[Sputnik]米国有志連合の対IS作戦の成果/元米国務長官の発言/反政府勢力養成プログラムは中止/欧州委員長「米国はこれ以上指図するな」 〜 もはや米国覇権は終わった

竹下雅敏氏からの情報です。
 風刺画の“米国主導の有志連合の1年間の成果が掘削機2台”というのは笑いました。まあ、こんなもんでしょう。
 次の記事で、元米国務長官が、アサド政権転覆において、“エジプトのムバラク政権転覆に使われた「雛形」通りに行われるはずだった”と発言し、アラブの春が米国主導の陰謀であったことを暴露してしまいました。
 また、米国は“シリアの反政府勢力養成プログラムを中止”するとのことで、アメリカのやっていることはもはや支離滅裂です。
 “続きはこちらから”以降では、欧州委員長が米国はもうこれ以上欧州に指図するなと発言しており、もはや米国覇権は終わったと言って良いのだと思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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量 対 質
転載元より抜粋)
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米国は、彼らが訓練した反乱軍が活動している地区を空爆しているとして、ロシアを今も非難し続けているが、ロシアは「IS(イスラム国)」の拠点や戦闘員訓練所の殲滅作戦を続行している。

ここで指摘しなければならないのは、米国は丸一年、テロリストがいるシリアの地方を攻撃する代わりに、ただ砂漠に爆弾を投下していたという事実だ。

9日、ロシア議会国際問題委員会のアレクセイ・プシコフ委員長は、自身のツイッターの中で、こんな風につぶやいているー

ジョン・マケイン上院議員は、米国が訓練した戦闘員らに対し空爆していると我々ロシアを非難しているが、そうした輩はもう、逃亡してしまったか『アルカイダ』に加わったかしており、事実上、彼らを空爆する事など不可能なのだ。」

8日、欧米のマスコミは、ロシア軍機が、かつて米国が訓練を施した反乱勢力を空爆したかのような報道を一斉にした。

しかし米国は、自分達が訓練した「兵士」のうち、実際「IS」と戦っているのは、たった9人で、残りはすべて「シリアの砂漠のどこかで行方不明になった」事をすっかり忘れてしまったようだ。

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元米国務長官、「シリア問題で米国は自身の手で自分を袋小路に追いやった」
転載元より抜粋)
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ローレンス・ウィルカーソン元米国務省長官はロシアのテレビ局RTからのインタビューに答え、シリアのアサド政権転覆に対するホワイトハウスの執着が、「イスラム国(IS)」に立ち向かうために露米イラン、トルコの力を集結させる障害となっていると語った。ウィルカーソン氏は、米国はシリア問題において自分で自分を袋小路に追いやったと指摘している。

ウィルカーソン氏は、パウエル元大統領上級顧問外交問題担当やホワイトハウスの一連の役人がオバマ大統領に対し、シリア危機の唯一の原因は…、旱魃と水不足でシリア農民らが都市に流入している状況だと納得させた段階で、米国はシリアの内戦に「加わってしまった」と考えている。こうした状況が出来上がっていたがために、米国は「人権擁護」メカニズムを使わざるを得なくなったというのだが、実のところは米エリートの一部が別の目的を追求したに過ぎなかった。

パウエルのような人間が誤ってこれはアサド政権転覆のチャンスだと思ってしまったのだ。アサドを彼らは無慈悲な専制君主扱いしていたからだ。シリア大統領を引きずり下ろすにはエジプトのムバラク政権転覆に使われた「雛形」どおりに行われるはずだった。だがこの方法は明らかにうまくいかなかった。ムバラクがエジプト国民に忌み嫌われていたのであれば、その辞任は時間の問題だったが、アサド政権はその逆にシリアの様々な社会層に支持されている。軍人、アラブ人社会、特に首都ダマスカスの実業界がアサド氏を支えている。

「アサド氏が近い将来どこかへ出て行くという前提は何もなかった。米国は、アサドは出て行くべきだという愚かな声明を表した。こういうのを『自分の仕掛けた地雷にひっかかる』と言うのだ。」

ウィルカーソン氏は、シリア大統領が米国にとって「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからぬ人物)」になった段階で米国政府は自らのシリア政策の過ちを認め、アサド大統領との関係を一歩後退させて、「イスラム国(IS)」との闘いに全力を投球すべきだったとの見解を示している。
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米国 シリアの反政府勢力養成プログラムを中止
転載元より抜粋)
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米国は、シリアの反政府勢力養成プログラムを中止する決定を下した。匿名を条件に、米国政府高官が明らかにした。

匿名の政府高官は、新聞The New York Timesの取材に対し、オバマ政権がそうした措置を取る決定を下したのは、シリアにおける反政府勢力の育成や戦闘員の養成を目指したプログラムが失敗に終わったからだと認めている。
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欧州委員長「米国は、我々がロシアとどう付き合うか、指図する事などできない」
転載元より抜粋)
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EUの政策執行機関、欧州委員会のジャン-クロード・ユンケル委員長は「欧州にとって、ロシアとの関係確立は必要不可欠だ」と述べ「米国政府は、我々がどうロシアと関係を持つべきかについて、指図する事などできない。ロシア当局との関係改善のため、努力する必要がある」と述べた


ちょうど一週間前にパリで、ウクライナ問題に関する所謂「ノルマンジー4者」会合が開かれた。会談結果を総括するいかなる文書も、調印されなかったが、会合後、ロシア、ドイツ、フランス、ウクライナの首脳は「肯定的な見通し」を口にし「見解が近づいた」と指摘した。

これまで、欧州は、対ロシア関係においていかなる政策を実施すべきか、米国が指図するのを許してきた。米国は、欧州に対し、対ロ制裁を導入するよう、文字通り強制した事を隠してさえいない。

米国のバイデン副大統領は、次のように公言した-

「欧州の人々が、制裁を望んでいなかったことは確かだ、しかし米指導部と米大統領は、それをあくまで要求した。そして、経済的損失を被るというリスクを負いながらも、ロシアが報いを受けるようにするため、しばしば欧州を厄介な立場に置いてしまった。」

しかしユンケル委員長の発言は、EUの立場が変更される可能性のあることを示唆している。ユンケル委員長の発言が、ウクライナ情勢に関連した制裁の緩和を告げるものとなる事もあり得る。なぜならEU加盟国のいくつかの国々の経済は、対ロ制裁により、深刻な損失を被っているからだ。制裁措置は、貿易取引高の縮小をもたらしただけでなく、ロシアの側からの対抗制裁を呼び起こしてしまった。特に、EUからの食料品輸入の禁止は、欧州の生産者に大きな打撃を与えた

対ロシア制裁を延長するかどうかの問題は、今年末、投票に持ち出される。双方が接近している現在の状況は、おそらく、そうした投票の結果に影響を与えるだろう。

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