ままぴよ日記 92 「ママが仕事をするという事は」

 春です。入学、異動の季節です。
 嬉しい反面、子どもの学校や自分の仕事の事でママ達のSOSが聞こえてきます。
 ウクライナとロシアの問題、ワクチン騒動も含めて、春の嵐が吹き荒れているようです。

 そんな時に感謝のマントラが授けられました。唱えたとたんに力が抜けて涙が出てきました。こんなに緊張していたのだと気が付きました。個人では解決できないと無力感に襲われていたことも、できる事があると思えました。ありがとうございます。
(かんなまま)
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母の介護は私の癒しの時間


どうも、母が赤ちゃんを産んだらしいのです⁉
眠ってばかりだった母がいきなり興奮状態になり、義姉に「私の赤ちゃんが隣の部屋に寝ていると思うから早くここに連れてきて!」兄にも「ふにゃふにゃしている赤ちゃんを抱かせて!」と懇願し、最後には私が連れて来てくれると思っているようなのです。

私が現れると、嬉しそうに「赤ちゃんを連れてきて!」と頼みます。「へえー赤ちゃんを産んだの?おめでとう」「ところで何歳?」と聞くと、しばらく考えて「99歳」と笑います。この年にして赤ちゃんを産むのか・・・と、驚きますが、もはや母の介護は私の癒しの時間になってきました。

日曜日に、夫と、母の弟、兄3人が一堂に集まり、母の家のスロープの修理をしました。10年ほど前に夫と甥っ子で作ったのですが朽ちて危なくなっていました。

夫が1人で修理しようとしていたら兄たちが手伝うと言ってくれたのです。「もうおばあちゃんは動けないし、この家は誰も使わないのに、なぜ修理するの?」と甥が聞きましたが、なぜでしょう。

母のために何かしたいという気持ちがそうさせるのでしょうか。現に、みんな嬉しそうに修理しています。庭の桜の花が咲いたら、車いすでこのスロープを通って見せてあげられるかもしれません。

人は無駄のような行為でも、気持ちを乗せて動いているだけで救われる時があります。私の人生も、これでずいぶん救われました。きっと、子どもの世界もそうだと思います。子どもの行動に無駄はないのです。



夫のワクチンのモヤモヤ


はワクチンのモヤモヤの気持ちをこの行動に乗せているのかもしれません。母の家に向かう車の中で「市に調査依頼したよ」と話し始めました。「今まで自分の小児科で出た第5波の陽性者は120人。そのうち18歳以上は36人。その36人のワクチン接種の有無を調べてもらったら何と30人が接種済み。予想を超えて83%がブレークスルー感染だった。3回接種しても感染している人がいたよ」との事。

「重症化を防ぐと言われているけど、みんな軽症だから意味が分からない。国は4回目の接種も考えているようだけど、もう止めて欲しい」と前を向いてはっきり言いました。

「それをみんなに話したら?」と私が言ったら「話しているよ。特に子どもには打たない方がいいと話しているけど、これは個人的見解であって、医師会全体でしませんとはならない」と、苦しそうです。

現実は5歳から11歳までのワクチンの予約が多いので枠を増やすように市の担当者から電話がかかってきているのです。これは、打ちたい人が早く予約を取っただけで、それ以後は少なくなるだろうと予測していますが、ふたを開けて見ないとわかりません。


テレビでは、毎日のように子どもの接種の有効性と「副反応は心配ない」と御用学者が言っています。実際に子どもが「痛くなかった」と言って、褒められている映像を見ると苦しくなってきます。

私は一生懸命、我が家に届くワクチンに愛のマントラを送っていますが、その社会的な思惑に怒りを持たないで感謝のマントラも唱えたいと思います。


ママと仕事と子育て


そんな時、久しぶりに5年生の孫が野球の試合で近くの小学校に来ることがわかりました。グラウンドで見る孫の体つきがしっかりしてきました。バッティングも守備も真剣に取り組んでいます。もう、ばあばをチラリと見るだけになりましたが、私はそれを受けて無言で最大のエールを送りました。打ち込むものがある孫は幸せそうです。


ただ、心配なのはお嫁ちゃんが5月から仕事復帰することです。1歳5か月の孫を保育園に連れて行くのは息子の役目。下の弟は4月から一年生。放課後は学童に通います。3年生になるお姉ちゃんは学童が嫌いなので家に帰りたい。でも誰もいません。6年生になるお兄ちゃんは毎日野球の練習があります。だから学童にも行かないし、1人で校区外の野球場にどうやって行くのでしょうか?

籍を置いている今の職場に復帰しないと、もっと条件の悪い大学病院に戻る事になるそうです。上司は産後2ヶ月で復帰した頑張り屋のママドクター。子どもがいるからと言う理由で時短勤務をお願いしても「皆同じように頑張っているのにあなただけ許可するわけにはいかない」と言われるそうです。

仕事を辞めようかと悩みます。本音は子どものそばに居たい。一番下の子の成長をずっと見ていたいし、4人の子どものやりたいことをさせてあげたいと思うのです。

「大丈夫?」と聞いたら「大丈夫じゃない。私は、子どものやりたいことを制限して、怒らなくてもいい事で怒ってばかりの親になると思う」と泣きそうです。

せめてママが子どもに関わる時間を確保できないかと考えた時、家事支援が必要だと思いました。市の家事支援は働いている親は適応外。家族や友達と助け合えればいいのですが、今は昔のような近所づきあいもないし、みんな働いています。

私が行ってあげたいけど家業と母の介護があります。子育て支援の来年度のスケジュールも詰まっています。ふと思いついて、いつも私を助けてくれている友人に頼んだら行ってくれることになりホッとしました。


アメリカにいる娘は、もう10年以上小児科医としての仕事を中断して専業主婦をしています。でも、この事に専念できたのは素晴らしい体験だったらしくて、これから自分がやりたいことが見えてきたようです。

アメリカの仕事も一段落したので、夏に帰国すると言い出しました。パートナーが「今まで仕事を辞めて僕のしたい事に付き合ってくれたり、子育てに専念してくれたので、今度は君の番だよ。君の行きたい場所に付いて行って、そこで職探しをする」と言ってくれたらしいのです。

娘は小児科医として、子どもの心のケアの勉強をしたいので大学院に入ると決めたようです。いくつかの大学を候補に挙げて調べ始めました。憧れの先生に直接連絡して、事情を話すと興味を示してくれて「すぐにいらっしゃい」と言ってくれました。

専業主婦の間のブランクを付加価値として認めてくださったようです。でも、話を進めていくうちに「今まで我慢したのだから、今度は自分の研究に専念しなさい。研究室から留学してもらってもいいわ。何でもやれるわよ」「この町は子育てしやすい町よ。子どもが病気になっても保育園がタクシーで病院に連れて行ってくれるのよ」と話されるうちに、娘は「ちがう」と思い始めたようです。

確かに素晴らしい先生で、バリバリ研究してこられた結果が今だろうけど、娘は「自分だけバリバリ働こうと思っていない。パートナーや子どもも同じように幸せでなければ自分も幸せじゃない。子どもをタクシーで連れて行ってくれる子育て支援より、自分がすぐに駆け付けられる支援であってほしい」この世界は自分の求める世界ではなかった、とはっきり分かったそうです。

やっとやりたい仕事ができる!次は私の番と思った自分が甘かった。そんな世界はないのかも・・・と少々落ち込んだそうです。

別の研究室に連絡をしても、あまりピンとこない所ばかりで、いったいどこに住んだらいいのだろうと振出しに戻りました。私は「あなたの感覚は間違っていない。その感覚が子どもの心のケアに繋がるのよ」と言いました。

住む場所が決まらないので子ども達に「ばあば達がいるところに戻って普通の小学校に行くのと、ばあば達からは離れるけど帰国子女がたくさんいて、違う文化に触れたり英語を活かせる学校に行くのはどちらがいい?」と聞いたそうです。

上の2人は日本の学校も経験しています。アメリカの自由な学校を体験したので、もう元の学校には戻れないようで「毎日の学校が楽しい方がいい」と答えました。

さあ、幼稚園から高校まで考えなければいけません。それを満たしてくれる学校を私も探し始めました。その事については長くなるので別の回で書きたいと思います。

このように、ママ達は先ずは家庭の事情があって、自分の仕事を選ばなければなりません。子どもを育てながら自分の夢を追うのは大変です。


特に、新学期を迎えるこの時期、家族の変化と共に、自分のやりたい仕事と子育てが両立できなくて悩んでいるママ達がたくさんいます。エッセンシャルワーカーや保育士、介護、子育て広場のスタッフなどは、夏休みや土日の出勤を求められます。志高くその仕事に就いたものの、我が子は家で一人ぼっち状態では何のために働いているのか苦しくなってきます。

この時期、なぜかママだけが悩み、パパは蚊帳の外なのも問題です。そして、職場では頭ごなしに「みんなも我慢して頑張っているのよ」「個人的な都合をいちいち聞いていたら仕事が成り立たない」「あなただけ特別扱いはできない」と、言われます。

自分も我慢したのだから、あなたも・・・など「女の敵は女」と言う話をよく聞くのですが、こんな時は、その気持ちを自分も体験した同じ立場の者として共感してあげて欲しいと思います。人は自分の気持ちをわかってもらえただけで心が軽くなり、どうしたらいいかを前向きに考えられるようになるのです。

同調しないで、自分の気持ちを言った人が責められる社会。大人がこれを止めない限り多様性を尊重する社会は実現しません。

そもそも、親は社会の子どもを育てているのです。子育て支援法の基本的認識として「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」と書いてあります。

子どもがまだ養育してあげなければいけない大事な時期に、それを切り捨てさせるような社会の方が問題です。この事についても別の機会に書きたいと思います。

この2週間、そんなママ達の個人的な悩みに付き合っています。

春です。子どもやママ達が船出します。どうぞ波が穏やかでありますように。



Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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