[The Voice of Russia]アレクサンドル・ルーキン、ロシアの東方転換は国際政治の現実的変化の結果

竹下雅敏氏からの情報です。
 この記事を読むと、ロシアの政治がまともだとわかります。また韓国の朴政権がどうしてあれほど国際社会から叩かれているのかがよくわかります。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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アレクサンドル・ルーキン、ロシアの東方転換は国際政治の現実的変化の結果
転載元より抜粋)
© Photo: RIA Novosti/Sergey Pyatakov

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高等経済学校、国際関係学科のアレクサンドル・ルーキン学科長はMIA「ロシア・セヴォードニャ」のアンドレイ・イヴァノフ記者からのインタビューに対し、ロシアにはなぜアジアに顔を向ける以外の道が残されていないかについて、語った。

―「全世界」出版から先日、あなたの新たな著書『アジアへの転換。世紀の変わり目におけるロシア外交政策と東方路線におけるその活性化』が出されましたが、これはロシアのアジア路線への転換というアイデアがどのようにして生まれたかを説明するものでしょうか?

「これはアイデアではなく、国際政治の現実的な変化の結果なのです。アジアへの方向転換が見られるのはロシアに限りません。たとえば米国やヨーロッパの多くの国々などもそうで、そうした国にとっては中国が最重要貿易相手国になっています。ロシアも世界の潮流にいられないではないのです。

 ですが、ロシアには独自の理由もあります。それは極東開発の必要性で、これをアジア太平洋地域の経済プロセスに現実的に引き入れることなしには立ち行かないのです。

 またウクライナ危機に関連しておきたこと、対露制裁も独自の役割を果たしました。このことが示したのは、ロシアをヨーロッパに組み込む路線は破綻したということでした。破綻したのは、ヨーロッパはそのプロセスにこれだけ大きな国を含めることはできず、しかも独自の立場と国益を抱えた国であればなおさら無理だからなのです。

 ロシアはヨーロッパや西側からますます遠ざかっています。ですからロシアには代替的な経済取引、政治関係を発展させるほか、道は残されていないのです。」


―完全に東に、アジア太平洋地域に方向転換することで、ロシアは米国や中国といった、この地域最大のプレーヤーとどのような関係構築を行なうのでしょうか?

米国との経済取引関係はロシアにとってはいつの時代もたいしたものではありませんでした。ところが全体的な政治事項については米国はいくつかの具体的問題でロシアとの協力により関心をもっています。一例がアフガニスタンです。ですが米国との関係の複雑性を考慮すると、今私たちにとっては米国に、ロシアには代替案があるところを見せ、大体において中国や他のアジア諸国と協力したほうがいいのです。なによりもまず韓国ないしインド、つまり対露制裁を支持しない諸国と協力する価値があります。


―東への動きの中で、つい最近まで私たちが抱いていたような西への期待と同じ幻想や自己欺瞞を犯さないためにはどうしたらいいのでしょうか?

「幻想に負けてはなりません。アジア諸国は独立した政治を行なっています。ですがロシアは共通するものを多く抱えていますし、特に多極的世界といった考えがそうです。

 アジアは、私たちはなんとしても協力しなければ成らないことを理解しています。なぜならロシアは、米国やヨーロッパと一対一に向き合って居残ることを望まない類の国に属しているからです。当然のことながら、ここではある種の調整は必要ですが、私たちは各国と独自の方法で協力する事が可能です。

 ですがここが大事なのですが、アジアへの転換というのは、今まで西側に向いていた顔を今度は東だけに一方的にむけることではないのです。それとは逆で、よりバランスのとれた政治へ移行することなのです。重要なのはイデオロギーを理由にいずれかのサイドと協力を断ってはならないということです。」


―ロシアは、日中関係のような複雑なケースではどう振舞うべきでしょううか?

「原則的にはこれについては本の中で書いているのですが、私たちはアジアの全ての国々と同等の関係をもち、アジアの紛争に首を突っ込まず、いずれかの肩をもつことなく、選択を行なわねばならないような状況には、たとえば日中間、中国―ベトナム間、中印間などの状況には身を置かないようにせねばなりません。こうした国々は皆ロシアのパートナーなのです。当然のことながら、

 例えば今中印間で展開されているような関係改善はロシアには非常に有利であり、ロシアの国益に叶うものです。ですが、逆に、これらの国がロシアにどう接しているかを見なければなりません。

 日本が制裁を支持したということは、日本に対し、ロシアはこれを好まないこと、貿易経済協力発展の面でロシアには代替案があるというところを示さねばなりません。

 たとえば韓国は今、対露制裁のおかげで出現した市場、可能性を獲得しようと活発な動きを見せています。これはつまり、例えば、韓国車をより多く購入できたり、または韓国と合弁で自動車工場を建設することができるということです。ある種の刺激政策は生じてくるはずです。

 もちろん私たちも、日本が制裁を完全に支持しているわけではなく、米国の強い圧力に負けてこれを行なっていることは理解しています。でも見方をかえれば、韓国も日本と同様な米国との連合をくんでおり、安全の面から言えば日本よりはるかに多く米国に依拠しているにもかかわらず、韓国は対露制裁を支持することを断固として拒み、米国の影響に屈していません。これにはいかなる形でか、報酬をあたえていくべきものでしょう。」


―ロシアがアジア太平洋地域で賢いプレーを行なえる見込みはあるでしょうか?

現在、状況自体がロシア経済をアジア太平洋地域の方角へ仕向けているのです。ヨーロッパからの輸入は次第に国内生産に、またアジアからの輸入に取って代わられようとしています。ですから、ロシア人経済エリートらも東へと顔を向けざるを得なくなると私は考えます。そしてこの方向転換が生じれば、ロシアの外交官らもずっと動きがとりやすくなるでしょう。

 これは中国人外交官が中国経済によって立っているのと同じです。だから中国自身は国際組織にも、ましてアジアの組織にも何もたのもうとはしないのです。逆に中国の言うことに皆が耳を傾けてくる。なぜなら中国なしには何一つ事が決まらないからです。

 ロシアもなんとしてもこうした立場を手に入れねばなりません。
ロシアもアジアでこのような経済的な重みを持つことで、政治の上でもロシアなしには深刻な問題は何一つ解決できないようになるでしょう。」


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