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ぴょんぴょんの「挑発するコソボ（１５）」 ～セルビアのカラー革命は未遂に終わった

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　12月17日はセルビアの臨時議会選挙でした。結果は、ヴチッチ大統領の与党「セルビア進歩党（SNS）」の勝利に終わりました。同日に行われた、首都ベオグラード市議会選挙でも、SNSが勝利しました。
　しかし、野党連合は不正選挙による結果だとして、12月24日夜、暴力的に市議会庁舎に侵入しようと試みました。しかし、ロシアからの情報で市庁舎内に警官隊を待機させていたセルビア政府は、彼らの侵入を阻止することができました。
（ぴょんぴょん）
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ぴょんぴょんの「挑発するコソボ（１５）」 ～セルビアのカラー革命は未遂に終わった

これまでのセルビアとコソボを巡る緊張


感慨深いもので、このシリーズも満1年を迎えたわ。

思い出せば、一番最初は2022年の年末だったね。コソボ・セルビア人が幹線道路を封鎖して、コソボ特殊警察とにらみ合いになってた。

あれは、2022年７月にコソボ政府が「セルビアナンバーの車はコソボで走れなくする」と、言い出したのがきっかけだ。


アルバニア人で占められるコソボ政府は、これまでずっと、コソボ在住のセルビア人を冷遇してきたからね。

コソボのクルティ首相は特殊警察を送り込み、セルビア軍も紛争に備えて待機する。まさに一触即発だった。

アルビン・クルティ首相
Author:Office of the Prime Minister of the Republic of Kosovo[CC BY-SA]

でも、セルビアのヴチッチ大統領がコソボ・セルビア人を説得し、幹線道路の封鎖が解かれたのがギリ大晦日で、無事に年を超せてホッとした。

アレクサンドル・ブチッチ大統領
Wikimedia_Commons[Public Domain]


その後もいろいろあったな。2023年5月3日、セルビアの首都ベオグラードの小学校で、14歳の生徒が父親の拳銃で、8人の生徒と警備員1名を射殺した。明くる5月4日にはベオグラード郊外の村で、20代の男が銃を乱射して8人死亡、13人が負傷した。

なんと、2日続けて銃撃事件？

銃撃事件後、ヴチッチ政権は銃の取り締まりを厳しくしたが、野党は与党の責任として厳しく追求した。

5月26日に、北コソボに集結した、コソボ警察、ROSU（特殊警察部隊）、NATOのコソボ派遣軍KFORもコワかったよ。

あれは、多くの北コソボのセルビア人が、ベオグラードで催された「希望のセルビア集会」に参加するために、バスを連ねて出て行った後のことだった。

留守をねらって、ビックリだよね。

新市長の初登庁を護衛するためだったが、新市長といっても、ぜんぜん選ばれてない市長だから、みんながいる時は危なくて登庁できなかったんだ。

コソボ・セルビア人がボイコットした選挙で誕生した、誰にも支持されてないアルバニア人市長だったからね。

市庁舎のまわりに軍や警察が何日も居座って、市庁舎に入れない市民らは平和的な抗議を続けていたが、ある日、誰かが投げた火炎瓶をきっかけにKFORが発射。2名のコソボ・セルビア人が重傷を負ってしまった。

あの時は、KFOR側にもたくさんケガ人が出たんだよ。

そう言えば9月24日深夜、北コソボのバニシュカ村でも、武装したセルビア人とコソボ警察が銃撃戦になって、コソボ警察のアルバニア人1名と、セルビア人3名の計4人が亡くなった。


ほんと、いろいろあったね。


ヴチッチの与党「セルビア進歩党（SNS）」が不正選挙？


銃撃事件があるごとに与党の責任が追求され、ヴチッチの辞任を求める声が強くなった。11月1日、ヴチッチは4年の任期を残して議会を解散し、12月17日に臨時議会選挙となった。

そう言えば、その選挙はどうだったの？

臨時議会選挙の結果は、ヴチッチの与党「セルビア進歩党（SNS）」が得票率46.75％で、親欧米の野党連合「暴力に反対するセルビア」の得票率23.52％を上回り、勝利した。（Radio Free Europe）

それは、良かった。

さらに、同日に行われたベオグラード市議会議員選挙でも、与党SNSの得票率39.3％で、「暴力に反対するセルビア」の34.3％を上回り、勝利した。（Radio Free Europe）

市議選は、かなりの僅差だったんだね。

そうなんだ。それで、野党連合は「不正選挙じゃないか？選挙結果を取り消せ」と言い出した。

たかだか市議選でしょ？ そんなに騒ぐほどのこと？

ベオグラードは、バルカン半島の人口のおよそ4分の1が住む大都市だ。市議選で当選した議員が選ぶ「ベオグラード市長」は、セルビアで最も重要な役職のひとつだ。（X）

東京都知事みたいなポストなのかな。

市議選の結果では両党とも過半数を確保できなかったが、今の結果では、野党連合の「ベオグラード市長」を誕生させることはムリだ。

だから、結果を取り消して、再選挙に持ち込みたいんだね。でも、ほんとに不正があったんだろうか？

OSCE（欧州安全保障協力機構）の監視団は、「ヴチッチ大統領の関与が支配的で、与党の優位性が不公正な状況を作り出した」「早期選挙の頻発による国民の信頼の低下、厳しい暴言やメディアの偏向、公務員への圧力、公的資源の不正使用があった」「選挙運動や電子メディアに対する監視機関は、違反行為を抑止する上でほとんど効果がなかった」「有権者の移動とともに、海外を含む多数の（死亡した）人物が（有権者）登録簿に残っている疑惑」などを挙げた。（Radio Free Europe）

Wikipedia[Public Domain]

そう言えば、亡くなった人が投票してるの、アメリカの大統領選挙でもあったね。

さらに、セルビアのNPOで、選挙監視と開票作業を担当しているCeSID（自由選挙と民主主義のためのセンター）の監視団も、選挙の不正を指摘している。

ちょっと待って！ CeSIDをサポートする団体のリストを見たらビックリだよ！ わかる範囲だけでも、英国大使館、全米民主主義基金、ロックフェラー兄弟基金、オープン・ソサエティ財団。

なんと、セルビア政府の転覆をよだれたらして待ってる連中じゃねえか！

そんな人たちが不正を指摘しても、信用できないね。

こういった国際監視団の結論について、ヴチッチは「捏造され、仕組まれたもの」と言ったが、まさにそんなとこだろう。ブルナビッチ首相も、監視団の調査結果は真実ではなく、「セルビアを不安定にしようとする試み」と言ってるし。（Radio Free Europe）（Radio Free Europe）

う〜ん、ロックフェラーやソロスのCeSIDならウソもつくだろうけど、OSCEみたいなちゃんとしてそうなところも、ウソをつくことがあるのか？

監視団以外に、野党連合が批判しているのは、与党が隣国ボスニアのセルビア自治領「スルプスカ共和国」から、投票資格のない約4万人をバスで連れてきて、ベオグラード市議会選挙に投票させたというものだ。いくらセルビア人であっても、セルビアの選挙で投票できるのは、セルビアの市民権と居住権も持っている場合に限られるからだ。（Radio Free Europe）


だけど、4万人てバス何台いる？ よく、運べたね。

ありえねえな。ヴチッチは、スルプスカ共和国から運んだのは、500人以下だと言ってるが、こっちが本当だろう。

でも、投票資格がないって？

そんなことない。ヴチッチは言う、彼らは二重国籍法に基づいて、ベオグラードで投票する権利を持っているし、ほぼ全員が何年も前からセルビアの有権者リストに載っていると。（Radio Free Europe）

なあんだ、それなら問題ないじゃん。

ひどいのはEUの選挙監視団で、「私たちは、スルプスカ共和国から有権者を組織的に連行し、有権者を脅迫するケースを目撃した」と言うヤツがいて、選挙の不正があれば、セルビアのEU加盟は遠ざかるだろうと脅してるんだ。（Radio Free Europe）

ヴチッチの言葉が信頼できるなら、明らかにウソをついてるよね。

まあ、どっちがウソをついているかは、セルビア検察庁の捜査におまかせしよう。ただ、12月24日、 選挙管理委員会が有権者リストをチェックしたところ、ベオグラード市議会選挙で、「投票権のない者が投票した」という主張は事実じゃないことが判明した。（Radio Free Europe）

やっぱり。どっかから無資格者を連れてきて投票させたなんて、ウソだったんだね。


事前に準備されていた暴動


となると、お次はどうするか？

力に訴えるしか？

まさにその通り。12月24日の夜、欧米大好き野党連合の「暴力に反対するセルビア」が呼びかけた抗議デモは、「暴力に反対する」どころか、暴力でベオグラード市庁舎に侵入しようとした。

※全文はツイッターをクリックしてご覧ください

こんなにクリスマス・イルミネーションがきれいな、クリスマスイブなのに？

数千人のデモ参加者は、セルビアとEUの旗や横断幕を掲げ、「ヴチッチの与党SNSが選挙を盗んだ」と言いながら、「泥棒！泥棒！」と連呼した。そして、市庁舎前に到着したデモ隊は、警官隊ともみ合いながら、旗竿でドアを壊し、窓ガラスを割って、市庁舎に押し入ろうとした。（Radio Free Europe）

うわあ！

その時！ 市庁舎内で待機していた警官隊が、催涙ガスと唐辛子スプレーを発射して、デモ隊の侵入を止めた。（Radio Free Europe）

警官隊が待機してた？！

デモ参加者の40人近くが逮捕され、8人の警官が負傷したという。（Radio Free Europe）

もしかして、暴動を予測していた？ ってゆうか、「暴力に反対するセルビア」が暴力を使ったのに、誰もツッコまないの？

あっちは、シレッとこう言った。「暴れたのは、政府が送り込んだフーリガンだろ？」（Radio Free Europe）

う〜ん、そういう政府もいるけど、ヴチッチさんのお仲間はしないと思う。

暴動のあった12月24日の深夜、ヴチッチはテレビで演説した。「このデモは、外国から扇動された政府転覆の試みだ」「これは、国家機関の暴力的な乗っ取りを企てたものだ」「すべてが事前に準備されていた、その証拠もある」「だが、国の不安定化には成功しないだろう。」（Radio Free Europe）


「すべてが事前に準備されていた、その証拠もある」？

ヴチッチはこの暴動を「カラー革命」の試みと呼び、ベオグラード市長代理のピッチ氏は、2014年のキエフの武力クーデターを思い起こさせる「マイダン化」と呼んだ。


事前に警告してくれたロシア治安当局


結局、「カラー革命」の企みを教えてくれたのは誰だったの？

ブルナビッチ首相は、「デモ隊が暴動を起こそうとしている」と事前に警告してくれたロシアの治安当局に、感謝の意を表したと言う。（RT）

やっぱり、ロシアだったのか。

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ベオグラード市庁舎を襲撃しようとしたデモ隊は、セルビア政府を転覆させようとする、西側諸国の陰謀の一部であると述べた。西側諸国は、セルビアとロシアの友好関係や、セルビアがコソボの独立を認めないことを理由に、ヴチッチを権力の座から引きずり下ろそうとしていると。（RT）


EUに脅されながらも、ロシア制裁に加わらなかったセルビアに、ロシアは報いてくれたんだな。

ねえねえ、12月30日、野党連合のデモ、まだやってるよ。


あきれたもんだ。「暴力に反対するセルビア」が暴力を振るっても、西側財団がカネで仕掛けたカラー革命がバレても、まだ懲りずにやってるのか。

でも、こんな大々的な集会ができること自体、セルビアにはまだ自由があるってことだね。

はあ～ こうゆうのを見ると、おれたちは今、正しいものを見極める「識別力」が試されてるって思うよな。


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子（ぴょんぴょん先生）

１９５５年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。１９７９年東京女子医大卒業。
１９８５年、大分県別府市に移住。
１９８８年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後２６年半、主に漢方診療に携わった。
２０１４年１１月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖７－３。エニアグラム４番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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