ロ米停戦協定が崩れ、シリアの市民の死が急増 / アレッポ:米‐NATO のニセ旗、ウソ、プロパガンダ

 スプートニクのシリア関連の記事を目を通すと、シリアでの大きな流れは良い方向に行っているように思えますが、ラヴロフ露外相が"シリア停戦、破ろうとする画策者は多し"と言っているように、今回の2つ記事を読むと、きな臭い動きや事件も起こっています。
 4月27日夜に、アレッポのアルクッズ病院が空爆されました。下の記事によるとこの病院は、「国境なき医師団」に支援されている病院ということになっていますが、その実は、欧米が支援するテロリストの収容施設である可能性が高いようです。
 であるなら、ダーイッシュ(IS)掃討作戦の可能性もあると思いますが、欧米メディアが「国境なき医師団」爆撃の物語を繰り広げ、アサド政権転覆のためのプロパガンダに利用していることや、多くの一般市民が巻き込まれ犠牲になっているのが問題だと思います。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ロ米停戦協定が崩れ、シリアの市民の死が急増
引用元)
Thomas Gaist May 1, 2016

35人の子供を含む200人以上の市民が、今週、シリア全土に軍事的暴力が発生して殺された。これは2月に、アメリカとロシアの外交官の間で約束された停戦合意を、完全に破るものだった。

(中略) 

国連の人権監視官 Zeid Ra’ad al- Hussein によれば、最近、安全保障の「破局的な悪化」が起こっているなかで、シリア全土の暴力は、「敵対行動の中止以前のレベルに舞い戻っており」、軍事行動は、一般市民に対して「悪魔的な無視」を示している。

(中略) 

水曜日には、国籍不明機の空爆が、「国境なき医師団」につながるアレッポの al-Quds 医療センターを破壊し、少なくとも 50 人の市民と2人の「医師団」の医師を殺した。米ロ双方の軍事スポークスマンとも責任を否定した。

(中略) 

停戦の崩壊と、市民への全面的な代理戦争への後戻りの本質的な原因は、アサド政権を転覆し、死命を制するロシア・イランとの地域同盟を覆して、アメリカの傀儡に置き換えようとする、米支配階級の妥協しない決意である。

月曜日、ホワイトハウスは、少なくとも250米特殊部隊の兵士をシリアに配備すると通告したが、この決定は、200の米地上部隊のイラクへの追加配備と相前後するものだった。

木曜日の上院兵役委員会の証言として、Ashton Carter米防衛長官は、これらは、もっと幅広い戦争計画の予備的な動きにすぎないことを明らかにした。

「これまでの成果を踏まえて、そして ISIL の続いている敗北を更に加速させるために、我々は軍事キャンペーンの“次の手”を打とうとしている」とカーターは話した。

次の数週には、米支援を受けたイラク国軍が、モスル市北部への彼らの攻勢を援護して、「アパッチ攻撃ヘリコプターをテコ入れする」であろう。モスルでは、数百の米海兵隊がすでに、周辺の村に対する砲撃を実行している。

シリアでは、米コマンド(特殊奇襲部隊)が作戦基地を建設しつつあり、これによって、ヨーロッパやペルシャ湾の米同盟政府による、更なる特殊作戦の展開が可能になる。彼らは 「特にスンニ派のアラブ社会の中に、動機をもった、地方の反ISIS部隊を訓練して装備させる」ことを狙っている、とカーターは話した。

イラクとシリアを超えて、アメリカは、さらに南や東南アジア、イエメンや西アフリカなどにおいて、幅広い“反ISIS”作戦を用意している、とカーターは言った。

(中略) 

アメリカの停戦支持は、結局のところ、初めから戦略的な策動であって、ロシアに支持されたシリアとイラン軍が、アメリカに支持された反乱軍をますます敗走させ、ワシントンが 2001年に始めた政権転覆作戦を挫折させようとする状況下にあって、米軍が力を新たに蓄えるための時間を稼ぐのが狙いだった。

(以下略、続きは引用元でご覧下さい)


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アレッポ:米‐NATO のニセ旗、ウソ、プロパガンダ
引用元)
(前略) 

Vanessa Beeley
Global Research, May 5, 2016
 

シリア政府の統制下にあるアレッポに対する、米‐NATOによる恐ろしいテロ攻撃の後で、実効的にテロリストの仮の野戦病院になっているものへの、攻撃と言われるものが、ニセ旗であった疑いが濃厚になりつつある。

シリアには、公的な「国境なき医師団」(MSF)の病院はない。しかしテロリストの占領している地域内の建物に設けられた、MSFに“支援された”病院はある。これらの野戦シェルターや仮の施設は、合法的なシリア政府からの許可なしに、シリア内部に不法に設けられている。これらの病院は、しばしば、米・英政府の資金による「ホワイト・ヘルメット」団からスタッフを得ているが、この団体自体がアルヌスラ(アルカーイダ)系統の団体で、ISISの支配する地域に居座っている。

https://thewallwillfall.wordpress.com/2015/06/05/reflections-on-arsal-syrian-refugees-in-lebanon-by-a-correspondent-based-in-syria/

21st Century Wire 報告:シリアの「ホワイト・ヘルメット」:騙しによる戦争  http://21stcenturywire.com/2015/10/23/syrias-white-helmets-war-by-way-of-deception-part-1/

(中略) 

アレッポに居住する高名な医師 Nabil Antaki博士は、Al Quds病院は、シリアに対する戦争が始まる前には存在しなかった、とはっきり言った。この明言から、この病院が、アルヌスラ派によって、おそらくすでに存在する建物に設置されたもので、東アレッポを占領している米‐NATOの支援するテロリストを収容するものであることは間違いない。

この病院(Al Quds)は戦争が始まる前にはなかったものです。それは戦争が始まって後、ある建物に設置されたものに違いありません。私はこの病院が Al Qudsであることを確証できる、アレッポ東部の人を誰も知りません。ここに、アレッポの私立・公立 病院のすべてを示すリンクがあります。(ナビル・アンタキ博士、2016/5/2)
http://www.qenshrin.com/servers/useful_num/t_hospital.php

21st Century Wire の報告:アレッポの医師が西側メディアの偏見、検閲、虚偽 を攻撃  http://21stcenturywire.com/2016/05/01/exclusive-aleppo-doctor-attacks-western-media-for-bias-censorship-and-lies/

「チャンネル4」のビデオが示しているのは、立派な、比較的設備のよい病院で、明らかに、アレッポで何年も開業してきたこの医師の説明とは一致しない。

(中略) 

我々は次に、アレッポの別の居住者に話を聞いた。

(中略)
https://youtu.be/uOSUh87WA20 (ビデオ)
アレッポの住民の供述
私は病院のリストについて、5つのウェブサイトをチェックしましたが、そのうち3つは Al Quds 病院をあげておらず、残りの2つだけがあげていて、電話番号は1つだけでした。普通、病院の電話は1つということはありません。だからアンタキ博士の言ったことは正しいでしょう。

これは普通のビルを、2012年以後、テロリストを治療するための治療所に作り替えたものと思われます。誰もその存在を知らず、聞いたこともないのです。

アレッポに住むある人は、このビルは、アメリカのミサイルによるニセ旗攻撃で攻撃されたもので、SAA(シリア・アラブ軍)のやったことにするためだったと主張していました。当然これは証拠が必要です。

「チャンネル4」ニュースについて言うなら、(中略)… 見ていられなくなりました。彼らはウソをついていたからです。彼らは、あの攻撃されたと言われる病院と死んだ医師のことを、毎日、何度も繰り返して報道し、SAAがやったと主張しています。

彼らは、先週中に彼らの大切なテロリストの破壊した、他の病院については何も言いませんでした。彼らは、何百人という負傷者、毎日殺されていた何十人もの人々については、何も言いませんでした。

(中略) 

“爆弾禁止ゾーン”? 

5月3日、21st Century Wireはこう報じた――「アメリカとNATOによる〈アレッポは燃えている〉作戦が“爆弾禁止ゾーン”を作らせることに」
http://21stcenturywire.com/2016/05/03/syria-aleppoisburning-campaign-created-by-us-and-nato-to-facilitate-a-no-bomb-zone/

プロパガンダの車輪は、メディアが「国境なき医師団」爆撃の物語を繰り広げるのに呼応して回りだす。例によって、メディアは、いかなるウラを取る調査も、証拠もなしに、このプロパガンダを創り出した。このプロパガンダの嵐の真の意図を明らかにしているのは、アメリカとNATOの代理軍の攻撃にさらされ、血を流している、西アレッポの罪のない人々である。

我々はアメリカとNATOが、テロリズムを利用し、選挙による自分たちの政府に忠実な、あるいは、祖国でのネオ植民地主義目標に単に抵抗している、シリアの人々を、集団処罰しようとしているのを目にしている。

“爆弾禁止ゾーン”とは、“飛行禁止ゾーン”の別名にすぎず、米‐NATOの主権国家破壊の狙いの美名である。

(ヴァネッサ・ビーリーは、21WIRE や Global Research への寄稿者、2011年から彼女はほとんどの時間を中東で過ごし、そこの出来事を報告している。独立調査ジャーナリスト、 作家、写真家、平和活動家。彼女は「シリア連帯運動」指導委員の一人でもあり、「パレスティナへの帰還グローバル運動」のボランティアでもある。彼女の仕事については、ブログ https://thewallwillfall.wordpress.com/ を見よ。) 

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