[The Voice of Russia]制裁が厳しければ厳しいほど、その反動は大きい

竹下雅敏氏からの情報です。
 記事によると、今のところEUの議題には上がっていないものの、経済制裁の“相互撤廃に関する話し合いが行われる可能性がある”とのことで、“アナリストたちは、その方向に向かっていると指摘している”そうです。
 今のところEU代表は、虚勢を張っているようですが、経済的問題から長くはもたないだろうと予測しています。予想通りの笑える展開です。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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制裁が厳しければ厳しいほど、その反動は大きい
転載元)
© Collage: Voice of Russia

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動機は政治的だが、損失は経済的。ロシア、ベラルーシ、そしてウクライナも損失を被っている。それは月を追うごとに大きくなっている。専門家たちの意見によると、これが米国の目指していることでもある。なぜなら、対ロシア制裁は、特に米国に影響を与えてはいないからだ。しかし欧州のビジネスとウクライナ経済に関しては違う。

現在の試算によると、ウクライナの今年の予算ではすでにおよそ100億ドルの不足が生じているという。欧州は、想定外の「ブラック・スワン」を恐れている。西側の役人たちは、戦略的な影響を引き起こしうるロシアの行動を、想定外の出来事を意味する「ブラック・スワン」と呼んだ。しかもこれはEUの利益にもならない。いま行われているのは、食料品の禁輸措置と、ガスパイプライン「サウスストリーム」の拒否。

この後は、何が起きるのだろうか?仮に制裁合戦が続いたとしたら、事態は悪化するばかりとなるだろう。欧州の政治家やビジネスマンも、このことはよく理解している。そのため西側では、もうこの対立を止めるべきではないかとの意見がよく聞かれるようになった。オーストリアのフィッシャー大統領も声明を表した。大統領によると、EUによる対ロシア追加制裁は、愚かで有害な決定だという。国立大学「高等経済学院」世界経済国際政治学部のイーゴリ・カカヴァリョフ第一副学部長は、このような意見に賛成し、じきに規制の相互撤廃に関する話し合いが行われる可能性があるとの見方を表し、次のように語っている。

「月を追うごとに、また日を追うごとに、制裁の影響が明確に感じられる。なぜなら相互の貿易、ビジネス関係、そしてビジネスにおける協力の額や量が十分に大きいからだ。一方的な制裁は決してありえない。制裁は常に、その対象と、制裁を導入する側の両方に打撃を与える。その例として、米国とキューバの関係を挙げることができる。米国による不倶戴天の敵に対する制裁から数十年後、米国とキューバの関係改善が始まった。 EUとロシアの関係について述べるならば、これは数か月の問題ではないかと思われる。制裁をすぐに解除するのは不可能であり、何らかの期間が必要だ。」


制裁解除は、今のところEUの議題にはあがっていない。しかしアナリストたちは、その方向に向かっていると指摘している。欧州委員会にはほぼ毎日のように、ロシアとの政治的対立によって、どの国が、どれほどの金銭的損失を被っているかについて報告されている。例えばイタリアでは、ロシアとの貿易額の減少によって、昨年は13パーセント、今年は17パーセントの損失になる見込み。これは、数億ユーロではなく、数十億ユーロという規模だ。イタリアの病んでいる経済にとって、このような損失は、単に許しがたいものだ。EUのフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表は、これに対して頭を振るだけで、EUにとって今重要なのは、制裁による政治的結果を得ることであると述べた。経済はまだ考慮されていないらしい。しかし、このような虚勢は長くもつのだろうか?恐らく、もたないだろう。ロシア連邦大統領付属ロシア国民経済国家安全保障学部対外経済活動講座のアレクサンドル・ミハイレンコ教授は、加えてこの背景において、経済が困難な状態にあるウクライナが、友人とされる国々の尻馬に乗ろうとしているのかはまだわからないと指摘し、次のように語っている。

「ロシアとの関係においてウクライナに強い影響を与えているものは何か?ウクライナは、自国で生産された鉄道車両全体の70パーセントをロシアへ輸出していた。今これは、もちろん全て忘れ去られた。『モトール・シーチ』工場の航空機用エンジンも同じだ。鉄金属もロシアへたくさん輸出されていた。その量は膨大だったが、今は輸出がストップしている。」

多くの外国企業も被害を受けた。その中には、米エクソン・モービル、英BP、独シーメンス、ボッシュなどがある。このような企業の損失は、1か月ではなく、今後数年に及ぶ可能性がある。長期契約で練られた戦略も崩れ落ちた。その損失を取り戻すのは困難だ。なぜなら、その場所はすでに、よりプラグマティックな中国人によって占められているからだ。

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