おれは一刻も早く、映画館から逃げ出したかったわ。

空気が悪かった?

うんにゃ、映画の現実から逃げ出したかった。
ふつうは怖い映画を見ても、映画館から外に出ればホッとするが。
夢から覚めたと思ったのに、実はまだ夢の中にいる・・・ホラーだな。

ほんと、ホラー!

ここは、ホラー・ジャパンだ! 逃げられねえ、怖え〜!

あ、コーヒー、来たよ。

Author:waferboard[CC BY]

う〜ん、うんめえなあ!!

パンフレット見る?
へえ、映画のキャッチコピー、こんなんだったのか。

どれどれ?
「『リアル』を撃ち抜く衝撃の『フィクション』
現代社会にリンクする、社会派エンタテインメント」。

つうか、あれはリアル以上のリアル、80%以上、事実だからな。
セミ・ドキュメンタリー映画と呼ぶべきだな。

原案、企画制作の河村光庸(かわむらみつのぶ)氏が書いてるよ。
「この数年で起きている民主主義を踏みにじるような官邸の横暴、忖度に走る官僚たち、それを平然と見過ごす一部を除くテレビの報道メディア。
「そのような状況下、正に『個』が集団に立ち向かうがごとく、官邸に不都合な質問を発し続ける東京新聞の望月衣塑子さんの著書『新聞記者』に着想して、企画構想したのが映画『新聞記者』です。」(「新聞記者」パンフレット)

望月記者が、モデルになってたんだ。

圧力にも、ガースーにも負けず、新聞記者としての使命を果たしてる。
河村氏は、望月氏のような、ジャーナリストとしてあるべき姿を、多くの観客に見せたかったそうだよ。

そういや、望月氏、映画にもちょこちょこ顔出してたなあ。

望月氏「現在の状況としっかりリンクした内容を、誰もがハラハラできるフィクションとして表現する。それによって、たとえば今の権力とメディアの関係について、私たち新聞メディアが伝えきれなかった幅広い層にも届けられるのではないか。
そう感じたのが、オファーをお受けした一番の理由です。
」(「新聞記者」パンフレット)

しかし・・・女優が決まるまで、二転三転したって言うじゃねえか。

日本人女優は、みんな逃げ出した?

でも、韓国人女優のシム・ウンギョンは、はまり役だった。
あの純粋で一途な目が、訴えてかけてくるようで、つらい。

松坂桃李の、硬派な演技も良かったね。
彼を目的に来る若い女性ファンにも、この映画は見てほしい。


いいキャスティングだったな。


映画こそ自由な表現を


でも、当然、作る側のプレッシャーは大きかっただろうね。

「映画こそ自由な表現を」と題して、河村氏がこう書いている。
『これヤバいですよ。』『作ってはいけないんじゃないか』という同調圧力を感じつつの制作過程ではありましたが、映画『新聞記者』は完成しました。」(「新聞記者」パンフレット)

パチパチパチ! よくぞ、作ってくれました!
今の日本で、このテーマを取り上げてくれたことに、感謝。

その勇気に、敬意を表したい。

だって、テレビやラジオの番宣も拒否られて、ひっそりと公開したにもかかわらず、公開直後もサイバー攻撃で公式サイトがダウン。

それがかえって、宣伝効果になったんじゃねえの?
観客動員も好調らしいし、興行収入も2週目が終わった段階で約2億円。
これは、社会派映画としては異例
だそうだ。(BIGLOBE

やっぱ、時代が欲していたってことだね。
ところで、映画の中でちょこちょこ映ってた、前川喜平氏と望月衣塑子氏の対談動画、あれ、どこで見れるの?

それ、こいつ?


望月衣塑子記者や前川喜平氏ら、安倍政権の圧力について語る。
映画「新聞記者」公開に合わせ Part2


「新聞記者」の公開に合わせて、収録された動画だったのか。
ナマの前川さんや望月記者が対談してて、映画がより、リアルに見えたね。

前川氏は、別の対談で言ってる。
「あったことをなかったことにしてしまって、そのまま『なかったのね』と国民が忘れてくれることを待っている。これを繰り返して、しかも上手くいっている。」livedoor NEWS

ほんとにその通り。
国民は、日々の生活に忙殺されて忘れちゃう。そこをねらってる。

今回の映画のバックボーンは、国家戦略特区にまつわる加計学園問題だったが、おれは、忘れてやらねえぞ。

Author:Tatushin[CC BY-SA]

官僚の自殺も、公文書偽造も、山口敬之レイプ事件もみ消し疑惑も出てきたね。

安倍政権下の不正あれこれの、ヒットパレードだ。

そう言えば、前川氏の出会い系バー・スキャンダルを思わせるエピソードがあったけど、内閣府の内閣調査室、いわゆる内調が探ってたね。

実際の前川氏スキャンダルも、そうだったらしいぞ。

内調トップの北村滋、聞き覚えあるでしょ?

山口敬之が、北村氏に助けを求めたメールが、間違えて週刊新潮に送信されちゃった、あの北村氏か。
詩織さん事件もみ消しの、張本人だな。

そして、毎日あべぴょんと会ってるので有名な人。
内調は、北村氏を初めとして警察出身者が多いから、公安と仲良しだって。

昔の、憲兵を連想させるな。
望月記者も言ってる。
「彼ら警察官僚にとっては、政権が安定し長続きすることこそが第一なのです。・・・しかし、都合の悪い事実を覆い隠して政権が続いたとしても、それが民主主義だと言えるでしょうか?」(Yahoo!ニュース

あれ? 映画の中でも、それを象徴するようなセリフがあったような。

あった、あった!
「この国の民主主義は、形だけでいいんだ」だっけ?


もう一つドキッとしたのが、こういうセリフ。
「政権が安定することが、国の平和と安定につながるんだ!
それが、わからんか?」みたいな。

理不尽な命令をする上司に対して文句を言う、部下に吐いたセリフだね。

上だけを見る上司。
そいつの気に入られるために、一生懸命に働く官僚たち。

国民は蚊帳の外。

彼ら官僚の望みは、政権の安定であって、国民の幸福なんか、かけらもない。

官僚について、前川氏はこう言ってる。
「権力の維持、拡大化のために、私兵化しているのではないか。本当の意味で、国のための仕事というよりも、いま権力を握っている人のために仕事をしている。
そこが解明されるべき、権力の闇の部分ではないかと思います。」(livedoor NEWS

誰のために仕事をすべきか。
そこが根本的に、間違ってるってことだな。

ところで、監督の藤井道人氏、まだ30台で若いんだよ。
この映画を撮るまで、日本の現状を知らなかったって。

へえ、監督やったくせにか?

藤井氏「取材を通して痛感したのは、『知らない』という状態の怖さです。・・何も『知らない』状態に慣れ それを不思議とも感じていなかった自分に気づいた時には、正直『これはヤバいぞ・・』と怖くなりました。
このとき抱いた焦りや危機感も、作品を完成させるうえで大きな力になっています。」(「新聞記者」パンフレット)


ほおお、この映画のおかげで、確実に一人は目覚めたってわけだな。


もっとも印象に残ったシーン


じゃあ最後に、「もっとも印象に残ったシーンを上げろ」って言われたらどこ?

やっぱ、最後のシーンかなあ。

ぼくも!

「ええっ? まさか、ここで終わり?」って、正直ビックリしたわ。
でも、時計見たら2時間経ってて「やっぱ、ここで終わりなんだ」って。

最後の、いわく言い難い二人の表情が、まぶたに焼きついて離れない。

あれは、おれたちに「何とかしろ」って、訴えかけているようだった。


それ、映画評論家の町山氏も言ってる。
映画はたいてい三幕構成で、1幕目で設定が示され、2幕目で主人公が自分がすべきことに目覚め、3幕目は行動、決戦、結末になる。
映画『新聞記者』を観てスッキリしなかったのは3幕目が無かったからだ。
でも、今は3幕目を作るのは我々なのだと思う。」(Cinema cafenet

おれもそう思う。3幕を作るのはおれたちだと。

でも、映画のおかげで、現実をもっと客観的にリアルに実感できた感じがするよ。

ネットやニュースで聞いてた話を、一人称で疑似体験できたわ。

あとは、ぼくたちの一票で明るい3幕を作っていくだけ。

オラオラ! コーヒーでホッとしてるバヤイじゃねえぞ!



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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