『DIYバイオ』の最前線!そして、ノーベル賞級の発見と言われる新しいゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の危険。

 ノーベル賞級の発見と言われる新しいゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の登場により、実験室にこもる科学者にしかできなかった「生命の設計図」の書き換えが、今や日曜大工のように家のガレージで気軽にできてしまうまでになっているようです。(※1)
 「DIYバイオ」なる言葉が現れるように、「高校生でも使える」と言われるほど扱いやすいクリスパーを使い、自宅でイノベーションを目指して遺伝子改変に取り組む「バイオハッカー」も増えているようです。
 しかしその技術面に関しての危険性はまだよくわかっていません。この6月に発表された情報によると、「クリスパー・キャス9」で遺伝子を改変した細胞はがん化する恐れが高まる(※2)とのことです。米食品医薬品局(FDA)は「自己投与目的の遺伝子治療製品や、DIY治療キットの販売は法に反する。」と後追いの規制をしましたが、「生命の設計図」を書き換えてしまう実験および自己投与は野放しともいえる状況のようです。

(※1)編集ができる機器が数万円で、そしてプラスミドも数万円で市販されるようになり、手軽にゲノム編集はできてしまうというお話にもありましたが、プラスミドに組み込まれている発光クラゲの遺伝子とか抗生物質耐性遺伝子の問題も気になります。
(※2)なんと、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)でも同様にがん化する恐れが高まることがわかったそうです。
(※おまけ)クリスパー・キャス9におけるがん化の恐れあり!の話は、”遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン”の天笠氏からお聞きしました。こないだの河田氏講演会のときにはその話はなかったですよね?と聞いたら、ついこないだ発表されたばかりだから!と。日々状況は変わっています。こういうのも小出しの情報開示なのでしょうか?
(しんしん丸)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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あなたが“夢の発明”の主役!? DIYバイオ最前線
引用元)
遺伝子の改変など、最先端のバイオテクノロジーの研究を市民が行う“DIYバイオ”が、欧米を中心に急速に広がっている。遺伝子解析のコストが大幅に下がったことなどから、日曜大工感覚で気軽にできるようになったのだ。裾野の広がりは、新薬の開発などイノベーションにつながると期待される一方で、生命倫理に関わる実験をする人が現れるなど心配な事例も。大衆化するバイオテクノロジー。(中略)

画像の出典:「クローズアップ現代+ “あなたが“夢の発明”の主役!? DIYバイオ最前線”」 2018年6月25日 ©NHK

(中略) 市民が自由に使えるDIYバイオの実験室。今では世界中に作られています。アメリカの研究機関の調査によりますと、DIYバイオを運営する団体は、アメリカ以外にもヨーロッパに55、アジアには22など、世界に168あります。こうした動きの中から、今、社会に貢献する共同プロジェクトやイノベーションが、次々に生まれています。

画像の出典:「クローズアップ現代+ “あなたが“夢の発明”の主役!? DIYバイオ最前線”」 2018年6月25日 ©NHK

(中略)ただ一方で、多くの人にオープンにすることで、例えば生態系への影響ですとか、出来たものの安全性、また、テロリストが生物兵器を作ってしまうんじゃないかというような懸念を抱く人もいると思います(中略)
リスクについてもオープンに議論するということが、とても重要です。
(以下略)
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DIYバイオ増殖、個人が自宅でゲノム編集 規制後追い
引用元)
 大学や企業の研究室に属さず、自宅でバイオテクノロジーの実験を繰り返す「バイオハッキング」「DIYバイオ」と呼ばれる活動が、米国で話題になっている。遺伝子を改変するゲノム編集を手軽にできるようになったことなどが背景にある。だが、自分の体を実験台にする「過激」なケースも登場。規制は後追いになっている。
(中略)
米国人男性が注射器を左腕に突き刺した。中には筋肉の成長を邪魔する遺伝子「ミオスタチン」を切断する人工の酵素。筋肉の成長を目指した。昨年10月、カリフォルニア州オークランドのジョサイア・ザイナーさん(37)が行った「世界初のゲノム編集の人体実験」はネットで中継された。「ゲノム編集が誰にでも簡単にできることを知らせたかった」と語った。
(中略)
米食品医薬品局(FDA)は昨年11月「自己投与目的の遺伝子治療製品や、DIY治療キットの販売は法に反する。FDAは安全性を懸念している」との声明を発表した。
(以下略)
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私の実験室は家のガレージ ここまでカジュアルになった遺伝子改変
引用元)
(前略)
コチョバは約7年前から、両親と暮らすマンションの一室で植物の遺伝子改変を研究してきた。
(中略)
将来は、ゲノム編集技術「クリスパー・キャス9(ナイン)」(CRISPR―Cas9)を使って自然界にない青色のバラなどを作るつもりだ。
(中略)
大学の実験室でやるような遺伝子改変に自宅の一室やガレージで挑む、コチョバのような者たちは「バイオハッカー」と呼ばれ、米国を中心に世界中で増えている。背景には、必要な知識がネットから手に入るようになり、DNA解析など実験にかかるコストも劇的に下がったことがある。さらに「高校生でも使える」と言われるほど扱いやすいクリスパーの登場。米国では自宅でのゲノム編集実験に規制はなく、試薬が買えるサイトも現れて、日曜大工のような感覚の「DIYバイオロジー」が流行した。
(以下略)
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ゲノム編集でがんの危険か ノーベル賞級の技術
引用元)
遺伝子を狙い通りに操作するゲノム編集技術のうちで、最も研究利用が進んでいる「クリスパー・キャス9」で遺伝子を改変した細胞はがん化する恐れが高まるとの研究成果を、スウェーデンのカロリンスカ研究所などのチームが11日、米医学誌に発表した。
 クリスパー・キャス9はノーベル賞確実ともいわれ、医療などでの応用が期待されているが、難しい課題を突き付けられた形だ。
 チームは、クリスパーという分子を入れた際に効率よくゲノム編集できる細胞には、がん抑制遺伝子が働かない異常があることを突き止めた。一方、正常細胞ではクリスパーに対抗してがん抑制遺伝子が働き、編集に失敗しやすい。影響で細胞が死んだり、成長が止まったりする。結果としてがん化の恐れが高い細胞が多く残ることになり、チームは「人の治療に使う場合は注意が必要だ」としている。
 チームは今回、人の網膜の細胞で実験したが、別の米チームも人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)で同様の結果を得たと、同じ医学誌に発表した。

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