ままぴよ日記 50 「コロナ禍で起こる教育革命はオンライン?」

 ホタルの季節です。世の中がコロナで大騒ぎをしていても、季節や自然の営みは変わことなく廻ってきます。
 家の電気を消して、窓辺に椅子を持ち出して夫と庭に舞うホタルを見ていました。2匹のホタルが柔らかい光を点滅させながら目の前のシャクナゲの花にとまりました。カップル?と思った瞬間、周りをぱあッと明るくするほどの光がホタルから放たれました。それも何度も。最後には花の中に一緒に入って花を照らしてくれました。きっと、・・・成功!
 調べてみるとホタルは相手を見つけた時に瞬間的に強い光を出して合図するそうです。
 「命が輝く時ってやっぱり光るんだ!」と私が言うと、夫は「人生で一番大事な瞬間だよな、男はこのために生きている!」と我が身をホタルに置き換えて感動!。
 オンライン?
 オンラインは単なる手段、ツール。原点は命の輝き!ホタルさん、教えてくれてありがとう!
(かんなまま)
————————————————————————

緊急事態宣言の解除、学校の再開


緊急事態宣言が解除になり、少しずつ学校再開が始まりました。
ホッとした半面、まだ収束していないコロナウイルス対策をどうすればいいのか?遅れた授業や学校行事をどうすればいいのか?目の前の問題が山積みです。

長期休暇の間、現場の先生は教育委員会の方針によって新しい計画を立てては没になり、また新しい計画を練るという毎日だったようです。学校再開に当たって渡されたマニュアルには教室の机の配置図、音楽は声を出さずに歌う、生徒間の会話禁止、落ちた消しゴムも拾ってあげてはいけない、部活の進め方、行事の中止など細かく書かれているそうです。こんなこと不可能!‥と現場の声。


子ども達のために入学式や修学旅行、音楽発表会をしてあげたいけれど感染が発生した時の責任を問われるので勝手な事はできないと嘆かれていました。現場の先生に裁量権はないのです。

私自身、地元の中学校で子育て広場を開催しているので校長先生と協議しましたが、当事者である学校と私達の判断ではなくトップの教育委員会と子育て課に判断を仰がなくてはいけないようです。現場を知らない、その事業の目的も知らない人に判断を仰ぐのです。校長先生は「多分生徒と赤ちゃんの交流は無理でしょう」とあきらめモードです。私は「できないこと探しより、その中でできることを探しましょう」と言ってきました。キャンセルにしたら事業がなくなってしまうかもしれないからです。

この調子で、私達が現場感覚でやっと築いてきた数々の子育て支援事業が次々にキャンセルになっています。当面の間というより今年度は学校への外部講師派遣は全てキャンセル。公園にも「短時間使用。遊具禁止」と書いてあります。そしていつの間にか駐車場になって子ども達を安心して遊ばせられない場所になってしまいました。

Author:kyu3[CC BY-SA]


危険回避のために何でも禁止にするのは簡単なことです。先の校長先生も「教育委員会は禁止を決めるのは早い!個別対応は遅い!」と嘆かれていました。禁止にしたことで子ども達の健やかな成長を阻害してしまう事に対する責任は誰がとるのでしょうか?子どもは何も言わないからできる?子どもの代弁者として踏ん張りどころです。

そして今回のコロナ騒ぎで今の教育の問題点と新しい可能性も見えてきました。日本は長期にわたる自宅待機で子ども達へ十分な教育を補償しないまま学校再開になってしまいましたが、日本の学校教育のオンライン化はどうなっていくのでしょうか?

あれほどICT教育、アクティブラーニングを進めると言っておきながら緊急事態の時に何も動きが見えませんでした。公立学校でオンライン授業ができていたところは5%未満だったそうです。最悪なのは遊びとしてのゲームやSNSは子ども達に野放しにして、休みの間にネット依存症になってしまう子が増えている事です。そもそも大人も教育や仕事、生活でのオンライン活用の仕方を学ぶ前に宣伝に乗せられて娯楽としての使い方しか知らないのかもしれません。


日本でオンライン授業ができなかった理由と問題点


さて、日本でオンライン授業ができなかった理由を調べてみると次々に問題点がわかってきました。

まず、先生方のICT技術の差が大きくて、特に中高年の先生は苦手意識が強い。自治体によっては教職員全員にパソコンがないところもあります⁉その上、学校のセキュリティ設定が強すぎて動画やファイルの共有、メールのやり取りさえできない場合が多い。もともと先生方のパソコンがネットにつながっていないところもあります。先生個人で頑張ろうにも自宅勤務で学校のパソコンは持ち出せません。これではオンライン授業を準備するどころではありません。

そしてオンライン授業を始めようにも急に機器を購入する予算もない。学校の公式IDを作ったり生徒の登録やアカウント作成も無理。もうこうなったら各学校や自治体で対応というよりも県や国のトップの決断力が必要です。そして文科省から補助金を出して早期に対策するべきだと思います。
広島県は教育長の判断で環境整備を進めているようです。

一方、文科省は学校のネット環境整備に関するGIGAスクール構想を打ち出して補正予算を2292億出すと言っています。でも学校や地方自治体がこの緊急事態時にICT活用教育を推進しようとしていないといら立ちを見せています。

日本の補助事業はほとんどが手上げ方式。積極的に補助を貰うには担当職員が事業の必要性を把握して県や国の情報にアンテナを張っていなければいけません。担当が異動で変わり専門職が育たない環境では情報を知らない職員がほとんどです。探し当てても条件をクリアしないともらえないし、補助率100%の事業はほとんどないので財政難の市町村は何もできないという仕組みです。

今回のGIGAスクール構想も蓋を開ければ、その補助額の85%が端末配備予算。ネットワーク整備やそのための人材確保、ルーター整備費などの補助率は2分の1という縛りがありました。コロナ対策などで自治体も景気対策に予備費を使い果たしている現状、その2分の1が出せないのです。このバランスを欠いた過剰な端末配備費を削り、その他の補助率を100%にすればすぐに取り組めるのにとの声が上がっています。

一方家庭は1割の家庭が電子機器を全く持たないとのこと。持っていても機器を占有できない、Wi-Fi環境がない子どもが一定数いるのでオンライン化を進められないそうです。日本社会は支援の平等に重きを置き、要支援者への特別扱いはできない、全員が平等に支援を受けられないなら始めないというスタンスです。それではいつまでたっても弱者は弱者のままで、準備が整っている子ども達も教育の機会を奪われることになります。多様性に配慮して必要としている人に支援を届けるだけでいいのに・・・。


でも、もう1つ日本の教育で心配になるのは「学び方の学習」をしていないという事です。先生方も教えるプロ。いわば職人のように教え方を日々研鑽されていますが、一斉授業方式で模範解答に導く授業、基礎学力習熟のための宿題、自分で考えを作りだすより知識、記憶重視の日本の教育です。それではいつまでたっても実生活や仕事で遭遇するような目の前に現れた問題に対して自ら問題を解決していく方法がわかりません。まさに今は主体的に問題を解決するためのプロジェクトラーニングが必要なのです。

今の日本の子ども達は学ぶことが楽しいだろうか? 結果は伴わなくても学ぶことにポジティブになれるだろうか?わかる!もっとやってみたい!という感動があるだろうか?自分の発想をもとに情報を集めたり他の人の考えを聞き、時には助け合いながら何かを生み出すという達成感を味わっているだろうか?実際の社会で生きて行けるように学生のうちにたくさんの冒険と失敗をして自分の生き方を探してほしい。2者択一ではない選択肢、多様性を学んでほしいと思います。

でも、それは子どもが主役でなければできません。答えは1つではありません。先生は採点するのが難しくなります。子どもを見ていないと評価できないし、そもそも評価とは?という壁にぶつかります。でも子どもがどんな生き方をしていくのか?がかかっている大事な教育です。

そう、日本の教育は子どもが主役じゃない!そして先生自身も目の前の子どものために教えたいものを自分で工夫して授業できないシステムなのです。先生も行政職員も自分で何も決められないのです。日本は全てがこの体制なので何も変わらない、いえ、変えられないのかもしれません。


だから、子ども達は長期にわたって自宅待機になった時に何をしていいかわからないのです。「やったあ!今のうちにやりたいことしよう!」と思える子はどのくらいいるでしょうか?子ども達は自由な時間が与えられたら自分で学び始める力を持っていると思いますが、親が待てません。親もだらだらしている子どもを見て何か宿題を出してほしいと思うのです。

今後どのような緊急事態になるかもしれません。今回のように長期の自宅待機もありますし、自然災害でオンラインや電気系統が使えない事態も想定しながら日本もそろそろ教育そのものの在り方を変える時期に来ていると思います。

そして、今まさにこの緊急事態であらゆる分野でオンラインを一気に推進しようといううねりが起こり始めています。一定の学習効果やリモートワークの利点は示されましたが、子どもの成長や人の心身への影響はどうなのか?5Gやデジタル革命も含めて、そのリスクやデメリットが何も語られていないのも心配です。

実は、私達の子育て広場も長引く自宅待機で孤立を深めているママ達の事が心配だったので、子育て広場でZOOMセミナー、ZOOMサポート事業を始めました。市のオンライン設備も学校と同じでセキュリティが強すぎてアプリも取り込めなかったので苦労しましたが、早急に事業の予算化をしてもらって自前のパソコンで対応しました。ママ達はすぐに適応して参加してくれました。


まずはお互いの顔を見て感激。家の中での様子を話したり、赤ちゃんのお世話で困っていることを共有したりするだけで安心したようです。ベビーマッサージやわらべ歌をすることもできました。むしろネットの方が安心して話せるというママが居たことも発見でした。これからはどちらでも対応できるようにしたいねと話し合いました。

孫の私立幼稚園でもZOOM朝の会があるので私も付き合いました。30人くらいが一堂に会して点呼やお歌を歌います。一見楽しそうですが集中力が持ちません。外で遊んでいる方が楽しそうでした。

オンライン授業が進んでいるアメリカでも孫のクラスの半分は出席しなくなったそうです。結局持続して宿題を仕上げるには親の負担がかなり大きい事がわかりました。今や二極化しています。

その孫もパソコンの前にずっといると疲れがたまると話していました。私自身、ZOOMでは無意識に大声で話したり、大げさなリアクションをしてしまいます。あっという間に1時間がたちますが終わった後にどっと疲れます。(金のマーラーナディチャートを貼ったりして電磁波対策はしていますが)

ZOOM会議でも人数が多くなると目と耳が追えなくなります。私達は日頃、目の前の人の全体像を自然に読み取って非言語の領域の感覚を総動員して話しています。ビデオ会議ではこれができないので無駄な緊張とストレスがかかるのだろうと思います。もちろん電磁波の影響も。

「バーチャルな交流は脳に極めて大きな負担をかける、という事実」
「オンライン学習は疲労度が高い」

どちらにしても自分の人生の主役は自分。便利でも心身が疲弊しては意味がありません。デジタル革命で自分が乗っ取られたり無用の存在にもなりたくありません。まだまだ自分の身体や意識の領域は知らない事ばかりです。それを知る前に外の情報の海でおぼれてしまいそう!


こんな時代だからこそ、原点の私自身が問われます。それが集まって構成する家庭、社会へと影響していきます。コロナ禍で世の中の革命がおこるなら、子どもの育ちを保障する事から始めたいと思います。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
かんなままの子育て万華鏡はこちら



Comments are closed.