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遺伝子組換え食品表示の是非でアメリカ食品業界が分裂、有名メーカーが食品業界団体を次々脱退 遺伝子組換え天国の日本は?

 大変革の只中にあるアメリカで、食品業界にもかつてないような変化が起きているという記事です。
「食品製造業協会(GMA)」は有力な老舗ロビー団体で、これまで一枚岩を誇り食品政策に多大な政治力を発揮してきました。中でも、遺伝子組み換え食品については、表示義務を求める法案を次々と葬り、骨抜きにしてきました。こうしたロビー活動は、食品企業のニーズを受けてのものかと思いきや、所属する世界的に有名な食品会社は、むしろ、遺伝子組換えの原材料情報を開示すべきだとして、次々とGMAを脱退する異例の事態になっています。
 ジャーナリスト猪瀬氏の2年前の記事では、遺伝子組み換え食品の開発に熱心だった大手食品メーカーが、相次いで「脱・遺伝子組み換え」に方向転換をし始めたとあります。それまで表示義務もなく野放し状態だった遺伝子組み換え食品を嫌って、安全を重視する消費者があえて「不使用」を自主表示した食品を求めたことで、「非」遺伝子組み換え食品の売上高が飛躍的に伸びました。地殻変動とも呼ばれたほど急速な需要の伸びに、ハーゲンダッツなどの食品メーカーは、自主的に不使用の方針に転換しました。注目するのは、政府の食品医薬品局(FDA)や権威ある米国科学アカデミーが、遺伝子組み換え作物の安全性を訴えても、消費者が納得せずに、不使用の食品を選んでいることです。
 このような消費者の行動に呼応して「不使用」を表示することに方針転換した食品会社は、表示義務をなし崩しにするGMAと相反していき、昨今ついに分裂、脱退する流れとなりました。
脱退組の食品企業が新たに立ち上げた食品団体のモットーがすばらしい。
「消費者への情報開示」「環境問題への貢献」「食の安全性の確保」「健康的な食生活の実現」そして「従業員、取引先、地域への支援」という消費者の方を向いた目的が掲げられています。実現への課題はあっても、消費者が勝ち取った安全だと言えそうです。
 さて、世界の中でも極めて安全性に無関心な国、日本はどうするでしょうか。明日掲載する関連記事もぜひご覧ください。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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遺伝子組み換えで米食品業界が分裂
引用元)
猪瀬聖 | ジャーナリスト

米国で、世界的に有名な食品企業が所属する業界団体を次々と脱退し、食品業界が分裂状態に陥っている。最大の原因は、遺伝子組み換え食品などの原材料情報をどこまで消費者に開示すべきかをめぐる意見の食い違いだ。今月には脱退企業が中心となって新団体を旗揚げするなど、仲間割れが深刻化している。
 有力食品企業の脱退で大きく揺れているのは、1908年設立の老舗業界団体「食品製造業協会」(GMA)。全米有数のロビー団体で、会員企業から集めた豊富な資金を武器に、国や各州の食品政策、世論に大きな影響力を及ぼしてきた
(中略)
 大手食品企業が次々とGMAを脱退する背景にあるのは、食品の原材料表示の拡充を求める消費者ニーズの高まりと、そうした消費者ニーズに背を向けるGMAへの不信感だ。米国では、ミレニアル世代と呼ばれる比較的若い世代を中心に安全・安心で、かつ自分の価値観に合う食品を買い求める傾向が一段と強まっており、そうした食品を自分で選択できるよう、より詳細な情報の提供を求める声が高まっている。
(中略)
 業を煮やした消費者が、遺伝子組み換え原材料の使用が法律上認められていない有機食品や、「遺伝子組み換え原材料不使用」と自主表示した食品にシフト。その結果、これらの食品の売れ行きが急増し、自社製品にひそかに遺伝子組み換え原材料を使ってきた大手企業も早急に対応せざるを得なくなった

(以下略)
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米国の遺伝子組み換え市場に異変
引用元)
猪瀬聖 | ジャーナリスト

遺伝子組み換え大国・米国に異変が起きている。遺伝子組み換え食品の開発や販売を積極的に進めてきた大手食品メーカーが、相次いで「脱・遺伝子組み換え」を表明。7月には、全米初となる遺伝子組み換え食品の義務表示が、バーモント州で始まる。背景にあるのは、食に対する消費者の安全・安心志向の高まりだ
(中略)
 米国は世界最大の遺伝子組み換え大国。家畜飼料や様々な食品の原料となるトウモロコシや大豆は、生産量の90%以上が遺伝子組み換え品種に切り替わっている。食品業界の推定では、流通している食品の約80%には、何らかの形で遺伝子組み換え原料が使われている
(中略)
遺伝子組み換え食品の安全性に対する消費者の懸念を払しょくするかのように、権威ある米国科学アカデミーは5月17日、遺伝子組み換え作物は人や動物が食べても安全だとする内容の報告書を発表した。政府の食品医薬品局(FDA)も、遺伝子組み換え食品の安全性に問題はないと言い続けている
しかし、米国では、専門家や政府の見解を鵜のみにする消費者は多くない。
(中略)

現在、日本で表示義務の対象となっているのは、原則、遺伝子組み換え原料の含有比率が5%以上の場合に限られている。しかも抜け穴が多い。これに対しバーモント州のルールは、0.9%以上と、日本と大きな開きがある。
(以下略)

生活クラブ連合会がアメリカのパブリック・コメントに意見書を提出!~すべての遺伝子組み換え原料の食品表示を求める!~

 生活クラブさんが、アメリカの「遺伝子組み換え由来の食品原料表示ルール案」のパブリックコメントに意見書を提出されました。
 アメリカでは、消費者団体などの強い働きかけによって遺伝子組み換え食品への表示は義務化されることとなりましたが、その表示方法に関しての攻防が今まさに繰り広げられているところなのです。
 笑ってしまうのは、アメリカ農務省が提案している遺伝子組み換えの表示マークです。ニコニコマークと太陽とのこと。はぁ~!?これについて、百戦錬磨の生活クラブさんは穏やかに諭します。「このようなマークの入った米国産の食品が日本に輸入されて店頭に並べば、日本の消費者は誤解をして、よいものだと受け止めるかもしれません」と。決して、遺伝子組み換え食品は生物学兵器なのでは!?などとはいいません。
 また、日本はアメリカの大きな市場であり輸出量は半端無いわけですから、アメリカの遺伝子組み換え食品表示に関しての話はもちろん人ごとではありません。そして、原料はもちろんのこと、加工品に関しても表示義務は課されるべきです!どれほど加工度が高くとも。
 現在、日本でも消費者庁が遺伝子組み換え食品表示の基準を改正しようと、消費者委員会への諮問を予定しているとのことですから、アメリカ国内でのルールの動向は非常に重要になるわけです。ポチゆえに。

 こうして、食の安全、そして、安心して暮らせる環境・社会に対して誠実にとりくんでいる"生活クラブ"さんが、アメリカのパブリックコメントに意見されたこと、そして公表してくださったことにたいへん感謝いたします。なにしろ、放っておくと、何されてしまうかわからない状況ですから!生物学兵器になり得るとされる遺伝子組み換え食品を野放しにしていいはずがありません。

※当初、記事の一部を引用させてもらおうかとおもいましたが、どれも今後の展開にかかわる重要な話なので転載の許可をいただきました。ありがとうございます。
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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生活クラブ連合会がアメリカ政府に意見書を提出 すべての遺伝子組み換え原料の食品表示を求めます
転載元)
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(中略)は、このほどアメリカ農務省が発表した全米遺伝子組み換え食品表示法」にもとづく遺伝子組み換え(GM)由来の食品原料表示ルール案に対する意見を提出しました(6月29日)。

日本はアメリカ産の食品・食品原料の大きな市場です。アメリカでのGM食品表示ルールは、日本の消費者の口に入る食品の情報開示にかかわる問題です。生活クラブ連合会は、食品包材にすべてのGM原料が表示されることをアメリカ政府に対して強く求めます。
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食品表示に遺伝子組み換え原料を明記する連邦法の成立

アメリカでは2016年7月、消費者団体などの強い働きかけによって、「全米遺伝子組み換え食品表示法」が成立し、遺伝子組み換え作物由来の原料の表示が全米で義務化されることになりました。これを受け、アメリカ農務省はGM食品の表示ルールを検討していますが、5月にルール案を発表し、7月3日までパブリックコメントを募集しました。

焦点となっている「油や砂糖など高度に精製された食品にも遺伝子組み換え表示を義務付けるべきか」については、パブリックコメントでの意見を踏まえて決定するとされています。

表示方法については、①文字による表示、②マーク、③QRコード、④携帯メールでの問い合わせ対応のいずれかでよいことになっています。そのような中、米国農務省が提案している3種類のマークのうち二つには、ニコニコマークと太陽が使われており、このようなマークの入った米国産の食品が日本に輸入されて店頭に並べば、日本の消費者は誤解をして、よいものだと受け止めるかもしれません。

日本の消費者も影響を受ける米国の表示ルール

日本はアメリカ産の食品・食品原料の巨大市場であり、アメリカでの遺伝子組み換え食品の表示制度の導入は、日本の消費者にとっても情報開示につながります。

また現在、日本でも消費者庁が遺伝子組み換え食品表示基準の改正のため、今後は消費者委員会への諮問が予定されています。アメリカ国内でのルールの動向は、日本の遺伝子組み換え表示制度にも影響を与えることが予想されます。

生活クラブ連合会は6月29日、すべての遺伝子組み換え原料を包材上に文字で表示し、消費者に間違った印象を与えるマークをしないよう求める意見を米国農務省に提出しました。

提出した意見の全文は以下のとおりです(日本語訳)。
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『DIYバイオ』の最前線!そして、ノーベル賞級の発見と言われる新しいゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の危険。

 ノーベル賞級の発見と言われる新しいゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の登場により、実験室にこもる科学者にしかできなかった「生命の設計図」の書き換えが、今や日曜大工のように家のガレージで気軽にできてしまうまでになっているようです。(※1)
 「DIYバイオ」なる言葉が現れるように、「高校生でも使える」と言われるほど扱いやすいクリスパーを使い、自宅でイノベーションを目指して遺伝子改変に取り組む「バイオハッカー」も増えているようです。
 しかしその技術面に関しての危険性はまだよくわかっていません。この6月に発表された情報によると、「クリスパー・キャス9」で遺伝子を改変した細胞はがん化する恐れが高まる(※2)とのことです。米食品医薬品局(FDA)は「自己投与目的の遺伝子治療製品や、DIY治療キットの販売は法に反する。」と後追いの規制をしましたが、「生命の設計図」を書き換えてしまう実験および自己投与は野放しともいえる状況のようです。

(※1)編集ができる機器が数万円で、そしてプラスミドも数万円で市販されるようになり、手軽にゲノム編集はできてしまうというお話にもありましたが、プラスミドに組み込まれている発光クラゲの遺伝子とか抗生物質耐性遺伝子の問題も気になります。
(※2)なんと、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)でも同様にがん化する恐れが高まることがわかったそうです。
(※おまけ)クリスパー・キャス9におけるがん化の恐れあり!の話は、”遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン”の天笠氏からお聞きしました。こないだの河田氏講演会のときにはその話はなかったですよね?と聞いたら、ついこないだ発表されたばかりだから!と。日々状況は変わっています。こういうのも小出しの情報開示なのでしょうか?
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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あなたが“夢の発明”の主役!? DIYバイオ最前線
引用元)
遺伝子の改変など、最先端のバイオテクノロジーの研究を市民が行う“DIYバイオ”が、欧米を中心に急速に広がっている。遺伝子解析のコストが大幅に下がったことなどから、日曜大工感覚で気軽にできるようになったのだ。裾野の広がりは、新薬の開発などイノベーションにつながると期待される一方で、生命倫理に関わる実験をする人が現れるなど心配な事例も。大衆化するバイオテクノロジー。(中略)

画像の出典:「クローズアップ現代+ “あなたが“夢の発明”の主役!? DIYバイオ最前線”」 2018年6月25日 ©NHK

(中略) 市民が自由に使えるDIYバイオの実験室。今では世界中に作られています。アメリカの研究機関の調査によりますと、DIYバイオを運営する団体は、アメリカ以外にもヨーロッパに55、アジアには22など、世界に168あります。こうした動きの中から、今、社会に貢献する共同プロジェクトやイノベーションが、次々に生まれています。

画像の出典:「クローズアップ現代+ “あなたが“夢の発明”の主役!? DIYバイオ最前線”」 2018年6月25日 ©NHK

(中略)ただ一方で、多くの人にオープンにすることで、例えば生態系への影響ですとか、出来たものの安全性、また、テロリストが生物兵器を作ってしまうんじゃないかというような懸念を抱く人もいると思います(中略)
リスクについてもオープンに議論するということが、とても重要です。
(以下略)
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”暴走するゲノム操作技術” (後編) ~分子生物学者からの警告~ 河田昌東氏

 ”暴走するゲノム操作技術” (中編)からの続きです。
 今やゲノム編集ができる機器が数万円で、そしてプラスミドも数万円で市販されているとのことです。つまりお手軽にゲノム編集はできてしまうのです。そうした機器によるゲノム編集でも、プラスミドには抗生物質耐性遺伝子や発光クラゲの遺伝子が組み込まれているわけで、そこに何の規制も無いのです。規制が無いばかりか、必要悪として見ないふりをする!というようなまったくもって許されるべきでない事態となっているのです。
 そしてゲノム編集された作物には表示義務がないのですから、消費者にはゲノム編集された作物かどうかの見分けはつきません。素人目にもそんなことで本当に大丈夫か!!とおもいますが、おそらく大丈夫ではないでしょう。
 米国ではすでに小麦・大豆においてゲノム編集による栽培の許可が出ています。EUでは反対の声が大きいのですがロビー活動が活発に行われているので予断を許さない状況のようです。日本では、農水省によると申請があった時点で考える!といった危機管理ゼロの状況で、まったく規制がありません。(※)
 私たちはこうしたゲノム編集の危険な実態を知り、その暴走を止める必要があります。生命を、自然を、そして安心安全な食物を守るために。

(※)去年から"収量が増える"というゲノム編集の稲が試験栽培されていて、さらに神戸大学が開発したDNAを切断しないゲノム編集の除草剤耐性稲が、今月から筑波にて試験栽培されます。
(しんしん丸)
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『ゲノム編集を考える』(後編)

1.細胞にゲノム編集プラスミドを導入する方法


ゲノム編集プラスミドは、すでに日本でも数万円で10種類くらいが市販されているそうです。
・そして細胞にプラスミドを導入する機器も今や数万円で市販されているとのことです。
・抗生物質耐性遺伝子やクラゲ発光遺伝子などが組み込まれているプラスミドが何の規制もなく市販されていて、そのプラスミドを細胞に導入する機器も安価に入手できるというのです。これは即行でストップをかけるべき事態なのではないでしょうか?

2.結論


ゲノム編集はガイドRNAによりターゲット遺伝子を特定できるという面はありますが、その後の選別(これが大変なところ)の処理をみると遺伝子組み換えと技術的には大差ないということがわかります。

3.ゲノム編集に伴う問題点


・ゲノム編集には解決すべき初歩的な問題があるということが素人目にもわかりました。
1.本来不必要な遺伝子(抗生物質耐性遺伝子、クラゲ発光遺伝子など)を必要悪として使用している件
2.オフターゲットの件(ガイドRNAがターゲット以外の遺伝子にも誘導する場合と共通のエキソンが複数遺伝子に含まれる場合の2通りがある)
3.破壊する遺伝子の働きが十分に解明されていないという件
4.社会的なニーズにより生命(遺伝子)を操作してしまうという件

ゲノム編集は、問題点を必要悪としたままで見切り発車のように実用化していいものではない技術のはずです。
・そして話はさらにこの技術をどう使うか!という問題となります。
具体的には軍事関連の問題、そしてエンハンスメント(人体改造)デザイナーベビー、クローンなど、優生学につながる問題があります。
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”暴走するゲノム操作技術” (中編) ~分子生物学者からの警告~ 河田昌東氏

 ”暴走するゲノム操作技術” (前編)からの続きです。
 ゲノム編集は、遺伝子組み換え技術よりも「早く」「効率よく」生物を改変できる新しいテクノロジーとしてとしての側面ばかりが取り上げられていますが、河田氏は、公表されていないそのプラスミド(後述)を見て驚いたわけです。なんと抗生物質耐性遺伝子が使われているではないですか!ゲノム編集に成功した組織を容易に選別できるように、ゲノム編集時に本来の目的とする遺伝子とは関係のない、抗生物質耐性遺伝子や発光クラゲの遺伝子を組み込んでいるのです。このことにより選別時に、グリホサートに漬けて、遺伝子組み換えに成功した組織だけが生き残り、その中から光る組織だけを容易に選別することができるというわけです。そして、すべてのゲノム編集にはこの選別の目的のために抗生物質耐性遺伝子や光る遺伝子などが組み込まれているというのです。これはゲノム編集が危険な理由の一つです。
 さらにゲノム編集は、目的以外の遺伝子(オフターゲット遺伝子)を破壊するという危険性もあります。ですからターゲット以外の遺伝子の発現をモニターする必要があるわけですが、それは安全審査の対象外とされています。(従来の遺伝子組み換えでもこのことは対象外です)
 つまりゲノム編集は、ターゲット遺伝子を特定できるといわれていますが(これですらオフターゲット問題がある)、技術的には従来の遺伝子組み換えと大差ないということです。このように、ゲノム編集には遺伝子組み換えと同様の危険性の問題がつきまとっているわけです。
 要するに、実用化などもってのほか!ということです。

 こうした中、米国農務省(USDA)はゲノム編集による遺伝子操作には従来のGMOに対してのような規制はいらないとしました。こうした判断をするということは、この問題を必要悪として容認しているということになるのではないでしょうか。(※)
 こうした危険を野放しにしている現状に、河田氏は警鐘を鳴らしているわけです。

(※)USDAは、それまでは反対が多いために許可してこなかった遺伝子組み換え小麦に対して、ゲノム編集による遺伝子組み換えの栽培を許可しました。これにより今後、ゲノム編集の作物が一気に市場に出回ることが危惧されます。そしてこれに呼応するかのように、日本では小麦におけるグリホサートの規制値が大幅に緩和されました。(5ppmから30ppmへ。大豆は20ppmで据え置き)ですから今後は小麦(パン、麺類、様々な加工食品)によるグリホサートの影響が大いに懸念されるわけです。
(しんしん丸)
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『ゲノム編集を考える』(中編)

1.種無しトマトにするために、トマト細胞に挿入されたプラスミドの構造


ゲノム編集する際に挿入されるプラスミド(細胞分裂によって娘細胞へと引き継がれるDNA分子※)の構造は特に公表されていないのですが、河田氏はそのプラスミド遺伝子の構造を調べてみて驚きました。発光クラゲの遺伝子とか抗生物質耐性遺伝子が当たり前のように使われているではないですか。これらは選別する際に必要な遺伝子として挿入されていたのです。

〇トマト細胞に挿入されたプラスミドの構造
・U6-26,gRNA...プロモーター(転写開始の部分)、ガイドRNA(ターゲット遺伝子への誘導)
・2x35SΩ...プロモーター2個(大豆やコーンの遺伝子組み換えでもよくスイッチとして使われる)
・AtCas9...土壌細菌のCas9(これがターゲット遺伝子を破壊する)
・2A...口蹄疫ウィルスの遺伝子
・GFP...発光クラゲの遺伝子
・Km...抗生物質カナマイシン耐性遺伝子

※プラスミドというDNA分子は、いわばトロイの木馬のようなものと考えるとわかりやすいかもしれません。(しんしん丸説。当たらずといえども遠からず!かと?)
トロイの木馬の中には、ターゲットとなる遺伝子の元へと誘導するガイドRNAがいたり、そのターゲット遺伝子を破壊するCas9という工作員がいたり、照明係のクラゲ発光遺伝子や敵の攻撃から身を守るための抗生物質耐性遺伝子がいるのです。破壊工作員である彼らはトロイの木馬とともにトマト国へと運び込まれるのであった。

※遺伝子組み換えでも抗生物質耐性遺伝子は使われています。抗生物質であるグリホサートへの耐性を持たせるためです。そしてグリホサートに漬けこんで生き残るものが遺伝子組み換えに成功したものとして選別するのです。こういう遺伝子を持つ作物は、育てているときに除草剤ラウンドアップ(主成分はグリホサート)をたっぷりかけても枯れません。(モンサント方式は種・農薬・肥料の3点セット売り)そしてこうした作物を食べることで、残留したグリホサートが人体の中の腸内細菌の働きを阻害して、様々な肉体疾患、精神疾患を引き起こすということがわかっています。

2.アグロバクテリウム法(遺伝子の導入方法)


制限分解酵素(DNAを切断する)Cas9の入ったプラスミドの遺伝子をトマトの培養組織に感染させます。

抗生物質入りの組織を培養します。

クラゲの発光遺伝子で確認します。

※これは、ゲノム編集にてすぺての遺伝子をノックアウトできるわけではないからです。ですから、ノックアウトできたものを選別する必要があるのです。そのために抗生物質への耐性機能と発光機能を組み込むわけです。


3.発光する組織を集める


こうして発光する組織を集めます。すなわち、ゲノム編集でノックアウトできた組織だけを選別して栽培するというわけです。

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