まみむのメモ(57)〈食べられる野草図鑑〉(番外編)竹・笹

 昨年、庭の黒竹が一斉に花を咲かせました。60〜120年に一度咲くといわれる竹の花です。 一生に一度見られるかどうかです。花が咲くと一旦枯れ、再生までに何年もかかることがあることや、竹の実を食べた野ねずみが増えて農作物被害が出たことがあり、不吉とされるようになったそうですが、エネルギーを使い切って花を咲かせる竹を祝ってあげたいです。

 竹について調べていると、古くから日本に自生しているとされるマダケ、ハチクなどの花が咲いても根は枯れないで残る種類もあるようで、現に庭の黒竹は全部は枯れないで残っていて、少ないのですが今年も新しい竹が生え、種から生えたと思われる細い竹も出ています。
 また、エグミが強いタケノコはマダケのタケノコのようです。エグミの原因物質はシュウ酸で、尿路結石の原因物質の一つといわれていますが、シュウ酸を含む食品はホウレンソウやタケノコだけではなくて、ココア、コーヒー、緑茶、紅茶やパセリ、レタス、ブロッコリーなどいろいろな食品に含まれており、結石予防にはむしろインスタントラーメン・コンビニ弁当・カップ麺・脂身の多い肉や皮・肉加工食品(ベーコン・ハムなど)・動物性油脂(バター・ラード)・スナック菓子(クッキーなど)・洋菓子(チョコレート・ケーキ・ドーナツなど)の食品を避けるのが有効だそうです。
 ちなみに我が家では、10年近く下茹でをしないで美味しくいただいています。「タケノコの栄養成分は水溶性なので下茹でしないほうが良い」とたしか村上光太郎先生のお話だったと思いますが、読んだことがあります。(掘ってすぐが良いとされますが、1週間以上経ってもエグミは出なかった経験もあります。)
 シュウ酸はカルシウムと一緒に食べると、排出しやすいそうで、タケノコをイリコ出しで厚揚げなどと一緒に煮付けると良さそうですよ。
(まみむ)
————————————————————————
まみむのメモ(57)〈食べられる野草図鑑〉(番外編)竹・笹


モウソウチク(孟宗竹)


時期 タケノコは4月頃に地下茎から発芽する。2ヶ月〜半年で最大まで生長する。67年に1度花が咲くとされる。
場所・環境 アジアの温暖湿潤地域に分布する。中国江南地方原産で日本では栽培により北海道函館以南に広く分布する。

タケには草のような特徴もあれば樹木のような特徴もあり、草とも木とも違う生態を持っている。タケは稈(かん:イネ科植物に見られる節と節の間が中空の茎)が木質化し、地下茎からタケノコが直接生える無性生殖の一種で遺伝子が同一のクローンで増えていく。60〜120年に一度竹林全体が一斉に花を咲かせ、有性生殖を行い子孫を残して枯死するものが多い。

日本に生育するタケ亜科(タケ類とササ類)の植物は約130種類、そのうちタケ類は種としては20種ほど、変種なども含めると50種ほどではないかといわれている。
花は、退化した花被、雄しべ3~6、雌しべ1、一度花が咲くと枯れる 。花が咲くときは4月から5月にかけてで、日本におけるモウソウチクの例では、種をまいてから67年後に一斉に開花・枯死した例が2例(1912年→1979年・1930年→1997年)記録されている。

枝から4~8枚、披針形、葉質は薄く葉脈は平行線が明瞭。日本のタケ類の中で最大で、高さ25メートルに達するものもある竹の大きさの割には短い。枝先に8枚ほどまで付き、裏面基部にはわずかに毛がある。春に黄葉して新しい葉に入れ替わる。竹の幹は生長を終えると、木のように太くならずに、枝が毎年枝分かれしながら先へ伸びる。木での年輪の代わりにこの節数を数えるとその竹の年齢を判定できる。年を経ると稈の枝分かれ数が多くなり、葉が増えた結果、稈の頭が下がる。
モウソウチクのタケノコは大型で肉厚で柔らかく、えぐみが少ないため食用に供される。湿潤で粘土質の竹林では良質のタケノコが採れる。種もジャガイモに匹敵する栄養価があるとされ、古来竹米と呼び、米とともに飯、または粥に煮る。その味は淡白。

日本のタケ類がなぜ開花してもあまり実をつけないかは、実は明らかになっていない。考えられるのは、自家不和合性(同じ植物体の花粉を排除する性質)。開花はしても、雄しべと雌しべが、もとは1個体から発育したもののため、減数分裂ができても何らかの原因で花粉管が伸びなかったりするなど、受精が行われないのではないかと考えられている。また、果皮が薄く、種子と区別がつきにくい。


タケ類の実は採取後、一度でも乾燥すると発芽力がなくなってしまう。そのため撒いて発芽させるには採り蒔き(種を保存しないで播くこと)をしないといけない。
そうすれば4~5日で発芽させることができる。

熱帯産のメロカンナ属などでは果皮中にデンプンを蓄えているため厚く、種子との区別が明らかで、直径5~6cm、長さ10cmにあまる巨大なものもある。
地中を水平方向に伸びる横走根茎で、節から根を生じる。地下茎で繁殖する温帯性のタケと熱帯性のバンブーと呼ばれる株立ちで繁殖するタケ類がある。

タケは節ごとに、細胞が分裂して成長する「成長点」と呼ばれる部分があり、例えば1節が1日1㎝伸びれば40節で1日40㎝成長することになり、1日1m以上、1年で10m伸びることもある。さらに地下茎も最大で1年に5メートルから8メートルも伸びた記録がある。
見分けるポイント 日本における最大の竹で、マダケやハチクが太さ15㎝前後に対して、モウソウチクは20㎝前後になる。節に出来る環が1つ(マダケ、ハチクは2つ)。タケノコの出る時期が早く、5月中旬以降に出るマダケやハチクに先んじて、4月頃に出る。竹の皮に黒い斑点模様がある。(マダケにも斑点模様があり、ハチクは赤っぽくて斑点がない)。
なお、マダケとハチクの違いは表皮全体に粉を吹いているように白っぽいのがハチク。

マダケ

間違えやすい毒草 なし
生え方 常緑性の多年生植物。各地で農家の裏や耕作地の周辺などに植栽され、竹林として維持・管理されてきた。
学名 Phyllostachys heterocycla f. pubescens
科名・属名 イネ科・マダケ属
採取方法 タケノコの掘り方のコツは地面に出ている先の葉の向きと同じ方向に鍬(タケノコ唐鍬)を入れ、テコの要領で掘り起こす。

竹の伐採年齢は4年以上のものが強度、収縮率、比重などから良いとされている。また、伐採時期については、夏から初秋にかけての地下茎の成長期に貯蔵栄養分が糖として利用されるため、2月から8月(にっぱちと俗にいう)に伐採すると害虫の影響などで耐久期間が短く長期保存に向かなくなるといわれている。
あく抜き 掘り取ってすぐはエグミが少なく時間が経つとエグミが出て来るとされ、糠(+タカノツメ)を入れた水、又はお米のとぎ汁で茹でて下処理をするのが一般的。ただし水溶性の栄養成分パンテント酸やカリウムなどが減少し、下茹でしないほうが味が濃い。(マダケは苦竹ともいいあくが強く、一般的には流通しないがメンマ作りに使われる。逆にハチクにはあくがないので下茹でしない。)

あくの成分はシュウ酸で尿路結石の原因の一つとされるが、カルシウムと一緒に摂ることで結石を防ぐ。
調理法 煮もの、木の芽(酢味噌)和え、天ぷら、汁の実など。
他の利用方法 マダケに比べ密度や材質の脆さなどがあり表面の緻密さも劣るが、花器、ざる、かご、すだれ、箸の他、鉄製品やプラスチック製品が普及するまでは建築材料、農業資材、漁業資材などとしても用いられてきた。2000年代以降、野球で使用されるバットの原材料としての利用も盛んとなっている。繊維を利用して竹紙も作られている。竹酢液や竹炭としても利用される。

竹全体では生活用具から楽器、おもちゃまで多岐に利用されている。竹小舞、竹垣、調理器具、そうめん流し樋、ししおどし、水鉄砲、尺八、篠笛、能管、上総掘り(かずさぼり:井戸の代表的な工法で割り竹を長くつないだものを使う)、耳掻き、串、行李(こうり:衣類などを入れる)、茶筅、竹箒、熊手、簀(すのこ)、孫の手、草履、杖、うちわ・扇子の骨、和傘の骨、竹細工、白熱球のフィラメント、蓄音機用レコード針。ものさし、竹とんぼ、竹馬、釣竿、竹刀(しない)、和弓と矢、竹炭、竹紙、竹布、バイオ燃料(発酵させるとエタノールが得られる)、竹酢液は除菌、殺菌、消臭、防虫に使用、表皮抽出物から殺菌剤、ハンドソープを製造。

榊(さかき)とともに清浄な植物とされ、地鎮祭や神事に使用、門松、七夕飾り、家紋等々。
効能 モウソウチク表皮の緑色部分に最も多い抗菌成分・・・2.6ジメトキシ、1.4ヘンジキノン、パラベンキノン、タンニン。
消臭成分・・・フェノール、フラボノイド。
抗酸化成分・・・フロフラン型リグナン、ポリフェノール。
その他有効成分・・・クロロフィル、キサントフィル、βカロチン、ビオラキサンチン。

これらの成分により、食中毒のおもな原因物質であるノロウイルスの代替ウイルスのネコカリシウイルス及び鳥インフルエンザウイルス(H5N3)の99%以上の不活化効果を確認(株タケックス・ラボと鳥取大学の共同研究による)。(※不活化とはウィルスの感染力が無力化されて、増殖が出来ない状態のこと)。

タケノコには炭水化物、たんぱく質、チロシン、パンテトン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ビタミンC、ビタミンB2、リン、カルシウム、カリウム、亜鉛、食物繊維(セルロース)、マンガン、葉酸など多様な栄養素が含まれる。

チロシン・・・アミノ酸の一種で、アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質のほか、皮膚や髪の毛の色素になるメラニンの原料になる。体の成長・代謝を促すホルモンや、集中力を高めるホルモンの材料になる。体内でも合成されるが、積極的に摂取することで、やる気や集中力を高めるのに効果的とされる。

パントテン酸・・・水溶性ビタミンの一種。糖質、脂質、たんぱく質などほかの栄養素の代謝とエネルギーの生成に関係していて、不足すると、成長障害や神経の異常、全身の疲れなどの症状が現れることがある。

食物繊維(セルロース)・・・食物繊維には、腸を刺激して便通を促す不溶性食物繊維、腸内細菌のエサとなる水溶性食物繊維があり、便秘改善に役立つ栄養素。たけのこには不溶性、水溶性どちらの食物繊維も含まれている。腸を刺激して排便をスムーズにするほか、水分と一緒に人体にとって不要なものを吸着して排出する。

アスパラギン酸・・・アミノ酸の一種で、即効性の高いエネルギー源として知られており、スポーツ飲料や疲労回復ドリンクなどで良くつかわれている。

グルタミン酸・・・うまみ成分。たんぱく質を構成する酸性アミノ酸の一種であり、神経伝達物質としても機能するなど幅広い働きをする。例えば、アンモニアの排出を促し、疲労回復や認知症の予防に役立つほか、皮膚の保湿力を高める美容効果などが確認されている。

亜鉛・・・必須ミネラルの一種で、たんぱく質の合成や遺伝情報の転写にかかわる。骨、筋肉、内臓といった人体を構成する各種細胞の生成と新陳代謝に関係する重要な栄養素。また、味覚に作用するとされ、不足すると味覚異常を起こすことがある。

カリウム・・・塩分の排出を促す働きがあるので、特に塩分の摂り過ぎが気になる方に役立つ。塩分を摂り過ぎると、体内の塩分濃度を下げるために余分な水分を溜め込み、むくみの原因となってしまうことも。カリウムはむくみ解消に役立つ栄養素。

竹炭は、有害化学物質を吸収する作用があるという。竹酢液は、竹炭を焼くときに出る煙を冷却した、竹のエキスといわれ、殺菌、止痒、消臭、抗酸化性の作用があるという。

利尿には、葉を乾燥して、適量を煮出して、お茶のように飲用、タケ特有の香りが楽しめる。

竹皮は、防腐効果があり、昔は、食べるものを包むのに用いられた。
(ハチクまたはマダケの葉は、竹葉(ちくよう)という生薬で、解熱や利尿の作用がある。葉を酒に漬けて香りを付けた竹葉青というリキュールが中国にある。ハチクまたはマダケの茎の外層を削り取った内層は竹茹(ちくじょ)という解熱、鎮吐の生薬で、タンチク、 ハチクの茎を火で炙って流れた液汁は、竹癧(ちくれき)という生薬である。)
その他 「生物の耐用年数表」によれば平成20年4月1日以後開始する事業年度にかかるモウソウチクの法定耐用年数は20年となった。

葉を食料として利用する動物もおり、ジャイアントパンダはこれを主食としている。

801年(延暦20年)、京都府長岡京市の海印寺、寂照院の開山・道雄上人が唐から持ち帰った、また1228年(安貞2年)に曹洞宗の開祖・道元禅師が宋から持ち帰った、など諸説あるが全国へ広まったのは薩摩藩による琉球王国経由の移入によってと考えられている。

モウソウチクの名は冬に老齢の母がタケノコが食べたいといい、母のために寒中筍を掘り採った三国時代の呉の人物、孟宗にちなむ。

戦後の里山管理の衰退に伴い、放置されていたり逸出していたりして、生育域は拡大する傾向にある。
参照サイト・文献 農林水産省
生活情報しぼりたて
株式会社タケックス・ラボ
知っていますか?【メンマ】は発酵食品!!「塩漬け」「発酵」「乾燥」から生まれる本物の味と食感 【発酵メンマの作り方】
【竹の見分け方】孟宗竹、淡竹、真竹の見分け方
環境めぐり
サントリーウエルネスOnline
イー薬草・ドット・コム
ウィキペディア「」「モウソウチク
関連記事 なし


クマザサ(隈笹・熊笹・供米笹)


時期 ササの葉は冬場、雪に埋もれていても葉の緑を保つ。旧暦の端午の節句頃若葉が出るが全体が緑色で、白い隈取りは葉が越冬する時に葉の縁が枯れてできる。このクマ笹は大変生命力の強い植物で、60~120年間枯れずに地中の成分を吸収し続ける。
場所・環境 日本特産の笹でサハリン州の千島列島や樺太 にも見られる。九州、中国地方、京都府の一部の山地に生える。非常に変異が多く、原名亜種は京都に産するものである。多くの変種が北日本の日本海側を中心に分布する。本邦高原地帯、北海道の山野に群生し、本州では、標高1000~2000mの高山に群生している。
10年に1度ぐらいの割合で花を咲かせ稲穂のような見事な実を付ける。
葉身は長さ20〜25cm、幅4〜5cm。革状紙質で、両面とも無毛。葉鞘は無毛。ふつう葉耳があり、肩毛はざらつき、放射状に開出する。葉舌は低い山形または切形。冬期に葉の縁が白く隈どられる。

小型のものが多くチマキザサでは太さ直径2.5~3mm、長さ6~7mmで100立方cmの重量は73g、数は3000粒。

クマザサの実は少し特殊で休眠期間が半年からそれ以上もあるため、その年に撒いても翌年の4月にならないと発芽してこない。

一説によると、多くのクマやネズミ、小鳥が集まって笹の実を食べているのを人々が発見し、一口食べてみて、笹の実が米や麦と同じように食べられることに気づくと、鳥獣を追い払って実を取り、粉にして、そのまま煮て食料にしたそう。そして神様にお供えする笹→供米笹(クマイザサ)という名がついたと言われている。(葉に白い隈取りがあることが漢字で「隈笹」と書かれる名前の由来。)
横走根茎。
見分けるポイント 林床に密生することが多く、越冬する時に縁が枯れて白く隈取りになる。またタケとササの違いは稈が成長するとともにそれを包む葉鞘(竹皮)が早く落ちるものをタケ、枯れるまで残るものをササという。
間違えやすい毒草 なし
生え方 常緑竹
学名 Sasa veitchii
科名・属名 イネ科・ササ属
採取方法 新鮮で青々した柔らかい部分を採取。
あく抜き なし
調理法 クマザサ茶は、適量を沸騰したらクマザサを入れて10~40分、弱火でトロトロと煮詰める。沸騰する100度以上になると有効成分が破壊されてしまう。

青汁は、新鮮で新しい新芽の柔らかい芽を採取して、1回量として20~30グラムをミキサーにかけて青汁にして飲む。

笹の葉には優れた抗菌作用・防腐作用があるため、昔から笹寿司(石川・富山および長野・新潟)、笹だんご、笹あめ、ちまき、日本料理に使われている。旧飛騨国(現岐阜県北部)では隈笹の実が野麦(のむぎ)と呼ばれ、野麦峠という地名もある。凶作の年にはその実を食べて飢えをしのいだという。

笹の実は乾燥すると非常に硬くなるため、お米を炊くようにして食べることはできない。
①精白する前に数時間水に浸して軟らかくする。
(水で軟らかくしないと硬すぎて臼で精白しようにも、すべって果皮が取れない場合がある)。
②臼で精白。
③煮て食べる。または粉にして団子にする。
他の利用方法 庭園や公園に栽培されることもある。
効能 安息香酸(アンソッコウ酸)、フラボノイド(ポリフェノールの一つ)、トリシン、葉緑素や多糖類のバンフォリン、たんぱく質、各種ビタミンやミネラル類、カルシウム、リグニンなどが含まれている。特にビタミンは、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンB₁、ビタミンB₂などが豊富。

安息香酸・・・殺菌・解毒作用があり、胃のピロリ菌や黄色ブドウ球菌などの細菌の発生や増殖を抑制する。 胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃炎などの症状の改善効果が期待できる。

葉緑素・・・クマ笹が持つ葉緑素は、人間の血液の血色素であるヘム(ヘモグロビンの一部)と、その化学構造式がほとんど同じ。葉緑素も、血液のヘムも、その基本構造はポルフィリン環といって、真ん中に穴の開いたような構造をしている。ポルフィリン環の中心にマグネシウムが入ったものが葉緑素であり、鉄イオンが入ったものが人間の血液のヘム。厳しい環境の山に群生するクマ笹には、この葉緑素が非常に多く含まれている。貧血の予防や改善に効果があり、疲労・食欲不振を改善し、胃炎を抑制する。体内だけでなく肌表面でも抗菌作用を発揮し、ニキビなどの肌の不調を招くアクネ菌を抑える効果がある。重度の皮膚潰瘍ラットに対して、クマザサ抽出物を投与すると、皮膚細胞の急速な壊死を抑制し、治癒速度が上昇した。この結果より、クマザサには皮膚に対する保護作用を示すことが示唆された。また口臭予防にも作用する。

笹多糖体・・・構造単糖としてキシロース、アラビノース等のペントース(五炭糖)、ガラクトース、グルコース等のヘキソース(六炭糖)をもち、特にヘキソースにくらべ、ペントースが数倍多いことを特長とし、三重らせん構造を有している。
多糖体には免疫賦活作用があり、ガンの予防、治療にもちいられる。1960年代に入り、ガンの免疫療法の基礎研究がさかんに行われるようになり、植物由来多糖体の抗腫瘍性に関して、相次いで報告された。そのうち、笹、菌類(サルノコシカケ、シイタケなど)、地衣類、酵母、細菌などの多糖体が、生体自身の免疫活性を上げることによって、抗腫瘍性を発揮することが、発表されている。
病原体ウィルス(狂犬病ウィルス) に対して1.2%の濃度で狂犬病ウィルスの発育を阻害。このことより抗菌作用を有することが示唆され、これはクマザサに含まれる多糖類の、バンフォリンによるものと考えられている。

リグニン・・・食物繊維であるリグニンや葉緑素がコレステロール値を安定させ、血管を活性化させるため血流が良くなり血圧が下がる。細胞を活性化することにより血圧を安定させ、血圧の上昇をコントロールする効果がある。

フラボノイド・・・若葉の時に一番多く含まれているとされる。クマザサの食物繊維やフラボノイドにはコレステロールを吸着する働きがある。強い抗酸化作用を持ち、DNAを酸化ストレスから守り、免疫力を向上させ病気の発症を予防したり、血中の脂質の状態を正常に保ち、コレステロール値の上昇を抑える効果が知られている。そのため、血栓をつくりにくくし、動脈硬化予防効果、強心作用もある。

トリシン・・・ヒトの細胞(HRC) に対して、クマザサ抽出物またはクマザサ機能性成分「トリシン」を添加すると、病原菌(ヒトサイトメガロウィルス:HCMV) の発育を抑制し、細胞傷害毒性も抑制される結果が得られた。この結果により、クマザサおよび機能性成分「トリシン」には抗菌作用があることが示唆された。

ビタミンK・・・ビタミンKが多く含まれていることから、歯周病予防、口内炎予防、口臭予防に良いともいわれている。抗菌作用、抗炎症作用、免疫力を高めて雑菌の増殖を抑制するとされている。
ビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランス良く含まれており、漢方では万病に効く薬草として扱われている。

葉を薬用にするときは収穫はいつでもよく、採集したら細かく刻んで天日干しする。一般に見られるチマキザサなども同様に薬用にできる。 クマザサの粉末は、非常に消化吸収が悪いので注意が必要。ただし、棒状に伸びた新芽を抜き取って、下側の柔らかい部分は生で食べることができる。民間療法で、1回20グラムほどの新鮮な葉をミキサーで砕いて、青汁を作って1日2回服用する用法も知られている。胃腸の熱を冷ます薬草効果があるため、胃腸の冷えやすい人や妊婦には使用禁忌だと言われている。

古くから民間薬として「クマササ(隈笹・熊笹)」と称する生薬が売られており、火傷、かみ傷、吐血、喀血、下血などの治療や血尿剤として用いられた。また熊笹の用法、効能として、「口が臭いとき葉を煎じて飲む。血の道には紅花と一緒に煎じて飲む。タムシにはナンテンの葉とともに煎じて、たびたび洗う」などが記録されている。
その他 クマ笹と動物の関係も深く、特に野生のほ乳動物はこれを主食にし、冬の食料として越冬能力をつけ、繁殖力を旺盛にしているといわれる。熊は、冬になると冬眠するが、その前に沢山のササを食べ、冬眠に備える。エサとしては高カロリーのものを好んで食べるが、このときクマ笹もたくさん食べるといわれる。これは、冬眠中は一度も排便を行わないため、腸や血液が老廃物で汚れるのを、クマ笹で解毒し、防ぐためだといわれている。そのほか猫がクマ笹を噛んでからだの変調を治すといわれている。このように、笹は動物においても、生命をささえる重要な植物である。
参照サイト・文献 笹JAPON
一般財団法人 蓼科笹類植物園
わかさの秘密
イー薬草・ドット・コム
ウィキペディア
松江の花図鑑
関連記事 [第15回] 地球の鼓動・野草便り 便利でありがたいクマザサ(チマキザサ)




Writer

まみむ

以前「地球の鼓動・野草便り」を書かせていただき、現在「食べられる野草図鑑」連載中です。
まぁは、普通のことを普通に話しているだけなのですが、普通かどうかは基準が人それぞれですね。この頃、特に関心があるのは、これからの地球の自然と人間の関わり方。
みぃは、時々神様のお話や植物たちのお話をしてくれます。とにかくこれから良くなっていくことを信じて、ガヤトリー・マントラを日々唱えています。
むぅは、以前から知っていたのですが、最近やっと会いました。あまりおしゃべりではないけど、とってもピュアな感じ。神の存在に対する認識がこの頃できてきて、自分の良心にしたがって生きることの大切さを感じています。


Comments are closed.