インフレ抑制計画発表
5月4日(水)大統領の朝のプレス・コンファレンスで、インフレ対処の6ヶ月プランを財務大臣が発表。メキシコのインフレ率は3月の時点で7.5%、お隣アメリカは8.5%。メキシコはロペス・オブラドール政権(2018年12月)になってから、ガソリン価格はインフレ率だけ変動し、あとは一定に保つことを約束。
現在のインフレ下で、原油輸出の価格が上がったため、その収入増の黒字で国内のガソリン価格をわずか0.6%の値上がりで収めることが可能になっているとか。新たな債務は一切なし。この対策をしていなかったら、インフレ率は10%になっていただろうとのこと。アメリカのガソリン価格は2.5%値上がりし、今はメキシコのほうがガソリンは安いと大統領は言っていました。インフレでは貧しい人たちが一番困るので、彼らを守るために企業と政府が連携して協力し合うとのこと。
#NACIONAL | En La Mañanera, el secretario de Hacienda, Rogelio Ramírez de la O, informó que el plan contra la inflación contempla aumentar producción de maíz, frijol y arroz, y no subir peajes en carreteras https://t.co/cpOsbqmoby
— Coahuila En Línea (@coahuilaenlinea) May 4, 2022
ロペス・オブラドール大統領は、コロナ禍で民間企業と一致団結、協力し合い乗り越えたことに感謝し、インフレ問題も同様に連携して乗り越える意気込み。ちなみにコロナ禍ではメキシコは新たな債務を一切増やさずに乗り越え、これは世界でも稀な国だと大統領は強調していました。
大統領は、「もし今一番心配な問題は何?」と聞かれたら「インフレ」というけれど、これも「国民と国のために、みんなで乗り越えられる。私は楽観的である。」と言っていました。(5月4日朝の大統領プレス・コンファレンスより)
主要企業もこのプランを支持
このインフレ抑制計画を発表した大統領プレス・コンファレンスに、多くの主要企業の重役らが出席し支持を示していました。
大統領プレス・コンファレンスに参加し、Government unveils 6-month, production-focused anti-inflation plan. https://t.co/onIBMT4OPK pic.twitter.com/XOSPboFiSH
— Mexico News Daily (@mexicond) May 4, 2022
連邦政府のインフレ抑制計画の支持を示した
多くの小売業者、食品製造業者、経済団体の代表ら
ウォールマートとビンボ・グループ(パン製造会社)が、代表でそれぞれスピーチし適正価格の維持を宣言。そして、メキシコで1番の富豪、通信業界の王者(TELMEX,Telcel)であるカルロス・スリム氏も自ら政府に歩み寄り、今年いっぱい、インターネットと電話料金の値上げはしないと約束してきたと財務大臣が報告していました。
Telcel, Walmart, Telmex, Bimbo son las empresas que se unen al plan contra la inflación de @lopezobrador_
— Brenda Espinoza Lopez (@_BrendaEspinoza) May 4, 2022
“A todos nos conviene que se controle la inflación” expresó AMLO, hizo un llamado a productores, empresarios y comerciantes a participar en plan antiinflacionario#mañanera pic.twitter.com/SJ5gjDqe6z
主要企業は「いかなる圧力もなく、完全に自由な立場で、インフレを抑制することが皆の利益となるため支持。」、また、全国商工会議所連合会は、4T(メキシコ史上4番目の大改革)が押しつけではなく、民間主導で協力を求めてきたことは良いことだと。(REVOLUCIONより)
具体的な内容
このプランでは国の食料主権を実現し食料不足を回避するために、農業地帯を盛り上げる4つのポイントを提示。1️⃣生産 2️⃣流通 3️⃣対外貿易 4️⃣その他の対策。これらの対策はとりあえず6ヶ月間行われ、必要であれば延長可能。財務長官は、「これらの施策はすべて、供給を増やし、コストを下げるためのものである。」と説明。
1️⃣生産
計280万トンの穀物生産の増加。肥料プログラムの拡大(4州から9州に)。財務大臣いわく肥料の供給はこの戦略の不可欠な部分であるので、硫酸アンモニウム(窒素肥料)の相殺関税を撤廃し、肥料の入手をしやすくする。
2️⃣流通
食料物資の盗難対策として、道路上の警備戦略の強化。12,000人の国家警備隊と2,300台の車を配置。高速道路料金の引き上げなし、運送に対する免税、鉄道料金の引き上げなし、海港での費用と通関時間の削減などの措置も実施。
#メキシコ 政府が #インフレ 抑制策を公表しました。穀物の生産増に向けて農家への肥料支援を広げ、基礎的食品の輸入関税もなくします。 https://t.co/zB58FHcTCR
— 宮本英威(NIKKEI) HidetakeMiyamoto (@PanchoHidetake) May 4, 2022
3️⃣対外貿易
基本的食品24品目のうち21品目と戦略的投入物5品目(トウモロコシ粉、小麦粉、白トウモロコシ、ソルガム、小麦)に輸入関税ゼロに。
4️⃣その他の対策
トウモロコシの戦略的備蓄
適正価格が保証される基本的食品バスケット(24品目)
以下(ツイート画像)の食品、食用油(キャノーラ、コーン)、米、ツナ缶、ブラウンシュガー、ステーキ用牛肉、玉ねぎ、パラぺーニョ(緑色の唐辛子)、ステーキ用豚肉、豆、卵、石鹸、ミニトマト、牛乳、ライム、りんご、オレンジ、食パン、じゃがいも、トイレットペーパー、スープ用パスタ、鶏肉、イワシの缶詰、トルティージャ(タコスなどに使う、とうもろこしを原料とした平たく丸い形をしたもの)、人参、以上24品目。
🇲🇽🇷🇺🇨🇳🇮🇳
— Abel Martinez Pantoj (@AbelmPantoja) May 5, 2022
Productos de la canasta básica. pic.twitter.com/uK7RiZlUcK
これらの食品は、価格が上がることなく一定に保たれるとのこと。
予測される効果
この政府のインフレ抑制計画は短期的に効果はあるが、長期的には逆にさらにインフレを起こす可能性がある、穀物の生産量はすぐに増やせないと言う批判などを見かけます。が、このインフレ抑制計画を支持する商工会議所連合会のメンバーらは、このインフレ抑制計画で、最終消費者は約1週間でその効果を実感することになるだろうと見ているらしいということで、即効性はありそうです。(EVOLUCIONより)
財務大臣が質疑応答に応じている際、「インフレは商品の価格だけではなく、将来の見通しも含まれているのです。」と言い、実際にこのインフレ抑制計画の関税ゼロのニュースの発表でお米の価格が3%下がったと財務大臣は言っていました。
メキシコ銀行の予測
Bank of México predicts inflation will drop to near 3% in mid-2023. https://t.co/wsbsoakvnO pic.twitter.com/DIzOFZuCsS
— Mexico News Daily (@mexicond) April 22, 2022
またロドリゲス総裁は2023年の成長率を1.9〜3%と予想。
こうやってきちんとインフレ抑制計画を出し、主要企業らも一致団結し支持しているところを見せられると、これは安心感に繋がります。発表時にpopoちゃんはそれを感じました。国民のために当たり前のことをやる政府が世界にどれだけいることか。。。メキシコ、やっぱり羨ましい🌟
(メキシコ万歳!)
さて、今回はメキシコ政府が発表した「インフレ抑制計画」をとりあげてみることにしました。食糧危機、エネルギー危機、インフレが迫る昨今、「腕を組んで座っていられない。」「何か対策をしなければ」という大統領。国と民間企業が一致団結し、インフレの影響をモロにうける貧しい人たちを守る決断をしたことに感動しました。👏👏👏
毎度のように、反大統領派はこの計画は上手くいかないと批判していますが、テキサス州のDeer Park石油精製工場の購入もお金の無駄使いだと批判した人たちです。そのDeer Park石油精製工場「買収からわずか100日で、ディアパークはすでに1億9,500万ドルの利益を生んでいる。」だそうです。購入価格の3分の1にあたるとか。。。大統領によるとメキシコの財政状態はとても健全ということ。トップがまともになって汚職をしないだけで、こんなに良くなるなんて!さて、この「インフレ抑制計画」どういう展開になっていくのか楽しみです♪