ままぴよ日記 51 「コロナ不安で愛を見失わないように!」

コロナウイルスの影響で社会が大きく変わろうとしています。
私の足元にもひたひたと押し寄せてきました。
(かんなまま)
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我が町の子育て支援事業が全てストップ


未知のコロナウイルスが世界中で蔓延し、各地でロックダウンが起こり社会の機能がストップしてしまいました。その大きな潮の流れに引き込まれて私もコロナ情報から目が離せなくなり、家業の感染予防対策に追われ、子ども達から寄せられる世界の情報に驚き、我が町の子育て支援事業が全てストップする事を受け入れてきました。


でも気が付けばウイルスを封じ込めるはずもなく、世界中の経済まで大打撃を受け、一番被害を被っているのは大企業を下支えしてきた中小企業やサービス業、フリーランス、学生、子ども、子育てしている家族、医療従事者と、まるでドミノ倒しのように負の連鎖が始まり、それに乗じて不満が募った人のエネルギーが怒りと化しています。

コロナ後の世界はいったいどこに行こうとしているのでしょうか?弱い立場の者は流れに巻き込まれてもっと声をあげられなくなってしまうのでしょうか?

それは私自身の中でも起こりました。自分ではどうすることもできないドミノ倒しが始まったのです。

コロナ騒ぎに夢中になって気が付いてみると、子育て支援事業や新しい計画が全てキャンセルになっていました。でも赤ちゃんは生まれます。この時期にお産した人は面会謝絶で家族とも会えません。お母さんが手伝いに来てくれたり、里帰りお産もできなくなったと聞きました。そして退院後の母子訪問支援事業もキャンセル。乳児健診事業も延期。子育て広場も閉鎖。つまり母体の回復や赤ちゃんの健康、発達指導がすべてなくなってしまったのです。

私はとても心配でした。
ママ達が家でどんな暮らしをしているか見えなくなりました。

これまで私達は仲間と共に母親目線で数々の子育て支援を実践してきました。そのたびに必要性を実感して行政に伝え、信用を得て、市の子育て支援事業にまで持って行きました。今年度からはさらに飛躍して、子育て世代包括支援センターとして産前産後からの支援を市と協働で始めるところまで来ました。やっとです。20年かかりました。

その支援事業は「ままぴよ日記4243」に書いたように市内の開業医と助産師と子育て支援者、先輩ママが一堂に会して、産後すぐのママ達に寄り添って個別の相談に乗るというものです。そのために私達も協力団体として正式に会則を作り、近隣の産婦人科に協力要請をして準備してきました。それが一気にストップです。


でも、子育ては待ったなしです。せめて何かできる事はないかと考えてオンライン相談に切り替える事を提案しました。市のオンライン状況は学校と同じでセキュリティが強すぎて全く使えません。それで個人のパソコンを使って対処することにしました。でも宣伝ができません。行政は市の広報やHPでお知らせをする方法しか知らないので2か月前には原稿にしておかなければいけません。

HPに載せてくださいとお願いしたら小さく載りました。あ~絶対に産後すぐのママは見ないなあ~と思いつつ、個人情報を貰えないので待つしかありません。スタンバイしていましたが誰からも相談がありませんでした。結局2ヶ月相談なし。


子育て広場も閉館していましたが電話相談に切り替えました。ここでは顔見知りのママ達から電話相談が寄せられました。みんな疲れている様子で涙声です。ママ達の要望もあり、テレビ電話で子育て広場をすることにしました。すぐに応募があり何度か開催しました。「もう限界」「夜更かしになり、朝も遅い、外に出られなくて親子でストレス。怒ってばかり」などなど。でも顔なじみのスタッフやママ達の顔が見えただけでホッとしたようでした。

一方で嬉しい発見も。「家族団らんができた」「家にいる事で何だかゆったり気分になって気持ちの余裕ができた」「保育園に行かなくていいので急かせなくてよくなった。一緒に何かを作ったりして楽しいし、子どもを叱ることがなくなった」などの声も聞かれました。子どもの時間が取り戻せて原点に戻れたようです。そんなママの話が他のママに伝わって「こんな時間も必要だね。今のままがいい」という流れになったのも嬉しい事でした。


でも、テレビ電話で話せたのは顔見知りのママ達だけ。やはり新しいママ達を巻き込むことはできませんでした。

他のママ達は孤立して困っていないのだろうか?鬱や虐待に走っていないだろうか?と心配していましたが、私の予想とは少し違っていたようです。コロナ騒ぎで自分から発信したくてもできなかったのではなく、「何でも相談してね」といきなり言われても赤ちゃんがどんなものかもわからないので何を聞いていいのかわからないし、わざわざ相談する余裕もないというのが本音のようでした。


例えば、私が赤ちゃんを見て背中の反りが強くて要注意だと感じた時は、さりげなく「この頃、赤ちゃんの背中が反って抱きにくいという話を聞くのよ」と他人事のように言います。すると「えっ?うちもそうです」というママが多いのです。背中が反っている事すら気が付いていないのです。

最近、赤ちゃんの首が座る前から縦抱きするようになり、頭の重さを支える首と背中が緊張しているのです。赤ちゃんの事を何も知らずに親になるので赤ちゃんの立場になれるはずがありません。実はこれが大問題。だからこちらからママ達に届くような支援をしなければいけないのです。


これが全てシャットダウン。その上、こんな社会状況の時は優先順位が変わります。今は感染拡大予防対策と経済支援です。子育て支援は不要不急の事業のようです。財政難でこのまま消えてしまうかもしれません。市と連絡を取りながら空回りする自分がわかりました。担当課がコロナ担当課になりバタバタしているし、課長も異動で変わったばかりで子育て事情を知りません。


子育て広場の新築の話も白紙に


その上、もう1つショックなことがありました。私達の子育て広場が老朽化で移転を余儀なくされていたのですが、やっと市長が私たちの活動を認めてくれて、外遊び型の広場を新築するというところまで話が決まっていたのに議会が待ったをかけたのです。

土地も確保して近隣の住民の許可も取り付けていたのに「この経済状況でなぜ新築か?子育てが大事だとはわかっているが既存の保健施設の空き部屋に入ればいいではないか?」と紛糾してしまいました。

付帯決議で検討することが約束されているにもかかわらず、コロナ騒ぎで議題にさえ上がらなくなってしまいました。私は1人で気を揉んで、子育て関係の代表議員に「一度現場を見に来てください」と電話しましたが、けんもほろろ。お金の事ばかり言って今の子育て現状を知ろうともしない人が代表になっていたのです。傷つき、無力感に陥りました。

今まで築きあげてきた事業がキャンセルになり、子育て広場の新築も白紙。タイミングが悪いと言えばそうなのだけど、久しぶりにへこみました。やっと実現するという矢先で残念でたまりません。

このコロナ騒ぎで、子どもに対する社会の無理解と無関心も浮き彫りになりました。
私の前に大きな壁が立ちはだかっているように感じました。子育て仲間に話そうと思ってもみんな今の状況に向き合うだけで精一杯です。外出も会議も控えている中でどうしようもありません。


出てくる感情を眺めながら冷静になろうと思いました。祈り続けて無心に行動した結果がこれです。受け入れるしかありません。神様は私に何を教えてくださっているのでしょうか?

すると、今は動く時ではない。ましてや怒りを出すときでもない、と思えました。いくら正しいと思っても私の世界観を押し付けるのは私のエゴ。執着。私の思いの原点を確かめて揺らがないのであれば、今はそれを抱いているだけでいい…と思えたのです。

これは諦めではありません。私は何も変わらないし、ここに居る。こんな時こそ愛を意識しようと腑に落ちた時、急に私は何も傷ついていないし、目の前に壁もないことがわかって涙が溢れてきました。そう、不安と怒りで愛を見失うところでした。

今、足元を見れば我が家の小児科も閑古鳥が鳴いています。そんな時に市の乳幼児の集団健診がずっと延期になっていたので小児科に委託されることになりました。4か月と10か月の赤ちゃんが健診に来てくれる事になったのです。

あれほど心配して、何かできる事はないかと気を揉んで焦っていたら、自分の場所に向こうからきてくれるというのです。それもパパと一緒に!個別健診だと小児科医の夫が赤ちゃんの身体や発達の事をゆっくり話す事ができます。そして、私も1対1でママ達に寄り添ってベビーマッサージをしたり、子育ての相談に乗ったり、赤ちゃんを愛でる事ができます。


これぞ、やりたかったことです。初対面のママ達でも信頼が生まれたら色々な質問をしてくれます。帰る頃は笑顔のママ達。私も、何て豊かな時間を与えてもらったのだろうと嬉しくなりました。

今回のコロナ騒ぎは私に深い気づきとプレゼントを与えてくれました。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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