ぴょんぴょんの「黄金の盾」 ~新疆ウイグルや中国社会の徹底監視は、IBMなど大手テック企業に支えられている

 以前に書いた、「元DARPA局長の告発」の参考記事によると、グーグルの元CEOエリック・シュミットは、中国に監視社会の形成に一役買っただけでなく「中国系ムスリムを拷問死させた、デジタル『職業訓練』プログラムの創設に同意した」とのことでした。中国系ムスリム、つまりウイグル人を拘束する収容所で、エリック・シュミットが提供した技術が使われているのか? それは、まだ突き止めていませんが、調べていると、実に多くの中国国外の企業が、中国監視システムのために技術提供してきたことがわかりました。その中には、日本の企業もいました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「黄金の盾」 ~新疆ウイグルや中国社会の徹底監視は、IBMなど大手テック企業に支えられている

AIを使って拘束すべき人物を特定するシステム「IJOP」


ハアハアゼイゼイ。

どうした?

去年、お米不足で不安だったから、今年はたくさん買ったけど、たくさん買いすぎて、運ぶのが大変だった。

ハイッ!アウト!

なに? いきなり!

食料を大量購入した人物は、「テロの準備をしている可能性あり」だからアウト!

なに、言ってんの?

統合共同作戦プラットフォーム(The Integrated Joint Operations Platform)」、略して「IJOP」に判定させたら、アウトなんだよ。

アイジェイオーピー?

「IJOP」とは、「AIを使って、尋問すべき人物、拘束すべき人物を特定するシステム」で、実際、新疆ウイグル自治区では、日常的に使われている。Wikipedia

新疆ウイグル自治区の位置
Author:TUBS[CC BY-SA]


いや、ここは、日本ですけど?

日本だろうと、アメリカだろうと、いつ新疆ウイグルになるかわからん。今から予行演習しておくのだ。

ハイハイ。で、「IJOP」がどうしたって?

「IJOP」は、住人を36種類の「人物タイプ」に分類する。その中で「危険人物」と認定されるのは、

携帯電話を使わない者
・正面玄関ではなく、裏口を使用する者
・「異常」に電気消費が多い者
「異常」なひげを生やしている者
・人付き合いがほとんどない者
・「複雑な」人間関係をもつ者
・これらの特徴を示す者が家族におり、「忠誠心が不十分」と見なされる者
Wikipedia

ちょっ! なに、これ?

おれなんか、外出時にスマホを家に置いていくから、危険人物よ。

ぼくだって、駐車場に近い裏口から出入りするから、怪しいってこと?

こないだ、大型充電器に充電したら電気代が上がったから、怪しまれる。

なんで、ひげを生やしたら要注意?

それは、イスラム教徒になったと思われるから。モスクで熱心に祈っている所を監視カメラで見られると、イスラム教の信仰が深いと思われて、警戒対象にされる。体調を崩して飲酒をやめても、「イスラム過激主義に傾倒した」と見なされる。


イスラム教はお酒禁止だからね。人付き合いがほとんどない者、となると「引きこもり」も危険人物になるよ。

他にも、国旗掲揚式で態度が悪かったり、警官に対する態度が悪くても「反政府分子」とみなされる。しかも、自分がこれらに該当すると、家族、親族、友人も監視対象にされる。

なんと!! お米を備蓄しただけで、怪しまれて、彼女も両親も監視される?

中国公安部が運営する国民監視システム「黄金の盾」


ああ、新疆ウイグルとはそういう所だ。町の至るところに交番があって、数100万台の監視カメラが、数100メートル間隔で立っている。


ウイグル人は全員、監視されてるんだね。

約10万人の警官が、各家庭を戸別訪問して、氏名・住所・指紋・顔スキャンを集め、そのデータをすべて「黄金の盾(Golden Shield)」にぶち込んで、「AI解析システム」と合体させたのが「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」なんだよ。

「黄金の盾」って?

「黄金の盾」とは、中国公安部が運営する国民監視システムのこと。そこには全中国国民のデータベースと、「中国人口2人あたり1台ある」監視カメラの情報が集まってくる。ここに問い合わせれば、次のことが直ちにわかる。

1. 戸籍情報:氏名、性別、生年月日、民族、写真、家族関係
2 パスポート情報:出入国履歴、ビザ申請記録。
3. 車両登録情報、運転免許情報。
4. 逮捕歴、起訴歴、前科、DNA情報、指紋。
5 指名手配犯。
6. 刑事罰未満の行政処罰や、軽微な違法行為の記録。
7. 重点管理対象:反体制派、請願者、ウイグル族のような特定民族、法輪功学習者
8. 航空機や鉄道の利用記録。
note

スゴーい! 一瞬で丸はだかにされちゃう。

さらに新疆ウイグルでは、スマホやインターネットの監視システムからも、個人情報を収集されている。

スマホの監視って、どうやるの?

あちこちの公安部の検問所で、通行人のスマホを「データドア」「反テロの剣」などと呼ばれる装置に接続させる。すると、中国のLINE「ウィーチャット」の会話内容、メール、音声ファイル、写真や動画などが読み取られる。また、追跡できるようにするために、スマホの識別データを抜き出したり、別の追跡用アプリを密かにインストールしたりする。

うわ〜! そんな機械に、スマホを接続させたくないわ。

だが、言われたとおりにやらないと逮捕される。

じゃあ、スマホ、やめる! 使わない!

ところが、ガラケーを使ってる、または新規でガラケーを購入しただけでも「怪しい」とされる。

ガラケーも使えない!

まだあるぞ。スマホの電源をちょっと切ったり、仮想プライベートネットワーク(VPN)を使ったりすると、当局に自動探知されて「怪しい」となる。さらに、公安部からかかってきた電話に出ないと、「いよいよ怪しい」となる。

もう、何をどう気をつけたらいいか、わかんない〜!


他にも、公安部が重要視しているのは、ウイグル人の国外ネットワークだ。海外に行って帰国した人、あるいは、海外にいる親族や友人とコンタクトした人は危険人物とされ、徹底監視の対象となる。

わかった、国内旅行にする。

国内旅行でも「怪しい」と思われる。

スマホもガラケーも使えない。どこにも行けない。かと言って、じっと家にいても危険視される。どうすりゃいいんだ?

実際に新疆ウイグルでは、多くのウイグル人が「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」によって、テロリストまたはテロリストになる危険人物と判定されて、収容所に送られている。

「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」ってデータベース+AIなんでしょ? それが、危険人物と判定したからって、信用できるの?

実際、「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」で判定をしたら、たくさんのウイグル人に「高リスク」判定が出た。それを見たエンジニアは、ソフトウェアの不具合を必死に修正した。だが、逮捕を執行する警官は、「コンピューターは嘘をつかない」「結果は絶対に正しい」と教えられているから、結局、10万人が収容所に送られた。

ひどい話だ。

亡命ウイグル人によってリークされた、「チャイナ・ケーブルズ」によると、「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」は、新疆南部で、2017年6月の1週間で24,412名の「不審者」を検知し、うち15,683名が「教育訓練」施設に送致され、706名が「刑事拘留」された。

たった1週間で15,000人以上も施設に送られた!?

その施設とはこんな所だ。

・収容施設は、存在が秘密で隠蔽されている。
・脱走は「監視塔、二重施錠の扉、警報装置、全面的な監視カメラ、正面ゲート警備」によって防止される。
・収容施設は、強制的な思想・行動再教育センターである。
・収容期間は最低1年だが、無期限に拘禁される可能性がある。
・被収容者は、食事、雑用、学習、トイレに至るまで、収容所の全てを規定する厳格な規則への順守度と、標準中国語の使用状況に基づいて評価される。
Wikipedia

うわあ、ウワサの通り、厳しい所だね。

「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」の生い立ち


ではここで、この、不信極まりない「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」の生い立ちについて話そう。今から遡ること15年前のこと、同時多発テロでテロ対策が叫ばれた2011年、アメリカのIBMはテロ防止用ソフトウェア「i 2」を買収して、新疆警察、その他の中国警察、国家安全部に販売した。その後、IBM代理店だった上海の「ランドソフト社」が、IBMの「i 2」ライセンスをもらって、「i 2」の名称を「iTap」に変えて、中国公安部のさまざまなアプリと連結した。ランドソフトの「iTap」は新疆警察に引き渡され、AIと合体して生まれたのが「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」だ。

Author:Treesmittenex[CC BY-SA]

IBMは、ウイグル人迫害の共犯者ということか。

じゃあ、「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」の元になった、中国国民のデータベース「黄金の盾」を設計したのは誰か?

さあ?

これもIBMだ。IBMが中国企業・華迪(Huadi)と協力して作った。

IBM?!「黄金の盾」から「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」まで、中国民、少数民族、反体制派を弾圧するシステムを作ったIBM!アメリカ国民が知ったら怒るよ。

このことは、AP通信の記事(2025年9月9日付)で公表されたから、アメリカ国民も知ってるはずだ。

その記事には、どんなことが書いてあるの?

AP通信が、中国の監視企業から流出した電子メールやデータベース、企業・政府の機密文書、マーケティング資料、非営利団体アジア・ソサエティ発行の「チャイナファイル」、公開記録請求、中国・アメリカの技術者、経営幹部、専門家、当局者、行政官、警察官へのインタビューを基にして調査した結果、つまり、中国監視システムの設立に協力した企業の一覧を紹介している。その中にはドイツ、日本、韓国の企業も含まれる。

エッ?! 日本の企業も?

軍事:【IBM】は中国の軍事産業と協力して、「国家情報システム」を設計した(2009年)。このシステムは、中国の秘密警察である国家安全部と中国軍で使用された。

テロ対策:【IBM】の警察向け分析ソフトウェア「i 2」は、 元【IBM】代理店【ランドソフト】によって複製・導入され、新疆ウイグル自治区で、数十万人を潜在的なテロリストとして特定する「統合共同作戦プラットフォーム(IJOP)」の基盤となった。

民族弾圧:【デル】と【デル】の子会社【VMware(ヴイエムウェア)】は、チベット警察や新疆警察にデータを提供する組織などにクラウドソフトウェアを販売した。【デル】は中国の監視企業と提携し、中国警察向けに、「全人種認識機能」を備えたAI搭載ノートパソコンを販売(2019年)。中国警察は、【オラクル】【マイクロソフト】のソフトウェアも使用している。

指紋認証:【IBM】と提携した中国の防衛関連企業【華迪(Huadi)】【HP】【ヴイエムウェア】【インテル】。

AIカメラ:【IBM】【デル】【ヴイエムウェア】【日立】【ソニー】【Nvidia(エヌビディア)】【インテル】。【ソニー】は「中国の刑務所に、インテリジェント・カメラを設置した」「監視プロジェクトにおいて、広く信頼されている」と述べている。

監視技術の研究:【エヌビディア】【IBM】【日立】。
DNA分析:中国警察はDNAデータを保存するために、【デル】と【マイクロソフト】の機器を購入した。【日立】は、中国警察向けの「DNAシーケンサー(自動制御装置)」を宣伝した(2021年)。中国警察はドイツの【エッペンドルフ】のピペットを購入した(2024年)。バイオテクノロジー企業【サーモフィッシャー】は、同社キットが「中国のDNAデータベース向けに製造されており、ウイグル人やチベット人などの少数民族を含む、中国人向けに設計されている」と書いた。

インターネット警察: 中国のインターネット警察は、【ヴイエムウェア】のソフトウェアを使用している。【デル】は、中国のインターネット警察による「デマ流布者の取り締まり」を支援した(2016年)。上海と広州のインターネット警察は、【IBM】の「i 2」を使用している。

暗号化技術:【モトローラ】が中国警察に提供。

AIドライブ:【シーゲート】【ウエスタンデジタル】【東芝】。【東芝】は、中国警察向けの「AI映像システム専用ハードディスク」を販売している。【東芝】は、自社の監視用ハードディスクが、地域社会を監視し、「不審者」「ブラックリスト入り」の個人を「特定・管理」するのに役立つと記している(2022年)。【シーゲート】は、中国警察が重要人物を管理するために使う、AI映像システム向けに特注のハードドライブを販売している(2022年)。【ウェスタンデジタル】は、警察関連の展示会で、中国の監視カメラ企業【ユニビュー(Uniview)】との提携をアピールした(2024年)。

地図作成ソフトウェア:【IBM】【オラクル】【ArcGIS】の開発元【Esri(エズリ)】は、中国の警察地理情報システム(PGIS)を構築するソフトウェアを販売した(2009年)。【HP】は、ウイグル人・チベット人・反体制派が省・村から外へ出る時に、中国警察に警告を発する「デジタルフェンシング」ソリューションを中国警察に販売した(2013年)。

警察装備:北京の街をパトロールする中国警察は、【モトローラ】の無線機を持っている。【サムスン】は、警察のボディカメラ用microSDカードを販売した。ドイツの【フィリップス】は、中国国有企業【京華(Jinghua)】と、中国初の「AI搭載5G」警察用ボディカメラの開発に協力し、中国警察向けのレコーダーやカメラを宣伝した。
AP

日立、東芝、ソニー・・・日立と東芝は原発関係だから黒いのはわかるけど、ソニーは意外だなあ。

Author:Akonnchiroll[CC BY-SA]

中国監視システムに協力する各企業の回答


さて、AP通信は、中国警察の監視システムに協力する各企業に「おめえらのやってることは、まちがってんじゃねえの?」的な質問状を送った。その回答は?

IBM、デル、シスコ、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、シーゲート、インテル、サーモフィッシャー、ウェスタンデジタル
▶「事業展開地域に関連する輸出規制、法律、規制を遵守している。」

ソニー、日立、エッペンドルフ
▶中国における事業関係の詳細については説明を避け、「人権を尊重している」と述べた。

オラクル、HP、VMwareを買収したブロードコム
▶公式のコメントを控えた。

HP、モトローラ、サムスン、東芝、華迪(Huadi)、ランドソフト
▶回答なし。

マイクロソフト
▶「中国警察向けの更新用ソフトウェアを、故意に提供したことはない。」
AP

みんな、自分たちが何をしているのか、まったく自覚してないね。

企業はまったく罪の意識なし。つうか、いずれ、自分の国で実施する時のためのデータを、中国で集めてるんだよ。じゃあ、各国政府機関は、AP通信の質問になんと回答したか。

新疆ウイグル自治区政府
▶監視技術は「テロや犯罪活動を防止・撲滅するため」に利用されており、特定の民族を標的にしているわけではない。欧米諸国も同様の技術を使用していると述べ、アメリカを「真の監視国家」と呼んだ。

他の政府機関
▶コメントに応じなかった。

アメリカは「真の監視国家」かあ。たしかに、中国の監視システムをリードしてきたからね。そして、日本政府は、やっぱノーコメント。

きっと、日本の企業幹部も政府関係者にも、エリック・シュミットみたいなことに巻き込まれてるヤツが、けっこういるんだろう。

中国は、「想像を絶するほどの富、ありとあらゆる相手とのセックス、制御不能な権力など、彼らに望むものをすべてを与え」「彼らと家族に毒を盛り、解毒剤を秘密にしておき、確実に死に至るように、解毒剤をゆっくりと投与するという保険をかけた」。(時事ブログ



Writer

ぴょんぴょんDr.

ぴょんぴょん

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)


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