ほとんどの国や地域は、ロシア制裁に関係していないという事実 ~現在、世界的に農業を取り囲む状況は深刻

竹下雅敏氏からの情報です。
 先の記事の関連ですが、In Deepさんの非常に説得力のある記事を紹介します。この記事を読んで、“日本の場合はコロナ、ワクチンよりも餓死の可能性の方が高いのかも?”と思ったりしました。
 対ロシア制裁を正式に「拒否した国」と「加わっている国」のリストを見比べれば、“ほとんどの国や地域は、ロシア制裁に関係していない”ことが分かります。このことは、「アメリカと西側諸国の時代の終わり」を意味するのです。
 “続きはこちらから”を見ると、「日本の食糧生産の実力」が分かるのですが、“現在、世界的に農業を取り囲む状況は深刻”なのです。肥料の生産には天然ガスが必要で、天然ガスの価格が高騰したため肥料の価格も高騰しています。2月17日の記事で、「食糧備蓄は大切です!」という動画を紹介しました。動画の中で、“食糧不足が遅くとも2、3年以内には起きるかな。…生産物資、肥料とか農薬とかハウスの資材、燃料(軽油、ガソリン)は、昨年爆上がりしました。30%以上あがっている。…仮に肥料がそこまで高騰したら野菜の生産は出来なくなります。”と言っていました。In Deepさんも、“「肥料」がなければ絶対に商業的な農業はできません”と言っています。
 「コロナ危機の次は食料危機」という優れた記事も参照してください。無農薬・無肥料・不耕起でお米や野菜を作っている「自然農法」しか生き残れないかも知れない。
 「公益財団法人自然農法国際研究開発センター」のこちらの記事「無施肥・不耕起の草生栽培」をご覧になると、なぜ無肥料で野菜が作れるのかが分かると思います。「無農薬・無肥料・不耕起でお米ができるのはなぜ?」という動画も参考になります。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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アメリカの異常な孤立を見て思う、日本を含めた「対ロシア制裁国」の劇的な人口減少の原因は、戦争よりも凍死や餓死によるものになっていくのではという懸念
転載元)
(前略)
今のウクライナの戦争でとてもはっきりしたことは「アメリカと西側諸国の時代は本当に終わるんだ」ということでした。
(中略)
ロシアへの制裁に加わったかどうか」を見ますと、報道レベルだけでも、以下の国は「ロシアへの制裁を明確に拒否」しています。

 対ロシア制裁を正式に「拒否」した国の一部
・ブラジル (報道
・インド (報道
・中国 (報道
・メキシコ (報道
・サウジアラビア (報道
・アラブ首長国連邦 (報道
・ベネズエラ (報道
・トルコ (報道
・エジプト (報道
・イラン(報道
・ドイツ(報道
・ハンガリー(報道
・セルビア(報道
・アルゼンチン(報道
・ボリビア(報道
・エルサルバドル(報道
・ウルグアイ(報道

他にもたくさんあるのだと思いますけれど、これらは態度が曖昧なのではなく、「明確に拒否」した国です。
 
この中で比較的大きな国の食糧生産力、エネルギー生産力を書きますと、以下のようになります。小麦生産量とトウモロコシ生産量は 2019年のデータ、石油は 2020年のデータです。

 対ロシア制裁を拒否した国の人口と食糧生産力とエネルギー生産力
・ブラジル 人口 2億1000万人 トウモロコシ生産量世界第3位 原油産出量世界第8位
・インド  人口 13億8000万人 小麦生産量世界第2位 トウモロコシ生産量世界第7位
・中国   人口 14億2000万人 小麦生産量世界第1位 トウモロコシ生産量世界第2位
メキシコ 人口 1億2000万人 トウモロコシ生産量世界第8位
・サウジアラビア  人口 3400万人 原油産出量世界第2位
・アラブ首長国連邦 人口 1000万人 原油産出量世界第7位
・アルゼンチン   人口 4500万人 小麦生産量世界第10位 トウモロコシ生産量世界第4位

などとなっています。
なお、ロシアは以下のようになっていました。

 ・ロシア 人口 1億4000万人 小麦生産量世界第3位 トウモロコシ生産量世界第10位 原油産出量世界第3位

人口にしても食糧にしてもエネルギーにしても、対ロシア制裁を拒否している国々は、このグループだけで十分生きのびられることがわかります。
 
ちなみに、制裁に加わっている国は正確にはどこなのか、と調べてみましたら、カタールのアルジャジーラが「制裁に加わっている国のリスト」とその説明を報じていました。

 対ロシア制裁に加わっている国のリスト
・アメリカ
・欧州連合
・スイス
・イギリス
・カナダ
・チェコ共和国
・オーストラリア
・ニュージーランド
・日本
・韓国
・台湾
aljazeera.com

これが全部のようです。
 
ということは、先ほどの「拒否した国のリスト」以外でも、この地球のほとんどの国や地域は、ロシア制裁に関係していないようです。
 
「なんだか、これを見ているだけでも勝敗は決まってる感じだなあ」とは思いますが、それでも、日本のメディアでは「ロシアの孤立化」とかいう言葉が見られることもあります。
 
実際には、地球で孤立化しているのは、西側諸国であり、そして最も孤立化して、無視されているのはアメリカのようです。
(中略)


2025年のディーガルの人口動態を思い出す

 以前、以下の記事で、ディーガル(Deagal)という、過去数十年にわたり世界の兵器システムの分析事業を行っている組織による「2025年の各国の人口と GDP の予測」をご紹介したことがありました。
 
 (中略)
ディーガルによる2025年の人口とGDPの予測値
(上の赤い字が2025年の予測、下の黒い字は2017年の数字)
(中略)
「西側」というものが今後小さくなっていくことは、ディーガルの予測がなくても、現在の世界の状態を見ているとわかります。
(中略)
そして、今は日本は、戦争で孤立しているほうの味方をしています。
ちなみに、その日本の食糧生産の実力ですが、先ほどの小麦、トウモロコシの日本のそれぞれの生産量は以下のようになっていました。
(中略)
 小麦の生産量
1位 中国 1億3359万トン
   日本    79万トン

 トウモロコシの生産量
1位 米国 3億4704万トン
   日本    23万トン

そのうち、日本では「小麦やトウモロコシが完全に食べられなくなる日」というときも来ないでもないかもしれません。

まあ……私自身は数年前からグルテンフリーという小麦をとらない食生活を続けていまして(グルテンの不耐性であることがわかったため)、今も小麦はいっさい食べませんが、それだけに、現在の日本の「小麦の食生活への圧倒的な浸透ぶり」を知ることになりました。
(中略)
うどんもソバもパスタもラーメンもそうめんもパンもケーキもピザも肉まんも、ほとんどの焼き菓子もカレーやシチュー(ルーに入っている)からハンバーグや揚げ物全部も、紹興酒も、醤油(ほとんどに入っています)も、あるいはお酢(穀物酢)なども、あれもこれもとほとんどの食べ物に小麦粉が使われていることを知りました。
 
なぜこんなことを書くのかといいますと、それで知ったことは、「小麦粉の価格が異常に上がったり、あるいは消えた場合、日本の食産業は死ぬ」ことをその時に悟ったのでした。
(中略)
小麦粉がなくなるということは、すべてのラーメン屋さん、パン屋さん、パスタ屋さん、おソバ屋さん、唐揚げ屋さん、天ぷら屋さん、ケーキ屋さん、お菓子の店、カレー屋さん、あるいは、すべての洋食屋さんが「消える」ということと同義です。
(中略)
そもそも現在、世界的に農業を取り囲む状況は深刻なんです。
以下は、昨年 12月までの「アメリカの肥料価格の推移」です。まだウクライナとの戦争という言葉さえ出ていない頃で、すでにこうだったのです。
 
アメリカの肥料価格の推移 (無水アンモニア、尿素、液体窒素)

nofia.net
 
肥料の価格高騰の原因は、肥料の生産には天然ガスが必要なのですが、その天然ガスの価格が高騰したためで、そして、天然ガスの価格が下がる見込みが立っていないために、肥料価格も下がる要素がないのです。
 
そして、ロシアが肥料の輸出を禁止しました。
 
以下のタイトルには「停止」とありますが、正確には「禁止」です。
 
 
現在のままの状態で、ロシアが、少なくとも制裁に参加している国に肥料の輸出を再開するとは思えません。また、中国もリン酸肥料の輸出を禁止しています。 2022年6月までということですが、その期間がどうなるかはわかりません。
 
この「肥料」というのは、それがなければ絶対に商業的な農業はできません。というか、ベランダの花栽培でさえも、肥料がなければ多くの植物が育成しません。
 
ですので、時間の経過と共に、戦争による死とかではなく、過去数十年の日本では考えられたこともなかった「餓死という死の形態」の連鎖が起きることさえ想定できます。
 
今後 5年 10年がどうなるのかは、それは確かにわからないですが、相当な「嵐」の中に私たちの日本も突入していく可能性があるとは思います。
 
これらの食糧危機の予測は以前に想像していた以上です。

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