ままぴよ日記 52 「コロナで学んだ生き方とは?」

 今後、想定外の事が起きたらどうしたらいいのか?行政はすぐには動かない。ケースバイケースで対処してくれない事を学びました。では小さき者はどうしたらいいのか?
 でも、このコロナのおかげで学びました。今わたしたちに必要なものは自分の力です。
(かんなまま)
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世界中の子ども達の社会生活を奪ったコロナ


4月から始まった緊急事態宣言。一番先に閉鎖になったのは学校や幼稚園でした。困ったのは親、保育園。いえいえ子ども達です。コロナは世界中の子ども達の社会生活を一方的に奪ってしまったと言っても過言ではありません。

子どもの立場から見ると、いきなり明日から学校には行けませんと言われて、抵抗できないのです。特に卒業式を控えた子にとっては残りの学生生活が切られてしまってショックです。命に代えられないという理由ですが、一度も子どもの意見を聞こうとしなかった社会。

そして、毎日ニュースで流れている何だか怖そうなウイルス。死んだ人もいる!外に出てはいけない、友達と遊んではいけない、お母さんが毎日家に居て嬉しいけど、心配そうな顔をして「手を洗いなさい!」ばかり言うのです。


これらの生活環境の変化は、大人が思っている以上に子どもの心にストレスを与えています。子どもはただならぬ気配を感じて自分の気持ちを表現しなくなり、大人も子どもの心理に気を配る余裕がないので頭ごなしに従わせてしまいます。家の中で何もすることがないのでゲームをすると、また怒られます。子ども達はどうすればいいのだろう・・・。

漫画家の井上きみどりさんが東北大震災、熊本地震、台風19号などで現地を取材して、災害と子どものココロと題して注意を呼び掛けています。



アンケートで分かった、子ども達の心の声


さて、日本体育大教授で「こどものからだと心連絡会議」の議長でもある野井慎吾さんは休校中の5月、小中学生とその保護者2375組に緊急アンケートをしました。

子どもたち自身が休校中に困っていたことは、「勉強を教えてもらえない」39%ではなく、「思うように外に出られない」61%、「友達に会えない」57%でした。

それなのに、やっと学校が始まったら、友達と話したり遊んだりしてはいけない、休み時間や給食の時間は声を出してはいけないという制約付きで「勉強勉強!」ばかりです。

更にアンケートで「授業に集中できない」「やる気が出ない」「イライラする」と40%の子が答えています。長い休みで生活リズムが乱れてしまっているので身体がすぐには戻らないのです。これは当たり前の話です。現に我が家の小児科でも学校に行き始めたけれど体がだるい、朝起きられないなどの症状で来院する子どもが増えました。

子どもの立場を考えたら、学校の生活に慣れるまでレクレーションをしたり、コロナの生活で感じた事を話したりして子どもの心身のリハビリをして勉強に向かう体制にしてあげるべきです。その上で、今後どうしたらいいかを子ども自身にも問うてほしいのです。この配慮が決定的に欠けています。野井教授も「運動会などの学校行事をどうするか子どもと一緒に考える事が、変化する社会の中で自ら考えるチカラをはぐくむ生きた学びになります」と言われています。


そして子ども環境学会代表理事の東京工業大学名誉教授、仙田満さんも「コロナウイルスの問題は命か経済化という二者択一の議論が多くなされているが、こどもという重要な視点を忘れてはいけない。教育や成育が脅かされている休校、休園を早急に解除すべきである。子どもの1日、1週間、1ヶ月、1年は大人のそれとは重さが異なる」と言われています。
http://www.children-env.org/magazine/blogs/blog_entries/view/10/145e6b3e68919e2fd41fb62dbe040045?frame_id=36

ただし、元に戻ればいいのかというとそうではないと思います。私達は今回のコロナ騒動で多くの事を学びました。特に子ども達に関しては子ども主体の特性と成育という視点で環境を作ってあげなければいけないという事を忘れてはいけません。そして、学び方を柔軟にして何らかの理由で学校になじまない子ども達や家で学びたい子ども達のためにオンラインで学ぶ選択肢も進めて行ってほしいと思います。

最近、子育て広場が再開してママ達が戻ってきてコロナの時期に生まれた赤ちゃんもベビーマッサージに来てくれるようになりました。「コロナの時期はどうしていたの?」と聞くと、出産のときはパパや子ども達にも会えなかったし、退院したと同時に保育園から登園自粛の要請があってお兄ちゃん2人も家にいる事になったとか。ママは産後の身体を休める暇もなく、子ども達のお世話です。パパがお休みになって手伝ってくれて家族の絆が深まったという声もありましたが、ケースバイケース。悲惨な状況のママもいたようです。園も県から要請があっての判断です。園側も個人の事情をくみ取って預かってあげたい、でも保育士が足りない、感染のリスクも減らしたいと悩みは尽きません。


では、どうすればよかったのか?

日本は何事も組織の決定事項にトップダウンで従う事が優先されてきました。従順ですが反面、考えなくていいし、責任を取らなくていいのです。結果的に現場を知らない人が決めるので混乱します。つまり、個々のケースには対応できないという事態が起きてくるのです。これでは何の解決にもなりません。家庭や園、学校もしかり、職場や地方自治体もしかりです。

想定外の事はいつ起こるのかわかりません。これからは目の前に起こったことに対して自分で考えて柔軟に対応できる力、集団であれば現場で協力して解決する力が必要です。それには個々人が日ごろから自分で考えて行動する習慣をつけておかなければいけません。


「いい経験」につなげるための大人の心構え


月刊誌クーヨン4月号で「自分を守れる子ども」に育てるガイドブックを特集していました。その中で上町しぜんの国保育園長の青山誠さんが子どものトラブルを「いい経験」につなげるための大人の心構えを4つ挙げていました。

1、感情そのものを「評価」しない。
  感情に優劣はない。そのまま受け止めてあげる。

2、子どもは「解決」を望んでいるわけではない。
  子どもが泣いて訴えてきた時は共感してほしい、味方になってほしいと思っているのがほとんど。落ち着くまで話をきいてあげるだけでいい。

3、子どもから聞いたことが全てではない。
  子どもから聞いた話はあくまで「結果」。その前後に何があってそうなったのかの文脈で判断する必要がある。

4、大人の心配を子どもに背負わせない。
  大人が心配して「もうあの子と遊んではダメ」など行動を決めてしまうと、子どもは親の思いに応えねばという課題を背負うことになる。裏でこっそり大人同士で話し合いましょう。

と書かれています。

まず親が日頃から子ども自身が感じたことを否定したり評価しないで受け止めてあげる事から始めなければいけないと思います。私たち大人はしつけや道徳教育と称して一方的に良きモデルを押し付けてきました。これでは自分不在のまま期待される生き方をしなければいけません。人からどう評価されるか?ばかりが気になって自分で判断することも責任を持つこともできなくなってしまいます。子ども自身が自分の感情を受け止めてもらったらどうしたらいいのか?を考え始めます。そのタイミングでサポートをしてあげるだけでいいと思います。毎日毎日、子どもは自分を生きて成長していきます。

さて、青山さんは保育園の園長でもあるので、今回、世田谷区から出された自粛要請に悩んだそうです。保育園は「保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設であり、入所する子どもの最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしい生活の場でなければならない」とされているはずなのに、いとも簡単に現場を知らない人が閉園や自粛を決めてしまう。


そして、それぞれが国や都からの要請だから従ってくださいというように責任転嫁。自分の園でも保護者に上からの要請です、と言ってしまった方が楽だけれど、目の前に様々な親子が直面する現実が見えてしまいます。

子どもの最善の利益とは何か?又、家族の様々な状況を考えた時に社会保障の場として何をすべきか?青山さんはその苦悩を正直に保護者に伝えました。すると保護者も答えは出ないけれど一生懸命考えている姿に賛同して一緒に考えるようになったのです。今度は保護者とともに、この状況下で何ができるのか?このコロナ生活を逆に楽しめる事はないか?を模索していったとのこと。

その結果、保護者とのつながりが深まり、リモートワークの場所として園を貸す、散歩コースに園を組み込む、などユニークなアイデアが出されました。
https://greenz.jp/2020/06/24/aoyama_makoto_hoiku/

まさにこの取り組みは、何かあった時に自分で考えて自分を守れるか?周りと協力して何ができるか?の実践です。むしろ個々人が自分で考えて自分で行動できる力を身に着けたらこんなに強いものはありません。同時に自分で生きるために必要な食べ物なども身近に手配できるようにしておけば万全です。

子育て支援の場でも赤ちゃんを抱っこしていいか?おもちゃは?おむつ処理はどうするか?など迷う事ばかりです。その日の天気、感染の状況、来てくれた家族によって対応しなければいけません。禁止事項ばかりでは何のために開けているのか見失ってしまいます。私達の指針は「現場で話し合いながら最善を尽くす」事にしました。もちろんママ達も一緒に考えます。これは日常の暮らしでも同じです。

子どもも尊重されれば自分で感じて自分で考えて自分で決める事ができます。


これがこれからの生き方だと学びました。

追伸:もちろん、その先には心身の浄化をして、ヤマ・ニヤマを生き方の指針とする道が続きます。やがて自分の潜在意識とつながれば自分で考えるというより自分の直観で感じると言った方が近くなるのかもしれません。先は長い!線路は続くよどこまでも~♪


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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