メキシコ便り(112):ロペス・オブラドール大統領の「エネルギー改革法案」否決に隠された真の改革

 4月10日(日)大統領任期6年の真ん中3年で、このまま大統領を続けて欲しいかどうかを国民に問う投票がありました。これはロペス・オブラドール大統領のアイデア。腐りに腐りロペス・オブラドール大統領をヘイトしている選挙管理委員会は、復活祭のホリデー期間(多くの人が旅行に行っている期間。投票は在住している決まった投票所でしか投票できない。)に選挙日を実施し、通常の3分の1の投票所しか設置せず、2〜3時間かかって投票所に行った国民もいたとか。投票率は20%に満たなかったですが、投票した90%の人は、ロペス・オブラドール大統領にこのまま継続してほしいと投票。投票結果が法的に効力を持つためには40%の投票率が必要。大統領は、投票前から投票率が40%に満たしてなくても、多くの国民が大統領を辞めて欲しいと投票したら、自ら辞任をすると言っていました。相変わらず潔い。✨😎✨

 そんなロペス・オブラドールが昨年10月に国家のエネルギー資源、連邦電力委員会(CFE)と国民を守るための「エネルギー改革法案」を国会に送りました。あれから6ヶ月。4月17日(日)に下院でこの法案の可否の投票がありました。残念ながら通過できず。。。今回はこの「エネルギー改革法案」の投票の結果、翌日の大統領の反応、与党モレナ党の議員ミゲル・トルコ・ガルサ氏が暴露した、現在、メキシコの電力と電力システムを悪用している大企業の例などをまとめてみました。どれほど外国企業、国内大手企業が、メキシコのエネルギー、税金を搾取しているのかがよく分かります。その額に目まいがしそう。😨60人ほどのロビイストらが反対票を投じさせたとか。大統領のリードで、汚職撲滅が進んでいるメキシコですが、今回の「エネルギー改革法案」の投票で、正直「売国奴」の多さにびっくりしました。反大統領派らは、大統領の「敗北」を謳っていますが、大統領は「これはまだ終わったことではない。」「これはまだ始まったばかりだ。」と意味ありげ発言。今回の結果のお蔭で、メキシコ人は次の選挙で「売国奴」議員と「国家、国民を愛する」議員を見極めることが容易になったのではと思いました。不思議なことにこの法案が否決後、大統領の支持率が上がりました。4月19日時点、大統領の支持率71%、22カ国の世界のリーダーの中で支持率2位。(モーニングコンサルト4月10日前までは65%だったそう
 メキシコ、がんばれ〜🇲🇽🌟🇲🇽🌟🇲🇽🌟
(popoちゃん💖)
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メキシコ便り(112):ロペス・オブラドール大統領の「エネルギー改革法案」否決に隠された真の改革

ロペス・オブラドール大統領の「エネルギー改革法案」否決


ア2013年ペニャ・ニエト前政権時代「エネルギー改革法」(民営化促進の法案)を成立。この「エネルギー改革法」が承認されるために、議員にたくさんの賄賂がばらまかれたことが今では明らかになっていて、裁判中の政治家もいます。このエネルギー改革法の結果、今、メキシコの発電量の60%は民間資本(外国資本)の手に渡っているらしい。Contralineaより)

ペニャ・ニエト前大統領

ロペス・オブラドール大統領の「エネルギー改革法案」は国営連邦電力委員会(CFE)に市場の半分以上(54%)を保証し、国民の電気料金の値上りをさせず安定させ、甘い汁(政府の補助金)を吸っている民間企業(外国資本も)の特権を取り除くなど、国と国民(人権)を守る法案でしたが、6ヶ月に及ぶ議論の後、4月17日(日)に下院で否決という結果に。。。😭憲法改正には3分の2の票が必要。与党のモレナ党は3分の2には足りず、野党の一部が賛成すれば可決は可能と言われていました。500人の下院議員のうち275人が改革案に賛成、223人が反対、欠席2人。

この日曜日の議会の様子は8万人の人が生中継で見ていたとか。。。大統領は、この下院の議論の最中に「何が起ころうとも、我々はすでに反逆罪から守られている」とツイート(↓)。

機械翻訳+修正:ロペス・オブラドール大統領
火曜日のレポートでも申し上げましたが、何が起ころうとも、
私たちはすでに反逆罪から守られています。明日、改めて説明します。


翌朝の大統領プレス・コンファレンスで大統領はお怒り😤


大統領は翌朝のプレス・コンファレンスで「エネルギー改革法案」に反対した野党議員らに 「彼らは裏切り行為を犯した。メキシコ国民や国家の利益よりも、悪徳外国企業の利益を擁護した。」「野党議員は、金持ちになることと盗むことに専念する外国企業の擁護者だ。」とも言いました。4月21日の朝の大統領プレス・コンファレンスで大統領は「国家の裏切り者」(売国奴)について書かれた刑法を読み挙げました(↓)。売国奴は5年から40年の刑だとか!😱😱😱

大統領プレス・コンファレンスで刑法を読み挙げている大統領


なんとかエネルギーは守られているよう


先の大統領のツイート(反逆罪から守られている)の意味は、主に二つ。まず、既に承認されている電力産業法で、CFEが発電した電力は、民間企業が発電した電力よりも優先的に国営電力網に供給することが守られている。反大統領派はこれを違憲と訴えていましたが、今月初めに最高裁が合憲と判断。二つ目は、「エネルギー改革法案」に含まれていた「リチウムの国有化」を、「エネルギー改革法案」否決の翌日に鉱山法で「リチウムの国有化」を承認。憲法で守られなかったものを、過半数で承認できる法で守ったということ。



大企業の悪用ぶり


SinEmbargo al aireのユーチューブ番組でインタビューを受けたモレナ党のミゲル・トルコ・ガルサ議員によると、メキシコは1992年から企業に自給自足で自社発電できる許可を与えている。2013年のペニャ・ニエト政権の「エネルギー改革法」で、この発電許可をもらっている会社の株(1ドル)を所有していたら、その所有者の会社も自社発電できるとし、政府が出した自社発電の許可239件に対し、239社の企業のはずが、なんと77,000社の企業が自社発電を利用しているそう。これらの企業の電気代はメキシコの中流家庭の電気代よりも安い。

中央:モレナ党のミゲル・トルコ・ガルサ議員
YouTubeより

例えば、大手コンビニ・オクソ(OXXO)は24時間冷蔵庫、冷凍庫など電気を利用していて二ヶ月で400ペソ(約2500円)の電気代。同じ地域にある小さなお店は、二ヶ月で1500ペソ(約9500円)ほど払っている。そしてこれらの企業は全国に跨ぐ支店などに電気を送る場合、CFEの送電網を利用しその送電料もまともに払ってなく、CFEが負担。その額年間4900億ペソ(約3兆円)。これはメキシコ通貨危機(1994年)で銀行家らを救済したプログラムFobaproaをいまだにメキシコは年間5000億ペソ払っているが、その額とほぼ同じ額。大統領の「エネルギー改革法案」が承認されていたら、この額は払わなくてよくなるはずだったとのこと。 4月22日のナチョさん動画では、電力産業法で今後、これは違法になったとのこと。大統領は、これらの企業(ほとんどは外国企業)は政府と真剣に話し合うことを呼びかけています。


大統領は見通していた?!隠された真の改革!


今回この「エネルギー改革法案」の一連の流れを見て、SinEmbargo al aireのアレハンドロ・パエス・バレラさん(上の画像の右端のお方)はおもしろい見解を示していました。ロペス・オブラドール大統領は、最初からこうなることを見通し、この「エネルギー改革法案」で「売国奴」を暴露させるためだったのではと。。。これで今回はっきりと誰が「売国奴」かが分かり、これは次の選挙で痛い目に遭うだろうとのこと。

議員の名前の前に赤丸がついているのが、
ロペス・オブラドール大統領の「エネルギー改革法案」に反対に投票した議員

確かに今回の「エネルギー改革法案」否決で、憲法(3分の2の投票で可決)で保証されることはできませんでしたが、大事な物はすべてそれぞれの法(過半数の投票で可決)ですぐに可決し守られたようなので、とりあえずメキシコのエネルギー搾取には歯止めがかかり、その過程で誰が売国奴なのかはっきりとわかったのは事実。なので、確かに大統領らしい作戦であったかも!ロペス・オブラドール大統領は、どんなことがあってもいつも「余裕」があるので、安心感を与えてくれます。今後の展開が楽しみ♪

!Viva Mexico!
(メキシコ万歳!)

(popoちゃん💖)

Writer

popoちゃん

メキシコ人夫とメキシコ在住中♪
新アムロ政権の勢いある改革ぶりを中心に
「今のメキシコ」をお届けいたします!

体癖5・9、ピッタ・カファ、エニアグラム1


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