ぴょんぴょんの「たかが虫垂、されど虫垂」 ~腸内細菌の貯蔵庫として重要な役割をもつ虫垂

 DFR様のリクエストで、知っているようで知らない「虫垂」について、調べてみました。
 昔は、「盲腸(虫垂炎)・即・手術」でしたが、虫垂の免疫的な働きが明らかにされてから、手術をためらう人が増えてきました。
 虫垂はどこに、なんのためにあるのか?盲腸とどう違うのか?切るとどうなるのか?切ったらアウトなのか?そこら辺を、掘り下げてみました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「たかが虫垂、されど虫垂」 ~腸内細菌の貯蔵庫として重要な役割をもつ虫垂

腸内細菌に密接に関係している虫垂


これが、DFR氏が紹介してくれたX投稿だ。

※全文はツイッターをクリックしてご覧ください

うわあ〜、めっちゃ長い。

そうゆうと思って、意訳でまとめてやった。

・何をしても慢性疲労が抜けないのは、若い頃に虫垂を取ったから?
虫垂を取ってしまうと、体の回復スイッチを外された状態で生きている。
虫垂は、腸内フローラのバックアップ基地として働いている。
・だから、それを切除したら、体は再起動できない。

大変だ! 再起動できないって?

さらに、スレッドは続く。

虫垂を失うと、腸で感じる力が弱くなる。
腸は身体のデトックスセンター。虫垂はその初期化スイッチ。
*虫垂を取った人ほど慢性疲労・便秘・肌荒れが多い。腸が毒素を処理できず、常にバッテリー切れ。(

虫垂を切ったら、ますますヤバいじゃん。



ちなみに、引用元も意訳でまとめると、

虫垂には、脊髄より多いニューロンがある。
虫垂は、半独立的に機能し、脳と直接コミュニケーションを取っている。
・虫垂は、腸ー脳相関において、重要な役割を果たしている可能性がある。
・激しい下痢などで腸内細菌が一掃されても、虫垂の記憶によって腸内細菌は回復する。

さらに、この引用元の引用元、大阪大学竹田潔教授らの研究「無用の長物と考えられていた虫垂の免疫学的意義を解明」も、意訳でまとめると、

虫垂のリンパ組織には、大腸向けのIgAを作る細胞がある。
・IgAは免疫グロブリン(抗体)の一種。
・IgAは、腸内細菌叢の維持に関与する。
・潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は、虫垂切除と関係があるかもしれない。

つまり、虫垂は腸内細菌にめっちゃ関係してるんだね。


盲腸と虫垂の関係


そーゆーこと。じゃ、ここから、解剖学のお勉強になる。よく、虫垂炎のことを「盲腸炎」と言うが、盲腸と虫垂はどういう関係だ?

ええっと〜?

じゃあ、小腸(回腸)から大腸(盲腸)の移行部、「回盲部」はどうなっているか?

小腸がいつのまにか、大腸に移っている?

それじゃ、うんこが大腸から小腸に逆流するだろ。

それはイヤだ。

そのために、回腸・盲腸の間には「回盲弁」という逆流を防ぐ弁があるんだよ。

へえ、よくできてるねえ。

「回盲弁」から先は大腸になるが、「回盲弁」を越えると直ぐ、下に向かう行き止まりがある。これが「盲腸」だ。「盲腸」の「盲」は「行き止まり」という意味。そして、この「盲腸」の先っぽについている、イモムシのような袋が「虫垂」だ。

なるほど、盲腸についているのが虫垂。しかも、虫垂って袋だったんだ。でも、もうちょっと、わかりやすいイメージが欲しいね。

じゃあ、この動画を見てみよう。

【回盲部】小腸から大腸への移行部!

0:36〜0:51 「小腸がこういう風に続いて行って、そしてここの部分で大腸に合流している。大腸は上行結腸として上がって行くんですね。で、この部分を回盲部という風に言います。」

たしかに、回腸と結腸の合流部分から下は、行き止まりになっている。

そこが「盲腸」。そして、その先についてるのが虫垂。

YouTube 1:11〜
「盲腸の下に垂れ下がっているこれ、を虫垂と言う。」

ホント、イモムシみたいで、かわいいね。

こんなかわいいヤツも、炎症を起こしたら、救急車を呼ぶほどの痛みになる。


想像できないね。

動画によると、虫垂はもともと盲腸の憩室で、それが退縮して虫状の管になったそうだ。

てことは、虫垂炎は憩室炎なんだ。


盲腸や虫垂の役割


ところで、小腸から送られた下痢状のうんこは、盲腸の行き止まりに入り、そこから蠕動運動によって、上行結腸から横行結腸、下行結腸、直腸まで運ばれる間に、水分が吸収されて、肛門から出される頃には固形便になっている。

で、その間、盲腸や虫垂は何をしてるの?

草食動物なら、盲腸はセルロースを消化できるように、溜めて発酵させる場所だ。

でも、ぼくたちはセルロースを消化しないよ。やっぱ、盲腸なんかいらないし、オマケの虫垂もいらなくない?

・・と、これまでの人間は考えてきた。だが、粘膜免疫を忘れていた。

でもね、粘膜免疫の代表選手、扁桃ならわかるよ。鼻と口から入るバイキンをチェックするからね。でも、虫垂は外界と接触していないのに、粘膜免疫なんて、いるの?

う〜ん、なかなか、スルドイ質問だ。

まさか、肛門から侵入するバイキンをチェックする必要なんて、ないよね?

ないない。こういう時は、ウィキペディアに助けを求めよう。

とりわけ虫垂は大腸の免疫防御の司令塔を果たしており、必要に応じて虫垂の中に多く存在する免疫担当細胞が大腸全体へ広がって防御活動を行う事が判明している。
Wikipedia

入口チェックじゃなくて、大腸全体のチェックをしているのか。


つまり、腸内細菌のチェックだな。そして、もういっちょ、虫垂が袋だというのを思い出してくれ。袋の中には何が入っている? 非常時の備蓄が入っているんだよ。

へえ? 水とか乾パンとか?

腸内細菌の予備だよ。最初のX投稿にも書かれている。

虫垂はいらない臓器と教えられてきたけど、今は腸内フローラのバックアップ基地としての役割が分かっている。体が病気で腸内の菌がリセットされても、虫垂が元データを残して再構築してくれる。でも、それを切除してしまえば体は再起動できない。

なるほど、ようやく飲み込めてきた。再起動できないって、そういう意味だったんだ。


虫垂炎の原因とは?


なのに、虫垂炎の治療に抗生物質を使ったら、どうなる?

バックアップは台無しになる。

さらに、虫垂を切除したら?

もう、元の腸内細菌のデータが失われる。とんでもない話だね。

なのに今なお、医師は、虫垂炎に抗生物質を使う。なぜか? 虫垂炎の原因を細菌感染と考えるからだ。だが、細菌感染は結果にすぎない。

じゃあ、虫垂炎の原因て、なに?

実は、日本では、西洋医学が入る以前から、虫垂炎は治療されていた。江戸時代の漢方書には、虫垂炎を治す処方がいくつも紹介されている。明治か大正時代、有名政治家の虫垂炎を、ある名医が、漢方のみで治療した話を読んだことがある。


すご〜い!漢方薬で治るんだ?

漢方では、虫垂炎に「駆瘀血剤(くおけつざい)」を使う。古血を排出させて、血流を良くするためだ。

ということは、虫垂炎は古血?

ああ、その証拠に、ほとんどの虫垂炎患者には便秘がある。便秘は古血とも関係している。

虫垂炎と便秘は関係があります。便秘になると腸内に便が長くとどまり、どんどん便が硬くなり量も少なくなります。それにより「糞石:ふんせき」という便が化石化したものが作られ、その糞石が虫垂の入り口をふさいでしまうことがあるのです。本来、虫垂に便が出たり入ったりして腸内細菌を運んでいるわけですが、虫垂から出られなくなった古い便が炎症を起こす原因となります。実際に急性虫垂炎を起こした人の中には「糞石」が多く見られます。(中略)...軽い虫垂炎を繰り返して、その度に抗生剤を使っていると再発するリスクが高くなります。糞石が詰まってしまったままの状態だからです。

抗生物質では、根本原因を治療できていない。さらに、抗生物質でますます便秘になる。だから、再発しやすくなるんだ。

最初から、漢方を選択するべきだね。

いや、漢方が使えるのは虫垂炎の初期だけ。病状が進んで、虫垂破裂で腹膜炎まで行くと、悠長に漢方薬を煎じてるバヤイじゃない。直ちに切開して膿を取り除いて、腹膜を洗わねばならん。

手術をしたら、二度と虫垂炎になることはないけど。

だが、後々が心配だ。医師にもヘタなのがいるからな。手術による癒着の後遺症もある。さらに、これまで話したように、虫垂がないために、腸内細菌のバランスが乱れ、免疫が低下するかもしれない。しかも、便秘や糞石や古血を抱えたままでいると、いずれ、虫垂炎より、もっと深刻な病気になるだろう。

取ってしまえば安心だと思ったら、そうは問屋が下ろさないね。でも、切ってしまった人はどうすればいいの?

切ったとしても、腸内バランスを整えるための食生活や、薬物療法などでフォローする事も可能。Stone Washer’s Journal
虫垂がなくても体は常に再構築を続けている。それが「恒常性=ホメオスタシス」。意識が変われば、身体は再設計さる。(
・もしあなたが虫垂をすでに持っていない場合でも、希望はあります。キムチやケフィアなどの発酵食品を取り入れたり、高品質のプロバイオティクスを摂取したり、コラーゲン、亜鉛、ボーンブロスなどの栄養素を摂ることで、腸の内壁を修復し保護することで、腸-脳のコミュニケーションシステムをサポートできます。

発酵食品で、腸内細菌を再生するんだね!



虫垂炎手術で入院した「たろさん」の体験談


最後は、虫垂炎手術で入院した「たろさん」の、明るい体験談で笑ってくれ。

朝食は当然抜きで、TV見ながら昼の手術迄待ってればいいかなと思って過ごしていたら、
看護士さんが「たろさん下の毛を処理します」ってお呼び出しがありました。盲腸と下の毛って関係あるのか?と思いながら、お姉さんに剃ってもらえるのかなぁと処置室に行くと野郎でした。(´・ω・`) 
看護士(野郎)「じゃあたろさん剃りますね」
「はいどうぞ(一思いにやってくれ)」(中略)
看護士(野郎)「じゃあチェックしてもらいますね」と言って、看護士(野郎)退出。
え?チェックって何だと思いながら、下半身晒して待つこと5分。
看護士(女性)登場!えーこのタイミングかよと思いながらも、下半身をチェックしてもらいました。案外冷静な自分がいて困りました。(苦笑)少し露出狂の気持ちが分かりました。(・_・;)(お金らいふ

ブッ!

そして、いざ手術。

女医者「じゃあ麻酔します」とマスクを被せられて1・2・3で眠りに落ちました。
麻酔ってすごいですよ!あれヤバイです。ホント一瞬瞬殺です!(中略)...腹腔鏡手術って言うんですか?小さい穴を3箇所空けてやる手術だったんですが、終わった後も痛みもなく快適でした。ある場所以外はね・・・(中略)...痛みがひどくなってきました。切った部分ではなく、陰部です。カテーテル入れるというのは聞いていたのですが、もう痛いのなんのって。野郎なら2度としたくない痛みです。痛みで笑ってくるんです。_| ̄|○(お金らいふ

クックッ・・笑っちゃかわいそうだけど、できることなら、手術は避けたいね。



Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)


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