[第15回] 地球の鼓動・野草便り
便利でありがたいクマザサ(チマキザサ)


便利でありがたいクマザサ(チマキザサ)

クマザサ(チマキザサ)の新芽が出て、大きな若々しい葉になってきました。

クマザサ(チマキザサ)


クマザサ(チマキザサ)を使う福島県地方の郷土料理のチマキを教えていただきました。このチマキはもち米を一晩浸しておいたお米をそのまま、笹に包んで水を入れた鍋で煮ます。笹のエキスが染み込んで美味しく、健康的です。醤油やきなこを付けていただきます。

昔母たちは囲炉裏で笹の葉の上に豆腐(約2㎝厚)をのせて焼き豆腐を作っていたそうです。
おむすびを包むのには竹の皮がよく使われますが、笹で包んでも綺麗で、防腐効果もあります。
子供の頃、笹で団子を包んで蒸した笹団子が大好物でした。
夏はご飯を炊くときに笹の葉を入れて炊くと、美味しくてもちがいいですね。

クマザサ(チマキザサ)は糖尿病、高血圧、便秘、胃炎、抗ガン作用など殺菌作用の他にも薬効が高く、若葉の青汁、煎じてお茶にと身近なありがたい存在です。イネ科で栄養価も高く、笹類でしたらどれも同じような効果があるそうです。
たけのこの皮は干しておいて、手作り味噌の蓋に使います。他にも笹や青木の葉も使います。
東北では、青木の葉を味噌の上に敷きつめ、黒く味噌が沁みたのを、食べるそうです。

チマキに使う紐も自然の草や蔓を使います。クサイ、イグサの仲間で時折見かけます。いらなくなった畳のイグサを抜いて使うこともあるそうです。この他に強くて切れにくいのは、ヘクソカズラです。稲のわらしべも使えます。やや弱いのですがカキドオシも使います。

クサイ(い草)




  1. 前日にもち米を水に浸しておく
  2. クマザサ(チマキザサ)とクサイ(い草)を準備
  3. 笹2枚セットで1枚を三角にポケットを作り、米を入れる
  4. 2枚目の笹で蓋をするように包んで三角にする
  5. クサイ(い草)で結ぶ
  6. 鍋に水を入れて中火で40~60分煮る(玄米)
  7. 蒸しても美味しそうです。残った煮汁は飲むかスープなどに。




昔は田んぼの稲を干す時に立てるハデを組むのに藤蔓などをロープにしていたそうです。
ヤマブドウやアケビ、アオツヅラフジ、ツルウメモドキ、などいろいろな蔓があり、カゴやリースを作るだけでなく、山で薪をまとめて結んだり、紐の代わりになります。

ただし、蔓で一番気をつけなければならないのは、ツタウルシです。

ツタウルシ


普通のウルシより強烈にかぶれます。わたしは3度かぶれたことがあります。1度目は知らずにツタウルシの鮮やかに紅葉した落ち葉を拾って帰り、画用紙に貼り付けたのです。次の日、顔や手、ほぼ全身にひどい湿疹が出て、治るまで1週間近くかかったでしょうか?

2度目は、1メートルくらい離れて、このツタウルシひどいのよね~といいながら棒でつついたのです。
30分後くらいだったでしょうか、車を運転していると急に右手がかゆくなりました。しまった!と思い、すぐに川の水で手を洗い、なんとか無事に治まりました。

3度目は、薪にと拾って帰った枯れ木に、短い枯れた蔓が巻きついていました。何の蔓かなぁ~と思いましたが、次の日顔や手に湿疹がでて、ツタウルシの蔓だったのがわかりました・・・。

ウルシかぶれに効果があるとされる野草はスギナです。汁をすりこみます。栗のイガや木の皮や葉を煮出しても良いようです。栗の生葉の汁を直接すりこんでもいいようです。

クリの葉


同じようにタンニンの多い柿の葉も使います。
キンミズヒキの全草も煎じて湿布や塗布すると良いようです。このキンミズヒキの煎じ液は飲むと、血小板増加作用で喀血、血便、子宮出血などの止血剤に、また、抗菌、消炎、鎮痛、健胃、下痢止としても効果があるようです。歯茎の出血、口内炎、のどの腫れなどは、うがいをします。浴湯剤として、疲労回復、筋肉痛などに使います。皮膚炎、にきびなどにも塗布や湿布します。

キンミズヒキ


また、エキスががん細胞を死滅させ、正常な細胞には影響しないということが確認されたとか。キンミズヒキは山道や家の周りでも見かけます。ミズヒキとは違う科目で見た目も違い、黄色い花を咲かせます。丸い米粒大の種が、服にくっつきます。見た目もかわいいので、もし服に種がくっついてきたら、植えておくといいですね。若葉を天ぷらなどにもできます。

蔓の毒草もありますよ。ボタンヅル、ハンショウヅル、センニンソウなどです。これらはかぶれませんがセンニンソウなどは汁がつくと赤くなり水疱ができることがあるようです。

ボタンヅル


時々他の草に紛れて巻きついています。野草はよく見て丁寧に摘む必要がありますね。3枚の葉っぱで蔓でという植物に、お気をつけください。ただしクズなども葉が3枚で蔓ですので、例外もあります。

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自然賛歌

グミ(赤い宝石)

クワの実(三年目の初生り)

ユキノシタの花

ヘビイチゴの葉にクモの糸

ハナアブ


アザミの花は虫の刺激で花粉を出す

オタマジャクシとアメンボ

モリアオガエルの手には水かきが
ない





■ 参考文献
イー薬草・ドット・コム
「大地の薬箱 食べる薬草事典」 村上光太郎/著 農文協
「カラダ改善研究所 自然のチカラいただきます」中村臣市郎/監修 西日本新聞社


ライター

ニャンニャン母さんプロフィール

ニャンニャン母さん

プロフィール:1955年魚座生まれ、広島の県北 中山間地域在住、
体癖はおそらく2ー3種

20代の頃「複合汚染」有吉佐和子/著 を読んで、食の環境悪化を考えた時、野草を食べることを思いつき、食料としての野草研究を始める。
全くの素人ながら、健康住宅の設計事務所に入社し、健康住宅を学ぶ。
残された人生と限られた時間について気付かされ、仕事を辞め、自給自足を目指す。
平成22年頃、古民家を借り、Iターン。野草教室を開催。
「古民家カフェ・むす日」「山のくらしえん・わはは」「クリエイティブ・アロマ」等にて野草教室。

現在、野草好きになった87歳の母と、無関心な33歳の長男と猫3匹と暮らしています。

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