ままぴよ日記 49 「コロナより怖い宿題がでたあ~!」

 コロナ休暇。こんなに長期にわたって学校がお休みになったことはありません。

 予期せぬ事態で見えてきた教育に対する理念と現実のギャップ。先生は次々に変更になるカリキュラム作りに追われて子どもを見ていない。親は子どもを代弁するどころか学校の宿題下請けマシーン?それとも怒りマシーン?に変身!
 そして学校と親はお互い子どものためと言いながら連絡さえ取り合っていない。
 でも、そんな子ども不在の大人の都合のやり方では、子どもも抵抗します。さあ、家の中は大変です。

 この記事を書き始めたのは5月12日。14日に一部緊急事態宣言が解除されて学校再開のニュースが届き始めました。
 でも、この記事の問題点が気になるので、このまま記事にします。
(かんなまま)
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2か月ぶりの再会


ゴールデンウイーク明けに学校が始まる事を想定して計画を立てていた学校。ところが非常事態宣言が解除にならず、引き続き5月末までの休校が決まりました。ここまで長期化すれば新しい教科書に沿った学習を始めなければ1年間の指導時数が足りません。

それで私の住んでいる町は週に1回1時間だけ子ども達を登校させて、健康観察と宿題配布をすることにしました。何と2か月ぶりの再会です。1時間はあっという間で、お互い元気にしているか?の確認と、4月に渡された宿題の回収と新しい宿題の配布で終わったそうです。

その短い時間の中で宿題をしなかった子は「2ヶ月間もあって、なぜやらなかったのか?」と先生から叱られていたそうです。宿題をしてきた子もそれを見て「やっぱり叱られるんだあ~」とテンションが下がります。「2か月間、先生は電話1本もよこさなかったのに…」と、この事を聞いた親の心境は複雑です。

ところが、その渡された宿題に更なる衝撃が走りました。

何と、宿題とセットで学校生活と変わらない1週間分の時間割が渡されたのです。学校生活のリズムを守るために朝の9時から始まり、45分の勉強時間と15分の休み時間。午前中は3時間。昼休みは11時45分から2時まで。そして2時から3時45分までの毎日5時間の学習計画です。


内容は学年によって違いますが、今回は国語、算数、社会、理科、英語のほかに副教科の体育や書写、道徳、図工、音楽もあります。ほとんどがワークシートかドリル。体育は家でできるように「その場走り5分!」「縄なし飛び100回!」…これを全部子どもが家庭で1人取り組む計画です。

もちろん先生としては毎日時間割通りに勉強しなさいと言っているわけではないと思います。でもそれを貰った生徒はそんな理解があるなんて知りません。だって、現に叱られていたし・・・。

この取り組みは、オンライン化が無理なので授業の遅れを解消するために考えた苦肉の策のようです。1時間しかないので先生や友達とゆっくり交流する時間はないとのこと。それでも子ども達は皆に会えて嬉しかったようですが、子どもの心理を全く配慮していない、先生都合の計画だと思いました。

こんな時こそ、楽しい交流の時間をメインにして欲しい。新学期になってクラス替えもあり、先生も変わっています。新一年生は先生の顔も見たことがありません。子どもは会える喜びと不安を抱えている事でしょう。まずはその不安とSTAY AT HOMEで鬱滞したエネルギーを発散させて安心につなげてほしいと思います。

そして、次のステップは子どもがどんな環境ですごしているか?子ども一人で宿題に取り組めるか?やる気が出るか?に配慮して計画を作り、「それが出来なくても大丈夫だよ、後で先生が教えるからね」と、きちんと伝えてほしいと思います。そんなホッとする言葉を言わないのは安心してやらない子が出てくると思っているからでしょうか?その上、先生によっては頭ごなしに叱るなんて主役不在の人権無視です。



さあ、これを貰った当日、ママ達から戸惑いと怒りのメールが次々に届きました。

「子ども一人で自己管理してできる内容ではない」「新学年の教科書なので子どもは初めて習うものばかり。親がいい加減に教えていいのか?」「仕事をしているので無理。仕事を辞めろというのか」「子どもは1人じゃないし、赤ちゃんもいる」「親もプレッシャー!できなかったら子どもを叱り飛ばしそう」「ひとり親や祖父母に預けている家庭、問題を抱えている家庭にこれができるのか?」「結局家庭に丸投げ?先生は何をしているの?自宅待機?」などなど・・不安がだんだん怒りに転じてきます。

中学生も「宿題めっちゃ出たー!私を殺す気かーっ」と叫んでいるようです。これじゃあ、ずーーっと宿題に追われてしまいます。そもそも宿題って何なのでしょう?保護者と教師の間でとらえ方のずれが出てきているようです。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/601816/



日本の大学並みの課題


さて、ボストンにいる孫の学校も、今までは復習を兼ねた楽しい課題だったようですが先週から新しい単元を自宅で学習する方向に転換したようです。特に5年生の宿題が一気に難しくなったようです。その内容が凄い!

「また新しい課題てんこ盛りの1週間が始まったよ。リーディングは長編ミステリー(ちょっと魔界的)を読んで感想文。ライティングは人間の休息の必要性についての考察。ソーシャルスタディは憲法および三権分立について。政府(民主主義、帝政、全体主義、共産主義等)の比較と考察。サイエンスは水質汚染と水の浄化の実験と考察。温暖化が生態系に与える影響について、が今週の課題だよ。その上、リポートは論文の書き方にのっとって序文を書き、客観的なデータ、著名な学者のコメントなどを入れながら自分の考察を書き、筋道立てて結論を導き出すという書き方を求められる。今までそんな教育を受けていないし、もちろん全て英語!親も子も狂いそう!」というメールが娘から送られて来ました。それぞれの課題にわかり易い解説のDVDなどが示されていますが、日本の大学並みの課題です。

言葉のハンディがあるので先週は朝から晩まで親も総出で取り組み、やっと仕上げたそうです。ところが次の課題が来て限界。涙が出て、テンションが上がりません。アメリカの子ども達は低学年の時から自分の意見を自由に言えて、どんな意見も受け入れられる体験を重ねているので、こんな宿題も慣れているけど、日本では自分の意見を出さない受け身の授業ばかりだったので戸惑っているようです。「日本の宿題いいなあ~。あまり考えないで書けるもん」と、つぶやいていました。

これが延々6月末まで。気が遠くなりそうです。娘はとうとう先生に連絡を取って言葉のハンディを考慮してほしいと伝えました。するとすぐに対処してくれてELLクラス(英語を母国語としない子のクラス)の先生と話し合ってリーディングとライティングはその子に合った宿題を出してくれるようになったそうです。アメリカの学校は、どんな教材を使ってどんな授業をするかは先生に任されているので、こういう親からの相談にもすぐに対処してくれるとの事。親も日頃から積極的に相談するそうです。

でも、ここまで課題が難しくなれば親が英語を話せない、共稼ぎ、ひとり親、DVや貧困など配慮の必要な家庭はどうしているのでしょう。少なくともカリフォルニアでは3分の1の子ども達がリモートラーニングをドロップアウトしているとのことです。これも又問題。

一方、2年生の課題は相変わらずユニークなものが多くて孫は楽しんでいるようです。例えばサイエンスの宿題は「川や湖のでき方を実験してマップを作る」というもの。孫はコップを配置して水を流して川や湖ができる様を実験していました。



それをヒントに架空の島の地図を作ったとか。楽勝!と嬉しそうです。



他に「木がなぜ動物のために必要で、なぜ木にとっても動物が必要か?」という課題。色々自分なりに考えてショートムービーを作ったそうです。

そして一日に1回救いの時間があります。子ども達は毎日散歩に行き、リスやウサギ、アライグマなどの動物を見つけたり、木登りしたりしてストレス解消をしているそうです。今ちょうど赤ちゃんが顔を出す時期なのです。



先日は弟の宿題で「白頭鷲の巣を作る」という課題に兄弟で取り組み、公園で枯れ枝を集めて大きな巣を作りました。その中に4人の子ども達が入った写真が送られてきましたが、まるで鷲の餌。笑ってしまいました。




さて、日本の場合は?


宿題で親子がパニックになっていることを教育委員会にも伝えました。先生方も長期化する休みの中で次々に計画が変わり、上からの方針が出るたびに計画を立てては廃棄するという作業に追われているようでした。今回の宿題も習った事のない単元なので全ての子どもの能力を考慮して中庸のカリキュラムを作ったとのこと。もちろんいろいろな家庭の都合でできない事も理解しているとのことでした。先生も一生懸命です。

でも、今は緊急事態。子どものストレスも親の負担も増しています。子どもがどんな環境で自学するのか生活者としての想像力が弱いと思いました。どちらが配慮すべきかを問えば、プロである先生が子どもの不安定な状態を考慮すべきだと思います。これは今始まったことではなく、教育に対する視点が問われているのです。今の子どもの姿を主役にしてカリキュラムを作り、何か問題があれば気軽に相談、対処できる体制を早急に整えるべきです。


前回に引き続き、ママ達は勇気を出して先生に子どもの様子や気持ちを電話で伝えました。電話の前に何度も話の要点を確認して、練習して、ただのクレーマーにならないように話したようです。教育委員も動きました。その気持ちが伝わったのか、すぐに教育委員会が動き、各学校の先生方がねぎらいと励ましのメールを配信したり個別の相談窓口を作ったり、子ども達に電話をしてくださったとの事。ママ達から嬉しいメールが次々に届きました。なぜ子どものために意見を言うことがこんなに勇気がいる社会なのだろうと思いつつ応援あるのみです。

さて、14日になり緊急事態宣言が少しずつ解除されて私たちの町も学校再開の日程が発表されました。でも今度は現実の問題として子ども達の不安が噴き出してきました。みんなと会いたいのですが、体と心が長期休みに慣れてしまって学校生活へ戻るには相当のエネルギーが必要です。特に1年生は大変です。その不安な気持ちをどう表現していいかわからなくて家でわがままを言う子。甘える子。ちょっとしたことで切れる子。学校嫌だなあと言い出す子・・。

これは当たり前の反応です。親も無意識に子どもの不安を抱え込んでいます。全て受け入れて「大丈夫!」と言ってあげたいと思います。ただ、本当に集団生活になじめない子どもには多様な学びの選択肢を用意してあげるべきです。もう一斉学校主義は限界が来ています。

もう1つ気になるのは夏休みの返上が発表されたこと。あの炎天下に重いランドセルを背負って歩かせるのでしょうか?子どもによっては2キロ歩く子もいます。是非学校に教科書を置かせてほしい。宿題なし。放課後に学校を解放して強い日差しが和らぐまで子どもの居場所にしてほしい。見守りや遊ばせたりするのに地域の方の協力がいるのでコミュニティスクール*を充実させてほしい。コミュニティスクールの構想は理想だけ先走りして実働できていないのです。今が出番です!


さあ!経済復興も大切ですが、教育の様々な問題を浮き彫りにしてくれたこの経験を基に子どもの教育も本気で変えなければいけないと思いました。

※コミュニティスクール
保護者や地域のニーズを反映させるために、地域住民が学校運営に参画できるようにする仕組や考え方を有する形態の学校のこと。


出典表記のない写真は、かんなまま提供

Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は8人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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