[マスコミに載らない海外記事]ワシントンによって生み出されたヨーロッパ/ロシア危機に関する国際会議でのポール・クレイグ・ロバーツ演説

竹下雅敏氏からの情報です。
 非常に参考になるポール・クレイグ・ロバーツ氏の演説です。氏は世界がハルマゲドンによる破滅から救われる道があるとすれば、“ヨーロッパの政治家たちが、ワシントン覇権から離脱し、ヨーロッパの利益を代表する”ようになることで、ワシントンがあまりにも強引なやり方でロシアとの紛争をヨーロッパに押し付けることで、“ヨーロッパの属国諸国”が反乱を起こすことが一縷の望みであると言っています。
 私は氏と違って楽観的なので、ハルマゲドン(第三次大戦)は絶対に起こらないと考えています。
 ワシントンが野望を捨てなければ、最終的には経済崩壊から来る破綻によって、アメリカもEUも破滅することになると思います。将来にわたって戦争を起こさない良い世界を作ることを約束した国は、金を裏付けにした通貨体制に組み込まれ、被害を最小限に出来るように調整されるだろうと考えています。
“ヨーロッパの属国諸国”がこのままワシントンに従えば、ヨーロッパは火の海になります。“ワシントン覇権から離脱”するしか生き残る術は無い、ということを早く悟って行動に移す必要があるでしょう。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ワシントンによって生み出されたヨーロッパ/ロシア危機に関する国際会議でのポール・クレイグ・ロバーツ演説
転載元より抜粋)
ワシントンが、全世界を思いのままにできると考えられるようになったのは、1991年のソ連崩壊からです。

ソ連崩壊は、ネオコンを権力の座に押し上げ、アメリカ政府に影響力を及ぼす結果になりました。

ワシントンは、世界に対して覇権を押しつける権利と責任を主張しています。ネオコンは自らの計画は、国内法、国際法や、他の国々の利益によって、拘束されるには余りにも重要だと考えています。

ポール・ウォルフォウィッツが、ソ連崩壊後間もなくウォルフォウィッツ・ドクトリンを書きました。このドクトリンが、アメリカの外交・軍事政策の基盤です。

ドクトリンにはこうあります。

我々の第一目標は、旧ソ連地域であれ、他の場所であれ、かつてソ連が引き起こしていた規模の脅威をもたらす新たなライバルの再登場を防ぐことだ。これは新たな地域防衛戦略の根底にある主要な考え方であり、統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々は尽力しなければならない。”

ワシントンの“第一目標”は、平和でも、繁栄でも、人権でも、民主主義でも、正義でもないことにご留意願います。ワシントンの“第一目標”は世界覇権だ。極めて確信をもった連中しか、これほど大胆に自分達の計画を公表しないでしょう。

“かつてソ連がひきおこしていた脅威”というのは、世界のある場所において、一方的なアメリカの行動をソ連が阻止する能力です。ワシントンに対する、いかなる制限も脅威と見なされます。

“敵対的勢力”というのは、BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国や、南アフリカ)等が主張する独自の外交政策を持った国々のことです。イラン、ボリビア、エクアドル、ベネズエラ、アルゼンチン、キューバや北朝鮮も独自の外交政策を主張しています。

これは、ワシントンには許せない、あまりの独立です。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が最近述べた通り“ワシントンはパートナーは求めていない。ワシントンは属国を求めている。”のです。

ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、ワシントンが、ワシントンの意志に従わない政権を潰したり、打倒したりする様、要求します。それが“第一目標”です。

ところが、第43回ミュンヘン安全保障会議で、プーチンはこう述べたのです。“今日の世界では、一極モデルは受け入れられないばかりでなく、不可能だと思います。”

2014年には、ワシントンが中東で、結婚式、葬儀、村の長老、子供達のサッカー試合を爆撃している間に、ロシアがワシントン支配からの独立を実現し、ワシントンの一極支配に対する強大な挑戦者となっていることにワシントンも気がつくようになりました。プーチンは、オバマが計画していた、シリア侵略と、イラン爆撃を阻止したのです。

紛れもないロシアの勃興で、ワシントンは中東からロシアの脆弱性に方向転換しました。

2004年、ワシントンは、オレンジ革命で、ウクライナを取り込もうとしましたが、ウクライナをワシントンの手に入れることには失敗しました

2014年2月、ワシントンは、デモを組織し、暴力も用いて、クーデターをしかけ、選挙で選ばれたビクトル・ヤヌコビッチの民主的政府の打倒と、逃亡をもたらしました。

ワシントンにとって、ウクライナ民主主義などどうでも良いのです。ロシアに、安全保障問題をもたらし、成長しつつあるロシアとヨーロッパの経済・政治的関係を破壊すべく“ロシア侵略”に対する経済制裁を正当化する為に、ワシントンはウクライナを占有するつもりなのです

経済制裁は、ヨーロッパの利益に反します。それでも、ヨーロッパ各国政府は、ワシントンの狙いに、協調しています。何十年も昔に、後に国際安全保障担当国務次官補になった、私の博士号論文審査委員会委員長が、その理由を説明してくれました
“金だ。”私は尋ねました。“経済支援ですか?” 彼は答えました。“違う。我々は政治家達に、金がつまった袋を渡すのだ。連中は我々のものだ。連中は我々の要求に答えるのだ。”

マスコミは、真実を隠蔽します。クリントン政権時代に、6社の巨大メディア企業が、アメリカの印刷、TV、ラジオと、娯楽メディアの90%を取得することが認められましたが、多様性と、独立を破壊した集中化でした。現在、欧米世界中で、マスコミは、ワシントンの為のプロパガンダ省として機能しています。欧米マスコミは、ワシントンの真実省なのです。未来予測者のジェラルド・セレンテは、欧米マスコミのことを(マスコミ)と(売春婦)prostitutesを組み合わせて“presstitutes”(売女マスコミ)と呼んでいます。

アメリカでは、プーチンとロシアは、終始悪魔化され続けています。

世界は、現在、まさに今、真実は、欧米世界において、最も歓迎されざる存在だということに留意すべきです。

アメリカ国民の大多数が、反ロシア・プロパガンダにだまされています。金持ちを富ませ、貧者を貧困にするワシントンの果てしない戦争と、警察国家政策の為、恐怖を維持するため、常に新たなウソがつくられます
国民がだまされやすいおかげで、ワシントンが、新冷戦の為の、あるいは、対ロシア先制核攻撃の為の、新たな基盤を確立することを可能にしてしまいました

中国は、ウォルフォウィッツ・ドクトリンが制約を要求する、もう一つの勃興勢力です。新中国を支配し、南シナ海における、ワシントンの覇権を恒久化する為の、たな海軍基地と、空軍基地が建設されています。

ここで結論です。ワシントンの姿勢は、交渉不能です。
“お前たちは、我々の属国としてなら我々の側になれるが、他に道はない。”
ヨーロッパ各国政府と、もちろん、言いなりのイギリス政府は、ロシアと中国に対するこの暗黙の戦争宣言に加担しています。もし戦争ということになれば、ヨーロッパが存在を停止することになり、ヨーロッパ人は、メルケル、キャメロンや、オランド等、彼らの指導者達の反逆罪に対し、究極的な犠牲を支払わされることになります。

アメリカ政権 が“我々は間違っていた。何とか解決しようではないか。”と言うなどと決して期待してはなりません。アメリカ大統領候補だと宣言した全員が、アメリカ覇権と戦争の支持を確約しています

ウクライナと同様、政権転覆は、ワシントンの道具の一つです。中国では、アメリカは、香港“学生”反乱を組織し、それが中国国内に広がることを望んでおり、ワシントンは、カザフスタンと国境を接する中国の州に住むイスラム教住民の独立を支持しています。

ワシントンを理解するには、オンラインで、ネオコン文書や政策方針書をお読み願いたい。法律にも、道徳にも、同情にも、常識にも拘束されない計略を目にするでしょう。悪の計略を目にするでしょう。

オバマのウクライナ担当国務次官補は一体誰でしょう? ウクライナ・クーデターを計画し、新たな傀儡政権を権力の座につけたネオコンのビクトリア・ヌーランドは、一層過激なネオコン、ロバート・ケーガンと結婚しています。

オバマの国家安全保障顧問は一体誰でしょう? ネオコンのスーザン・ライスです。

オバマの国連大使は一体誰でしょう? ネオコンのサマンサ・パワーです。

次に、物質的利益を見てみよう。世界覇権というネオコンの狙いは、一兆ドルの年間予算が、実戦であれ、冷戦であれ、戦争次第である強力な軍安保複合体の役にたちます。

アメリカ覇権という狙いは、ウオール街や巨大銀行の権益に役立ちます。ワシントンの力と影響力が拡大すれば、アメリカ金融帝国主義の力と影響力も拡大します。アメリカ・石油会社や、モンサントの様な、アメリカ・アグリビジネス大企業の勢力範囲も拡大します。

ワシントン覇権は、アメリカ大企業が世界中で他の国々を略奪することを意味しています。

左翼は、政府のあからさまな9/11おとぎ話を受け入れています。

サウジアラビア人達は、どうにかして、NORADや、空港警備を出し抜くことができ、同じ日の一時間の内に、四回も警備体制を打ち破りました。彼等は、アメリカ空軍が、ハイジャックされた旅客機を迎撃するのを、史上初めて、防いだのです。航空管制はなぜか、ハイジャックされた旅客機を、レーダー画面から見失いました。二機の飛行機のうち、一機はペンシルバニア州の田舎に墜落し、もう一機は、ペンタゴンに突入し、何の残骸も残しませんでした。攻撃のリーダー、モハメド・アタのパスポートが、ワールド・トレード・センター・タワー二棟の瓦礫中から、唯一の破壊されないものとして発見されたと報道されました。パスポートの話は余りにもばかげていた為に、書き換えざるを得ませんでした。

もしアメリカの国家安全保障が、9/11公式説明にある通り、完璧に失敗していたのであれば、ホワイト・ハウスや、議会や、マスコミは、調査を求めて叫んでいたはずだと私は断言できます。国家安全保障国家で、これほどの大規模な失敗を許した組織で、何人も幹部の首が飛んだはずだ。いかなる諜報機関の助けも無しに、独自に活動したわずかな人数のアラブ人によって、これ程容易に攻撃され、面目を失った超大国の当惑から、責任をとれという要求で大騒ぎになっていたはずです。

ヨーロッパの知識人達がEUに承認した時に、彼等は自分達の国が、EU官僚と、ワシントンとの両方に隷属することを認めたのです。結果的に、ヨーロッパ各国は独立しておらず、独自の外交政策は行えません。

諸国が無能力であることは、ワシントンが彼等を戦争に追いやれることを意味しています
ヨーロッパの無能力を良く理解するには、フランスを見ればわかります。ヨーロッパで、名前をあげる価値がある唯一の指導者はマリーヌ・ルペンです。

ヨーロッパ政治家の中で、ルペンだけが当然のことを語っています。“アメリカは我々を戦争に巻き込もうとしている!”

知識人でさえも、現実を認識し、受け入れることができないことは、ネオコンに対する抑制力は、ロシアと中国以外どこにも存在しないことを意味しています。欧米は、アルマゲドンを防ぐことが出来ないのです。

ワシントンが、余り無理やり、ロシアとの紛争に追いやって、ヨーロッパの属国諸国に反乱をおこさせるのが一縷の望みです。

恐らく、知識人が、この希望の実現を手助けできるでしょう。もしヨーロッパの政治家達が、ワシントン覇権から離脱し、ヨーロッパの利益を代表するようになれば、ワシントンは、戦争犯罪を偽装するものが奪われてしまうことになります。ワシントンの武力侵略は、ヨーロッパ独自の外交政策によって抑制されるでしょう。ネオコン一極権力モデルの崩壊は、ワシントンにとってすら明らかとなり、世界は、より安全な、より良い場所になるでしょう。

記事原文のurl: http://www.paulcraigroberts.org/2015/06/19/paul-craig-roberts-address-international-conference-europeanrussian-crisis-created-washington/

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